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今回は、現在、世界が直面している苦境を見ます。
基本、発展途上国の生活レベルは向上しています。
しかし、詳しく見れば至る所に問題が見られます。
* 世界で起きている災厄
これらがすべて新自由主義とグローバル化に起因しているわけではありません。
しかし大戦後、これらの多くは先進国と多国籍企業の横暴な振る舞いが引き起こしました。
< 2. 世界の災厄 >
ここでは系統だった話ではなく、幾つかの問題点を挙げます。
1. 大国の保護貿易がもたらす弊害
おそらく日本人の関心は薄いだろうが、大国が自国の農産品を保護するために手厚い補助金を出し、ダンピングして世界市場で優位に立とうとすることがある。
例えば、米国の綿花です。
米国の綿花が補助金により市場価格が低下し、発展途上国の零細農家が低価格に対抗できずに軒並み倒産し、再起不能になったことがある(アフリカ)。
自国の通貨安誘導もこの手の問題です(米日中もやっている)。
本来、この手の問題を調停するためにWTOがあるのだが、上手く機能していない。
2. 軍需産業の好調が意味するもの
世界の兵器製造と軍事サービスの売上額は年間50兆円で毎年伸びている。
米国企業はこの内60%近くのシェアを持ち、世界に輸出している。
米国が頻繁に戦争をするのは、兵器産業の為とは言わないが、軍産複合体の体を成している。
どちらにしても、毎年これだけの兵器が世界に出回るのだから、銃の所有率の多さが銃による死亡を増やしているように、紛争拡大を招いていることは間違いない。
またこの事が発展途上国(石油のある中近東)の疲弊と大量の難民を生み、近隣諸国や先進国に混乱が及んでいる。
3. 3K(きつい・汚い・危険)の工場移転がもたらすもの
先進国で受け入れられない3Kの仕事を安く発展途上国に出すのは、自然かもしれないが、人権を無視したことが度々起きている。
バングラディシュに先進国のアパレル産業が縫製作業を大量に出しているが、これが過酷な作業環境と児童労働を生んでいる。
実際、工場の入ったビルの大規模倒壊があり、多くが死亡している。
またフランスの電力会社がアフリカのニジェールにウラン採掘場を有し、人力でも採掘させていた。
これが暴露されると、会社は現地政府を巻き込んで違法な隠蔽工作を始めた。
このような各国の大企業である多国籍企業が、現地で問題起こしたり、国有化などの被害を受けそうになると、本国政府は裏で違法な画策を行うことが多々あった。
こうして欧米は南米や中近東から憎まれることになつた(現在の帝国主義か)。
4. 投機がもたらす災厄と後始末
ファンドが発展途上国の為替や先物商品(石油など)を乱高下させて稼いだり、メガバンクが他国の住宅バブルを煽ったりすることがよくある。
前者は発展途上国を数年間疲弊させ、国際機関や先進国政府が大規模な援助をすることになる(国民の税金で)。
この時、IMF(国際通貨基金)が各国に緊急融資を行い、各国は一息点くが、そこから地獄が始まる。
IMFは新自由主義の立場を取り、融資した国に徹底的な緊縮財政を強制する(小さな政府)。
ただでさえ景気が急降下しているのに、さらに落ち込み、失業者は溢れ、福祉医療予算がカットされ、さらに低所得層は困窮し、自殺者、病死が増える。
これは結局、相手国の国民の為ではなく、貸金の返却を確実にしているだけに見える。
後者はバブルが崩壊し、大量の債務者と銀行に不良債権が残る。
この場合、この民間銀行は大手だけに潰すことが出来ずに、政府が国費で救済することになる(EUの金融危機の時、20兆円ほどが銀行に注入され、大国なら今後100兆円を越える)。
こんな事を繰り返すからメガバンクほど、また図に乗って暴走する。
* まとめ
ここまで見ると、欧米の人が「グローバル化反対」と訴えるのが理解できるでしょう。
どちらにしても、大半の国民また底辺の人々が犠牲になる一方、富裕層が富を得ている状況が理解出来たと思います。
それでもグローバル化は止めるべきではありません。
正しく秩序が守られるグローバル化こそが、これからの世界の平和と発展に必要なのです(対立ではなく協力出来る体制)。
一つ留意して欲しいことがあります。
それは、これら弱い発展途上国への横暴を調べ、圧力に屈せず、公表・報道している存在が機能していることです。
これを担っているのはアムネスティ・インターナショナル(国際連合との協議資格をもつ非政府組織、NGO)や欧米の報道機関です。
さらにこれら問題を世界的に抑制しようとする活動も進んでいます。
例えば国際的なNGOフェアウッド・パートナーズは森林破壊を防ぐ為、違法伐採を排除する認定制度を設けています。
次回に続きます。
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