20210416

没落を食い止める! 35: 何が間違っているのか 2: 夢の自由市場はあるのか?


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今回は、自由市場は本当に素晴らしいのか、

それとも欠陥があるのかを見ます。




* 完全な自由市場は最高!!


これは新自由主義者らの一番の想いでした。

(おそらくは受け狙いのキャッチコピー)


実はこれで成功しているのは中国と言えそうです、しかも共産主義国で唯一経済発展を成功させたのですから、「市場経済」を採用して。

もっともこれは完全な自由市場とは言えず、集中的な解放(規制無し)と計画的な投資を、政府が強権的に行ったから出来ました。

(しかし大なり小なり各国の政策はこんなものです)


一方、新自由主義国や世界の現状を見ると、経済停滞(デフレ)、格差拡大、頻発する金融危機が定着している。

つまり、一番の根本である自由市場が失敗したからです。

ところがこのような時、必ずある言い訳が発せられる、

「まだ完全な自由市場ではないからだ」と。


これ以上、でたらめな規制緩和をやられたら日本と世界は没落を早めるので、「自由市場」への勘違いを説明します。


「自由市場とは、政府が介入せず、規制が無く、まったく好き放題に物を造り、売れば良い」と言うことです(学者によって多少異なるが)。

商人や製造者が自由に競争し続けると、やがて淘汰され良いものだけが残ると考えるようです。

確かに競争が進むほど、同じ物が安くなったり、発明や工夫が活発化するように思えます。

(この単純さは「共産主義では、労働の価値は勤務時間で評価」に似ている)


しかし悪い事も同様に蔓延ります。

不良や不正が分かり難い場合は淘汰されない。


例えば、製造時公害を発生している商品でも安くて良ければ、遠く離れた購入者は知らずに買い続けるが、これは社会にとってマイナスです。

従業員を酷使して安くしている場合や害をもたらす薬物混入も同様です。

誇大広告から情報のギャップに起因する不公正や社会にとってマイナスの種は尽きません。

社会に悪影響を及ぼす経済行為には規制が不可欠です。

社会(政府)が良し悪しを判断し、経済活動の自由を制限する必要があるのは当然です(これは地球温暖化防止にも通じます)。

実は、日本では江戸時代より林業、漁業、商売で様々な規制を設けて、特に資源保護で優れた結果を残しているのです。


最大の問題は、特定の商品が市場を独占し、遂には独占企業が価格や機能の決定権を握ってしまうことです(ソフトやサービスでも)。

こうなるとその後、消費者にとって最良とは言えなくなる。

今、マイクロソフトやGAFAへの独禁法適用で世界は苦労している。


しかしこれだけではない。

規制緩和と謳っておきながら実際は数多くの参入障壁があり、これが自由競争を阻害し、市場での寡占、腐敗、停滞を生み出しています(日本停滞の大きな理由の一つ)。


見え難いのですが日本で足枷になっているのが中央官庁による指導です。

例えば、ある企業がスマホ決済の新システムで起業したいと考えた。

そこで認可を得るために中央官庁に行くことになったが、官僚が銀行業を圧迫するとして拒否したことがありました(理由は言わないが)。

この頃、中国はトップの指示で国営の銀行が圧迫されると知りながら、大々的にスマホ決済を解放した。

これにより銀嶺カードは廃れ、アリペイが隆盛することになった。


法で規制していなくても、国民を代表する議員が大勢いても、こんな間の抜けた事が日常的に起きています。

(もっとも、一部の剛の物、ヤマト運輸創業者などは日参し勝ち取りましたが)


なぜこのようなことが起きるのか?

一つは官僚が天下り先の業界を守ろうとするからです。

今一つは、与党議員が支援を受けている業界を保護する為に、官僚に口利きをするからです(加計・森友・アキタフーズ事件など・・・)。

(支援とは、組織的な選挙応援、パーティー券購入、政治献金、賄賂・・・)

官僚は、法案成立の前段階で与党(自民党)の何々部会の了承を得る必要がある為に、何々族議員に弱みがある。

これ以外にも、政府や与党議員に近いと大型プロジェクトへの参入で、補助金やタダ同然の土地入手など様々な利点があります。

これが政商を育て、与党議員も潤って行きます(かつてのリクルート、今の電通、パソナ・・・)


これらは単なる腐敗で終わる話ではなく、政治(議員と官僚)が自ら自由市場を大きく歪めており、市場に出回るものや残っているものが国民にとって最良になるわけではない事を示している。


結局、資金量、情報量、政治家との癒着度などありとあらゆる事柄が参入障壁となり、競争を歪めています。

つまり完璧な自由市場は存在出来ず、特に腐敗している政治の下では、性能・品質・価格が最良になるような理想的な自由市場など存在しないのです。



* まとめ


逆に規制をなくして放置すれば、自由市場は不完全になります(既に見て来ました)。

したがって、むしろ自由競争を阻害しないよう、また不正や悪化を防止する為にも規制が必要なのです。

だからと言って、今までの自民党のように、献金や選挙支援の返礼に業界の為の規制(優遇)を行うのは本末転倒です。


結局、難しいのですが、大胆に経済活性化を目指した規制緩和を行いながら、社会の安全保障と自由競争を阻害する規制は行うべきなのです(独禁法、公害防止など)。

それには腐敗している政治を一掃することも不可欠ですが。



次回に続きます。





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