20210417

没落を食い止める! 36: 何が間違っているのか 2: 大いなる勘違い

  

 


 

*1

 

 

今回は、新自由主義に纏わる大きな勘違いを取り上げます。

 

残念ながら今回でこの連載を休みます。

語りたいことはまだ多いのですが、少し休憩してから、

また始めたいと思います。

 

 

 

* 自由競争=弱肉強食

 

以前、低所得者や身障者への援助が話題になった時、保守的な人から「この世は弱肉強食で、援助は助けになるどころか、甘やかすだけだ!」と切り捨てられた。

 

日本は資本主義国の中にあって共助の精神が生き続けている国でした。

しかし、いつの間にか新自由主義「小さな政府」の名の下に、自助が前面に出て来るようになった。

不思議ですよね、道徳教育を復活させるとしながら、一方で共助を捨てると言うのですから、今の与党議員には社会や歴史への理解力が乏しいようです(共助とは地域社会によるものです、公助と自助の中間のようなもの)。

おそらくは税収不足による福祉予算カットや政治家の責任逃れが念頭にあるのでしょうが。

 

先程の発言者は、真剣に動物界は弱肉強食だから当然だと訴えた。

実は、私達人間は動物世界から学ぶべきことがあります。

 

一つは、縄張り争いなど同一種同士の闘争では、徹底的な殺し合いをしないのです(擬闘)。

もし肉食獣が仲間同士、徹底的に戦うことが本能であれば、皆怪我だらけになり早晩全滅するでしょう。

通常は無駄に戦わないようになっている。

同種同士で徹底的に殺すようになったのはチンパンジー以降、人類ぐらいでしょう。

(チンパンジーの場合、殺すのは恐怖心と生殖の為に限られるようですが、人類の場合、単純ではなくなった)

 

いま一つは、高等動物になればなるほど、弱者を助ける習性があり、特にメスには強い。

鳥類や哺乳動物に始まり霊長類になると、身内の高齢者、身障者、幼子へのいたわりや給餌の優先は広く見られる。

(餌が乏しい場合には、この傾向は弱まります)

このいたわりの感情は進化の過程で、種の存続に適していたから残ったのでしょう。

人類はこれら進化の最上位にあるわけですから、押して知るべしです。

 

必ずしも戦うだけ、競争ばかりが人類の宿命では無いのです。

むしろ人類は、動物の中では最も大きな集団で助け合うように進化して来たのです(ここ百万年間の進化では集団の規模は150名までのようですが)

 

 

* 最後に

 

休稿するにあたり、想いを一言述べます。

 

これまで、この30年程で狂ってしまった先進国の経済と社会、特に悲惨な日本の状況を皆さんに分かり易くお伝えようとして来ました。

しかし、思っている事の半分ぐらいしか語れませんでした。

やはりもっと実証的に、かつ分かり易くしたかったのですが難しい。

また没落を食い止める方法に、いまいち踏み込めませんでした。

 

次回、連載を始められる時は、さらに中身のある記事を書きたいものです。

これまで拝読ありがとうございました。

 

 

 

 

 

20210416

没落を食い止める! 35: 何が間違っているのか 2: 夢の自由市場はあるのか?


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今回は、自由市場は本当に素晴らしいのか、

それとも欠陥があるのかを見ます。




* 完全な自由市場は最高!!


これは新自由主義者らの一番の想いでした。

(おそらくは受け狙いのキャッチコピー)


実はこれで成功しているのは中国と言えそうです、しかも共産主義国で唯一経済発展を成功させたのですから、「市場経済」を採用して。

もっともこれは完全な自由市場とは言えず、集中的な解放(規制無し)と計画的な投資を、政府が強権的に行ったから出来ました。

(しかし大なり小なり各国の政策はこんなものです)


一方、新自由主義国や世界の現状を見ると、経済停滞(デフレ)、格差拡大、頻発する金融危機が定着している。

つまり、一番の根本である自由市場が失敗したからです。

ところがこのような時、必ずある言い訳が発せられる、

「まだ完全な自由市場ではないからだ」と。


これ以上、でたらめな規制緩和をやられたら日本と世界は没落を早めるので、「自由市場」への勘違いを説明します。


「自由市場とは、政府が介入せず、規制が無く、まったく好き放題に物を造り、売れば良い」と言うことです(学者によって多少異なるが)。

商人や製造者が自由に競争し続けると、やがて淘汰され良いものだけが残ると考えるようです。

確かに競争が進むほど、同じ物が安くなったり、発明や工夫が活発化するように思えます。

(この単純さは「共産主義では、労働の価値は勤務時間で評価」に似ている)


しかし悪い事も同様に蔓延ります。

不良や不正が分かり難い場合は淘汰されない。


例えば、製造時公害を発生している商品でも安くて良ければ、遠く離れた購入者は知らずに買い続けるが、これは社会にとってマイナスです。

従業員を酷使して安くしている場合や害をもたらす薬物混入も同様です。

誇大広告から情報のギャップに起因する不公正や社会にとってマイナスの種は尽きません。

社会に悪影響を及ぼす経済行為には規制が不可欠です。

社会(政府)が良し悪しを判断し、経済活動の自由を制限する必要があるのは当然です(これは地球温暖化防止にも通じます)。

実は、日本では江戸時代より林業、漁業、商売で様々な規制を設けて、特に資源保護で優れた結果を残しているのです。


最大の問題は、特定の商品が市場を独占し、遂には独占企業が価格や機能の決定権を握ってしまうことです(ソフトやサービスでも)。

こうなるとその後、消費者にとって最良とは言えなくなる。

今、マイクロソフトやGAFAへの独禁法適用で世界は苦労している。


しかしこれだけではない。

規制緩和と謳っておきながら実際は数多くの参入障壁があり、これが自由競争を阻害し、市場での寡占、腐敗、停滞を生み出しています(日本停滞の大きな理由の一つ)。


見え難いのですが日本で足枷になっているのが中央官庁による指導です。

例えば、ある企業がスマホ決済の新システムで起業したいと考えた。

そこで認可を得るために中央官庁に行くことになったが、官僚が銀行業を圧迫するとして拒否したことがありました(理由は言わないが)。

この頃、中国はトップの指示で国営の銀行が圧迫されると知りながら、大々的にスマホ決済を解放した。

これにより銀嶺カードは廃れ、アリペイが隆盛することになった。


法で規制していなくても、国民を代表する議員が大勢いても、こんな間の抜けた事が日常的に起きています。

(もっとも、一部の剛の物、ヤマト運輸創業者などは日参し勝ち取りましたが)


なぜこのようなことが起きるのか?

一つは官僚が天下り先の業界を守ろうとするからです。

今一つは、与党議員が支援を受けている業界を保護する為に、官僚に口利きをするからです(加計・森友・アキタフーズ事件など・・・)。

(支援とは、組織的な選挙応援、パーティー券購入、政治献金、賄賂・・・)

官僚は、法案成立の前段階で与党(自民党)の何々部会の了承を得る必要がある為に、何々族議員に弱みがある。

これ以外にも、政府や与党議員に近いと大型プロジェクトへの参入で、補助金やタダ同然の土地入手など様々な利点があります。

これが政商を育て、与党議員も潤って行きます(かつてのリクルート、今の電通、パソナ・・・)


これらは単なる腐敗で終わる話ではなく、政治(議員と官僚)が自ら自由市場を大きく歪めており、市場に出回るものや残っているものが国民にとって最良になるわけではない事を示している。


結局、資金量、情報量、政治家との癒着度などありとあらゆる事柄が参入障壁となり、競争を歪めています。

つまり完璧な自由市場は存在出来ず、特に腐敗している政治の下では、性能・品質・価格が最良になるような理想的な自由市場など存在しないのです。



* まとめ


逆に規制をなくして放置すれば、自由市場は不完全になります(既に見て来ました)。

したがって、むしろ自由競争を阻害しないよう、また不正や悪化を防止する為にも規制が必要なのです。

だからと言って、今までの自民党のように、献金や選挙支援の返礼に業界の為の規制(優遇)を行うのは本末転倒です。


結局、難しいのですが、大胆に経済活性化を目指した規制緩和を行いながら、社会の安全保障と自由競争を阻害する規制は行うべきなのです(独禁法、公害防止など)。

それには腐敗している政治を一掃することも不可欠ですが。



次回に続きます。





20210415

没落を食い止める! 34: 何が間違っているのか 1: はじめに

  


< 1.世界変革の旗手となった学者達

   上:マルクスとエンゲルス、下:ハイエクとフリードマン >

 

これから新自由主義の根本的な間違いを見て行きます。

国民への洗脳が半世紀あまり続いているので、

頭の切り替えは難しいでしょう。

厳密な話はしません、

おかしいと気付いてもらえればOKです。

 

 

* はじめに

 

私が今、新自由主義に感じているのは、かつての共産主義への熱狂と失望に酷似していることです。

 

19世紀前半、立派な経済学者や哲学者らが、新たな自由主義を掲げて経済を再構築しようとした。

「個人のさらなる自由を求め、市場も自由に任せるべきだ!」と彼らは考えた。

 

一方共産主義者は、「資本家の搾取から脱する為に、労働価値(賃金)を絶体的な労働時間だけで評価すべきだ!」と提言した。

確かに雇用主の恣意的な操作を防げるが、人々の努力や創意工夫が無視されてしまう(今となっては馬鹿げているが)。

同様に「規制の無い自由市場こそが経済を活性化させる」も単純明解そうだが・・・(次回説明)。

 

また新自由主義者らが強調する主張に「小さな政府」があるが、これは明らかな間違いです。

現在の新自由主義国の財政は膨張するばかりで、莫大な累積財政赤字に喘いでいる。

つまり目論見に反して、何を間違ったのか大きな政府になってしまった。

とは言っても国民には増税しサービスを減らし、大企業には減税し、放漫経営後(バブル崩壊)の救済で財政が苦しいのですが。

 

これと似た事が共産主義でもありました。

共産主義は、社会を根底から改革する為に、労働者による政府が一度政治・経済を完全に掌握、計画経済を断行する為に独裁もやむなしとした。

しかし、一度政権を握った共産党と官僚は権益を手放さず、独裁が続き国民は困窮することになった。

(常識では不可能と思われたが、中国は唯一自由市場への方向転換が出来た、一方ソ連は失敗した。)

 

結局、共産主義も新自由主義も、当初の理想とは裏腹な結果になってしまった。

一度権益を得た支配階層、前者では共産党員と官僚、後者では経済界と富裕層らは当初の理想と異なっていようが、頑として非を認めず、独裁へと進む。

前者は強力な言論と警察権力による統制、後者は政府・メデイア・学界と協同して洗脳・扇動して体制維持に勤める。

 

私にはこの二つの主義主張には共通する思い込みがあるように思う。

 

共産主義は、資本家に搾取される労働者の立場を擁護するとして民衆に熱狂的に受け入れられた(当時欧州で)。

多少人類史の知見も取り入れられ、後に致命傷となる欠陥が無視されてしまった。

当時の政府の多くは、現在と同様に資本家側と軍部についていたので、革命でしか政権を掌握できなかった。

 

新自由主義は、労働組合の台頭と国営企業・福祉の増大に業を煮やす経営者や富裕層に熱狂的に受け入れられた。

当時、世界を賑わしていた共産主義への嫌悪もあった。

これには当時主流の経済学(ケインズ経済学)に対立する経済学者らが賛同した。

彼らのバックアップによって保守の政治家らは、大転換を行うことが出来た。

不思議な事に、この一流の経済学者の誰も、現在の重大な失敗を予想できなかったらしい(経済学者ポランニーは予想していたらしい)。

 

当然、当時の首脳や官僚、まして国民は予想できなかったでしょう。

 

それにしても、今になっても誇らしげに大転換を行ったと自画自賛出来る神経が私には理解出来ない(中曽根や渡辺恒雄ら)。

さらに酷いことに、未だに新自由主義を標榜している政治家がいることに呆れる(維新の会)。

もっとも政府側に貼り付いていれば、例え気付いても寝返ることはできないだろうが。

 

 

次回に続きます。

 

 

 

 

20210414

没落を食い止める! 33: 今、世界はどうなっているのか? 4: 世界を苦境に陥れているものとは

  


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今回は、現在、世界が直面している苦境を見ます。

基本、発展途上国の生活レベルは向上しています。

しかし、詳しく見れば至る所に問題が見られます。

 

 

* 世界で起きている災厄

 

これらがすべて新自由主義とグローバル化に起因しているわけではありません。

しかし大戦後、これらの多くは先進国と多国籍企業の横暴な振る舞いが引き起こしました。

 

 

 

< 2. 世界の災厄 >

 

ここでは系統だった話ではなく、幾つかの問題点を挙げます。

 

1. 大国の保護貿易がもたらす弊害

 

おそらく日本人の関心は薄いだろうが、大国が自国の農産品を保護するために手厚い補助金を出し、ダンピングして世界市場で優位に立とうとすることがある。

例えば、米国の綿花です。

米国の綿花が補助金により市場価格が低下し、発展途上国の零細農家が低価格に対抗できずに軒並み倒産し、再起不能になったことがある(アフリカ)。

自国の通貨安誘導もこの手の問題です(米日中もやっている)。

 

本来、この手の問題を調停するためにWTOがあるのだが、上手く機能していない。

 

 

2. 軍需産業の好調が意味するもの

 

世界の兵器製造と軍事サービスの売上額は年間50兆円で毎年伸びている。

米国企業はこの内60%近くのシェアを持ち、世界に輸出している。

米国が頻繁に戦争をするのは、兵器産業の為とは言わないが、軍産複合体の体を成している。

どちらにしても、毎年これだけの兵器が世界に出回るのだから、銃の所有率の多さが銃による死亡を増やしているように、紛争拡大を招いていることは間違いない。

 

またこの事が発展途上国(石油のある中近東)の疲弊と大量の難民を生み、近隣諸国や先進国に混乱が及んでいる。

 

 

3. K(きつい・汚い・危険)の工場移転がもたらすもの

 

先進国で受け入れられない3Kの仕事を安く発展途上国に出すのは、自然かもしれないが、人権を無視したことが度々起きている。

 

バングラディシュに先進国のアパレル産業が縫製作業を大量に出しているが、これが過酷な作業環境と児童労働を生んでいる。

実際、工場の入ったビルの大規模倒壊があり、多くが死亡している。

 

またフランスの電力会社がアフリカのニジェールにウラン採掘場を有し、人力でも採掘させていた。

これが暴露されると、会社は現地政府を巻き込んで違法な隠蔽工作を始めた。

このような各国の大企業である多国籍企業が、現地で問題起こしたり、国有化などの被害を受けそうになると、本国政府は裏で違法な画策を行うことが多々あった。

こうして欧米は南米や中近東から憎まれることになつた(現在の帝国主義か)。

 

 

4. 投機がもたらす災厄と後始末

 

ファンドが発展途上国の為替や先物商品(石油など)を乱高下させて稼いだり、メガバンクが他国の住宅バブルを煽ったりすることがよくある。

 

前者は発展途上国を数年間疲弊させ、国際機関や先進国政府が大規模な援助をすることになる(国民の税金で)。

この時、IMF(国際通貨基金)が各国に緊急融資を行い、各国は一息点くが、そこから地獄が始まる。

IMFは新自由主義の立場を取り、融資した国に徹底的な緊縮財政を強制する(小さな政府)。

ただでさえ景気が急降下しているのに、さらに落ち込み、失業者は溢れ、福祉医療予算がカットされ、さらに低所得層は困窮し、自殺者、病死が増える。

これは結局、相手国の国民の為ではなく、貸金の返却を確実にしているだけに見える。

 

後者はバブルが崩壊し、大量の債務者と銀行に不良債権が残る。

この場合、この民間銀行は大手だけに潰すことが出来ずに、政府が国費で救済することになる(EUの金融危機の時、20兆円ほどが銀行に注入され、大国なら今後100兆円を越える)。

こんな事を繰り返すからメガバンクほど、また図に乗って暴走する。

 

 

* まとめ

 

ここまで見ると、欧米の人が「グローバル化反対」と訴えるのが理解できるでしょう。

どちらにしても、大半の国民また底辺の人々が犠牲になる一方、富裕層が富を得ている状況が理解出来たと思います。

 

それでもグローバル化は止めるべきではありません。

正しく秩序が守られるグローバル化こそが、これからの世界の平和と発展に必要なのです(対立ではなく協力出来る体制)。

 

一つ留意して欲しいことがあります。

それは、これら弱い発展途上国への横暴を調べ、圧力に屈せず、公表・報道している存在が機能していることです。

これを担っているのはアムネスティ・インターナショナル(国際連合との協議資格をもつ非政府組織、NGO)や欧米の報道機関です。

さらにこれら問題を世界的に抑制しようとする活動も進んでいます。

例えば国際的なNGOフェアウッド・パートナーズは森林破壊を防ぐ為、違法伐採を排除する認定制度を設けています。

 

 

次回に続きます。

 

 

 

 

 

20210412

没落を食い止める! 32: 今、世界はどうなっているのか? 3: 世界では?

  


< 1.どちらが世界を・・・ >

 

前回は、新自由主義による国内の変貌を見ました。

今回は、新自由主義とグローバル化による世界の変貌を見ます。

 

 

* お金のビッグバンはこうして起こっている

 

これからグローバル化の関りを説明しますが、私はグローバル化が反対なのでは無く、現状の無軌道な状況が問題だと思っています。

 

 

 

< 2.お金のビッグバン >

 

図の説明

 

1. 最下段

各国中央政府の収支は、戦争でも無い限り国民の税金と国民へのサービスで釣り合っていた。 

これが大転換前の状況でした。

 

2. 右下の×マーク

80年代の大転換が始まると、やがて政府は各国の中央銀行に対してかつて禁じ手(×マーク)だった貨幣供給を指示するようになった。

中央銀行は景気浮揚策として、特に金融危機後の数年から十数年に亘り、貨幣を市場に大量供給している(英米日中が断トツに多く、市中銀行や株・債権購入などで)。

 

3. 左上部の金融市場、メガバンク、多国籍企業

前回見たように国内消費が増えず実業も振るわず、一方で金融への投機を奨励し規制緩和を行っているので、大量の貨幣は金融商品への投機に向かわざるを得ない。

 

ここまでは国内事情とほとんど変わりない。

 

グローバル化(貿易・人・情報の交流が進み世界経済の一体化)が進むと、さらに自由主義の悪弊が拡大することなる。

 

資金が世界中から集まるようになり、また世界各国に向かうようになった。

例えば富裕層を相手にしたヘッジファンドは世界中で荒稼ぎし、アジア通貨危機などを起こしながら、トップのファンドマネジャーなら年間数千億円を稼ぐ。

ヘッジファンドの資金は株、債権や為替、先物商品へ、実需の10倍以上が投入され、価格の乱高下で稼ぐようになった。

 

また多国籍企業やメガバンクは世界を相手に取引を始め、他国との競争を経て巨大化し、これがモラルハザードの欠如を生み、また中央政府の助けもあり、開発途上国への無謀な投資・貸付が、バブルやデフォルトを招く結果にもなっている。

政府は、これら多国籍企業やメガバンクを支援する為に発展途上国への都市開発や兵器売却を首脳外交で行っている(これは帝国主義の前期と酷似し、カントリーリスクが発生すると政府は損失を避ける為に軍事干渉を始める)。

 

4. 右上の❔マーク

これらの結果、何が起きたのか?

相次ぐ金融危機後の金融緩和で世界の金融市場に注ぎ込まれた資金は膨大になり、今や加速度的に増加している。

そして、その富を一部の超富裕層、おそらく全世界で数万の持ち株会社が世界の大半の企業グループを掌握するようになっただろう(今、世界人口の1%で総資産の50%を所有、さらに増加)。

 

少し振返って欲しい。

80年代、小さな政府を目指したはずが、いつの間にか各国政府は国民とは無縁な所で、貨幣発行と言う手段で別の世界(金持ち天国)を国民の上に造り上げた。

 

 

 

< 3. 世界の脱税競争 >

 

なぜ国民の暮らしが良くならず、なぜ超金持ちはより豊かになるのか?

その理由は上記の理由が一番なのですが、脱税競争も大きい。

 

図の説明

 

1. 中央の世界地図: タックスヘイブン(オフショア・センターも)を示している

タックスヘイブンは税金をゼロか低率にし、秘密保護まで行って富裕層、企業、諜報機関、犯罪集団に便宜を図っている都市や国で、世界に60ヶ所ほどある。

 

これにより世界で10%近くの税逃れが発生している(推測)。

例えばアップルはアイルランド、アマゾンはルクセンブルクなど、税率の低い所に本社を移して節税している。

アップルは法人税を23%ほど支払っていると自画自賛しているが、日本の平均的な勤労者であれば所得税・住民税を30%払う(最も日本の企業も23%ほどだが)。

おそらくトランプは腹立たしい税金など払っていない(最高裁は開示を求めたが)。

パナマ文書で明かになったが、日本でも盛んに行われている。

幸か不幸か、善良で貧しい国民にはタックスヘイブンは無縁です。

 

地図の下に、代表的な地域を示した。

タックスヘイブン地は多数の事業所誘致と、サービス業でメリットがある。

 

 

2. 上段の❔マーク

上記の税逃れの蔓延が、国内の税制を歪め、逆累進課税を生むことになる。

 

それは富裕層と法人が、所得税と法人税を上げると国外に逃げると経済界を通じて政府を脅すようになったからです。

普通、製造業は海外に工場を移すが、市場がある国内に本社機能を残し、金持ちも暮らしやすい先進国(自国)から抜け出す数は微々たるものです。

それでも各国は、やがて税の最高税率下げの泥沼の競争から抜け出せなくなり、その穴埋めに間接税(消費税)増税に向かった。

 

これは税逃れが難しく、景気に左右されないので安定した税収になり、国と金持ちには最高!!

一方、労働者には最悪だ!!!!

 

結局、現生は法人と金持ちに天国となった。

タックスヘイブンで税を払わず、国内の税金も減らしてくれるのだから。

従って経済界と大富豪は政府とマスコミを抱き込む為に数百億円を使うぐらいは厭わない(米国の場合、一人で)。

 

 

3. 最下段右の❔マーク

ここで問題になるのが、国際機関の脆弱さです。

 

これからは世界的な税制創設と税逃れの規制を構築しない限り、悪化するばかりです。

現在、上記の税逃れを少しでも取り戻そうと各国が動いているがバラバラです。

タックスヘイブンを抑え込むために名前を公表し(これ以上できない)、世界的な金融取引税創設、GAFAを狙ったデジタル税などで奮闘している。

 

しかし世界にまとまりがなく制裁力が無いため、あまり期待出来ない。

この纏まりの無い理由の一つが、相変わらずの米国の単独行動でしたが、バイデンになって前進し始めたようです。

 

 

次回に続きます。

 

 

20210411

没落を食い止める! 31: 今、世界はどうなっているのか? 2: 国内では?

  

 



< 1.期待はすれど・・、元から断たなければ! >

 

今回は、新自由主義国の政治経済の全体像を漫画的に説明します。

細かく見れば複雑ですが、実は単純明解です。

他国とは少し異なりますが、日本を例に見ます。

 

 

 

< 2. 現在の政治経済の姿 >

 

この状況は1980年代の大転換から始まりました。

新自由主義国は小さな政府と規制緩和を目指し、労働組合を潰し、グローバル化を推進し、大規模に貨幣供給の制御を始めた(かつて労働者は規制・権利擁護によって守られていた)。

 

1. 中央の黒矢印A

最初の地盤崩壊は、2段目の労働団体の弱体化です。

 

政府は企業に有利なように労働組合を弱体化させ、非正規雇用を増やすなどを行った。

政府と経済界は、これまで様々な手段を陰陽に駆使して労働組合を弱体化させて来ている、現在も。

労働組合の弱体化は、労働者寄りの政党も弱体化させることにもなる(日教組の弱体が社会党の弱体に繋がったように、これは日本だけではない)。

 

2. 中央の黒矢印B

次の地盤変化は、1段目の金融業の隆盛です。

 

政府は景気浮揚策として、投機の規制緩和と金融緩和(低金利と日本銀行の貨幣供給拡大など)を行った(日本は破格規模の土木事業も続けた)。

 

これは本来目指したものではないが、経済が良くならないので仕方なく始めたが抜け出せなくなり、大きな災いを生むようになった。

 

 

3. 上半部の赤矢印CとD

相次ぐ政策で富裕層や企業が豊かになり、政府への影響力Cが増します。

遅れて、金融業(投機)の膨張は投機家(富裕層)の影響力Dが増します。

これは金融危機とグローバル化が進む度に強くなりました。

 

一方労働者(国民)、つまり大多数の国民の所得が伸び無くなり経済成長が鈍化し、デフレが続く事になり、格差の拡大もつづくようになった。

 

 

4. 大きなピンク枠「政府」

政府は、定着するデフレを克服する為に、益々規制緩和と大型の金融緩和で景気浮揚を目指すが効果が出ない。

 

一方、政府(議員)は選挙(資金と組織票)と経済政策の為に、大きく力を付けた経済界と富裕層と強く繋がることになった。

すると政府の規制緩和(商取引、金融取引、労働者の権利、業界保護など)は恣意的になり、つまり経済界と富裕層に都合の良いものになった。

 

法人税・相続税・所得税(高額部分)の減税と消費税増税もこの結果です。

金融緩和策(低金利と貨幣供給拡大、投機奨励など)なども同じです。

当然、大多数の経済学者も経済界と政府に癒着します。

特に一党長期政権が続く日本では腐敗が強く、政策はより偏向したものになった。

 

この結果、さらに格差拡大と低所得層の消費が減り、経済が落ち込み、また金融危機が繰り返すようになった。

 

 

5. 下部の矢印EFGH

かつては国民の声が、矢印Hのように選挙を通じて、国会に反映されたのですが、今は様変わりしてしまった。

 

新自由主義国、特に米国では富裕層が選挙に大きく影響するようになった。

この理由は規制緩和により、富裕層が莫大な資金力にものを言わせ身贔屓の候補を選挙支援するようになり、また公平性を持たない報道機関が扇動出来るようになった事が大きいい(金権政治)。

 

残念な事に日本では、政治社会意識を育てない学校教育と、政府の露骨なまでのマスコミ抑圧が、一層、国民を選挙から遠ざけ、政治を不毛にしている。

 

 

* まとめ

 

欧米先進国は概ね、新自由主義国になっており、米英日が先頭を走っている。

国によってバラツキはあるが、悪化の基本構造は同じであり、グローバル化で益々競争しながら均一化され、悪化の度合いを増している。

残念な事に、政治文化が遅れ腐敗している国は一層酷くなる運命にある。

 

一方先進国でも、比較的小さな国(北欧など)は別の道を歩み、新自由主義国のような格差拡大、分断、治安悪化から免れている。

さらに幸福度など社会経済指標は世界ランキングでいつも上位にあるのが羨ましい。

 

 

 

次回はグローバル化した経済を見ます。

 

 

 

 

 

20210410

没落を食い止める! 30: 今、世界はどうなっているのか? 1: はじめに

  


*1

 

 

新自由主義(放任経済)と金融偏重が、

国・国民・世界に犠牲を強いている状況をまとめます。

格差、賃金低下、失業、治安悪化も当たり前になり、

日本だけでなく多くの国で金権政治が進んだ。

しかし、この悪夢は始まったばかりです。

 

 

* 新自由主義国の哀れ

 

現状の経済を批判すると、必ず出て来る指摘がある。

「あなたは資本主義、自由主義、さらには民主主義を否定するのか」

 

もちろんそんなつもりはありません。

この指摘は洗脳によるか、短絡思考による勘違いに過ぎない。

 

例えば、19世紀後半に帝国主義に走った英国、20世紀前半に世界大戦の口火を切った日独伊、20世紀後半に世界中で紛争を拡大した米国、これらは紛れも無く資本主義国家で、しかも概ね民主主義国家でした。

 

至極当然なのですが、資本主義は完全無欠ではないのです。

 

更にこう指摘されるかもしれない。

「最新経済学による優れた経済制度に問題があるはずはない」

 

それを言うなら、1960から70年代の経済の方が、国民にとって良かったことをどう説明するのか?(当時、日本は希望に溢れていた)

また、強大化する金融危機に毎回悪戦苦闘し、財政赤字を増やし続け、経済成長率鈍化や失業率の増大、加えて格差拡大や社会の分断が進む現状を、政府や経済学者はどう説明し、さらには是正案を提示しているのか?

 

新自由主義国の政府は、いずれ良くなるはずだと毎回政策をぶち上げるが、この30年間、国民の生活はほとんど良くなっていない。

残念ながら主流である御用学者も言い訳し逃げているだけです(高橋や岩田が好例)。

 

せいぜい一部の反骨のエコノミスト、スティグリッツ、ジェフ・マドリック、ピケティ、藤井聡らが的確に現行の経済を批判しているに過ぎない。

綜合的に対案を提示しているのはMMT現代貨幣理論のグループぐらいではないでしょうか。

 

 

*2

 

バブルの度に国民は夢を膨らませたが、いずれも必ず悪夢が訪れた。

それでも国民は夢を繋いで生きている。

 

この現状に、私は人間社会の悲しい性を見る思いがする。

 

英国が世界最大の帝国から没落し始めた頃、国民はまだかつての栄華の余韻に浸っていた。

当時の英国ではグルメ、温泉、旅行、健康番組が大流行し、没落とは無縁だった。

覇権国を誇示できた英国、帝国主義国家の内実は、赤字続きで多くの若い兵士の血を砂漠に流しただけでした(植民地に投資した資本家だけは儲けた)。

 

自国の没落さえ気付かない見たくない人間が、共に多くの国も没落している状況で没落を自覚することは、至難の業と言わざるを得ない。

 

だが世界に目をやれば光明はある。

 

幸いな事に北欧4ヵ国は、20世紀後半から新自由主義国とは別の道を歩んでいた。

そして、新自由主義国が抱える数多くの問題点から、それこそ自由であり続けている。

 

また、あれほど絶望視されていた共産主義の中国が、予想を裏切って経済の大躍進を続けている。

コロナの対応を見ても一流国、少なくとも日本よりは格上の国である事を示した。

 

つまり現在の新自由主義国だけが進むべき道では無いことが証明されている。

 

 

次回に続きます。

 

20210409

没落を食い止める! 29: この先、世界はどうなるのか? 4: 格差がもたらす危機

  



*1

 

前回、移民と分断について見ました。

今回は、格差がもたらす危機について考察します。

格差は自由の証しなどではなく、社会を破壊する力になります。

 

* 最初に銃の問題を見ます

 

皆さんは銃と聞いて、最初に脳裏をかすめるのは、米国の治安の悪さではないでしょうか。

何が治安を悪くしているか種明かしをします。

 

 

< 2.各国の銃による自殺・他殺率 >

http://ble2j.blog.jp/archives/7035778.html

 

ポイントの一つは、銃による自殺(赤)が多いことです。

実は米国も日本も10万人当たりの自殺率は15人と20人で、米国はその半数弱が銃により、当然日本は銃以外です。

もし銃が無ければ、米国の自殺は半減するはずです。

 

主眼は、米国の銃による他殺(青)が他国を圧倒していることです。

これは銃の所持率の影響でしょうか?

次のグラフを見て下さい。

 

 

 

< 3. 各国の銃保有率 >

http://honkawa2.sakura.ne.jp/9365.html

 

折れ線を見ると米国とカナダの人口当たりの保有率は90と31丁です。

両国の保有率の差は3倍ですが、グラフ2の他殺率は約6倍で、この差は何を意味するのでしょうか?

 

 

< 4. 米国(赤)とカナダ(青)の州毎の殺人件数/百万人 >

How economic inequality harms societies by Richard Wilkinson2011

https://www.youtube.com/watch?v=cZ7LzE3u7Bw

YouTubeの 724秒後)

 

ポイントは、横軸の所得格差が高い州ほど縦軸の殺人件数が高く、両国の格差の最大と最小で比べると、優に16倍にもなる。

つまり殺人の多さ(治安の悪さ)は、銃保有率よりも所得格差が原因なのです。

 

従って、米国では治安が悪いために銃を護身用にと、銃規制に尻込みする人が多く、悪循環から抜け出せないのです(全米ライフル協会の扇動もあるが)。

 

 

 

 

< 5. 米国の犯罪件数の推移 >

http://honkawa2.sakura.ne.jp/8808.html

 

これを見ると犯罪件数が70から80年代に急増していることが分かる。

この時期は所得格差と移民が急増した時期です。

(90年代以降犯罪が減っている理由は不明)

 

 

* 格差が社会に及ぼす影響について

 

格差拡大が、犯罪・治安に悪影響を与えているのが分かりました。

だが、さらに格差は社会を蝕んで行くことになります。

それが既に紹介してきた文明の衰退を招いた要因でした。

 

 

< 6. 社会問題と所得格差の相関 >

先述 by Richard Wilkinson”

縦軸(社会問題)は、国際的指標の「平均余命」「児童の算数や読み書き能力」「幼児死亡率」「殺人発生率」「囚人の割合」「13~19歳の出産率」「信用率」「肥満率」「精神病率」「社会的流動性」を加算したものです。

 

このグラフは横軸の格差が大きいほど、縦軸の社会問題が大きいことを示している

(データが10年以上前で古く、また北欧が入っていないが日本は良好でした)

 

 

 

< 7.社会の流動性と格差の相関 >

先述 by Richard Wilkinson”

YouTubeの 825秒後

 

このグラフから、米英では裕福な家庭の子は裕福で、貧しい家庭の子は貧しいと言うことになり、北欧4ヵ国は英米とは真逆だと言うことがわかります。

これは民衆の絶望や不満を高めることになる。

 

 

 

< 8.他者への信用率 >

先述 by Richard Wilkinson”

YouTubeの 551秒後)

 

この「信用率」は単純に「大抵の人を信用できる」に賛同した人の割合です。

格差が小さい北欧4ヵ国では信用率は65%と高いが、格差が一番大きい国では人口の約15%しか他人を信用できない。

ここでも英米は低い方に位置している。

 

 

 

< 9. 米国の州毎の信用率 >

先述 by Richard Wilkinson”

YouTubeの 623秒後)

 

これを見ると、格差の大きい州(MSミシシッピ)では信用率が低く、小さければ(NHニューハンプシャー)信用率が高くなる傾向は明瞭です。

 

 

* まとめ

 

ここまで来れば、格差は自由の証しなどでは無く、社会が大きな犠牲を払い、かつ衰退や崩壊の要因になることを感じたのではないでしょうか。

 

ここで簡単に崩壊のメカニズムを説明します。

 

1. 社会が腐敗し格差が拡大し始める。

社会が腐敗していなければ、民主国家にあっては国民の意向で格差拡大を防げます。

しかし腐敗した政府(御用マスコミなど)によって格差は自由の証しなどと洗脳され、また不都合な真実は隠蔽される。

つまり社会が腐敗しだすと、雪だるまが坂を転がるように大きくなるのを止めるのは難しくなるのです。

 

2. 所得格差の拡大が社会を疲弊させる。

大半の所得が減り、低所得層の拡大と固定化が進み、治安が悪化し、民衆に絶望感と不満が高まります。

しかしここで、民意が適切に政治に生かされば良いのですが、残念ながら、既に特権階層が政治を操るようになっています。

 

3. そして暴発します。

多くの人は真実から遠ざけられ(愚民政策、マスコミ支配)、地域や国に対する信頼を無くしている。

そこに手短で魅力ある解決策を提唱する煽動家(フェイク男)が出現する。

こうなると一気に世論は熱狂し暴走を始める。

 

これがヒトラーであり、トランプであり、太平洋戦争前の日本でした。

 

おそらく今のまま格差が拡大して行くと、分断はより厳しくなり、米国は暴走を始め、世界は大きな災厄に見舞われるだろう。

 

 

次回に続きます。

 

 

 

20210408

没落を食い止める! 28: この先、世界はどうなるのか? 4: 移民と分断について

  





*1

 

前回、戦争と恐慌の関係を見ました。

今回は、分断と移民について考察します。

身勝手な政策がやがてブーメランになって災いとなる好例です。

 

 

* なぜ国内に分断が起きるのか?

 

先ずは経済低迷による失業者増大、次いで経済格差の拡大でしょうか。

次いで分断に拍車をかけるのが移民や難民、民族や宗教の違いです。

 

米国の分断は80年代頃から勢い付いたように思う。

以下の図を見て下さい、当時の白人層が何を恐れていたかが予想できる。

 

 

 

< 2. 米国への移民と人口構成の変化 >

 

上図:

大戦後、移民が急速に復活するが、移民法の改訂を切っ掛けにして、白人以外が急激に大勢を占めるようになった。

不法移民は現在累計1000万人になり、多くが中南米からであった。

 

下図:

2050年には白人が50%を切り、さらに減っていくことになる。

 

トランプはこの危機感を捉えて、移民難民の排斥を訴えることで人気を得た(ヒトラーはユダヤ人と共産主義を)。

 

 

* なぜ移民難民は増えるのか?

 

意外と思われるかも知れないが、人類史は移民の歴史でした。

古代ユダヤ王国を造ったのはユーフラテス川流域からの避難民の群れでした。

現生人類に始まりゲルマン人、モンゴル人、女真族、オーストロネシア人(南太平洋)、アメリカ人も故国を離れ、長き移動の果てに新しい文明や国を造って来た。

 

確かに、数世紀前までは移民・難民は主に気候変動(乾燥)により故郷を発たなければならず、行先で血生臭い戦いの末に定住地を得ることになった。

 

それでは現在の移民難民は何に起因しているのでしょうか?

 

大きく二つの要因があり、一つは紛争です。

1億人にのぼる難民の多くはアフリカ・中東で生まれていますが、この多くは大国の干渉が発端の紛争でした。

主に植民地政策の残滓(アフリカ)、冷戦による米ソの代理戦争(ベトナム)、キリスト教とイスラム教の対立を煽った米国のイスラエル支援(中東)です(代表的地域を示す)。

 

今一つは貧困です。

20世紀前半、貧困はドイツや北欧、東欧にもあり、多くが米国に移住したが、彼らは白人でした。

しかし大戦後、アジアや中南米の人々が米国に向かった。

 

中南米はなぜ困窮したのか?

 

この地は、植民地からの独立を19世紀には終え、比較的順調な国もあった。

しかし多くは小国で少数の支配層(白人系)が牛耳り、産業は遅れ、格差も著しかった。

 

米国は、第一次世界大戦後、中南米で最大の投資国になって行きます。

その後中南米は、世界大恐慌、第二次世界大戦、オイルショックが起きる度に人口が増大する中で経済困窮に見舞われます。

やがて中南米で政変が頻発し、多国籍企業の国有化や民主主義・社会主義を目指す国が現れます。

すると米国は冷戦と自国企業保護の為に干渉を始め、時には国防総省とCIAが反政府ゲリラを育成し、政府を傀儡の独裁者に替えた(ニカラグア、コロンビア、ミキシコ、ペルーなど、ベトナムも同じ)。

(こうして中東と同じように中南米でも米国は嫌われた)

この結果、脆弱な産業基盤と温暖化が重なり困窮するようになった。

こうして陸続きの米国に向かった。

 

 

* 移民難民は先進国にとって災いなのか?

 

実は二つの相反する側面があります。

 

なぜ欧米は移民を受け入れて来たのでしょうか?

人道的見地で難民を受け入れる事もあるが、多くは労働力として移民を必要とした。

但し、これを欲するのは企業側で、彼らが安く過酷な労働に耐えてくれるからです。

政府も歓迎した。

先進国はどこも出生率の低下に悩み、移民受け入れは人口(労働力)減を補う手っ取り早い方法でした。

当然、これは国内労働者にとっては賃金低下を招くので迷惑だった。

 

しかし問題はほんの始まりに過ぎなかった。

それは移民労働者を低賃金で雇い続けた為に、その低所得家族の教育水準が劣悪になり、やがて所得水準の低い隔離されたスラム街が誕生する。

これが治安悪化を招き、周囲と険悪になり悪循環を生んだ。

こうして移民難民は排斥されることになる。

 

ところが、これらを抑制出来ている国がある。

例えばスウェーデンには移民が30%を越える都市が幾つもあるが、これまで問題はなかった(今後?)。

これは移民であっても、スウェーデン語か英語が出来て、職能を有していれば、その職業の最低賃金が得られる制度が機能しているからです。

当然、教育制度の充実は必要ですが、国内労働者にとっても治安についても、悪化要因を排除できます。

 

 

* まとめ

 

大国(多国籍企業、投資ファンドも)は往々にして身勝手に振る舞い、少数民族や小国を疲弊させることがある。

しかし、それが周り回って自国を混乱させることになる。

そして気付かない内に取返しがつかなくなり、回復が困難で、混乱と衰退は深まるだろう。

 

だから別の民族や他国と接する時は、人権を尊重することが身を滅ぼさない為にも重要です。

 

 

次回、国内問題の銃所持と格差が何をもたらすかを見ます。