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20200319

世界が崩壊しない前に 7: 罠に嵌った人々







20世紀最大の罠と言えば、ファシズムへの暴走でしょうか。
人々は危機を脱しようとして、より悲惨な危機に陥った。
日本も同じですが、ドイツを見ます。


特報!!
 
< 2.いつか来た道 >


当時の状況
・ 巨額の戦後賠償と世界恐慌による大量の失業
・ 革命後の社会民主主義政権は安定せず、軍部の復権が進んでいた
・ 共産革命とソ連への恐怖が高まっていた

一人の天才アジテーター、ヒトラーが出現した。
彼は、かつてのドイツ帝国領土を取り戻し、共産主義者とユダヤ人を排除すべきと訴えた。
彼は清廉な人物と見なされ、若者に絶大な人気があった。
彼が行う政策、国民運動や大規模公共事業は功を奏し経済が好転した。
これでナチ党は国民の支持を得て国会の議席を伸ばしていった。

当時、政治を掌握していたのは元軍人の大統領でした。
彼は自ら任命した首相に政治を任せ、まだヒトラーを信用していなかった。
だがこの非力な首相は、人気のあるヒトラーの抱き込みを図った。

大統領が高齢で弱気になったと見るや、ヒトラーは一気に政権掌握に動いた。
彼は部下に国会議事堂を放火させ、それを共産主義者のせいにし、彼らの議員職を剥奪します(緊急事態条項と同じ)。
そしてナチスは過半数を占める第一党となり、ヒトラー総裁を決議させた。

この後、第二次世界大戦へと一気に突き進むことになる。
やがてユダヤ人追放が始まり、彼らの莫大な資産は国民に分配され、虐待や虐殺への批判は起きなかった。
同様の手口は中世スペインでもあった。

この間、ヒトラーを支えた巨悪があった。
ドイツのメディア王は彼を応援した(フォックスニュースや読売と類似)。
ドイツの鉄鋼王(兵器王)も彼を支えた。
英米系の大企業は、戦後までこの鉄鋼王に巨額資金を提供し利益を得ていた。注1.


ポイント

・ 国民は騙されたと言うよりヒトラーに狂信し続けた。
・ 安直な危機打開策が、最悪の被害を招いた。
・ 一部の国民は命を賭して抵抗したが制圧され、暴走を止めることは出来なかった。



次回に続きます。


注1. 「オリバー・ストーンの『アメリカ史』講義」p391より。




20200314

世界が崩壊しない前に 6: 罠を知る





*1

前回、私達が原発に呪縛されていることを見ました。
これと似た国を越える罠もある。


米ソ軍拡競争を見ます。

突然、現れたソ連のゴルバチョフが、米国に核戦力削減を提案し、核軍縮条約締結が成った。
しかし、この後が続きませんでした。
それはなぜか?

当時、米国は自画自賛していた。
「ソ連は我々の軍拡競争に負けて経済的に弱ったのだ。
だから宇宙にまで軍拡すれば、遂にソ連はねをあげる。
平和になるぞ!」
人々は、軍拡競争こそが軍拡を終わらせ、危機は回避されると信じた。

しかし、30年後の今、間違いだと分かるはずです。


 

何が起きていたのか?

当時の米国大統領はレーガン、次いで父ブッシュでした。
ホワイトハウスはまったくソ連を信用せず、相変わらず軍備増強と軍事支配拡大で押し切ろうとした。

一方、ゴルバチョフは政治刷新の手腕を認められて、トップに立つことは出来たが、立場は危ういものでした。
彼が前例のない大幅な軍事的妥協(アフガニスタン撤退も)を提案すると、当然、軍部や保守派からの猛反発に晒された。

米国は、これ幸いと不平等な兵削減をソ連に迫り、また南米への軍事介入を進め、ソ連の制止も聞かず湾岸戦争に突入します。

湾岸戦争は、子ブッシュもやった人気取りの可能性が高い。
米国の駐イラク大使は、クウェートとイラクで緊張が高まっていた時、フセインに告げていた。
「ブッシュ大統領は、イラクの友好が優先であり、友人でないクウェートとの国境紛争には何の意見も持っていない」と。注1.
この戦争で大統領の人気は鰻登りとなった。

米国の中東やアジアへの軍事介入の経緯と、世界断トツトップの米国の軍需産業の伸張を知れば、頷けるはすです。


もし1980年代末、ホワイトハウスがゴルバチョフを信じ協力していれば、彼はクーデターで辞任することもなく、戦争は減っていたかもしれない。

結局、国民は真実から遠ざけられ、政府に振り回されている。


次回に続きます。


注1.「オリバー・ストーンの『アメリカ史』講義」p397より。


20200219

世界が崩壊しない前に 1: はじめに






*1

今、世界は急激に悪化しています。
突如として破局が訪れる可能性もあります。
私達の家族とその未来を守るにはどうすれば良いのでしょうか?
事実を集めながら検討します。


 
< 2. 緊急情報です! 拡散願います >


はじめに

皆さんは世界が崩壊すると思いますか?
何か予兆を感じることはありますか?

地球の生命38億年、人類300万年、新人類10万年、文明5千年間で似た事はあったでしょうか?

いや待てよ、これまで無数の予言はあったが、どれも事なきを得たではないか?
聖書の予言(ハルマゲドン)、ノストラダムスの大予言、核戦争勃発、資源枯渇(ローマクラブが警鐘)、中国崩壊など・・・。

しかし様々な民族が故郷を捨て大移動し、時には戦い、遂には姿を消してしまったことは限りなくあった。
その切っ掛けの多くは乾燥や寒冷化などの気候変動によるものでした。
例えば紀元前2千年紀の気候変動が、ナイル川の水位低下と西アジアの難民を生み、エジプト王国の衰退とユダヤ王国の誕生に繋がった。

また自ら環境を破壊し、衰退した文明もあった。
例えば古代ギリシャ人の入植地(港湾)やイースター島の放棄は、河川上流や島全体の森林破壊が原因でした。

現在はこれが巨大化している。
例えばチェルノブイリや福島などの原発事故です。
危機を脱することは出来たが、フロンガスによるオゾン層破壊もありました。

こうして振り返ると、あることが見えて来る。

生物や人類の進化は、地球の大規模な気候変動(多くは寒冷化)が切っ掛けでした。
やがて人類が地球を覆うようになると、気候変動は多くの民族や文明の盛衰の切っ掛けになりました。
しかし遂には、人類が自ら地球の自然(システム)を破壊し、行き場を失う可能性が高まって来ました。


次回に続きます。




20190712

平成の哀しみ 86: 何が日本を貶めているのか 3: 維新後の民衆運動



*1


維新後、政治を変えた原動力は何か



 
*2

明治10年(78年)も過ぎると、民衆が政治への参加を求めた自由民権運動が盛んになります。

最初はあぶれた士族が中心でしたが、やがて各地の豪農・豪商、都市部では知識人が民衆に訴えるようになった。
この時、民衆に思想を鼓舞したのは演説会と新聞でした。

新聞は1870年代に創刊が相次ぎ、その後部数は急増していきます。
新聞は瓦版から政治論議や政策批判に重きを置くようになり、ジャーナリズムが開花した。
当初、新聞を奨励した政府であったが、ここに来て民権運動と新聞を弾圧し、国会開設の約束もあって、89年には運動は消沈した。

しかし、この運動から初の政党が結成され、政党政治が動き始めた。
残念ながら政党政治は盤石な薩長閥に対抗できず、1918年まで待たなければならなかった。

この突破口となったのが、新聞による政府の不正追求と怒れる民衆のデモでした。
こうして数度にわたり旧体制の内閣が倒れた。
この時代、どの御用新聞も人気を得ることはなかった。



 
*3

だがこの後、ジャーナリズムは急速に衰退し政府は暴走を始めた。

弾圧は熾烈を極め、数年後には御用新聞の読売は新風俗と戦争の報道で急伸し、遅れて朝日、毎日も戦争に加担していった。

次に続く


20190708

平成の哀しみ 78: 改革を妨げるもの 13: 欲望の経済政策 5



*1


政策転換には裏があった


 
*2


80年代の経済政策転換は米国の戦争と経済の陰りが引き金でした。

米国はベトナム戦争出費などによる財政赤字と製造業衰退による貿易赤字の重なる増大に耐え切れなかった。
米国は71年に金兌換を中止し、また為替の変動相場制に移行した。

古くから世界は金本位制によって貨幣の自由な発行を抑制して来た。
だが戦費が嵩むようになると、国は金との兌換を保証しないで貨幣の増発を行い、その結果、インフレと恐慌を招いた。
この反省から金本位制に戻る努力が幾度も繰り返されて来た。

さらに米国はイスラエルに肩入れし中東戦争が拡大していた。
これに対して市場を支配する中東産油国は団結し、イスラエルを支援する欧米に対して石油減産で対抗した。
これにより70年代に石油価格はそれまでの10倍へと一気に暴騰し、インフレが世界を襲った。


 

< 3. 1970年代のインフレと石油価格高騰 >


そこで各国労働者は賃上げのストを頻発させた。
また英米は経済成長著しい日独に押され気味で打開策を模索していた。

そこで英米政府と経済界は協力して、「労働者の賃上げと怠惰がインフレと不景気の元凶である」との一大キャンペーンをはった。

この英米の論理には飛躍があるのですが、富裕層や保守層(米国共和党など)にとって半世紀ぶりの天国奪還の好機だった。

つまり「金持ちはより金持ちになれる」チャンスを得たのです。
そして、これ幸いと規制緩和<ビジネスと言うより金儲け>を連呼するようになった。

日本も右に倣えとなった。


次に続く




20190509

平成の哀しみ33: 深まる亀裂 31: 何が重要なのか 2






これまで日本の危うい兆候を見て来たが理解する人は少ない


なぜか?

ウヨは「攻めて来る軍隊に向かって憲法9条を掲げて見ろ」と言う。
これを聞いて納得し嘲笑する者は多い。

それでは「洪水で決壊した堤防に向かって砂袋を掲げろ」はどうか。
砂袋は決壊する前に使ってこそ意味があり、当然武器も役に立たない。
短絡思考が幅を利かせている。

これだけではない。

人は内社会の悪化より外部の異変に目を奪われ易く、より危険に感じる。
国が悲惨な状況に陥るのは、攻めて来る外国だけだとするのは早計です。

古くは聖書の預言者が国王の外交ミスが強国の介入を招くと警告した。

古代ギリシャは団結してペルシャ戦争に勝利したが、その後は内戦状態に陥り、遂にはマケドニアに支配され命脈は尽きた。

古代ローマも拡大する侵略戦争、疲弊する社会、傭兵偏重で自壊した。


 

今次の二度の大戦は資本主義と世界経済圏の発達が相まって、西欧列強が植民地獲得競争に狂奔し、至る所に対立の火種が撒かれたことによる。
ドイツに侵攻された英仏はその百年前に火種を作っていた。

つまり世界や歴史から学び論じることがない人々が、徐々に衰退する中で危機意識を持てないことにある。


次に続く





20190506

平成の哀しみ31: 深まる亀裂 29: 敵対と融和 3

 






人はなぜ攻撃的になるのか?

これは厄介だが避けられない。

人類は進化の過程で、未来に不安と希望と言う相対する情動を持つようになり、失敗の少ない発展を手に入れるようになった。

しかし、一方が強く働くと問題が生じる。
例えば、異なる集団に不安を感じると、やがて強い憎悪を抱き、予防的な敵対行動に出ることがある。
初めは些細なもめごとでも互いにエスカレートする。
この過程で内集団の共感が高まり愛国心の高揚が起き、大規模な抗争に発展する。

逆に不安を感じないのも問題で、大きな失敗をし易くなる。


つまり人類はまだまだ敵対し易い。

実は敵対と融和感情はノルアドレナリンやドーパミンなど幾多の脳内ホルモンが関わっている。
極論すればホルモンの分泌、遺伝と生得による脳の特性が敵対と融和を決めることになる。

共感度が低く攻撃的な性格を持つ人は社会にいつも一定数存在する。
時に社会が不安定化すると、人々はこのタイプの指導者を担ぎ出すことになる。
例えば、企業で云えばリストラを貫徹出来るトップ、戦争で云えば犠牲を
気にしないで大攻勢をかけるトップを皆が欲するからです。





こうして社会は敵意を増大させ、争いを加速させることになる。


次回につづく




20190504

平成の哀しみ29: 深まる亀裂 27: 敵対と融和 1









昔から人は敵対か融和かの選択をして来た







動物は元来敵対するものなのか?

弱肉強食は自然の理ですが、同種間では擬闘が行われます。
肉食獣などが縄張りを争う場合、徹底した殺し合いをせず、共に生存率を下げないように進化しました。

しかし人に近いチンパンジーでは、隣接するオス集団を壊滅させことがあります。
彼らは他集団のオスを非常に恐怖し、メス以外とは接触しません。

人類は大戦争をしますが、一方で世界を駆け巡り、商売や旅行をします。
人類は徹底的に敵を憎悪する一方で、仲良くすることも出来る非常に柔軟な動物です。


歴史を振り返ると二つの進歩に気付く。

社会が争いで荒廃していた時代、各地で画期的な解決策を説き始めた人がいた。
インドの釈迦、中国の孔子、ユダヤのイエス、アラブのマホメッドなどです。
彼らは憎悪でなく愛と自制により平和と幸福を促した。
この教えは今も広く人々の心を捉えている。

今一つは、敵と味方の境界線が拡大し続けていることです。
人種や言語集団は概ね1万年前後に定まったが、その垣根を越えて通じ合うことが可能になった。

人類は異なる社会を統合する知恵を持ち、広く協力する心を持ったことで、今の繁栄と平和がある。

次回へ






20190501

平成の哀しみ27: 深まる亀裂 25: なぜ馬鹿をやるのか 3






軍の愚行を許した国民は


 


日本国民は真実を知らされず、デマに踊らされていた。
また国民は政府を選挙で一応選べたが、天皇直轄の軍部が政治を牛耳っていた、特に2回のクーデター以降は。
つまり国民は騙され、手も足も出なかったので犠牲者に過ぎないのか。

勝者によるニュルンベルク裁判以外に自ら戦争犯罪を裁き、被害国に潔く謝罪したドイツ国民でさえ、終戦後10年まではヒトラーの犠牲者だと考えていた。

日本軍が大陸に侵攻し、治安維持法で言論が締め付けられていても、国会議員や地方紙、経済紙の数人が戦争反対を表明していた。
しかしこの声はかき消えてしまった。

ここ半世紀の戦争で、国民はいとも簡単に愛国心に燃え開戦に賛成して来た。
日本だけでなく米国もベトナム戦争やイラク戦争で、開戦の口実を巧みにでっち上げて来た。

日本の場合、政府や軍部が国民を騙し始めると防ぐ手はないが、英国は違った。
大戦当初、英国は事実報道に拘りドイツの煽情報道に後れを取った。


結論
政府や軍部が嘘をつかないように、文民統制と報道の自由の確保が重要です。

実はこの反省を日本が未だにしていないことが問題です。
同じ間違いを繰り返す可能性があり、危険です。


次回に続く





20190430

平成の哀しみ26: 深まる亀裂 24: なぜ馬鹿をやるのか 2






大戦に突き進んだ日本の首脳の愚行をみます。





戦争を始めると深入りする一方で、日本だけではないが途中の撤退はほぼ不可能です。
戦争が始まると犠牲者が増え、国内の憎しみが沸き立ちます。
また軍事費を借金する為に勝ち続けなければならない。

軍首脳は中国戦線で失った20万英霊に申し訳ないからと、さらに太平洋戦争へと進み200万を失う。
本土決戦を前にして、ある大将は日本を焦土にして一兵卒まで戦うと息巻いた。

この間、軍は敗戦と失敗を隠し通し、国民を鼓舞する為に報道を統制し、嘘を流し続けた。
こうなると海外の情報が入らない国民は敗戦まで勝利を疑わなかった。

問題の一つは、超エリートの軍首脳や参謀達が、なぜ無謀な戦争計画を立案し続けたかです。
一言で云えば、軍と己の保身の為であり、その為には都合の悪い情報を無視し隠蔽、捏造もした。
当然、国民に真実を告げ判断を仰ぐことはなかった。

日本にはヒトラーのように独裁者はいなかったが、関東軍、陸軍、海軍が競い合い、天皇を担ぎながら戦争を進めた。
終わってみれば誰の責任かは分からない、「みんなで渡ろう赤信号」状態だった。

これは今の政府・官僚にも受け継がれている病根です。


次回に続く









20190429

平成の哀しみ25: 深まる亀裂 23: なぜ馬鹿をやるのか 1







戦争には愚行が目につく


 


ドイツと日本の国民はヒトラーの本質を見抜けず、世界大戦へと突き進んだ

両国民は戦争を望んだわけではなく、天才的な嘘つきのヒトラーに騙された被害者に過ぎないのか。
両国民は今も昔も平和を愛する民族だったのか。

第一次大戦後、ドイツは過大な戦後賠償と経済失策、日本は二度の金融恐慌と東北の飢饉に苦しんでいた。
さらに29年に世界恐慌が襲った。
両社会は一気に疲弊し不満が充満した。
そして指導者が現れ、隣国への領土拡大こそが生き残る道だと自尊心と敵愾心を煽った。

ドイツにはかつての帝政ドイツの領土、日本には半世紀に亘り拡大した東アジアの領土があった。
ドイツの敵は共産主義とユダヤ、日本の敵は遅れた文明に甘んじる大陸民族だった。

こうして両国は国内で追い込まれ、隣国に活路を見出した。
この思想を支えたのは保守的な人々だった。
これは既に得た富なり地位を失いたく無いために、社会改革よりは外部に解決策を求めた結果でした。
特にドイツはこの傾向が顕著だった。

こうして両国は侵略されたわけではないが、世界を相手に無謀な侵略戦争を始め、世界は無残な廃墟と化した。

これが愚行でないとしたら。


次回に続く







20190426

平成の哀しみ24: 深まる亀裂 22: 敵か味方か




同盟を組む時、敵と味方を間違うことがある。


古代ギリシャの国々が戦乱に明け暮れていた時、よりによって一方がペルシャに加勢を求めた。

第二次世界大戦前夜、軍拡を進めるドイツに対して英仏米はソ連への防御壁になることを期待し穏便に済まそうとした(敵の敵は味方)。
この間違いに気付いたのは侵攻が始まって4年も経ってからでした。


 


もっと奇妙なことがある。
ソ連を味方に引き入れ日独伊三国同盟を結ぶことで、米英仏を牽制できると読んだのが日本陸軍でした。
ところがドイツが裏切りソ連に侵攻し、また同盟は米国に日本への石油禁輸を決断させることになり逆効果になった。

なぜ日本と米欧はドイツを読み間違えたのか?

ヒトラーの嘘と裏工作が巧だった。
欧州は前回の大戦の復興に手一杯で、米国は世論が他国の戦争に巻き込まれるのに反対だったことが大きい。

当時、半世紀ほど遅れて侵略を始めた日独伊は世界から非難され、国連を脱退した同類でした。
この仲間同士で東アジアの領土を奪う合うことはない。
さらにドイツはすぐにも欧州を掌中にする勢いだった。

こうして日本陸軍は大吉を引いたと喜んだが、とんだ貧乏くじになった。
海軍は危惧していたのだが。



次回に続く




20190424

平成の哀しみ23: 深まる亀裂 21: 軍事同盟(集団安全保障) 




軍事同盟にも危険性がある


軍事同盟は戦争を招き被害を大きする。
これを避ける為に中立があるのですが。

同盟の危険性とは

同盟に参加することで敗北の危機感が減じ無謀になる。

他国の紛争への加勢により、対立する同盟間の大戦に発展する。

同盟内の覇権国が軍事力を恣意的に使い大戦に突入する。

境界にある国は対立する同盟国から攪乱され攻撃され易い。

これらは戦史の常識です。

国連憲章で集団安全保障は容認されたのですが、実は協議の過程で上記の反省から反対意見も多かったのです。
しかし米国の押しで決まった。

重要なのは軍事同盟の組み方です。

端的に言えば信頼できる国と対等に組めるかです。



 



例えばNATOは参加国の全員一致で決議します。
即応性に欠けるが、戦争の予防的措置や抑止力としては効果を持ちます。
国連は拒否権の問題はあるが、これに近い。

しかし米国一国への従属は、数々の危険がある。

ここ半世紀、米国が牽引した戦争には問題や失敗が多い。
現時点で、日本側から抑制出来るとは思えない。
日本の位置がアジア側にあることも問題です。

これから世界のパワーバランスが大きく変わり、新旧の対立から暴発が起きる可能性が高い。
見極めが重要です。


次回に続く







20190423

平成の哀しみ22: 深まる亀裂 20: 軍拡のジレンマ 3






軍拡が怖いからと言って軍を放棄すべきか


世界の中立国は防衛軍を持っている。
小国が軍を持たないこともあるが他国に依存している。
不穏な軍事大国やテロに走る国家や集団は存在する。

つまり防衛軍は必要です。

世界に安全保障のヒントがあり、大国と対等な軍備を持てない小国が参考になる。




ロシアに近い北欧やバルト三国を見ます。

対処は大別して三つある。
A 中立政策
B 集団安全保障
C ロシアに敵対しない

A スウェーデンは中立政策により第二次大戦の被害を軽微に出来た。
しかし1992年より中立政策を捨て、まだNATOに加盟していないが、この方向に進むだろう。

B ノルウェーとエストニアはNATOに加盟している。

C フィンランドはNATOに加盟せず、北欧理事会に参加しながらソ連に近い外交を行っている。

ちなみにこの4ヵ国の各人口はロシアの百分の2~7に過ぎない。
すべて軍を持っており、北欧の二ヵ国は国連などの派遣軍に積極的に参加している。

これらNATO加盟国はすべてロシアと国境を接している。
ウクライナ情勢が不安を駆り立ているようです。

これらは自国の軍備だけに頼ることをせず、中立政策も含めた外交と集団安全保障を重視している。


次回、集団安全保障についてみます。







20190421

平成の哀しみ21: 深まる亀裂 19: 軍拡のジレンマ 2



軍備増強の思わぬ落とし穴

A 膨大な軍事費
実は、軍事費に上限が無いのです。

嘘のような話ですが理由は簡単で、軍拡競争で軍事費は上昇し続けます。
冷戦時代、米ソの核弾頭は地球を7回全滅させる量になった。

ここまで来れば、他の産業への投資不足が起こり、経済に悪影響が出ます。

日本は朝鮮戦争とベトナム戦争時、米国が軍需物資を買ってくれたので好況になった。
しかし太平洋戦争時、日本は総生産額は上がっても生活はどん底だった。

 


B 癒着する軍産複合体
軍需産業は成長すると政府と癒着するようになる。

理由は簡単で、政府が大口の発注者で機密を共有することになるからです。
米国の子ブッシュ大統領や明治維新の長州軍閥(陸軍)などが好例でしょう。

開戦は双方に莫大な利益と賄賂をもたらします。


C 拡散する兵器
軍事大国で育った兵器産業は輸出に拍車をかけるようになります。

中東は米国とフランス、ロシアの巨大兵器市場です。
中東戦争の初め、米国は短期間に大量の兵器をイスラエルに提供し、劣勢を優勢に変えた。

大国は覇権争いで、兵器産業は商売で、敵対する双方の国や戦闘集団に兵器を供給し続ける。
こうして世界各地で紛争が悪化し長期化します。


次回に続く