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20140526

人類の歩みと憲法 17: 目次と要約


本連載1~16の目次と要約、参考文献を載せます。
この連載で、日本と憲法のあり方を多角的に見ました。


目次と要約
     日本の国民に迫っている大きな変化と背景にあるものを見ます。
キーワード: 憲法改正、解釈変更、愛国心、政治不信、暴走、歴史認識

     人類が法をどのように生みだして来たのか、要点を見ます。
キーワード: 進歩、戒律、法典、市民の法

     世界の憲法制定の歴史と日本の憲法の特徴を要約。
キーワード: 大日本帝国憲法、日本国憲法、権利の章典、合衆国憲法、国連憲章


     法から憲法が生まれ、憲法が最高法規として国の要になる過程を見ます。
キーワード: 人権宣言、民主制、主権在民、人間の権利、正義

     正義や法、人権などの法思想が西欧で如何に生まれたかを要約し、日本と比較した。
キーワード: キリスト教、ルネサンス、都市市民、宗教改革、一揆

     なぜ憲法は国家権力の濫用防止を目指したのか、ヒトラーの独裁を例に見ます。
キーワード: 大統領、ナチ党、戒厳令、全権委任法、第二次世界大戦

     憲法に盛り込まれた政治制度、権力の分立と抑制を担う三権分立とは何かを見ます。
キーワード: 行政、立法、司法、違憲審査、選挙制度


     現状の政治制度の問題を見ます。
キーワード: 違憲審査、最高裁判所、行政の巨大化・専門化、情報の隠蔽

     9話から15話まで戦争防止を見ます。ここでは戦争の常識を検討します。
キーワード: 軍備増強、集団安保、中立、同盟、抑止力、日米同盟

     戦争が始まる理由を要約し、首相の発言を検討します。
キーワード: 脅威、政争の具、愛国心、憎悪、自衛、日中戦争、PKO

     戦争を終わらせた素晴らしき人々とその方法を紹介します。
キーワード: 国境紛争、IRA(宗教対立)、アパルトヘイト(人種差別)、独立


     主に欧米が先導し、世界が協力し、憲法や国際条約に戦争防止策を謳った。この経緯を要約します。
キーワード: ヴェストファーレン条約、十四箇条の平和原則、国際連合憲章、各国憲法

     国連の機能不全と銃による自衛を検討し、戦争や紛争を防げない理由を示します。
キーワード: 国連常任理事国、拒否権、集団的自衛権、銃犯罪、自衛、CIA

     軍事同盟の善し悪し、最良の方法とは何かを、世界史を参考に見ます。
キーワード: 米国、国連、核兵器、核拡散、抑止力、EUストラスブール、対馬


     戦争を生む恐怖心や憎悪、愛国心、またそれを抑制してきた人類の智恵を見ます。
キーワード: ヒトラー、軍事大国、憎悪、敗戦、コソボ、抑止論、愛着心、共感、聖書、多民族国家、海外交流

     日本が今進むべき方向を提案し、憲法と同盟のあり方を紹介します。
キーワード: 憲法解釈変更、憲法改正、同盟、国連改革、9条、米国追従、歴史認識


長い間、拝読戴きありがとうございました。
ご意見や質問、批判をどしどし記入をお願いします。

主な参考文献
     法関係 :「世界史の中の憲法」浦部法穂著、「基礎法学」榎原猛編、「世界憲法集」宮沢俊善遍、「憲法学教室」浦部法穂著
     思想関係 :「要説・世界の法思想」千葉正士著、「法思想史講義 上・下」笹倉秀夫著、「図解世界の哲学・思想」小須田健著
     戦争関係 :「ナチズム」村瀬興雄著、「独裁者ヒトラーの全貌」荒地出版社刊、「よくわかる世界の紛争」毎日新聞社外信部編、「知られざるベトナム戦争 CIA謀略作戦」テ・ナム著、「我々はなぜ戦争をしたのか」東大作著、「安全保障学入門」防衛大学校編
     心理関係 :「社会心理学キーワード」山岸俊男編、「文化心理学 上・下」増田・山岸共著
     歴史関係 :「戦争の日本近現代史」加藤陽子、「世界の歴史 全10巻」創元社刊、「世界の歴史 全30巻」中央公論社刊、「早わかり日本史」河合敦著、「早わかり世界史」宮崎正勝著、「戦後史の正体」孫崎
     全般 : ウィキペディア、世界大百科事典、マイペディア











20140524

人類の歩みと憲法 16: 進むべき道、危険な道





< 1. ミサイル発射 >

この連載は今日で終わります。最後までお読み戴きありがとうございました。
まとめとして、私が考える最善策を紹介します。




< 2. 日独伊による三国同盟 >

今こそ、皆さんの慧眼が望まれます
戦端が開かれれば、数十万から数百万の犠牲は出ます。
一度、戦争が起きれば途方もない苦難が降りかかり、終戦後、社会はすさみ、その修復には年月がかかります。
犯罪集団やテロ活動の犠牲とは桁違いです。
確実に起きる大災害すら気に留めない人が、他者への恐怖には非常に敏感です。
為政者がテロ集団に拘束されている海外邦人を救えないので悔しいと言うと、我々はその気になり、軍隊派遣を了解しそうです。
しかし一呼吸おいて、銃社会を思い出して下さい。
海外で救助や支援を拒む国はまずいないでしょう。
むしろ戦争が始まると、如何に兵士や国民が見殺しになるかは明らかです。
かつて、海外の邦人を自己責任と言い放ち、救援しなかったこともありました。

残念ながら紛争や戦争はいずれ起きるかもしれません。
大事なことは戦争被害を小さく発生頻度を少なくする、広域的・長期的な視野が必要です。
極度に戦うことを恐れ安易な道に進むことは、むしろ危険を深めることになるでしょう。




< 3. 国防軍 >

今やるべき事
1.憲法の解釈変更は行わない : 法理論の常識として許されません。これが可能なら、権力の濫用防止が目的の憲法は無意味です。ヒトラーの独裁を思い出して下さい(この連載のNo.6に概要)。

2.与党案の憲法変更は行わない : 現憲法は世界的にみて最新部と古い部分が混在していますが、与党案では先進国中、人権などでさらに時代遅れに向かうでしょう。さらに軍事では派兵が容易で、軍権が強化された一昔前に戻るでしょう。

3.同盟(集団安保)は隣国を優先し、並行して国連改革を進める : 憲法9条維持により世界と周辺国を安心させる。米国には同盟の現状維持を了解してもらい、漸次、従属を脱する。

4.9条や違憲審査制度、国民の知る権利などについて憲法改正を行う : No.3の進展に応じて行う。国連を強化し、国連主導の軍事的強制措置が適切に行われるようにし、これへの派兵は行う。一部の大国に追従した派兵では無い。



< 4. 外交官が書いた日米関係の裏側 >

しかし、これには大きな障壁が立ちはだかります。
一番は、米国が許さないでしょう。
過去、米国の意に反して、隣国への自主外交を目指した首相はすべて短命に終わりました。
裏で何が起きているかは「戦後史の正体」孫崎享著に詳しい。

今一つは、現状の曖昧な歴史認識や恐怖心の払拭には時間がかかるでしょう。
しかし手が無いわけではありません。
1992年、ヨーロッパでは欧州共通教科書「ヨーロッパの歴史」が発行されました。
これは各国12名の歴史家が討議を重ね4年をかけて共同執筆されたものです。
想像して下さい、敵味方に別れて数千万の死者が出た戦争を一つのストーリとして書ける素晴らしさを・・・
日本でも過去に一部で試みられたが、再度取り組むべきです。




< 5. 統一見解のもとに書かれた歴史教科書 >

最後に
日本は侵攻した国であり、豊かで民主主義の先輩国なのですから、日本が範を示すべきです。
ドイツはそれを行いました。

女性の皆さんにお願い。
女性が立ち上がれば、社会はもっと安全で平和になります。
歴史は、女性の活躍や政治参加がより平和になることを示しています。
世界で原発推進国の多くは女性の地位が低い国です、一度チェックして下さい。




< 6. EUのマークと参加国 >

少なくとも、私の提案と真逆の選択は禍根を残すことになるでしょう。














20140523

人類の歩みと憲法 15: 最後の難関

映画の恐怖シーン 

< 1. 映画の恐怖シーン >

戦争を減らす為には、最も困難な問題をクリアしなければなりません。


硫黄島記念碑、米国の星条旗 

< 2. 硫黄島記念碑、米国の星条旗 >

最大の難関、それは恐怖心と愛国心です。
ヒトラーが独裁者に成れたのは、国民の不安と恐怖心に応える形で、極悪非道な敵を指し示し、それを愛国心と圧倒的な軍事力で屈服させ、民族の栄光を取り戻すことを約束したからです。
日本が軍事大国を目指したのは、最初は強大な敵国への恐怖心からで、大陸進出の大きな理由は、防衛策として橋頭堡を造るのが目的でした。
やがて大陸との間に摩擦が生じる度に、互いに愛国心が沸騰し、為政者、知識人、報道もそれを煽るようになった。
それが明治維新から太平洋戦争敗戦への道筋でした。
戦争開始の多くは為政者(軍部)の意向であって、当初は大多数の国民にとって隣国は、敵でも何でもなかった、むしろ個々には友人でもありました。
そのような例はコソボや多くの内戦の国で見られます。
いざ戦端が開かれると、やがて人々は愛国心と復讐心に燃え、国や民族、宗教毎に一丸となって邁進した。

なぜ抑止論に信憑性が無いのか、それは恐怖心と敵意によって合理的な判断が出来なくなるからです(合理的な判断が抑止効果を生む)。


ライオンの闘争

< 3. ライオンの闘争 >

その心理の正体は・・・
皆さんは人間が戦争を望む動物だと思いますか?
動物は進化するほど縄張りを作り闘争するようになりました。
多くは擬闘と呼ばれる、優劣が決まれば弱者が去り、殺さない闘い方です。
しかしチンパンジーと人間だけは、部外者と見なせば団結して相手を全滅させることがあります。
そこでは異常なほどの恐怖心と憎悪が支配しています。
この残忍さと裏腹なのが、身内への強い愛着心と共感で、これは強力な団結力を生みます。
人類はこの相反する習性を強く持っている。


チンパンジーが共同で威嚇

< 4. チンパンジーが共同で威嚇 >

それでは戦争が無くならないのでは・・・
幸い人間は、本能的な他者への恐怖心や敵意を自制することを会得した。
その初期の一例が聖書の「善きサマリア人のたとえ」です。
イエスは、ユダヤ人に嫌われていた隣人(イスラエルの血をひく異教徒サマリア人)をも愛すべきとした。
これが民族の垣根を越え世界へ共感を広げる手助けをした。
仏教や墨家、イスラム教にも狭い愛からより大きな隣人愛を目指す姿勢がある。
これには当時の遠方交易の発展が寄与しました。


爆弾三勇士の像、グリコの景品 

< 5. 爆弾三勇士の像、グリコの景品 >

愛国心とは・・・・
社会への愛着心は人間の本源的な感情で、美しく清廉さを感じさせます。
しかし愛国心は、往々にして敵意を増大させ災いをもたらします。

愛国心は、属する社会によって愛着心(帰属意識)がより強化されたものです。
例えば、人々は忠臣蔵や爆弾三勇士などに涙し共鳴し、語り継ぎ、文化として定着します。為政者は概ね愛国心を煽り強化します、国内がまとまり都合が良いからです。
一方、愛国心で一体になる社会規模は時代共に変化しています。
それはより大きな領域を包み、異なる民族や言語集団も吸収していきます。
身近な中国、ベトナム、タイ国内にはそれぞれ30近い民族が同居しています。
欧米もしかりです。
4万年前から1千5百年前までは、日本も多くの民族が流入していたのです。
九州やその離島、沖縄などの人にとって海外交流や移住はごく自然だったのです。


能面の般若、嫉妬と恨みの表情 

< 6. 能面の般若、嫉妬と恨みの表情 >

私達は、敵意を招く恐怖心や愛国心を乗り越えることが出来るはずです。

次回は、如何に進むべきか、私の提案をまとめます。














20140522

人類の歩みと憲法 14: 良い同盟と悪い同盟


アフガニスタン戦争

< 1. アフガニスタン戦争 >



戦争防止の方策は複合的であり、時代と共に変わるでしょう。
しかし日本の選択で、今、重要な事は同盟のあり方です。

悪い同盟と良い同盟
既に、同盟が戦争を防止出来ないことは見てきました。
例えば、米国と同盟した日本がアジア側と戦闘状態に突入したらどうなるでしょうか?
核戦争をしないが勝敗の決着がつかず、日本は戦場になり続ける可能性が大です。
また憲法を変え、今以上に米国と軍事的に一体になれば、軍事超大国の戦略に振り回されることになる。
それはベトナム、イラク、アフガンの戦争を振り返れば自明です。
米国は重要な友好国であるべきです、節度ある関係に戻すことが大事です。

ストラスブール 

< 2. ストラスブール >

ストラスブール包囲戦、1870年

< 3. ストラスブール包囲戦、1870年 >

将来を見据え、取り組むべき同盟があります
現在、国連では事が決まらず、少数の大国が恣意的に軍事的制裁(戦争)を行っています。
かつて感謝すべきこともあったが、最近はミスリードが多い。
結論は、国連加盟国の193ヵ国が大国の身勝手を抑制することです。
それが憲法の歴史でした。
その為には、中堅国以下が団結しなければなりません、これが一つの道です。
日本は経済第3位、国連負担額も2位、非核保有国で最適な推進役です。
核拡散が進むと世界はやがて銃社会の二の舞になります(抑止力が効きません)。
EUやカナダは米国と友好国ではあるが従属していません、発展途上国も含めて皆、発言力を高めて来ました。

対馬の祭り

< 4. 対馬の祭り >

蒙古襲来 

< 5. 蒙古襲来 >

戦争を生みださない同盟
今一つは、争った国、隣接する国同士(韓国、中国)から同盟を始めるべきです。
そんな馬鹿なことと思われるかもしれませんが、歴史と事実が証明しています。
第一次世界大戦後、独仏は恨みを倍加させた結果、第二次世界大戦を始めた。
そこで独仏は、一転、争いの根(憎しみ、資源など)に向き合い、宥和の道を選んだ。
それが現在のEUの始まりです。
その象徴がドイツとフランスの国境にあるストラスブールです。
ライン川に面したこの都市は幾度も両国の戦場となり、その支配国も頻繁に入れ替わった。
現在、悲劇を乗り越え両民族が共に平和に暮らしています。

日本では無理だと思われるかもしれない。
しかし実は、日本にも同様の歴史を乗り越えた所があるのです。
それは韓国と九州の間にある対馬です。
ここは古くから、両国の間で最前線基地の役割を果たし、戦乱に巻き込まれて来た。
時には民族の移動や混合もあった。

次回は、戦争を招く最後の難問と、日本の選択についてまとめます。
この連載は、次回で終了予定です。




20140521

人類の歩みと憲法 13: 戦争を防げない理由

銃こそ正義! 

< 1. 銃こそ正義! >


幾つかの問題点を挙げます。


国連安保理常任理事国

< 2. 国連安保理常任理事国 >

国連がうまく機能しない理由
せっかく作った条約に抜け道や都合の良い解釈が横行するからです。

例えば、国連常任理事国の拒否権により、憲章43条の軍事的強制措置がほとんど有名無実となっています。
これでは、各国は軍備と自衛に向かうのを制止出来ない。
設立当初、機能不全に陥る拒否権を中小国が制限しようとしたが、大国優先、ソ連を繋ぎ止める為に妥協したのです。

また憲章51条に集団的自衛権が盛り込まれたのは、共同防衛の連邦制をとる米国に妥協したものでした。
古代ギリシャから中国、日本、この両大戦まで、あらゆる戦史を振り返ると、同盟(集団的自衛権)は戦争勃発を招き拡大させる危険なものでした。
このようにして、大国に配慮した妥協が後々まで災いとなっているのです。
しかし最近、国連総会の多数意見が取り入れられ、状況に変化の兆しが見えているようにも思えます。


銃社会 

< 3. 銃社会 >

自衛がもたらす罠
自衛と同盟は人類普遍の行為と思われていますが、考え直す必要があります。
同盟については次回、考察します。

例えば、近所で殺人事件が発生し、あなたが自衛の為に銃や刀剣を所持したとしましょう。
その結果、より安全になったでしょうか。
答えは簡単です。
年間の銃による殺人事件は、日本では約10件ですが、米国で約1万件、他の犯罪事件、銃の自殺や死者はもっと増えます。
安全と感じられるのはほんの一時で、周囲に武器携帯が普及すると、治安は一挙に悪化していきます。
実は、抑止を期待したのに、幻想だったのと似ています。


戦国時代 

< 4. 戦国時代 >

日本の戦国時代は、現在の県単位ぐらいで内戦を繰り返していました。
ところが江戸時代になると、内戦や紛争は劇的に減りました。
個々に武器所持を許すことは安全を脅かし、これは国家間も同様です。

自衛は当然の権利だと思われるかもしれませんが、人権(平和や自由)を確保することが重要であって、そのために国に統治権(警察、軍隊など)を与えているのです。
そのような例として公共事業や社会保障があります。
それをより大きな社会や国家に委託することにより、各人で行うより効率良く、安心出来るものになるからです。


銃乱射事件で逃げる人々

< 5. 銃乱射事件で逃げる人々 >

もう一つの落とし穴は、自衛と攻撃の境界が判然としないことです。
情報が隠蔽されている場合は特に危険です(虚構の正当防衛など)。
例えば、元CIA長官はその著書で「国家は自国を守る為の武力行使を許されている。そこまでいかない裏工作は当然許される。」と書いています。
大国(CIAなど)は世界中で秘密裏に多くの政府転覆劇(暗殺、騒乱幇助、世論操作)を行って来ました。

私達の近所で起こる自衛(正当防衛)の事件は裁判で適切な判決を下し、抑制が可能です。
しかし国家間では、ウィキリースクが暴くような機密が横行し、互いに海外の情報を入手し難く、マスコミや公共放送まで管理され始めたら、国民には自衛と攻撃の境は不明瞭にならざるを得ません。

次回は、同盟のあり方と日本がとるべき道について考えます。















20140520

人類の歩みと憲法 11: 戦争を終わらせる人


< 1. 原爆 >

前回は、戦争が始まる経緯を見ました。
今回は、戦争を終わらせる人を見ます。

今次大戦後のベルリン

< 2. 今次大戦後のベルリン >

戦争を始める人、終わらせる人
国益を守る為と称して戦争準備や戦端を開く指導者はいます。
一方、当然のことですが、その戦争を終わらせる人が必ずいます。
多くは、始まりは簡単で、巷の銃声一発が切っ掛けと言うこともあります。
しかし、終わらせるには途方もない苦労と優れた人物が必要になります。
不思議なことに知名度が高いのは、前者なのです。

珍宝島事件

< 3. 珍宝島事件 >

今世紀の事件を振り返ります
例1.1969年、突如、中ソ国境の珍宝島を巡り、両国が軍事衝突を始めた。あわや核戦争かと思われた。

例2.1976年、南アフリカでアパルトヘイト反対の暴動が起こり、その後テロ活動が続き、深刻の度合いは増した。白人による深刻な黒人差別が背景にあったので、解決は不可能と思われた。

北アイルランド紛争

< 4. 北アイルランド紛争 >

例3.1960年代、北アイルランドのIRAはイギリスへのテロ攻撃を強め、世界はその悲惨さに驚愕するばかりだった。原因はキリスト教両派と領地支配が結びついた根深い対立にありました。

例4.1920年前後、インドは長いイギリス支配からの独立を目指し、流血事件が起き、一触即発状態でした。


反アパルトヘイトのデモ

< 5. 反アパルトヘイトのデモ >

この深刻な紛争やテロ活動はなぜ終息に向かったのか
例1は、ちっぽけな中洲を巡った戦闘でしたが、この始まりは権力者が軍部の力を誇示するのが目的でした。結局、中ソ首脳が不問に付す形で歩み寄り停戦した。

例2は、善意の一事業家が私財を投げ打ち駆け回り、テログループと南ア政府、交戦状態の隣国らを話し合いのテーブルに着け、政権の委譲が進んだ。彼の行動を例えるなら、復讐の連鎖を断ち切る信頼の斧と言えるものでした。世界が共同した経済封鎖も重要でした。

例3は、和解の始まりは英国首相が北アイルランドの自治を認め、敵対していたカトリックとプロテスタントが手を握りあえたことです。その二人の立役者がノーベル平和賞を受けています。

例4は、「塩の行進」不服従運動で有名なガンディーが武力を使わずに独立を勝ち取った。これは世界でも希な、強大な軍隊を前にして丸腰で挑んで成功した事例です。

ガンディーが先頭を行く塩の行進 

< 6. ガンディーが先頭を行く塩の行進  >


これらはすべて武器を使わずに戦いを終わらせた素晴らしく人類らしい快挙でした。
一方、多くの指導者は負けを嫌い、有利に終戦交渉を進める為に、最後まで戦場の挽回を命じ、武力の優位を示そうとしました。
それは人命の浪費であり、無駄なあがきでもありました。

それにしても、なぜもっと早く、出来るなら最初からと言う想いが沸き起こります。







20140519

人類の歩みと憲法 12: 世界が生みだした戦争防止策

 

< 1. ヴェストファーレン条約調印 >

今回は、世界が戦争の防止に取り組んだ動きを見ます。

1648年、ドイツで、ヴェストファーレン条約
これはヨーロッパの百年に及ぶ宗教戦争に終止符を打った講和条約でした。
参加国が66ヵ国を越える画期的な国際条約でした。
ここから「他国の主権を認め、武力で勝手に正統性を押し付けてはならない」という国際法の智恵が芽吹きました。

1791年、フランス、憲法
「国民は征服の目的を持って、いかなる戦争をも行うことを放棄し、またいかなる人民の自由に対しても、武力を行使しない」と唱えた。


ウィルソン米大統領が十四箇条の平和原則を発表

< 2. ウィルソン米大統領が十四箇条の平和原則を発表 >

1918年、米国で、十四箇条の平和原則
米大統領が第一次世界大戦終結の糸口を示し、新たな国際秩序を提示した。
戦争への反省から、秘密外交の中止、経済障壁の撤廃、軍備縮小、民族自決の承認(一部)、国連設立などを謳った。

1928年、フランスで、不戦条約 
国際連盟の戦争禁止の不徹底を補う目的で締結され、93ヵ国が署名。
「国際紛争の解決はすべて平和的手段によるものとし,一切の武力使用禁止を約した。」

1931、35年、スペイン憲法、フィリピン憲法
「国家の政策の手段としての戦争を放棄する」ことを謳った。

国連総会

< 3. 国連総会 >

1945年、米国で、国際連合憲章
国際連合と紛争の平和的解決手続,平和破壊への対処について規定し、51ヵ国が調印。
武力による威嚇又は武力の行使を原則的に禁止した。
*武力や自衛について重要な条文
51条 「加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない。」
43条 「軍事的強制措置は、安全保障理事会と加盟国の間の特別協定に従って提供される兵力・援助・便益によって行われる。」

1946~49年、フランス憲法、日本国憲法、イタリア憲法、ドイツ憲法
仏「征服を目的とする戦争」、伊「国際紛争を解決する方法としての戦争」、独「侵略戦争を準備する行為」、概ね侵略と戦争を禁止した。
*日本国憲法9条「・・武力による威嚇または武力の行使は。国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」。

1951年、欧州石炭鉄鋼共同体条約調印、EUの母体 

< 4. 1951年、欧州石炭鉄鋼共同体条約調印、EUの母体 >

まとめ
世界は350年の間、多国間と国家自身で戦争の防止と禁止を約して来た。
人類は無限連鎖と思われた戦争を、地球全体で克服しようと苦闘している。
その動きは徐々に強まり、各国が手を取り始め、加速しているようにも思える。

米国は独立色の強い隣接した13邦が連邦することから始まった。
EUは、戦争を繰り返さない為に、千年を越える報復の連鎖を断ち切り、異なる民族のドイツとフランスを中心に6ヵ国が手を握った。
現在、その隣接する国の輪は広がり、28ヵ国にまでなり、ヨーロッパと世界の平和に大きく貢献し、希望を与え続けている。


欧州議会の本会議場 

< 5. 欧州議会の本会議場 >

しかし、これは志半ばと言えます。