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20200512

世界が崩壊しない前に 25: 細るエネルギー供給








*1


今回は、私達の経済活動や生活に不可欠なエネルギーの将来についてみます。


電気・ガス・ガソリンが無くなる生活を想像できるでしょうか。

かつてオイルショックで経験したように、ここ半世紀、石油価格の上昇下降が世界経済を揺さぶるようになった。
米国は石油が狙いで、中東に軍事干渉することが度々あった(イランなど)。
日本が太平洋戦争に突き進む切っ掛けも石油禁輸でした。

現在、エネルギー源のほとんどは地下資源(石油、石炭、天然ガス、ウラン)ですが、いつまで採掘可能なのか?



 
< 2. 石油生産量のピークは過ぎた >

IEA(国際エネルギー機関)は2010年、在来型石油(シェールガス・石油を除く)の世界生産のピークは2006年に越えたと発表した。
これは従来の油田が枯渇して行く中で、新しい油田の発見が少なくなり、採掘コストが高くなっているからです。

益々、採掘コストが上昇している為に、地球奥深くに化石燃料があっても役に立たない。
石油では、20世紀初頭、1単位のエネルギー投資で100単位のエネルギーを得られたが、ここ25年間で35~11単位と急速に低下している。
一時、花形だった北海油田も限界が見えて来た。

これを補ってくれたのが2010年代に始まった米国のシェールガス革命でした。
しかし、ここ数年、採掘会社が急激な赤字に陥っている。
理由は坑井の寿命が短く、次から次への開発にコストが掛かり過ぎているからです。
FRBは低利融資でこれら会社を何とか存続させているが続かないだろう。
さらにコロナ危機で原油先物価格が一時マイナスまでになった。
これで米国のシェールガスは立ち行かなくなるかもしれない。


 
< 3. 低下する世界の原発発電量 >

残念な事に、期待のエネルギー源も様々な副作用を持っている。

原発は大災害、シェールガスは公害を引き起こしている。
日本列島の原発は断念せざるを得ない。
地震と津波が頻発する列島、放射線廃棄物の処理、海洋汚染による漁業資源への悪影響を考慮すれば当然です。

またメタンハイドレートや石炭、バイオ燃料(生産時)は、温暖化ガス(炭酸ガスなど)排出で地球温暖化に悪影響を与えます。


 
< 4. 増え続けるエネルギー消費 >


* 何が問題か? *

上記三つのグラフは危機の到来を示している。

世界のエネルギー消費は増え続けるが、エネルギーになる地下資源は枯渇に向かっている。
もし化石燃料輸出国が、枯渇への不安と自国の消費増を受けて、輸出を絞り、さらには禁止したら・・・。
輸入大国の日本は・・・?
コロナによるマスク入手の困難とはわけが違う。

国民が耐え偲ぶだけで過ごせるとは思えない。
悪くすれば強奪の戦争が勃発するかもしれない。

日々、限界に近いづいている。
打開策を講じなければならない。


次回に続きます。





x

20200508

世界が崩壊しない前に 24: 掘り尽くす鉱物


*1


宇宙誕生から138億年間で生まれた元素や地球の鉱物を、人類はこれから数十年ほどで使い切ってしまう。
その先は・・・





*2

青銅と鉄は文明と強国の象徴でした。
紀元前、もしヒッタイトとケルトが鉄器を持っていなかったら、ガンジス川や黄河流域で鉄の農耕具が普及していなければ、歴史は大きく変わっていた。
金と銀は繁栄の象徴であり、昔から通貨の役割を果たして来た。
建物から自動車、携帯電話、薬品、太陽電池まで鉱物無しでは造れず、生活は不可能だ。

国際環境開発協会が15年ほど前、よく知られた八つの金属(鉄、アルミ、鉛、ニッケル、銅、他)の残りの可採年数は15~81年と発表した。
推定埋蔵量は500~1100年分あるが、採掘には膨大な損失が伴う。
環境省の2009年の資料によると、可採年数は金20年、銀19年、レアメタルのクロム15年、インジウム18年とある。

ここ半世紀、かつて指摘された地下資源の可採年数を越えても、掘り尽くした物はなく、今も採掘は続いている。
しかし確実に可採年数は短くなっている。


* 何が問題か? *

可採年数は、世界経済(消費)の伸び、新規に発見される埋蔵量、リサイクル量、そして採掘コストによって決まる。

だが埋蔵量は増えても、鉱石の品位が下がり続けており、益々採掘にエネルギー(コスト)と水の使用量が増える。
また鉱山から出る鉱さいや処理液はこれまでの数十倍に達し、環境破壊と深刻な公害を招く。
さらに農業や漁業資源を減らすことにもなる。

最大の懸念は、生産と埋蔵している国が大きく偏在していることです。

中国の生産量は金で1位、レアアース(17元素)では世界シェアの96%に達する。
埋蔵量の世界シェアでは、リチウムはチリで75%、プラチナは南アフリカで88%と偏在している。
一方、日本はベースメタル(鉄、銅など)とレアメタル(リチウム、コバルトなど)は100%輸入に頼っている。


* もし枯渇の危機が来れば! *

希少元素や鉱物の枯渇は、コロナ危機のマスクのように2ヶ月ほどの品不足では済まない。
今回の日本政府の対応を見れば、危機管理(体制とシミレーション)が出来ていなかった事と、隣国との協調体制が取れないことで傷口を大きくしてしまうことが理解出来たはずです。

おそらく悲惨な争奪が始まるだろう。
既に石油、ダイヤモンド、ウランのように、アフリカや中東で資源を奪い合う為に、大国から武器が大量に供給され内戦を生んでいる。

放置すれば必ず破局が来ます、甚大な被害を伴う危機が。

将来に備えた危機対応が不可欠です。


次回に続きます。




20200503

世界が崩壊しない前に 23: 映画「太陽の蓋」を紹介





*1


福島原発事故を今一度教訓として欲しい!
無料動画「太陽の蓋」を紹介します。
また私の想いを詩にしました。


 
*2

* 「太陽の蓋」を見た感想 *
https://www.youtube.com/watch?v=x29d7YMhmm8

なぜ日本は、いまだに危機に上手く対応出来ないかが良くわかる。
それは体制が麻痺しているからに尽きる。

数人の首脳が全身全霊であがいても・・・
そんな虚しさの中にも光明を感じることがあった。
身を挺して原発の残った人々と陣頭指揮を執られた人が居たことを。
そして突然の巨大な災厄にもめげず、立ち向かった多くの人々がいたことを。


*「憂いの詩」 私の想いを託しました *


何を恐れるのか

座して逡巡する君よ

持して朽ち果てる故国こそ恐れよ

いま船出する時

渇きや荒波を恐れるな

出でて求めよフロンティアを

闇の中、頼れるのは己一人と覚悟して

家族を愛し、友と手を携え

いざ立ち上がれ



次回に続きます。




20200428

世界が崩壊しない前に 22: 様々な危機







*1

身近に迫っている危機とは?
被害の大きなものをリストアップします。



 
*2



1.  地球温暖化
2.  生態系の破壊
3.  農水産資源の枯渇
4.  地下資源の枯渇
5.  森林破壊
6.  水不足
7.  海洋汚染
8.  貧困と所得格差
9.  平和の破壊
10.  パンデミック
11.  巨大化する自然災害
12.  先新技術の誤用
13.  移民・難民
14.  暴走する経済活動
15.  金融システムの崩壊
16.  暴走する社会・国家
17.  細るエネルギー供給
18.  教育と情報の格差



 
*3


幾つかの被害例を見ます。

*「平和の破壊」とは、戦争、内戦、テロ、核戦争などです。
犠牲者はベトナム戦争で800万人、一度核戦争が勃発すれば地球全滅で75億人でしょうか。

*「パンデミック」とは、伝染病のコロナウイルスなどです。
スペイン・インフルエンザによる死亡者は世界で4000万人でした。
この時の感染数は世界人口の30%と言われています。

*「金融システムの崩壊」の代表例は、ほぼ10年毎に繰り返されているバブル崩壊ですが、今後、別の崩壊が起きる可能性もあります。
リーマンショックでは、米国だけで1800兆円の家計正味資産と退職勘定資産の1/3を瞬時に失った。
当然、被害は世界に及んだ。


被害規模は甚大になると思われるが、予想しづらいものも見ておきます。

*「地下資源の枯渇」で切実なものは、埋蔵量が後20年ほどしかない幾つかのアースメタルやレアメタルです。
さらに1~3ヶ国に産出シェア70~90%を握られている資源もある。
経済封鎖が起きれば大国と言えども一溜まりもない。

*「先進技術の誤用」で心配なのは、遺伝子操作やバイオ技術でしょう。
金融技術や情報通信技術などは非常に有用だが、間違えば社会を傾ける可能性がある。
半世紀前に誕生した原発は、安直に突き進んで方向転換出来ない残念な例です。

*「情報格差」で目立つものは、巨大プラットホーマー(Googleなど)によるビッグデータ利用や国家の諜報活動で、監視社会が進む可能性がある。
また教育と情報の多寡が経済活動の優劣を制し格差を助長する可能性が高い。


残念なことに日本は、長期の経済衰退を招いている政治経済社会の沈滞が深刻で、上記の様々な危機に対応出来る体力が無い。
今回のコロナ危機で明白になったと思います。


次回に続きます。

20200420

世界が崩壊しない前に 20: コロナは我々日本の弱点を教えてくれた 5







*1


今回は、皆さんがニュースを見て感じている日本の大いなる弱点を考えます。


 
 
< 2. 両者の食い違い >


* 政府と自治体首長の心構えと手腕の違い *

今回、政府と自治体首長のやり取りを見ていると、両者の危機意識の違いが目立ち、結局は首長の手腕が事の正否を決めそうです。
政府と東京都はオリンピック開催と経済に目を奪われ、初動から道を誤り、未だに迷走し続けている。
しかし、今や全国の自治体首長の勢いは政府を動かしつつある。

日本は主に税制が原因で、自治体が自ら財政をコントロール出来ず、中央政府(与党議員と官僚)に従属し、自主性と活力を失って来た。
しかし大阪、神奈川、北海道、和歌山、愛知などの首長を見ていると、光明がある。

逆に、一強を良いことに公私の失策を隠蔽・捏造・証言拒否で逃げ、さらにはマスコミとウヨの懐柔で批判を抑え続けて来た政府は、足元の国民の現状を見る気がないようです。
経済対策も、危機終息後の復興策(旅行クーポンや牛肉券)は早々と声高に唱えたが、今まさに迫っている倒産や失業を回避する補償には踏み切れなかった。

これは半世紀に及ぶ自民党政権が招いた政治の弛緩が大きいが、これに加えて、中央政府と地方自治の役割分担が機能していないことも大きい。


北欧では、軍事や外交は中央政府の管轄だが、国民に直結する社会福祉などは自治体が財源を持ち施策する。
日本の今の体制では、中央政府はしどろもどろで決断できず、各首長の施策にブレーキが架かるだけです。
どうしても今回露見したように中央政府は市民目線から外れたのものになる。

例えば、大阪都構想もしかりです。
自治体の二重行政を解消し、大きな都に格上げすることは、理に叶っているように見える。
しかし、国からの交付金支給などの制度を根本的に変えない限り、実はあまりメリットがないのです。

今は米国はロックダウンの解除と継続で対立しています。
トランプ大統領は経済と選挙が優先で、ニューヨーク知事は市民の命を優先し対立している。
従わない州に対して大統領は、ウヨ的な市民を煽り抗議デモで揺さぶりをかけている。
日米共にポピュリズム政権は対立を煽り、目的を達しようとしますが、これが間違いをもたらすことは既に見ました。

今回の教訓から、政府の強制力云々より、自治体と首長が大幅な権限を持てる体制へと転換すべきです。
それが先進国の趨勢であり、日本の再生に不可欠です。



次回に続きます。



20200417

世界が崩壊しない前に 19: コロナは我々日本の弱点を教えてくれた 4




*1

今回は、コロナ危機で感じた悲哀について記します。


 
*2


* クラスター班の活躍と苦悩 *

先日、NHKのドキュメンタリーで、日本の新型コロナウイルスのクラスター対策班の奮闘を見ました。

2ヵ月が経ち、これからも続く疲労困憊の中での東北大学押谷教授と北大西浦教授らの熱意と誠意には感動を覚え、感謝してもし切れない。

西浦氏は感染の第一波をクラスター分析と隔離で抑えたが、第二波を防止出来なかったと言い、言外に我々は絶望の淵に立っていることを示唆していた。
確かに、3月中旬までの少ない感染者数と3密を避ける提案は、この班の業績かもしれない。
一方で彼らは、人形浄瑠璃の黒衣(くろご)のようで目立たず、今は非難もされている。


何点か残念に思ったことがある。

彼は、第二波は空港での検閲と隔離が上手くいっていないからだと言葉すくなく指摘していた。
また人員不足で寝る暇も無いクラスター班への増員が無く、政府の無理解に一言嘆いていた。

さらに不思議なのはドキュメンタリーで、NHKが上部機関(新型コロナ対策本部、厚生省、政府)との連携や対応をほとんど描いていなかったことです。

常識で考えて、感染対策の執行機関の協力なしでは彼ら対策班の苦労は報われず、それこそ孤軍奮闘で終わってしまう。
むしろ私には彼らは人身御供として晒されているように思えた。
それでも彼らは実に謙虚で他者をまったく非難しない。


もう一つは、西浦氏はまだCR検査の制限に拘っていることです。

明らかに状況が変わっているのに手法を変えない事には無理がある。
この件の説明では、急に歯切れが悪くなった。

本来なら、第二波の状況悪化に備えて、政府がPCR検査の拡大や空港の検疫体制の強化を行うべきで、西浦氏がその評価を語ってこそ対策班と言える。
ここでも、何か他者への遠慮が働いているように感じた。

結局、コロナ危機に対して、重要な役割(感染対策の立案)を果たすべき班が、協力も支援もなく孤軍奮闘していることが露呈した。

まさに80年前の日本の再現です。
戦況全体を俯瞰し指揮する最高責任者がおらず、各指揮所(天皇、政府、海軍、陸軍、現地派遣軍)がバラバラに行動し、長期視点が無く、遂には補給が途絶え、玉砕で有終の美を飾ることが国民に求められた。


次回に続きます。





20200416

世界が崩壊しない前に 18: コロナは我々日本の弱点を教えてくれた  3





*1

今回は、発想の転嫁が出来ない不幸を見ます


 
< 3.摩訶不思議な批判潰し >

孫氏がTwitter上で休業補償のアンケートを行うと、当初賛成が圧倒的に優勢でしたが、深夜の間に反対票が30万入り、呆気なく反対に逆転した。
ここまで酷い操作を私は知らない。


* 休業補償をしない件 *

今、感染爆発を防ぐには人との接触を80%減らす必要がある。
そこで都道府県の首長は国に休業補償を要求するが、政府は前例が無いとし頑なに拒否している(噂では財務省が許さないらしい)。

国が休業への強制力を持たないことや、補償をやり始めると政府が破綻すると言う論点ずらしもある。
ここでは、この二点への反論と、日本の先進国からの周回遅れについては触れない。

日本で感染爆発が起きれば重篤患者は30万人になる可能性がある。
そうなると医療介護費・経済損失も含めた彼らの生命価値を一人3億円として90兆円の損失が出る。
さらに膨大な数の感染軽症者、失業する非正規や新卒が生涯に亘り、その累計経済損失は数百兆円になるだろう。

ここで休業補償総額20兆円(=GDPの内の年間民間消費300兆/12ヵ月X80%)で全国民に1ヵ月休業してもらい、感染爆発が起きないとする。
すると差し引き70兆円が浮くことになる。
実施は一部の都市で可能だから10兆円で済むかもしれず、前述の失業者の莫大な被害も抑えられるので、さらにメリットは巨大になる。

発想を転換すれば、国民は救われる。

実は、我が国は様々な名目で金をばら撒いて来ている。
農家への米の減反費用、様々な助成金、輸入関税も周り回って同様の結果になる(農産品だけでも年間8兆円)。
箱ものなどの土建投資も然り(年数兆円~十数兆円)。
法人減税は30年間の累計で300兆円になり、消費増税分はほぼ消える。
首相は短期間で諸外国に60兆円をばら撒いた。
日銀はこの10年間で国債を400兆円、ETF(上場投資信託)を30兆円買った(これが政府の財政支出の足枷になるかも)。

これでも国民の命を守る為に微々たる金しか出せないのなら・・・。

こんな試算もあった。
かつての米国の南北戦争で80万人が死亡し、甚大な被害が出た。
後に、南北戦争を回避する方法として、ある経済学者は事前の補償を提案している。
「北部側が、南部の奴隷所有者から奴隷開放による損害補償を提案すべきだったと」

双方で膨大な軍事費を使い、町を破壊し、死傷者を出し、結局、南部は奴隷も失った。
結果から見れば、補償での戦争回避が良策です。

冷静になって先を読むことが出来れば、危機の被害を少なく出来るのです。


次回に続きます。



20200415

世界が崩壊しない前に 17: コロナは我々日本の弱点を教えてくれた 2







*1


今回は、日米首脳に共通する問題を取り上げます。


* 「武漢ウイルス」発言 *

両首脳の他国を毛嫌いする態度が、コロナ危機で失策を招き、国民は大きな災厄を被ることになった。

日本は、マスクの8割をほとんど中国から輸入している。
コロナ危機で中国はマスクを増産し、ここ1ヵ月で38億枚を世界に輸出した。
政府は増産と言いながら、「中国産は使わない」と言う閣僚の発言に忖度した担当官は3月に中国からの追加輸入を断念していた。


米国の疾病対策センター所長は「トランプ政権のメッセージは『中国に協力するな。彼らは敵だ』ということだ」と語っていた。
これで両国間の防疫協力関係は完全に切れてしまった。
米国は中国のコロナの詳細情報を手に入れることが出来ず、感染症対策の初動の遅れに輪をかけることになった。

必需品から医療情報まで、グローバル化社会では一時の断絶が致命傷になる。
将来、中国でほとんど産出されているレアアースの報いは桁違いになる。


* もう一つの厄介な性癖 *

このタイプの首脳は、敵を峻別する傾向にあるので、直ちに国境閉鎖やクルーズ船寄港拒否などで解決を図ろうとする。
これがすべて悪いとは言えないが、問題はその後の対応がお粗末になる事です。

たとえ閉鎖を実施しても、侵入を防げず、感染者は国内に広がって行きます。
米国は閉鎖を素早く行ったが、初動で遅れ、感染爆発を招いた。

このタイプの首脳は、科学的な重要性を理解出来ず、目立たない緻密な政策を疎かにするようです。


 

< 2. 米国の二人の大統領の違い >

現在、米国は国連安保理で「武漢ウイルス」を宣言に入れることに拘り、紛糾し宣言が骨抜きになっている。
これが以前の大統領なら、エイズ対策で国連が一致して対策を執ることが出来た。

トランプの下で国際保健分野は冷遇され、CDCの予算も削減されつつある。
エボラ出血熱時に設けられた国家安全保障会議のパンデミック担当チームは18年に解体された。
さらに米中の通商対立が加速し、米国は防疫情報で孤立するようになった。


 
< 3.2015年、ビルゲイツのTEDでの発表 >

ゲイツは今後、戦争よりもパンデミックで大量の死者が発生するかもしれないと警告していた。

今の両国政府は国家安全保障を歪めている。
安全保障は軍備だけでなく、伝染病、資源の枯渇、災害などから国民の健康と安全を守る事も範疇にあるのです。

不安、不穏な社会ではタカ派的な言動を売りにする首脳は非常に人気を得る。
この態度は、大国が他国から利益を奪う時には有効かもしれないが、伝染病のような世界的な危機に際して国民に大きなダメージを与える。
このような日米の首脳は、百害あって一利なしと言える。

重要な事は、国民が人気だけでトップを選ぶ愚を避けることです。


次回の続きます。



20200414

世界が崩壊しない前に 16: コロナは我々日本の弱点を教えてくれた 1





*1


数回に分けて、コロナ危機への政府の対応を採り上げて、問題点を明らかにします。
そして、来るべき世界的な危機を回避するヒントを探ります。

「全国の医師・看護師・病院、そしてコロナ危機に対応しておられ方々に感謝と敬意を表します」


 

< 2.自民党コロナ対策本部のメンバー >


* 国が布マスク2枚を国民に配布する件 *

無いよりは良いとの意見もあるが、布製なら各自が洗濯と手作りで、不織布なら蒸気消毒(蒸し器)で、難なく解決できる。
まして布マスクは不織布マスクより感染防止能力が低い。

マスク調達を担当した官僚が世間の悪評に耐えらえず、
「医療用マスクの枯渇を防ぐ最良の手段なのに、広報が悪くて国民に理解してもらえない」との嘆きを発信した。

私が驚くのは、2ヵ月半の期間と466億円をかけて、これしか出来ずに平然と他人のせいにしていることです。
(政府は1月28日にマスク増産に動き、2月12日に菅官房長官が来週以降、不足は緩和されると発言した。そして首相が4月1日に「マスク2枚配布」を表明し、4月12日以降順次届けるらしい。)

現場を知る者なら、不織布マスク製造機を35台発注し、1か月後には月産3億枚の生産を開始していただろう。
(製造機は日本製で、設計図もあるので制作費は総額30億円ほど、納期1ヵ月で可能だろう。日本でもマスクと不織布を製造しているから、空き工場を使い生産出来るだろう。)

実際に、既に台湾はマスクを7倍の月産3億枚に増産し、孫正義氏は日本の為に中国に月産3億枚を発注し、アイリスオーヤマは国内増産用の設備を発注している。

マスク配布にどんな意図があるか知らないが、この件は政府や官僚に、「最も必要な事を適切に施す能力が無い」ことを示している。
恐らくは、内閣に危機が無いか、政策立案者ら(官僚や大臣)に広い領域亘る専門家が揃っていないことの表れだろう(現場を知らない)。

残念ながら日本の中枢を占める官僚は法科出が占め、最近は忖度や誤魔化しの能力だけが目立ち、国民目線の欠落が酷い。

さらに加えて自民党コロナ対策本部の議員には、テレビやツイッターでウヨに人気があり、安倍人気を盛り上げた功績で参加した人物が目立つ。

当然、主要なポストに専門性など期待できない。
これでは今後繰り返し訪れる世界的な危機に対処できないだろう。



次回に続きます。

20200411

世界が崩壊しない前に 15: 18歳少女の戦い 2





*1

グレタさんは何故一人で立ち上がったのか?
彼女は世界に何を訴えたいのか?


 
*2

グレタさんの影響力

彼女の表情と言及は実に厳しく妥協がない。
現状の地球温暖化の取り組みには「希望がない」と言い、楽観論を否定する。
進まず後退さえする各国首脳の態度を非難する。

マスコミでよく取り上げられているのは、彼女の肉食拒否と航空機利用の否定「飛び恥」です。
このせいで、飛行機から鉄道や船に切り替える人が増え、航空会社の売り上げが目に見えて減った。


彼女は何を指摘しているのか!

地球の温暖化を抑制するには、二酸化炭素排出量を2030年までに世界全体で約30%減らさなければならないとされています。
2016年、一人当たりの二酸化炭素の年間排出量は日本9トン、米国15トン、中国7トン、アフリカ平均1トンでした。

米国の場合、一人の年間肉食量は100kgだから年間CO2排出は1.4トンになる(牛肉で計算)。
牛肉をすべて鶏肉に替えると排出量は1.2トン減り8%減となる。
また米国の航空旅客の一人年間平均排出量は3トンです(国民の平均ではない)。
確かに航空機を止めれば、利用者は20%減らすことが出来る。

私は節約する方なのでCO2排出が少ないのですが、年1回海外旅行をしているので航空機で約2トン増やしてしまっている。
弁解すると、鉄道と船ならCO2排出はかなり減るのだが、鉄道は不可能だし、船は日数と金額の点で無理です。

彼女の指摘は的を得ているが、生活や経済活動への影響が大きいので、彼女に反感を持つ人もいる。

しかし彼女のメッセージ発信によって世界は動き始めた。
航空会社(北欧)は鉄道との連携やCO2排出削減に取り組み始めた。
また2019年以降、世界の機関投資家や銀行の主要団体は、パリ協定の目標が不十分として、目標の引き上げと具体策を提言し、各国に迫るようになった。

実に、彼女一人の行動が世界危機への突破口を開いたと言える。


私には後悔がある。

彼女が一人で最初にストを行ったのは、ストックホルムの国会議事堂前で、2018年8月20日でした。
私はその頃、北欧を一人旅しており、少し前の6月1日、国会議事堂の付近を歩いていた。
残念なのは、つい最近まで彼女のストの場所を知らなかったことです。

是非とも、一人の決起が世界を目覚めさせた瞬間に立ち合いたかった。


次回に続きます。

20200408

世界が崩壊しない前に 14: 18歳少女の戦い 1





*1

今回は、地球温暖化を強烈に訴えるグレタさんを紹介します。


 
*2


彼女は2018年末の「国連COP24」で訴えた。

「私は希望を語りません。
 何にもしないこのままではだめ!
 世界のシステムを変えなければならない。」

これに対してトランプやプーチンら首脳は、彼女の異常さを指摘し、操られていると嘲笑る。
日本にも同様の発言をする人はいる。


グレタさんについて

彼女は環境問題に関心を持つと自分で勉強を始め、やがてSNSで温暖化懐疑派に討論を挑むようになった。
感化された両親は、彼女に温暖化の現地調査や気候学者との対話の機会を与えた。

そして満を持して彼女はストックホルムの国会議事堂前で、一人でストライキを始めた。
彼女は幼少期より自閉症、強迫神経症があり、両親はストを始めるまで発作の再発を恐れていた。

彼女には始めるにあたり戦略があった。
先ず、SNSで実況中継を発信し続けた。
さらに緊張に耐えながら多くのメディアによるインタビューに答えた。

これらにより彼女の期待以上に、ストは世界に急速に知られ、彼女のメッセージの真意が世界に伝わった。
9月には161ヵ国で400万人が参加した地球温暖化ストップのストライキが行われた。
その後、彼女は数々の世界的な温暖化対策会議に引っ張り出されるようになった。

彼女の姿勢を示すエピソードがある。

ストライキ中に、ある男がベジタリアン用のバーガーを差し入れた。
(肉牛の飼育には多くの炭酸ガス排出が伴うので)
スト仲間は食べたが彼女は食べなかった。
彼女は、「あなたが差し入れを望むなら、次回から別の店のものを提供して下さい」と提案し、彼は二度と来なかった。
彼は便乗して自社製品を宣伝しようとしていた。


元々、北欧では小学校から環境問題を学習させ、中学校から政治の学習だけでなく政策についても討議させている。
国民のほとんどはボランティア活動を通じて、地域社会と密接に繋がり、政治意識が高い。

また北欧各国は「持続可能な社会」の実践で先行しているが、市民レベルでも取り組まれている。

つまり、スウェーデン、北欧から彼女のような警鐘を鳴らす人物が出ることは当然なのです。
おそらく日本からは望めないでしょうが。


次回に続きます。

20200404

世界が崩壊しない前に 13: コロナ危機対応で見えて来るもの 4





*1

コロナ対応から見える日本の危うさ
問題点を整理します。


主要な問題ではないが、今の日本の危うさを象徴する事例を紹介します。

最近、コロナ新規感染者に外国籍が含まれるグラフが出回っている。

 
< 2. 恐怖心がデマのグラフを作らせた >

これに添えて「病床は日本人の物であって、外国から逃げて来た奴などに与えるな!」と記されている。
また「外国人にコロナの現金給付は問題!」との発言もある。
これらの発言はウヨや与党議員から発せられた。

海外移入が増えているのは、空港での水際対策の不手際です。
実は、厚労省は国籍を区別していないので、これは誤解を基に意図的に作られたグラフです。

どちらにしても、今の政府を熱烈に支援する人々や、コロナ対策の要職を務める人には、この類の人が目立つ。



* 政府の何が問題か *

基本的な問題
² 感染症対策の不備(パンデミックを想定せず、病床を減らし続けた)。
² 上記前提で対策を講じた(検査をせず、一斉休校のみ)。
² この間、感染爆発への対策を怠った(感染症病床などの増設)。

さらに加えて
² 日頃の隣国敵視政策が災いし、中韓の成功例を受け入れられず、中韓の協力も得られず必需品の調達に支障をきたした。
こんな時ほど世界が連携しなければならないのだが。

² 対策は、データーによる論理的な説明もなく検証もない。
これまでの野党による国会追求での逃げと同じ。


* 何が最悪か *

危機を乗り越えるには、科学的で論理的な状況認識と不断の変革が不可欠だが、これが出来ない。

対応の拙さは福島原発事故と同じで、膠着した体制に根源があり、一人首脳の不出来だけに帰することは出来ない。
それは半世紀に及ぶ政治屋・官僚・産業と大半の学者・マスコミによる癒着にある。
この体制は、既得権益の維持と拡大に邁進し、時代の変化には閉じ籠り、危機に対しては想定外と言い放ち、事なかれを繰り返す。

これは日本が大戦に突き進んだパターンとも酷似する。
半世紀に及ぶ軍部による政治掌握、それを支える陸大出の参謀本部、軍令部のエリート、強硬派の陸軍から東条が首相に選ばれ、日米開戦と突き進む。
最優秀な知性と見識を備えた中枢は、いとも簡単に危険を冒し、途中、冷静に省みることなく敗北まで突き進んだ。

結局、日本は、幾度も同じ事を繰り返している。
今回、おそらく壮絶な結果になるでしょう。

日本が再生出来ることを願うばかりです。
今はコロナだが、これからは更にあらゆる世界的な危機が待ち受けている。


次回からは視点を変えて続けます。