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20200606

世界が崩壊しない前に 27: 貧困と格差 2




*1

前回、世界と日本の状況を見ました。
今、世界で何が起きているかを見ます。


前回、世界の絶対的貧困率が減少する一方、国家間と国内の格差が広がっていることを見ました。


 
< 2.富裕層の所得の推移 >

米国の所得上位10%が1940~1970年代、全国民所得の35%を占めていたが、その後上昇を始め2007年には50%になった(上記グラフとは別)。
同時期、上位1%の占有率は10%ほどから24%になった。


 
< 3.世界の億万長者 >

格差の諸相

ほんの一握りの人間に富が集中し加速している。

1970年代、所得税の最高税率は英で90%を越え、米で70%あったが、その後英米共に40%まで急速に下げ、日本も追従した。

世界の株式と債券の総額は1980年10兆ドルだったが、2009年には126兆ドルになり、12.6倍となったが、この間の世界実質GDPは2.8倍に過ぎない


主な要因

大国や多国籍企業の身勝手な経済・外交・軍事的な干渉が発展途上国の貧困を助長している(アジア通貨危機など)。
せっかく途上国自身の努力、そして国際機関や先進国による支援などにより豊かさを手にしているのだが。

ニュー・ワールド・エコノミー(容易に国境を越える、瞬時に伝わる情報、日々進む知識集約化、熾烈な競争)が進み、教育・情報力や資金力などの差が益々格差を広げている。

以下が一番の元凶です。
ここ40年間、米国を筆頭に自由放任経済の国では、金融緩和と規制緩和(合併や競争激化など)によって巨大企業ほど収益が上がり、さらに減税(法人税、逆累進課税など)で富は集中し加速した。
さらに実体経済より金融経済で高収益が得られるようになったことで、実体経済に資本が向かわず停滞するようになった。

これにより経済が成長しても90%の国民の所得が伸びず、日本では低下すらしている。

様々な要因が絡んではいるが、けっして偶然ではない。

最も問題なのは、大資本や企業が野放しにされていると言うより、多くの先進国が競うように、これらを優遇していることにある。
当然、北欧などのように格差を押さえながら成長も手に入れている国は多い。


次回、貧困と格差の問題を見ます。

20200503

世界が崩壊しない前に 23: 映画「太陽の蓋」を紹介





*1


福島原発事故を今一度教訓として欲しい!
無料動画「太陽の蓋」を紹介します。
また私の想いを詩にしました。


 
*2

* 「太陽の蓋」を見た感想 *
https://www.youtube.com/watch?v=x29d7YMhmm8

なぜ日本は、いまだに危機に上手く対応出来ないかが良くわかる。
それは体制が麻痺しているからに尽きる。

数人の首脳が全身全霊であがいても・・・
そんな虚しさの中にも光明を感じることがあった。
身を挺して原発の残った人々と陣頭指揮を執られた人が居たことを。
そして突然の巨大な災厄にもめげず、立ち向かった多くの人々がいたことを。


*「憂いの詩」 私の想いを託しました *


何を恐れるのか

座して逡巡する君よ

持して朽ち果てる故国こそ恐れよ

いま船出する時

渇きや荒波を恐れるな

出でて求めよフロンティアを

闇の中、頼れるのは己一人と覚悟して

家族を愛し、友と手を携え

いざ立ち上がれ



次回に続きます。




20200404

世界が崩壊しない前に 13: コロナ危機対応で見えて来るもの 4





*1

コロナ対応から見える日本の危うさ
問題点を整理します。


主要な問題ではないが、今の日本の危うさを象徴する事例を紹介します。

最近、コロナ新規感染者に外国籍が含まれるグラフが出回っている。

 
< 2. 恐怖心がデマのグラフを作らせた >

これに添えて「病床は日本人の物であって、外国から逃げて来た奴などに与えるな!」と記されている。
また「外国人にコロナの現金給付は問題!」との発言もある。
これらの発言はウヨや与党議員から発せられた。

海外移入が増えているのは、空港での水際対策の不手際です。
実は、厚労省は国籍を区別していないので、これは誤解を基に意図的に作られたグラフです。

どちらにしても、今の政府を熱烈に支援する人々や、コロナ対策の要職を務める人には、この類の人が目立つ。



* 政府の何が問題か *

基本的な問題
² 感染症対策の不備(パンデミックを想定せず、病床を減らし続けた)。
² 上記前提で対策を講じた(検査をせず、一斉休校のみ)。
² この間、感染爆発への対策を怠った(感染症病床などの増設)。

さらに加えて
² 日頃の隣国敵視政策が災いし、中韓の成功例を受け入れられず、中韓の協力も得られず必需品の調達に支障をきたした。
こんな時ほど世界が連携しなければならないのだが。

² 対策は、データーによる論理的な説明もなく検証もない。
これまでの野党による国会追求での逃げと同じ。


* 何が最悪か *

危機を乗り越えるには、科学的で論理的な状況認識と不断の変革が不可欠だが、これが出来ない。

対応の拙さは福島原発事故と同じで、膠着した体制に根源があり、一人首脳の不出来だけに帰することは出来ない。
それは半世紀に及ぶ政治屋・官僚・産業と大半の学者・マスコミによる癒着にある。
この体制は、既得権益の維持と拡大に邁進し、時代の変化には閉じ籠り、危機に対しては想定外と言い放ち、事なかれを繰り返す。

これは日本が大戦に突き進んだパターンとも酷似する。
半世紀に及ぶ軍部による政治掌握、それを支える陸大出の参謀本部、軍令部のエリート、強硬派の陸軍から東条が首相に選ばれ、日米開戦と突き進む。
最優秀な知性と見識を備えた中枢は、いとも簡単に危険を冒し、途中、冷静に省みることなく敗北まで突き進んだ。

結局、日本は、幾度も同じ事を繰り返している。
今回、おそらく壮絶な結果になるでしょう。

日本が再生出来ることを願うばかりです。
今はコロナだが、これからは更にあらゆる世界的な危機が待ち受けている。


次回からは視点を変えて続けます。



20200219

世界が崩壊しない前に 1: はじめに






*1

今、世界は急激に悪化しています。
突如として破局が訪れる可能性もあります。
私達の家族とその未来を守るにはどうすれば良いのでしょうか?
事実を集めながら検討します。


 
< 2. 緊急情報です! 拡散願います >


はじめに

皆さんは世界が崩壊すると思いますか?
何か予兆を感じることはありますか?

地球の生命38億年、人類300万年、新人類10万年、文明5千年間で似た事はあったでしょうか?

いや待てよ、これまで無数の予言はあったが、どれも事なきを得たではないか?
聖書の予言(ハルマゲドン)、ノストラダムスの大予言、核戦争勃発、資源枯渇(ローマクラブが警鐘)、中国崩壊など・・・。

しかし様々な民族が故郷を捨て大移動し、時には戦い、遂には姿を消してしまったことは限りなくあった。
その切っ掛けの多くは乾燥や寒冷化などの気候変動によるものでした。
例えば紀元前2千年紀の気候変動が、ナイル川の水位低下と西アジアの難民を生み、エジプト王国の衰退とユダヤ王国の誕生に繋がった。

また自ら環境を破壊し、衰退した文明もあった。
例えば古代ギリシャ人の入植地(港湾)やイースター島の放棄は、河川上流や島全体の森林破壊が原因でした。

現在はこれが巨大化している。
例えばチェルノブイリや福島などの原発事故です。
危機を脱することは出来たが、フロンガスによるオゾン層破壊もありました。

こうして振り返ると、あることが見えて来る。

生物や人類の進化は、地球の大規模な気候変動(多くは寒冷化)が切っ掛けでした。
やがて人類が地球を覆うようになると、気候変動は多くの民族や文明の盛衰の切っ掛けになりました。
しかし遂には、人類が自ら地球の自然(システム)を破壊し、行き場を失う可能性が高まって来ました。


次回に続きます。




20191205

中国の外縁を一周して 9: 廈門から北京へ


*1


今回は、最後の廈門と北京の初日です。
廈門の暮らしと北京の夜、
そして廈門と北京の両空港でのトラブルを紹介します。




< 2. 宿泊した部屋 >
上: ホテルの部屋から見た朝焼け。

下: 杏林湾大酒店の一室。





< 3. ある億ションの一室から >

高速エレベータ―に乗って、最上階近くの一戸を訪れました。
窓からの眺めは絶景です。
この一戸は、一億近い評価額らしい。
ここには数多くの部屋があり、立派な家具調度品で埋まっていました。
退職した夫婦一組が住んでいます。
毎日、ここで孫一人を預かり微笑ましい時を過ごされており、部屋はおもちゃで一杯でした。

このような暮らしをしている人は私の周辺にはいない。

このご主人は大企業を10年以上前に退職し、このマンションを買ったようです。
大企業であれば年金は多いし、購入時、銀行から多額の借金が可能だろう。さらに退職前に企業から住居を安く支給され、多額の売買益を得ることも出来ただろう(かつて公務員の特権だった)。
それに加え、購入後に不動産が急騰しているのだからラッキーです。

このことが、代々都会暮らしで大企業にいた人と、地方から来てその日暮らしをする人の間に、ここ20年ほどで大きな格差を生んでいる。

実は、この眼下の干潟はやがて消えるそうです。
政府が近い将来、全部砂浜に変えるからです。
中国ならやるでしょうね・・・



< 4. 厦门高崎国际机场 >

ここで最初の洗礼を受けました。
それは国内線に乗るために税関で手荷物検査を受けている時でした。

突然、女性係官が私にいぶかしげにまくしたて、ストップをかけました。
まったく中国語が分からないのですが、状況からして北京へ何しに行くのかを尋ねているようでした。

そこで、私の中国旅行の15日間の日程表を彼女に見せました。
すると彼女は、それを取り上げて何処かに消えてしまいました。
しばらくすると現れ、無表情でもう行けと私達夫婦に促した。

事の経緯は分かりませんが、移民などを警戒していると感じました。

フリーの旅では、言葉が通じなくても、必ず自分でトラブルを処理しなけらばならない。
運か、経験か、機転か、他人の助けか、冷静さ、かが救いになり、北欧でも無事に旅行を終えた。

これも旅の醍醐味と言えるかもしれません。




< 5. 北京首都国際空港にて >

私達は廈門航空を使ったので、北京首都国際空港の第2ターミナルに着きました。
上記写真は参考に借用したもので、他のターミナルのものでしょう。

ここで簡単に、第2ターミナルから北京中心部に行く方法について触れておきます。

リムジンバス(机场大巴・・・线)、エアポートエクスプレス(机场线)とタクシーがあります。
リムジンバスは何種類もあり、タクシー乗り場のレーンの奥にあるようです。
リムジンバスで行っても、その後、ホテルまでタクシーや地下鉄に乗らなければならない(タクシーを拾えるかどうか不安)。
エアポートエクスプレスは階下にあり頻繁に出ているのですが、これまた他の交通機関の利用が必要です。

中国のタクシーは安いので使いたいが、長い待ち時間とトラブルに遭わないかが心配でした。

先ずはタクシー乗り場を見に行きました。
確かに写真のように長い行列はあるのですが、もの凄い数のタクシーが次々とやって来るので待ち時間は少なく、使うことにしました。

中国の幾つかの空港でタクシー乗り場を利用しましたが、すべてに差配する係員が一人はいるので安心です。




< 6. ホテルに向かうタクシーにて >
これらはすべて参考に借用した写真です。

ところが、ここでまた問題が発生しました。

私がタクシーの助手席に乗って、行先のホテル名と住所を書いたメモを見せました。
ところが、これが分からないのです。
この年配の運転手は近くにいた知り合いの運転手に聞いて、相手は大体の場所が分かるようなのですが、彼は分からない。

結局、この運転手は上の写真のようにスマホを操作して、やっと行き先を見つけて発進することが出来ました。
私も、自分のスマホでタクシーがホテルに向かっているのを横で、ずーっとチェックしていました。

結局は、無事着いたのですが、かなり時間がかかりました。
一つは、聞きしに勝る大渋滞がありました。
料金は妥当だったようです。

中国で乗ったタクシーはすべてスマホで音声ナビゲーションを使っていました。
おそらく百度マップなどでしょう。

どうやらスマホのアプリにホテル名を上手く入力出来ないようでした。
この問題は、北京だけでなく成都や蘭州などでも起きました。
最後には色々やり取りがあって何とか解決しました。

結局、私自身がスマホの百度を使えて、百度マップにホテル名を入力しておいて見せることが出来れば良かったかもしれない。




< 7. 王府井にて >

ホテルに着いてから、王府井へ夕食に行きました。
もう9時近かった。
小雨も少しあり、人はあまり多くは無いようでした。

ここで感心したのは高齢者の団体ツアー客です。
地方から来た観光客のようですが、夜にも関わらず、老人達が元気に買い物と食事へと走り回っていた。

私が入った食堂でも、彼らは賑やかでした。
本当に沢山の人が、旅行を楽しんでいました。


次回に続きます。




20191129

中国の外縁を一周して 8: 廈門を訪ねて 4




*1


今回は廈門の住宅事情と中国経済の実情を紹介します。


 
< 2. 廈門一等地の高層マンションにて >

上: これは廈門島の中心部にあるマンションの外観です。
このマンションが建つ一帯では、中の一戸が日本円で1億円を超えるものがある。
それもここ十年数年で値上がりしたようです。

下: この一室から、大きな湖に囲まれた美しい白鹭洲公园が眺望できる。
湖の向こうに廈門の高層ビル群が見える。
この一室で、ある経営者にインタビューすることが出来ました。


* 面白い経済の話が聞けました

彼の事業は、父親の代から続くブランド帽子の製造販売です。
父も彼も台湾出身ですが、30年ほど前から製造を中国で、主な輸出先は日本だそうです。
彼は営業事務所をここに定め、日本に行ったことはないが、日本語はペラペラでした。
気安く何にでも答えてくれた彼に感謝します。


幾つかポイントだけを紹介します。

A 偽ブランド問題 
彼の発言:
中国国内のネット通販で、この会社の偽物が出回ることがある。
大手ネット通販に訴えても、「個々の参加会社についてタッチしないし、個人情報なので・・・」との返答で、埒が明かない。
諦めているが、最近の傾向として、中国もブランド志向になって来たので助かっている。

B 製造拠点は中国で良いのか?
彼の発言:
コスト的にはベトナムなどが良いが・・・。
移転するなら20年前に決断すべきだった、今さら遅い。
しかし、中国は製造ネットワークが整って来たので、中国残留でもメリットが出せる。

C 店舗販売とネット販売
彼の発言:
我々は日本や店頭販売に重きを置いている。
ネット通販拡大を脅威とは思っていない。

私の感想
Aについては、予想通りで、あまり当局による規制が進んでいないように思う。
ただ他の場所で得た情報では、食品の安全性については規制が功を奏しているようです。

Bについては、製造ネットワークの向上が良い状況を生むだろうとは感じていたので理解できた。
しかし産業構造を二次産業から三次産業へ、高付加価値製品へと代えなけらばならい。

Cにつては、負け惜しみともとれた。
彼のグループの全製造員が減少傾向にあるので影響があるようだ。
但し、人数減については生産性向上が寄与しているのかもしれない。

やはり台湾企業は、直ぐ隣りにあり、気候と言語が同じ廈門を進出先に選び易いのだろう。




 
< 3. 廈門の裏町の安アパートにて >

今度は場所を代え、安アパートに訪れました。
ここは大きな道路に面した建物群(上の写真)から一歩裏に入った所にあるアパートです。
三階建てですが、一戸はそれぞれの階のそれぞれ一部屋に過ぎず、部屋にはトイレとシャワーがあるだけです(廈門では湯船を使わないのかも)。
部屋の広さは独身であれば狭くないが、台所はない。
給与の相場から考えると、家賃は重荷になるだろう。

やはり地方から来た人には、都市部の高騰する住居費は厳しい。



 
< 4. 厦门市图书总馆 >

上: 図書館の前から反対方向を見た。
ここは大きな文化広場で、文化館、博物館、科学館、ショッピングセンターなどが集約されている。

下: ここは廈門島の中心部にある図書館で、正面に入り口があります。
中に入りましたが写真は撮っていません。

一番の特徴は、広々としており、書架が低いこと、そして中央に大きなジャングルのような中庭があることです。
また読書・自習用の机が書架の横に数多く広がっていることで、オープンな感じがしました。

本の貸し出し手続きは、皆、読み取り器を使いセルフでやっているようで、合理化が進んでいた。



 
< 5. 夕食は海鮮料理 >

ここは島の北部、内海に面した厦门夏商国际水产交易中心に隣接する巨大な海鮮レストラン街の一つ兴旺海鲜城です。
ここで待望の海鮮料理を味わいました。

中に入って驚きました。
十数年前に入った2軒の海鮮料理レストランとはまったく趣と規模が違いました。
前回は、川に浮かぶ小さな船上の食堂と、外人向けの高級海鮮料理レストランでした。
前者の味は素朴で、後者は洗練された味でした。

どちらにしても、これほどの大量の生け簀を前にして、食材を選ぶとは凄いの一言です。
値札に16円/元を掛けたら日本の金額になり、これら食材を何種類か選んで、料理方法を伝え、2階のレストランで食べます。
2階レストランは広いにも関わらず、また水曜日の夜だと言うのにお客で一杯でした。
これらは中国の日常の食費からすれば高いのですが、よほど生活が豊かになったのでしょうか。

以前、韓国の市場で海鮮料理を食べたことがありました。
市場で食材を選んで、食堂で料理を頼むことをしましたが、規模が違います。


 
< 6. 店内とレストラン街 >

どのレストランも繁盛しているようでした。


次回に続きます。




20191105

中国の外縁を一周して 2: 目を見張る変化



< 1. 麗江の巨大な別荘街 >


今日は、中国旅行での驚きを語ります。
私は三十数年前から計8回中国を訪れているので,
幾つかの変化を感じ取ることが出来ました。


 
< 2. どこもかしこも建築ラッシュ >

上の写真は新幹線から見た西安付近で、多くが建築中で、その数がべらぼうに多い。
通常、中国の新幹線駅や空港は都市部から離れているので、これらの建物は交通の便が悪いはずです。
おそらく巨大な町ごと、または新たな交通機関を造ってしまうことで解決しているのでしょう。

下の写真は麗江から昆明までの新幹線で見た大理辺りで、こんな奥地にも規模は小さいが建築中が目立った。


 
< 3.廈門の億ション? >

これは高層マンションの一室から見下ろしたところです。
この持ち主によると一戸は1億円近いそうです。
廈門ではここ十数年ほどで不動産価格が十倍以上になった。


* 私の中国遍歴

1980年代後半に香港と広州を社内旅行で訪れました。
これが初めての中国訪問でした。
この時、広州の街を深夜まで歩き、人々の活気を肌で感じ、身震いしたものでした。
当時、台北よりかなり生活水準が遅れていましたが、遥かにエネルギッシュでした。
成長を確信したのが懐かしい。

その後、上海と北京に視察や社内旅行で訪れています。
次いで、廈門の友人を夫婦で尋ねて、廈門と客家土楼などを見学しました。

後に観光ツアーで西安・洛陽、桂林を訪れた。

そして今回のフリーの一周旅行です。


 
< 4. どこも観光客で一杯 >

上は、夜遅い北京の王府井。
多くの高齢者の団体観光客が通りを闊歩し、飲食店、土産物屋で楽しんでいた。
おそらく地方から来た人々でしょう。

下は、麗江の四方街。
ほんとに多くの観光客で賑わっていた。
団体客もいるが、フリーらしい少数のグループやカップルも多い。
欧米人は数えるほどで、ほとんどが中国人か、稀に隣国の東南アジアからの人でした。

 
< 5. 都市部の道路状況 >

上は北京で、下は蘭州です。
何処も車、車で一杯でした。


* 中国の印象

一言で言えば、大きく変化し続けていることに尽きます。

廈門を十数年ぶりに訪れましたが、町の様子は様変わりし、高層ビルが乱立していました。
中国各地のどんなに奥地に行っても高層住宅の建設ラッシュでした。

どの都市に行っても、普通乗用車がひしめき合い、渋滞が常態化している。昔のように自転車で交差点が埋め尽くされることはなく、せいぜい昆明でバイクが目立つぐらいです。

観光ツアーでは気付かない発見もありました。
路線バスなど様々な交通機関を利用していると、人々の親切やマナーの良さを知ることが出来ました。
当然、日本や先進国と違うところもあるが、どんどん向上しているように思える。

概ね、若い人ほど親切でマナーが良く、高齢になるほど傍若無人なようです。
これは北欧とは逆のようです。
経済発展がそうさせているのか、はたまた教育がそうさせているのか?
生活の余裕が生み出すものなのか?

お願いしたアンケートの回答や数人との会話、街行く人々の様子から、自信のようなものを感じた。
彼らは経済成長や生活の改善は政府だけの力ではなく、中華文明の秘める力によるものが大きく、だからこそ持続出来ると思っているようです。

暮らしの向上を様々な場面で感じることが出来た。
先ず、十数年前に比べると国内旅行者が大幅に増え、それに連れて海外旅行に行く人も増えている。
都市中心部の百貨店、専門店、大型スーパーの商品価格は日本に比べ安いとは言えないが、いつも大賑わいでした。
幾つかの都市で、飲食店の店員募集の給与を見ると月8~12万円ぐらいでした。
三十数年前は都市部で月5千円ほどでした。


私は概ね中国の経済成長が今後も続くと感じました。

日本で出版されている中国経済の本によると、バブルが弾ける要因が幾つも挙げられているが、それよりも開放政策(自由競争)による生産性向上(IT関連など)や旺盛な労働意欲が勝って良好な結果を生み出しているようです。
おそらく中央政府や地方自治体の都市開発(公共投資)が、現在の好循環を生んでいるのでしょう。
欧米の自由主義経済からみると不可解なのですが、税金に頼らない公共投資に鍵があるようです。


 
< 6.蘭州だけは中心部を外れるとバイクが多かった >


これから各地の状況を紹介しながら、中国の発展と変化、歴史、人々の生活などを見て行きます。


次回に続きます。




20191103

中国の外縁を一周して 1: はじめに




*1

これから中国旅行記を連載します。
中国外縁部の7都市をフリーで巡りました。
訪れたのは2019年10月15日から15日間です。


 
< 2. 旅行のルート >
赤線は飛行機、黒線は新幹線です。
訪問都市は1廈門、2北京、3開封、4蘭州、5成都、6麗江、7昆明で、この番号順に訪れました。

 
< 3.上が廈門、下が北京 >

 
< 4.成都の博物館と麗江古陳 >


*旅行の概要

新幹線、ホテル、現地ガイドの手配はすべて旅行会社を通さずインターネットで行いました。
各都市内の移動はタクシー、公共のバス、地下鉄を利用しました。
妻と二人で毎日、2万歩ほど歩いて観光しました。
費用は土産や保険も含めて一人23万円ほどでした。

 
< 5.開封の夜市と蘭州 >

 
< 6. 昆明の観光地と繫華街 >


*訪問地と旅行時期にについて

訪問地を簡単に説明します。

廈門: 台湾企業の進出が進み、華僑を頻出した経済発展が著しい大都市です。

北京: 発展する首都であり、多くの観光地や博物館がある。

開封: 商業と大衆文化が開花した宋時代の首都で、宋時代を再現したテーマパークがある。

蘭州: シルクロードの要衝で、黄河を挟んで漢民族と異民族が境界を争った。
そして回族(イスラム)が多く住んでおり、蘭州ラーメンが有名です。

成都: 紀元前に特色ある青銅器文化が興り、三国志時代には蜀の首都であり、現在は大都市です。

麗江: 5000mを越える峰々を這うように長江が流れ、紀元前よりチベットと中国との交流(茶葉街道)の要衝でした。
現在は、その街並みが世界遺産となっている。

昆明: 漢民族の勃興に伴って幾多の先住民族が南下し、麗江を含む雲南省などに住み着いた。
古くは未開の地と言われたが、現在は多くの少数民族が漢民族と共に暮らし、東南アジアに接する交易の拠点でもある。


私は今回の旅行で、中国の経済発展が本物か、経済発展が外縁部(蘭州、麗江、昆明)まで浸透しているのかを確認したかった。
また歴史的な興味から、中国文化に多大な影響を与えたシルクロードと茶葉街道、蜀と宋時代の首都にも訪れたかった。
さらに中国国内の波乱要因である少数民族の状況も知りたかった。

実際にルートを決めるには、15日間で効率よく回れるように新幹線網と航空便の組み合わせで決めました。



 
< 7. 麗江の玉龍雪山と昆明の公園にて >


 
< 8. 新幹線と駅構内 >


この時期を選んだのは私の仕事の都合もあるが、一番は中国のゴールデンウイーク(建国記念の10月1~7日)を避けるためでした。

私から見れば、北京や麗江などの観光地はどこも国内旅行客で満員でした。
そうは言っても閑散期に入るために、蘭州の炳霊寺(へいれいじ)石窟の交通手段がやり繰り出来ず行けなかった。
また甘粛省博物館が急遽数年ぶりの改修閉館となり、入館出来なかった。

一方で、蘭州や麗江などは紅葉の初期に当たり、また開封や麗江などの観光地は至る所、菊花で埋め尽くされていて綺麗でした。

成都だけは1日中雨に降られたが、他の都市の天候は概ね良好で、温かい廈門を除いて1日の気温は約10℃~20℃でした。


 
< 9.新幹線の車窓からの眺めと郷土料理 >

 
< 10. チベット仏教の寺 >


*この旅行記で示したいこと

・様々な中国の風景、観光地、都市部の喧騒、車窓からの風景を写真と共に紹介します。
訪問したのはガイドブックにある主要な観光地、市民が憩う公園、博物館、仏教と道教の寺院です。

・各都市の社会経済、歴史や人々の暮らしについて語ります。

・中国旅行のアドバイス、交通機関、ホテル、スマホの利用、現地ガイド、食事、土産について紹介します。

・旅行で出会った中国人やエピソード、感動と困惑も紹介します。


次回に続きます。





20191003

北欧3ヵ国を訪ねて 90: 最後に







*1

今日で北欧の旅行記を終えます。
最後の思いを記します。


 
*2



12日間の北欧旅行は発見、冒険、感動の素晴らしい日々でした。
春が訪れたばかりの北欧では、自然と人々が正に輝いていました。

北欧は閉塞感漂う日本とは別世界だが、だからと言って高層ビルが乱立し大発展を遂げているわけではない。
しかし心の豊かさが彼らの表情や態度から伝わって来る。

30年ぶりの訪問で北欧の新しい側面も見た。
自然に優しい自転車社会と、国境で人を峻別しない移民受け入れが進んでいた。

この旅行は私にとって、初めての海外一人旅でした。
英会話、旅行手配、現地の移動とトラブル対処もすべて自己責任でした。
緊張と歩き疲れはありましたが、かけがえのない旅となりました。


旅行のアドバイス

私の全旅費は28万円です。
私は中華航空を利用し、朝食以外の大半はコンビニで購入し、ホテル・航空券・鉄道・フェリーの手配は日本からインターネットで半年前から直接した(不安ではあったが、まったく問題は起きなかった)。

少し後悔しているのは、各首都のシテイパス購入です。
これは便利なのですが、多くの観光を詰め過ぎて、現地の人との交流のチャンスを逃してしまった。
交通パスは便利でお薦めです(シテイパスと一緒の首都もある)。

 
*3


皆さんにお願い

早いうちに北欧を訪れ、自分自身と幸福について見つめ直して欲しい。

日本人の多くは井の中の蛙で満足している。
当然、彼らは諸外国が如何に苦労して平和、幸福、豊かさを手に入れたかを知らない。
我々よりも遥かに心豊かに暮らしている国々が世界には多くある。

世界は多くの事を教えてくれる。
例えば、中国の秦帝国はそれまでの大量の奴隷の殉葬を俑(人形)に替えた。
続く漢帝国の初期、奴隷制は後退し、繁栄を始めた。
しかし漢帝国が亡国を迎える頃には、奴隷制は拡大していた。

また世界中に前世紀まで原始的な生活を続けていた先住民族を考えてみよう。
彼らの多くは1万年間も原初生活を続けていたのではない。
彼らは数百年前、他の部族との抗争から、僻地に活路を求めて移り住んだ人々です。
そして文明との接触を断って安全を得たが、失ったものも多かった。

これらの事例は、今の日本を暗示している。

日本はがむしゃらに働き一度は欧米に追いついたが、30年前から衰退を始めた。
目標とした米国は、今や金融とIT以外、国民にとって魅力的とは言えない(安全、福祉、格差で)。

今の日本は凋落の中で彷徨い、見果てぬ夢を負い続けている。


今後について

理想とすべき北欧を訪れた。
しかし、まだ二つの重要な国が残っている。

一つは、今後覇権を握るだろう隣国、中国です。
中国は既に最大のビジネスパートナーであり、異なる体制を持つ軍事大国で因縁もある。
今年、私は中国を一周旅行し、この目で発展、暮らし、歴史を確認して来ます。

その次は、最大の同盟国で覇権国でもある米国です。
現在、米国は内部で所得階層と人種で分裂し、もっとも格差が拡大し、軍事的な危険性も増している。
出来れば、3年以内に米国と幸福度の高いカナダを共に訪れたい。

これにより模範の国、急成長の隣国、反面教師の大国の三つを見終えることになる。
そして何かしらの日本の進むべき道が見えることを願っています。


永らく私の旅行記をお読み頂きありがとうございました。

これで終わります。

しばらくブログを休みます。


20191002

北欧3ヵ国を訪ねて 89: 北欧の旅を終えて 10 : 北欧の人々の声 3







< 1.平均的なスウェーデン人の顔 >


今回はスウェーデンの白人男性を紹介します。


 
*2


帰国時、彼はストックホルム空港で乗り継ぎの待合室で会った人です(私の帰国ルートとは別)。
これが最後のインタビューになった。
彼とも英語でやり取りし、英語のアンケートを見せて
英語で記入してもらった。


彼の回答を紹介します。

1. あなたの国で最も素晴らしいものは何だと思いますか?

答え: People, Sweden is very clean.(訳: 人々と綺麗な国 )

2. 現在、あなたの国や生活で不安や不満はありますか?

答え: Politicians, creating problems
( 訳: 政治家達、問題が多い)

3. 何があなたの国を良くしていると思いますか?

答え: Improvement of Swedish system: it was much better before.
( 訳: スウェーデン社会の改革力、昔の方が良かった)

4. 日本について知っていること、または感じていることはありますか?

答え: Orderly, beautiful, friendly people, great food, Sake, and Japanese Beer.
( 訳: 秩序正しい、美しい、親切な人々、素晴らしい食べ物、酒とビール)

5. 大半の日本人は北欧について無知で、暗いイメージを持っています。
何にか一声お願いします。

答え: very high tax, less entertainment 
( 訳: 重税、娯楽がない)


 
*3


解説と感想

彼は白人の40歳代のスウェーデン人です。
彼はおそらくビジネスマンで、空港で待ち時間を過ごしていた。

彼が指摘するように、北欧は国民(経済界と労働界、政治家と国民)が一体になって改革を続けることが出来る。

世界で初めて高度な福祉政策を取り入れたが、高齢福祉で老人の孤独や財政負担が問題になると、大胆な修正を行った。
初期は自宅から離れた新設の老人ホームが目玉であったが、現在は子供達が住んでいる街で老人が自立出来るようにコミュニティ全体で支援するシステムに変更した。
(これが日本の介護システムの原型になった)
今でも男子の育児休暇取得の奨励と期間延長で北欧三ヵ国は試行錯誤を続けている。

また世界の金融資本主義の荒海にもまれながら、自国の格差拡大を抑制し、且つ競争力向上を図り、経済成長を続けている。
これは経済界と労働界が共に、成長産業への移行と経済システムの刷新を行っているから出来ることです。

教育は、学校教育方針の素晴らしさだけでなく転職時の教育も充実している。
また個人でも生涯教育やスキルアップに熱心です(日本は先進国最下位か)。

まさに北欧の発展は高い政治意識とチャレンジ精神のある国民の賜物と言える。

彼の指摘から、スウェーデンの苦悩が伺える。
1991年以降、経済(金融)重視か福祉優先かで幾たびか政権が交代しており、経済成長の鈍化と格差の拡大が進んでいる。
スウェーデンは他の北欧ほど経済は良くない。

彼は5番の回答で、私が例として書いたおいた「重税と娯楽がない」をそのまま書いている。
私は彼が自国の状況を批判的に見ているのか確認していなかった。

彼の言動から察するに、日本に来たことがあるか、日本に非常に好感を持ってる。

ストックホルムでも最近、ナイトスポットが出来ているようだが、依然として日本の歓楽街とは比べようもないはずです。
日本の赤ちょうちんや夜の街などは男性天国です。
これを知れば、北欧の男性と言えども・・・・

やはり重税を避け、お金を自由に使い、男性優位に暮らせることを望むのかと思ったりもする。


北欧を旅行して、北欧人の日本へのイメージの良さは格別で、気分が良かった。


次回に続きます。