*1
これまで、世界が1980年代に道を誤った事、
お粗末な日本政府がさらに悪化させて来た事を見ました。
この先世界がどうなるかを考えます。
* 80年代に始まった転換策は次の四つに尽きる
A. 労働者の賃金を下げる
B. 市場を自由競争に任せる(放任)
C. 通貨発行減でインフレを終わらせる
D. グローバル化を進める
上記の政策で功を奏したのは、Ⅽのインフレを撃退した事、Dの世界貿易額が増大したことです。
AとBについては、フランス、ドイツと北欧などは抑制気味か別の道を選んだが、グローバル化には勝てず、苦戦を強いられている(スウェーデン)。
他の先進国ではAはほぼ完璧に、Bは恣意的に実施している。
* やがて災厄が先進国を覆うようになった
E. 経済成長率が低下した
F. 国内の格差が拡大した
G. 累積財政赤字が増大した
H. 金融危機が繰り返し巨大化した
I. 多国籍企業や巨大資本が世界を翻弄している
J. 莫大な資金を持つ超富裕者層が、国や世界を動かしつつある
これらは80年代の経済政策の帰結ですが、他にも深刻になりつつある問題があります。
K. 世界各地で紛争が絶えず、難民が増大し、人種や民族間の差別・分断が深まり、地球温暖化が厳しさを増し、地球資源の枯渇が迫っている。
ここで疑念を持つ人もいるでしょう。
世界は良くなっているはずだと!(特に金融業界で生きる人)
結論から言えば、発展途上国は概ね経済を向上させ、生活水準や衛生状態、政治も良くなっている。
だが世界的な危機が起これば、ひとたまりもない。
< 2. 1988〜2008年間での実質所得の伸び >
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r01/html/nd122130.html
このグラフから広範囲に発展途上国の所得が向上している一方で、先進国内で所得格差が拡大したことがわかる。
一つの誤解は「ファクトフルネス」です。
この本は、世界や社会を悲観的に見過ぎていることに警鐘を鳴らし、現実のデーターを見せて、その誤りを指摘しています。
この本は重要で、発展途上国自身の努力と相俟って、グローバル化に伴う経済発展と、人々が世界に関心を高めた結果として国際機関の援助や監視が功を奏したことを読者は実感できるでしょう。
指摘していることは正しいのですが、残念ながら一部しか見ていません。
著者は、「国境なき医師団」等の医師として世界の発展途上国を巡り活躍されていたので、関心が発展途上国に限定されており、地球規模の将来への視点(危険予知)が乏しい。
従って、現在起きているパンデミックや地球温暖化の影響、先進国内の分断や民族対立、経済問題については完全に欠落しています。
(著者に悪意はないが、政府に忖度し政府の悪い情報を隠蔽している日本のマスコミと一緒になってしまった)
思い出して欲しい、19世紀末から世界が巨大な侵略と戦争に巻き込まれたが、これを始めたのは当時の大国でした。
つまり、今、軋み始めている先進国こそが危機の元凶になる可能性がある。
残念ながら、この本はこの視点が欠如している。
* それでは将来どうなるのか?
前述のE〜J項がより悪化し、最悪の事態の引き金になるでしょう。
L. 経済成長しても、大多数の国民の所得は下落する。
M. 格差が昂進し分断が進み、超富裕層(資金)は国境を越える。
N. いずれかの国が財政破綻かハイパーインフレを起こし、世界に伝播するだろう。(以前は、国民を困窮させる超緊縮財政、経済を破壊するハイパーインフレを起こす財政破綻が起こると言われていたが、MMT理論は条件付きでこれを否定している。しかし一ヵ国でも起きると・・・)
O. 金融危機が巨大化し、最後には経済が破綻し、大戦の引き金になるかもしれない(歴史は繰り返す)。
P. 巨大化する資金が世界を混乱させ、益々一部の人々が政治・経済を牛耳ることになるだろう。
*3
* 実は、問題はこれからです。
上記のL〜P項が進むと、前述のK項(地球温暖化、地球資源枯渇など)との関連で世界は一気に破局へと向かうでしょう。
その最大の理由は国内の分断と多国間の対立が激しくなるからです。
経済破壊と格差拡大、民族差別感情の高まりは、ヒトラーやトランプのように国民の暴発を誘発するでしょう。
さらに、一部の超富裕層に政治と経済を握られると政治は国民から奪われてしまう。
そうなると世界的な危機である、パンデミック、地球温暖化(炭素税施行など)、資源戦争への協同対処が困難になる。
またグローバル化した自由主義経済の問題点(タックスヘイブンへの課税、国を越えた金融課税、各国の法人税減税と賃金削減競争など)を解決するには世界が一致して協力することが必要なのですが、不可能になるでしょう。
こうなると、行き着く先は地獄でしかない。
次回に続きます。
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