20171007

フランスを巡って 39: モンサンミッシェル 5





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今日で、モンサンミッシェルの紹介は最後になります。
修道院を出て外周を廻り、村の暮らしを感じさせる裏道を下りました。




 

< 2. 地図 >

今回、紹介する徒歩ルートです。
写真は2017年5月24日、14:00~17:00に撮影しました。
観光している間に、みるみるうちに雲がなくなっていきました。

上の写真: 上が南です。
Sは修道院内部を見学して出て来た所で、黄色線は外周を歩き、正面に出るまでです。

下の写真: 上が北です。
赤線は街を見下ろす道で、真っすぐ進むと下ることが出来ます。
私達は途中で引き返し、青線を降りて出口Eに向かいました。



 

< 3.出口周辺、地図のS >

上の写真: 出口辺りから西側の海岸線を見ている。


 

< 4. 島の西端から >

左上の写真: 出口から人が出て来ている。
右上に鐘楼が見える。

右上の写真: 下を見下ろすと、海岸に突き出した小屋が見える。

下の写真: 大砲が睨みを利かしている展望台。




 

< 5.絶壁 >

上の写真: 出口のある建物を見上げた。

下の写真: 最上階は食事室だろう。
地震が起きたらどうなるのだろうか?
不安がよぎる。



 

< 6. 正面に出た >

黄色線ルートが終わり、赤線ルートの始まり。

右上の写真: 右側の階段を上ると、修道院内部の見学ルートとなり、既に紹介しました。
左の道を進むと、街を見下ろす赤線ルートになります。


 

< 7.  街を見下ろす道から 1 >

赤線ルートを進む。


 

< 8. 街を見下ろす道から 2 >

赤線ルートを進む。


 

< 9. 街の裏側を下る 1 >

青線ルートを降りる。

左上の写真: 墓地が見える。
右上の写真: 墓地から見上げる。
下の写真: ウミネコが煙突に巣を作っていた。




 

< 10. メイン通りを抜けて、城外に出る >

 

< 11. 桟橋から >

これで半日に及ぶモンサンミッシェルの観光が終わりました。


今思うこと
充分に観光時間を割いてくれたツアーでしたが、それでもまだまだ感じたい知りたい事を多く残して来たように思う。

私がモンサンミッシェルに興味を持ち始めたのは1961年の映画「エル・シド」を見てからでした。
チャールストン・ヘストン演じる馬上の騎士エル・シドが海岸に聳える城を遠望している姿が、印象的でした。
これ以降、是非ともいつかはモンサンミッシェルに訪れたいと思うようになりました。
やっと、その望みが叶えられました。

実は旅行間際に調べてみると、この映画の舞台はスペイン、バレンシアの海岸の城だったことを知りました。
それでも遠浅の浜に聳えたつ中世の建築物は見応え充分でした。

ここには1000年にも及ぶ篤き信仰心に支えられ、途方もない労力を注ぎ込み造られた教会があった。
また100年に及ぶ海峡を挟んだ巨大な戦争によって大要塞と化した。
この時は、ジャンヌ・ダルクも救援に駆け付けようとした。
フランス革命後は打ち捨てられていたが、今は貴重な文化財として保存されている。

この島の魅力は、巨大で荘厳な教会と要塞が一体でありながら、その内部に庶民が暮らす街が共存していることかもしれない。
初めは聖地として選ばれた海岸から離れたこの岩山が、それ故に要塞となった。
心の平和を希求するがゆえに選んだ地が血生臭い要塞となってしまった。
実に人間らしい産物と言えるかもしれない。


次回から、ロワール地方を紹介します。














20171005

何か変ですよ 73: 日本の問題、世界の問題 9: 今、何を始めるべきか?





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今、選挙が始まろうとしています。
これは、まさに世界が加速度的に劣化していくことを象徴しています。
なんとか劣化を食い止めたいものです。


第一章 はじめに
日本の首相は野党の体たらくにつけ込み、勢力拡大を狙い解散を行いました。
彼は実に政治の駆け引きが巧で、まさに独走態勢です。
一方、野党は未熟の一言に尽きます。
先進国では珍しいと言うか、世界はこの潮流に呑み込まれつつあります。

おそらく、選挙後、首相は憲法改変や軍事力増強を行い、短期的には周辺諸国との紛争突入の可能性が高まり、中期的には世界で火種が増し、長期的には国内で所得格差が拡大し、経済破綻が起こるかもしれません。

もしかすると、彼が采配を振るうことにより、逆に世界はより平和となり、やがて起こる経済成長が格差を縮め、経済破綻も防げるかも知れません。

ここが思案のしどころとお悩みの方も多いことでしょう。

検討すべきポイントは二つです。
一つは現政権の政策を押し進めて良いのか、または避けるべき政策があるのかと言うことです。
そうだとしても頼りない野党を選んで良いのかと言うジレンマもあります。



第二章 現在の問題
この連載で、これまで様々な問題を指摘して来ましたが、最大のものは何でしょうか?

世界に関しては、際立つものとしては自由放任主義のグローバル化と米国の身勝手な軍事行動でしょう。
これを仕向けて来たのは一部の超富裕な金融資本家達の強欲と言えるでしょう。
このことを指摘するのは良識ある学者に留まらず右派・左派の論客にもいます。

日本に関して、放置すれば致命傷となるのは労働人口減と米国追従でしょう。
これらがなぜ放置されて来たかと言えば、戦後レジームの惰性、つまり長期与党の安逸な日々が続いたからと言えるでしょう。

あまりにも単純な指摘ですが、現在のように放置し続けると、痛いしっぺ返しを受けるでしょう。
つまり、今の政策以前に現与党の姿勢と、その背景にある世界の潮流に杭を打ち始めることが肝要です。

残念ながら、これらは即効性のない提案ばかりです。
とりあえず現政権の経済と軍事の暴走防ぎ、後は世界と共に手を打ち始めることから始めなければならない。

要点を以下に述べます。


 
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第三章 世界を危険に陥れている問題
a) 自由放任主義のグローバル化
既にこれまで説明して来ましたが、要点を述べます。

これが各国の所得格差を拡大させたことにより、多くの低所得層だけでなく中間層までが不満を持つようになった。
また金融セクターのエゴによって起こる金融危機は、各国の財政を悪化させ、緊縮財政による福祉の低下と大量失業が貧困層を増大させた。


b) 米国の身勝手な軍事行動
米国だけが身勝手な軍事行動を行っているわけではないが、世界を戦火に巻き込み、内戦や難民を最も多く出しているのは米国です。
また米国は経済や諜報活動でも、世界に悪影響を与え続けている。
例えば、地球温暖化条約破棄やクーデター支援(政府転覆)などがこれにあたる。

この二つのことが半世紀以上続いたことにより生じた難民や移民が流れ込む先進国では高失業と重なり不平不満が高まり、エゴ剥き出しの排外主義が横行するようになった。
このことが、米国ではトランプ現象となり、EUや日本では右傾化が進んでいる。
これを象徴するスローガンが「米国一番」「都民ファースト」であり、人々を魅了することになった。

不思議な事に、日本では失業や難民問題が深刻でないにも関わらず、米国と中国・北朝鮮との対立に煽られて、キナ臭さから焦げ臭くなりつつある。

このまま進めば、先進国を含む世界はどうなるのだろうか?
はい、悪化するだけです。
このまま勝手に世界が正常に戻る理屈はない。

そうは言っても、各国の努力は無駄なのか?
米英日以外にうまくやっている先進国(北欧やドイツなど)もあるが、世界は一連托生にならざるを得ない。
景気刺激策が功を奏したら、必ず良くなると信じたいのは皆同じですが、同じ事が繰り返されるだけです。

上記、二つのこと放置したままでは、他の施策を行っても焼け石に水か、破綻を先延ばしするだけで、むしろ傷を深めることでしょう。
待ち受けるのは世界を巻き込む巨大な金融危機か資源獲得紛争、ついには核戦争でしょう。


 
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第四章  日本を窮地に追い込む問題
a) 労働者人口減
これは単純明解で、経済にマイナスです。
日本も遅れて、いくらか対策を嵩じてはいるが、あまりにも遅い。
また移民に対して嫌悪感があり、このまま行くと、長期減退は免れない。

b) 米国追従
「米国追従の何が悪いのか?」と責められそうです。
また「お前は、反日か!」と罵られそうです。

これまでのように日本が米国追従を続けるなら、前述した「世界を危険に陥れている問題」を方向転換するどころか、英国と共に米国の身勝手をさらに加速させることになる。

一番の問題はこれらを無視して来た与党の姿勢であり、これを見過ごして来た国民にも責任の一端はある。
米国の意向に沿った原発促進や莫大な公共投資が何を招いたでしょうか?
前者の功罪は世界の判断から明確になった。
後者は日本の経済成長を呼び起こすはずのものだったが、その結果、零成長と世界でも群を抜く累積赤字となった。
これらは「NOとは言えない」与党政府が招いた結果の一部にしか過ぎない。



米国追従を望む人々は、米国の核の傘に入れば安心だと思っているようです。

しかし、私は技術的見て日本列島を核攻撃から守れるとは思えない。
むしろ、火種が増し、紛争の最前線となるのは極東の端にある日本列島でしょう(米国にとって防波堤)。
また米国との同盟強化による抑止力を期待する人もいるが、この効果は良くもあり、悪くもありと言うところです。
簡単に言うと、敵国が冷静で正確な情報を持っていれば抑止力は増すが、そうでない場合は、敵国は戦意を煽られ暴挙に出る可能性が高まる。
米国のおかげで防衛費が少なくて良かったと言う意見もあるが、現状の軍事費(GDP比率も)の国はいくらでもある。

重要なのは、大戦以降、米国の軍事行動の大半が世界中に戦火を広げ混迷の種を撒いて来たと言う事実です。
ましてトランプの下では危険性は高まるだけでしょう。

なぜ日本政府が米国追従なのか様々な憶測が飛び交っているが、戦後、政府の政策を見ていると、経済(構造協議)、金融(市場開放)、産業(民営化)、為替(プラザ合意)、軍事(海外派兵)すべてに米国の言いなりと言える。
おそらく密約やCIA等により日本政府が牛耳られていると言うよりは、単に自発的な交渉で米国(政府や議会)の機嫌を損なうよりは、言いなりが楽と言うことに尽きるのだろう。
この手の押し付け、自由放任主義の拡散は世界中に行われたが、日本は最も従順に受け入れて来た。

例えば、沖縄返還では、その結果によりノーベル賞を受賞した首相もいれば、その秘密交渉に尽力した外交官は、その結果に後悔して服毒自殺していた。
それでも対外交渉の矢面に立つ外務官僚は徐々に変わって来ているようだが、旗振り役の政治家はやはり国民受けのアピールを狙い、旧態依然とした手法に頼ることになるだろう。


 
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第五章 現政権の長短
a) 首相の長所
首相は政治駆け引きとリーダーシップに優れ、与党内からの反発が少なく、長期政権を担える。
また彼は外交にやりがいを感じており、日本はとりあえず目立つ存在になった。
 
b) 首相の短所
今回の解散や消費税撤回、憲法改正の進め方、身内問題(加計など)などを見ていると、信頼出来る人物ではない。
つまり、国民の願う方向に向かうとは限らない。
麻生の言うように、いつの間にかナチスに牛耳られたと言うことになるかもしれない。

最も不安なのは、彼の認識の偏りとある拘りです。 
かつての日本の戦争の評価や戦争回避の手法、また経済や政治運営において、今までの与党にもあった制約がなし崩しになって来た。
単に、右翼と言ってしまえばそれまでだが、それだけではない。
その目立つ強引さに比べ、将来招くことになる様々な弊害についての目配りが不足している。
ふるさと納税や年金の株式運用など、問題を訴えた官僚達は外され、顧みられることはない。

もう一つは、岸おじいさんへの極度の愛着で、これが彼を振る舞いの淵源だろう。


c) 政策の問題
他の事で目立っても、自由放任主義のグローバル化や米国追従に積極的なのでは何ら解決にならない。

本来、円安誘導は米国を怒らすはずだったが、今回それが無かったのが不思議です。
考えられるのは、軍事的な追従で帳消しにされているのか、大量の米国債を買うことで許されているのかもしれない(将来、ドル安になれば大損害となる)。

アベノミクスによる経済効果はあっても一時的でしょう。
現内閣は誕生時から、世界の金融危機後の立ち上がりと言う幸運に恵まれていた。
もし効果があったとしても、その後、どこかで金融危機が起これば、膨大な貨幣供給により大きなしっぺ返しを被ることになるでしょう。
結局は、米国や英国の二の舞になるだけです。

結論としては、現政権の延長は、戦争と経済に関して危険が増すと言うことになる。



 
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第六章 国のトップの資質について
a) トランプに期待する人の意見
期待する理由は彼が財を成し得たのは優れた交渉術のおかげだと言うものです。
これが米国の再生を救うと信じている。

しかし、彼の事業手腕のポイントは法(破産、公共体からの融資、脱税など)を犯罪すれすれで悪用し、一方で悪徳で名高い弁護士によって事業を拡大して来たと言える。
つまり、極論すれば自分で法を犯しながら、国法に守らて来たと言える。
このような手法が、法を率先垂範すべき国のトップ、ましてや信頼が欠かせない各国間で通用するとは思えない。
各国間の懸案は脅しと軍事力でしか解決しないと考えれば、トランプは良い選択かもしれない(その結果は恐ろしいが)。


b) 保守が期待するトップ像
ある日本の保守論客(元外交官)は、敵を作り紛争を繰り返す米国を悪の権化と言い募る。
さらに彼は欧米は国際金融勢力による傀儡であり、そのマスコミも牛耳られ、逆らうロシアなどを食い物にしようとしていると指摘する。

彼の指摘は事実も混じっているので面白いが、最大の難点は論理の飛躍があることです。
不思議なことに、日本政府はその害毒に毒されず、ましてや現首相は毅然とそれに立ち向かえると言うのです。
つまり、世界を救うのは今の首相しかいないと言うのです。

百歩譲って、それを認めたとして、現実の動きはどうでしょうか。
首相はトランプを諫め、暴挙を抑えようとしているでしょうか。

例え、互いに同意見だから協力しているとしても、最初の前提とは甚だしく異なっているように思えるのだが。
私にとってこの手の論説は、唯の好き嫌いを長々と述べているに過ぎないと思うのだが。



第七章 世界と国内の関係について
自由放任主義のグローバル化が悪いと解っても、それを正す方法に問題がある。

ある識者は言う、自由を求めて広がるグローバル化を規制や税で制御すること自体に無理がある。
大半の経済学者も、これに賛同するだろう。
一理はあるが、明らかに災厄の原因が判明しているのに放置して良いことにはならない。

確かに、現状では多国間の貿易交渉さえまとまり難いのに、まして世界を統一された規制や税制で網羅しようとすることは不可能に近いかもしれない。
そうは言っても、世界は徐々に主要20カ国リーダー会議とか、フロン規制などで成果を積み上げて来ている。

ここで見方を変えて、災いの根源となっている超大国の横暴を抑えることが出来れば、世界は一歩前進するのではないでしょうか。
つまり、超大国に追従するばかりでなく、独仏が行っているように、友好国ではあるが、その都度是々非々で対応を判断するぐらいの自主性を持つことが、これからの日本に求められるのではないでしょうか。

もっとも大事なことは、少なくとも超大国の身勝手を、他の先進国と一緒になって抑えるようにならなくてはならない。
つまり、グローバル化の災いを招いている金融セクターの独走を米国から正すことです。

我々が、現状の世界経済の行く末を正すには、世界規模の改変か、米国(一部EU含む)を諫めて行くことから始めるしかない。



第八章 今回の選挙にあたって
とりあえず、何を選んではならないかは見えて来ました。
しかし、それではどの政党を選べば良いのでしょうか?

残念ながら、私にも見えて来ない。
既存の野党はバラバラで、新しい政党に実力があるようには思えない。

また現実的に考えて、アベノミクス(リフレ策と財政出動)や自由放任主義のグローバル化を、日本から変えて行くことは困難でしょう。
改善策の経済政策が一部の経済学者により提唱されているが、残念ながらそれが広まる雰囲気はまだないように思う。
ましてや、追従か拒否かの両極端にある日本の政治家に、それを実行出来る豪胆さはないだろう。

そうなれば、ここは消極策で行くしかない。
つまり、現首相に「暴走するな!」と伝えるぐらいだろう。
それ以上の事を望めるとは思えないし、後は悪化が急速に進まないことを祈るぐらいしかないでしょう。

戦後の日本の政治を見ていると、反対する野党の存在が長期与党の独走を防ぎ、欧米流とは異なる大きな政府を生み出して福祉や医療制度で世界に誇れる国になったと私には思える。


皆さんの健闘と幸運を祈ります。


次回に続きます。