20210412

没落を食い止める! 32: 今、世界はどうなっているのか? 3: 世界では?

  


< 1.どちらが世界を・・・ >

 

前回は、新自由主義による国内の変貌を見ました。

今回は、新自由主義とグローバル化による世界の変貌を見ます。

 

 

* お金のビッグバンはこうして起こっている

 

これからグローバル化の関りを説明しますが、私はグローバル化が反対なのでは無く、現状の無軌道な状況が問題だと思っています。

 

 

 

< 2.お金のビッグバン >

 

図の説明

 

1. 最下段

各国中央政府の収支は、戦争でも無い限り国民の税金と国民へのサービスで釣り合っていた。 

これが大転換前の状況でした。

 

2. 右下の×マーク

80年代の大転換が始まると、やがて政府は各国の中央銀行に対してかつて禁じ手(×マーク)だった貨幣供給を指示するようになった。

中央銀行は景気浮揚策として、特に金融危機後の数年から十数年に亘り、貨幣を市場に大量供給している(英米日中が断トツに多く、市中銀行や株・債権購入などで)。

 

3. 左上部の金融市場、メガバンク、多国籍企業

前回見たように国内消費が増えず実業も振るわず、一方で金融への投機を奨励し規制緩和を行っているので、大量の貨幣は金融商品への投機に向かわざるを得ない。

 

ここまでは国内事情とほとんど変わりない。

 

グローバル化(貿易・人・情報の交流が進み世界経済の一体化)が進むと、さらに自由主義の悪弊が拡大することなる。

 

資金が世界中から集まるようになり、また世界各国に向かうようになった。

例えば富裕層を相手にしたヘッジファンドは世界中で荒稼ぎし、アジア通貨危機などを起こしながら、トップのファンドマネジャーなら年間数千億円を稼ぐ。

ヘッジファンドの資金は株、債権や為替、先物商品へ、実需の10倍以上が投入され、価格の乱高下で稼ぐようになった。

 

また多国籍企業やメガバンクは世界を相手に取引を始め、他国との競争を経て巨大化し、これがモラルハザードの欠如を生み、また中央政府の助けもあり、開発途上国への無謀な投資・貸付が、バブルやデフォルトを招く結果にもなっている。

政府は、これら多国籍企業やメガバンクを支援する為に発展途上国への都市開発や兵器売却を首脳外交で行っている(これは帝国主義の前期と酷似し、カントリーリスクが発生すると政府は損失を避ける為に軍事干渉を始める)。

 

4. 右上の❔マーク

これらの結果、何が起きたのか?

相次ぐ金融危機後の金融緩和で世界の金融市場に注ぎ込まれた資金は膨大になり、今や加速度的に増加している。

そして、その富を一部の超富裕層、おそらく全世界で数万の持ち株会社が世界の大半の企業グループを掌握するようになっただろう(今、世界人口の1%で総資産の50%を所有、さらに増加)。

 

少し振返って欲しい。

80年代、小さな政府を目指したはずが、いつの間にか各国政府は国民とは無縁な所で、貨幣発行と言う手段で別の世界(金持ち天国)を国民の上に造り上げた。

 

 

 

< 3. 世界の脱税競争 >

 

なぜ国民の暮らしが良くならず、なぜ超金持ちはより豊かになるのか?

その理由は上記の理由が一番なのですが、脱税競争も大きい。

 

図の説明

 

1. 中央の世界地図: タックスヘイブン(オフショア・センターも)を示している

タックスヘイブンは税金をゼロか低率にし、秘密保護まで行って富裕層、企業、諜報機関、犯罪集団に便宜を図っている都市や国で、世界に60ヶ所ほどある。

 

これにより世界で10%近くの税逃れが発生している(推測)。

例えばアップルはアイルランド、アマゾンはルクセンブルクなど、税率の低い所に本社を移して節税している。

アップルは法人税を23%ほど支払っていると自画自賛しているが、日本の平均的な勤労者であれば所得税・住民税を30%払う(最も日本の企業も23%ほどだが)。

おそらくトランプは腹立たしい税金など払っていない(最高裁は開示を求めたが)。

パナマ文書で明かになったが、日本でも盛んに行われている。

幸か不幸か、善良で貧しい国民にはタックスヘイブンは無縁です。

 

地図の下に、代表的な地域を示した。

タックスヘイブン地は多数の事業所誘致と、サービス業でメリットがある。

 

 

2. 上段の❔マーク

上記の税逃れの蔓延が、国内の税制を歪め、逆累進課税を生むことになる。

 

それは富裕層と法人が、所得税と法人税を上げると国外に逃げると経済界を通じて政府を脅すようになったからです。

普通、製造業は海外に工場を移すが、市場がある国内に本社機能を残し、金持ちも暮らしやすい先進国(自国)から抜け出す数は微々たるものです。

それでも各国は、やがて税の最高税率下げの泥沼の競争から抜け出せなくなり、その穴埋めに間接税(消費税)増税に向かった。

 

これは税逃れが難しく、景気に左右されないので安定した税収になり、国と金持ちには最高!!

一方、労働者には最悪だ!!!!

 

結局、現生は法人と金持ちに天国となった。

タックスヘイブンで税を払わず、国内の税金も減らしてくれるのだから。

従って経済界と大富豪は政府とマスコミを抱き込む為に数百億円を使うぐらいは厭わない(米国の場合、一人で)。

 

 

3. 最下段右の❔マーク

ここで問題になるのが、国際機関の脆弱さです。

 

これからは世界的な税制創設と税逃れの規制を構築しない限り、悪化するばかりです。

現在、上記の税逃れを少しでも取り戻そうと各国が動いているがバラバラです。

タックスヘイブンを抑え込むために名前を公表し(これ以上できない)、世界的な金融取引税創設、GAFAを狙ったデジタル税などで奮闘している。

 

しかし世界にまとまりがなく制裁力が無いため、あまり期待出来ない。

この纏まりの無い理由の一つが、相変わらずの米国の単独行動でしたが、バイデンになって前進し始めたようです。

 

 

次回に続きます。

 

 

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