20210409

没落を食い止める! 29: この先、世界はどうなるのか? 4: 格差がもたらす危機

  



*1

 

前回、移民と分断について見ました。

今回は、格差がもたらす危機について考察します。

格差は自由の証しなどではなく、社会を破壊する力になります。

 

* 最初に銃の問題を見ます

 

皆さんは銃と聞いて、最初に脳裏をかすめるのは、米国の治安の悪さではないでしょうか。

何が治安を悪くしているか種明かしをします。

 

 

< 2.各国の銃による自殺・他殺率 >

http://ble2j.blog.jp/archives/7035778.html

 

ポイントの一つは、銃による自殺(赤)が多いことです。

実は米国も日本も10万人当たりの自殺率は15人と20人で、米国はその半数弱が銃により、当然日本は銃以外です。

もし銃が無ければ、米国の自殺は半減するはずです。

 

主眼は、米国の銃による他殺(青)が他国を圧倒していることです。

これは銃の所持率の影響でしょうか?

次のグラフを見て下さい。

 

 

 

< 3. 各国の銃保有率 >

http://honkawa2.sakura.ne.jp/9365.html

 

折れ線を見ると米国とカナダの人口当たりの保有率は90と31丁です。

両国の保有率の差は3倍ですが、グラフ2の他殺率は約6倍で、この差は何を意味するのでしょうか?

 

 

< 4. 米国(赤)とカナダ(青)の州毎の殺人件数/百万人 >

How economic inequality harms societies by Richard Wilkinson2011

https://www.youtube.com/watch?v=cZ7LzE3u7Bw

YouTubeの 724秒後)

 

ポイントは、横軸の所得格差が高い州ほど縦軸の殺人件数が高く、両国の格差の最大と最小で比べると、優に16倍にもなる。

つまり殺人の多さ(治安の悪さ)は、銃保有率よりも所得格差が原因なのです。

 

従って、米国では治安が悪いために銃を護身用にと、銃規制に尻込みする人が多く、悪循環から抜け出せないのです(全米ライフル協会の扇動もあるが)。

 

 

 

 

< 5. 米国の犯罪件数の推移 >

http://honkawa2.sakura.ne.jp/8808.html

 

これを見ると犯罪件数が70から80年代に急増していることが分かる。

この時期は所得格差と移民が急増した時期です。

(90年代以降犯罪が減っている理由は不明)

 

 

* 格差が社会に及ぼす影響について

 

格差拡大が、犯罪・治安に悪影響を与えているのが分かりました。

だが、さらに格差は社会を蝕んで行くことになります。

それが既に紹介してきた文明の衰退を招いた要因でした。

 

 

< 6. 社会問題と所得格差の相関 >

先述 by Richard Wilkinson”

縦軸(社会問題)は、国際的指標の「平均余命」「児童の算数や読み書き能力」「幼児死亡率」「殺人発生率」「囚人の割合」「13~19歳の出産率」「信用率」「肥満率」「精神病率」「社会的流動性」を加算したものです。

 

このグラフは横軸の格差が大きいほど、縦軸の社会問題が大きいことを示している

(データが10年以上前で古く、また北欧が入っていないが日本は良好でした)

 

 

 

< 7.社会の流動性と格差の相関 >

先述 by Richard Wilkinson”

YouTubeの 825秒後

 

このグラフから、米英では裕福な家庭の子は裕福で、貧しい家庭の子は貧しいと言うことになり、北欧4ヵ国は英米とは真逆だと言うことがわかります。

これは民衆の絶望や不満を高めることになる。

 

 

 

< 8.他者への信用率 >

先述 by Richard Wilkinson”

YouTubeの 551秒後)

 

この「信用率」は単純に「大抵の人を信用できる」に賛同した人の割合です。

格差が小さい北欧4ヵ国では信用率は65%と高いが、格差が一番大きい国では人口の約15%しか他人を信用できない。

ここでも英米は低い方に位置している。

 

 

 

< 9. 米国の州毎の信用率 >

先述 by Richard Wilkinson”

YouTubeの 623秒後)

 

これを見ると、格差の大きい州(MSミシシッピ)では信用率が低く、小さければ(NHニューハンプシャー)信用率が高くなる傾向は明瞭です。

 

 

* まとめ

 

ここまで来れば、格差は自由の証しなどでは無く、社会が大きな犠牲を払い、かつ衰退や崩壊の要因になることを感じたのではないでしょうか。

 

ここで簡単に崩壊のメカニズムを説明します。

 

1. 社会が腐敗し格差が拡大し始める。

社会が腐敗していなければ、民主国家にあっては国民の意向で格差拡大を防げます。

しかし腐敗した政府(御用マスコミなど)によって格差は自由の証しなどと洗脳され、また不都合な真実は隠蔽される。

つまり社会が腐敗しだすと、雪だるまが坂を転がるように大きくなるのを止めるのは難しくなるのです。

 

2. 所得格差の拡大が社会を疲弊させる。

大半の所得が減り、低所得層の拡大と固定化が進み、治安が悪化し、民衆に絶望感と不満が高まります。

しかしここで、民意が適切に政治に生かされば良いのですが、残念ながら、既に特権階層が政治を操るようになっています。

 

3. そして暴発します。

多くの人は真実から遠ざけられ(愚民政策、マスコミ支配)、地域や国に対する信頼を無くしている。

そこに手短で魅力ある解決策を提唱する煽動家(フェイク男)が出現する。

こうなると一気に世論は熱狂し暴走を始める。

 

これがヒトラーであり、トランプであり、太平洋戦争前の日本でした。

 

おそらく今のまま格差が拡大して行くと、分断はより厳しくなり、米国は暴走を始め、世界は大きな災厄に見舞われるだろう。

 

 

次回に続きます。

 

 

 

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