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20200420

世界が崩壊しない前に 20: コロナは我々日本の弱点を教えてくれた 5







*1


今回は、皆さんがニュースを見て感じている日本の大いなる弱点を考えます。


 
 
< 2. 両者の食い違い >


* 政府と自治体首長の心構えと手腕の違い *

今回、政府と自治体首長のやり取りを見ていると、両者の危機意識の違いが目立ち、結局は首長の手腕が事の正否を決めそうです。
政府と東京都はオリンピック開催と経済に目を奪われ、初動から道を誤り、未だに迷走し続けている。
しかし、今や全国の自治体首長の勢いは政府を動かしつつある。

日本は主に税制が原因で、自治体が自ら財政をコントロール出来ず、中央政府(与党議員と官僚)に従属し、自主性と活力を失って来た。
しかし大阪、神奈川、北海道、和歌山、愛知などの首長を見ていると、光明がある。

逆に、一強を良いことに公私の失策を隠蔽・捏造・証言拒否で逃げ、さらにはマスコミとウヨの懐柔で批判を抑え続けて来た政府は、足元の国民の現状を見る気がないようです。
経済対策も、危機終息後の復興策(旅行クーポンや牛肉券)は早々と声高に唱えたが、今まさに迫っている倒産や失業を回避する補償には踏み切れなかった。

これは半世紀に及ぶ自民党政権が招いた政治の弛緩が大きいが、これに加えて、中央政府と地方自治の役割分担が機能していないことも大きい。


北欧では、軍事や外交は中央政府の管轄だが、国民に直結する社会福祉などは自治体が財源を持ち施策する。
日本の今の体制では、中央政府はしどろもどろで決断できず、各首長の施策にブレーキが架かるだけです。
どうしても今回露見したように中央政府は市民目線から外れたのものになる。

例えば、大阪都構想もしかりです。
自治体の二重行政を解消し、大きな都に格上げすることは、理に叶っているように見える。
しかし、国からの交付金支給などの制度を根本的に変えない限り、実はあまりメリットがないのです。

今は米国はロックダウンの解除と継続で対立しています。
トランプ大統領は経済と選挙が優先で、ニューヨーク知事は市民の命を優先し対立している。
従わない州に対して大統領は、ウヨ的な市民を煽り抗議デモで揺さぶりをかけている。
日米共にポピュリズム政権は対立を煽り、目的を達しようとしますが、これが間違いをもたらすことは既に見ました。

今回の教訓から、政府の強制力云々より、自治体と首長が大幅な権限を持てる体制へと転換すべきです。
それが先進国の趨勢であり、日本の再生に不可欠です。



次回に続きます。



20200417

世界が崩壊しない前に 19: コロナは我々日本の弱点を教えてくれた 4




*1

今回は、コロナ危機で感じた悲哀について記します。


 
*2


* クラスター班の活躍と苦悩 *

先日、NHKのドキュメンタリーで、日本の新型コロナウイルスのクラスター対策班の奮闘を見ました。

2ヵ月が経ち、これからも続く疲労困憊の中での東北大学押谷教授と北大西浦教授らの熱意と誠意には感動を覚え、感謝してもし切れない。

西浦氏は感染の第一波をクラスター分析と隔離で抑えたが、第二波を防止出来なかったと言い、言外に我々は絶望の淵に立っていることを示唆していた。
確かに、3月中旬までの少ない感染者数と3密を避ける提案は、この班の業績かもしれない。
一方で彼らは、人形浄瑠璃の黒衣(くろご)のようで目立たず、今は非難もされている。


何点か残念に思ったことがある。

彼は、第二波は空港での検閲と隔離が上手くいっていないからだと言葉すくなく指摘していた。
また人員不足で寝る暇も無いクラスター班への増員が無く、政府の無理解に一言嘆いていた。

さらに不思議なのはドキュメンタリーで、NHKが上部機関(新型コロナ対策本部、厚生省、政府)との連携や対応をほとんど描いていなかったことです。

常識で考えて、感染対策の執行機関の協力なしでは彼ら対策班の苦労は報われず、それこそ孤軍奮闘で終わってしまう。
むしろ私には彼らは人身御供として晒されているように思えた。
それでも彼らは実に謙虚で他者をまったく非難しない。


もう一つは、西浦氏はまだCR検査の制限に拘っていることです。

明らかに状況が変わっているのに手法を変えない事には無理がある。
この件の説明では、急に歯切れが悪くなった。

本来なら、第二波の状況悪化に備えて、政府がPCR検査の拡大や空港の検疫体制の強化を行うべきで、西浦氏がその評価を語ってこそ対策班と言える。
ここでも、何か他者への遠慮が働いているように感じた。

結局、コロナ危機に対して、重要な役割(感染対策の立案)を果たすべき班が、協力も支援もなく孤軍奮闘していることが露呈した。

まさに80年前の日本の再現です。
戦況全体を俯瞰し指揮する最高責任者がおらず、各指揮所(天皇、政府、海軍、陸軍、現地派遣軍)がバラバラに行動し、長期視点が無く、遂には補給が途絶え、玉砕で有終の美を飾ることが国民に求められた。


次回に続きます。





20200416

世界が崩壊しない前に 18: コロナは我々日本の弱点を教えてくれた  3





*1

今回は、発想の転嫁が出来ない不幸を見ます


 
< 3.摩訶不思議な批判潰し >

孫氏がTwitter上で休業補償のアンケートを行うと、当初賛成が圧倒的に優勢でしたが、深夜の間に反対票が30万入り、呆気なく反対に逆転した。
ここまで酷い操作を私は知らない。


* 休業補償をしない件 *

今、感染爆発を防ぐには人との接触を80%減らす必要がある。
そこで都道府県の首長は国に休業補償を要求するが、政府は前例が無いとし頑なに拒否している(噂では財務省が許さないらしい)。

国が休業への強制力を持たないことや、補償をやり始めると政府が破綻すると言う論点ずらしもある。
ここでは、この二点への反論と、日本の先進国からの周回遅れについては触れない。

日本で感染爆発が起きれば重篤患者は30万人になる可能性がある。
そうなると医療介護費・経済損失も含めた彼らの生命価値を一人3億円として90兆円の損失が出る。
さらに膨大な数の感染軽症者、失業する非正規や新卒が生涯に亘り、その累計経済損失は数百兆円になるだろう。

ここで休業補償総額20兆円(=GDPの内の年間民間消費300兆/12ヵ月X80%)で全国民に1ヵ月休業してもらい、感染爆発が起きないとする。
すると差し引き70兆円が浮くことになる。
実施は一部の都市で可能だから10兆円で済むかもしれず、前述の失業者の莫大な被害も抑えられるので、さらにメリットは巨大になる。

発想を転換すれば、国民は救われる。

実は、我が国は様々な名目で金をばら撒いて来ている。
農家への米の減反費用、様々な助成金、輸入関税も周り回って同様の結果になる(農産品だけでも年間8兆円)。
箱ものなどの土建投資も然り(年数兆円~十数兆円)。
法人減税は30年間の累計で300兆円になり、消費増税分はほぼ消える。
首相は短期間で諸外国に60兆円をばら撒いた。
日銀はこの10年間で国債を400兆円、ETF(上場投資信託)を30兆円買った(これが政府の財政支出の足枷になるかも)。

これでも国民の命を守る為に微々たる金しか出せないのなら・・・。

こんな試算もあった。
かつての米国の南北戦争で80万人が死亡し、甚大な被害が出た。
後に、南北戦争を回避する方法として、ある経済学者は事前の補償を提案している。
「北部側が、南部の奴隷所有者から奴隷開放による損害補償を提案すべきだったと」

双方で膨大な軍事費を使い、町を破壊し、死傷者を出し、結局、南部は奴隷も失った。
結果から見れば、補償での戦争回避が良策です。

冷静になって先を読むことが出来れば、危機の被害を少なく出来るのです。


次回に続きます。



20200415

世界が崩壊しない前に 17: コロナは我々日本の弱点を教えてくれた 2







*1


今回は、日米首脳に共通する問題を取り上げます。


* 「武漢ウイルス」発言 *

両首脳の他国を毛嫌いする態度が、コロナ危機で失策を招き、国民は大きな災厄を被ることになった。

日本は、マスクの8割をほとんど中国から輸入している。
コロナ危機で中国はマスクを増産し、ここ1ヵ月で38億枚を世界に輸出した。
政府は増産と言いながら、「中国産は使わない」と言う閣僚の発言に忖度した担当官は3月に中国からの追加輸入を断念していた。


米国の疾病対策センター所長は「トランプ政権のメッセージは『中国に協力するな。彼らは敵だ』ということだ」と語っていた。
これで両国間の防疫協力関係は完全に切れてしまった。
米国は中国のコロナの詳細情報を手に入れることが出来ず、感染症対策の初動の遅れに輪をかけることになった。

必需品から医療情報まで、グローバル化社会では一時の断絶が致命傷になる。
将来、中国でほとんど産出されているレアアースの報いは桁違いになる。


* もう一つの厄介な性癖 *

このタイプの首脳は、敵を峻別する傾向にあるので、直ちに国境閉鎖やクルーズ船寄港拒否などで解決を図ろうとする。
これがすべて悪いとは言えないが、問題はその後の対応がお粗末になる事です。

たとえ閉鎖を実施しても、侵入を防げず、感染者は国内に広がって行きます。
米国は閉鎖を素早く行ったが、初動で遅れ、感染爆発を招いた。

このタイプの首脳は、科学的な重要性を理解出来ず、目立たない緻密な政策を疎かにするようです。


 

< 2. 米国の二人の大統領の違い >

現在、米国は国連安保理で「武漢ウイルス」を宣言に入れることに拘り、紛糾し宣言が骨抜きになっている。
これが以前の大統領なら、エイズ対策で国連が一致して対策を執ることが出来た。

トランプの下で国際保健分野は冷遇され、CDCの予算も削減されつつある。
エボラ出血熱時に設けられた国家安全保障会議のパンデミック担当チームは18年に解体された。
さらに米中の通商対立が加速し、米国は防疫情報で孤立するようになった。


 
< 3.2015年、ビルゲイツのTEDでの発表 >

ゲイツは今後、戦争よりもパンデミックで大量の死者が発生するかもしれないと警告していた。

今の両国政府は国家安全保障を歪めている。
安全保障は軍備だけでなく、伝染病、資源の枯渇、災害などから国民の健康と安全を守る事も範疇にあるのです。

不安、不穏な社会ではタカ派的な言動を売りにする首脳は非常に人気を得る。
この態度は、大国が他国から利益を奪う時には有効かもしれないが、伝染病のような世界的な危機に際して国民に大きなダメージを与える。
このような日米の首脳は、百害あって一利なしと言える。

重要な事は、国民が人気だけでトップを選ぶ愚を避けることです。


次回の続きます。



20200414

世界が崩壊しない前に 16: コロナは我々日本の弱点を教えてくれた 1





*1


数回に分けて、コロナ危機への政府の対応を採り上げて、問題点を明らかにします。
そして、来るべき世界的な危機を回避するヒントを探ります。

「全国の医師・看護師・病院、そしてコロナ危機に対応しておられ方々に感謝と敬意を表します」


 

< 2.自民党コロナ対策本部のメンバー >


* 国が布マスク2枚を国民に配布する件 *

無いよりは良いとの意見もあるが、布製なら各自が洗濯と手作りで、不織布なら蒸気消毒(蒸し器)で、難なく解決できる。
まして布マスクは不織布マスクより感染防止能力が低い。

マスク調達を担当した官僚が世間の悪評に耐えらえず、
「医療用マスクの枯渇を防ぐ最良の手段なのに、広報が悪くて国民に理解してもらえない」との嘆きを発信した。

私が驚くのは、2ヵ月半の期間と466億円をかけて、これしか出来ずに平然と他人のせいにしていることです。
(政府は1月28日にマスク増産に動き、2月12日に菅官房長官が来週以降、不足は緩和されると発言した。そして首相が4月1日に「マスク2枚配布」を表明し、4月12日以降順次届けるらしい。)

現場を知る者なら、不織布マスク製造機を35台発注し、1か月後には月産3億枚の生産を開始していただろう。
(製造機は日本製で、設計図もあるので制作費は総額30億円ほど、納期1ヵ月で可能だろう。日本でもマスクと不織布を製造しているから、空き工場を使い生産出来るだろう。)

実際に、既に台湾はマスクを7倍の月産3億枚に増産し、孫正義氏は日本の為に中国に月産3億枚を発注し、アイリスオーヤマは国内増産用の設備を発注している。

マスク配布にどんな意図があるか知らないが、この件は政府や官僚に、「最も必要な事を適切に施す能力が無い」ことを示している。
恐らくは、内閣に危機が無いか、政策立案者ら(官僚や大臣)に広い領域亘る専門家が揃っていないことの表れだろう(現場を知らない)。

残念ながら日本の中枢を占める官僚は法科出が占め、最近は忖度や誤魔化しの能力だけが目立ち、国民目線の欠落が酷い。

さらに加えて自民党コロナ対策本部の議員には、テレビやツイッターでウヨに人気があり、安倍人気を盛り上げた功績で参加した人物が目立つ。

当然、主要なポストに専門性など期待できない。
これでは今後繰り返し訪れる世界的な危機に対処できないだろう。



次回に続きます。

20200411

世界が崩壊しない前に 15: 18歳少女の戦い 2





*1

グレタさんは何故一人で立ち上がったのか?
彼女は世界に何を訴えたいのか?


 
*2

グレタさんの影響力

彼女の表情と言及は実に厳しく妥協がない。
現状の地球温暖化の取り組みには「希望がない」と言い、楽観論を否定する。
進まず後退さえする各国首脳の態度を非難する。

マスコミでよく取り上げられているのは、彼女の肉食拒否と航空機利用の否定「飛び恥」です。
このせいで、飛行機から鉄道や船に切り替える人が増え、航空会社の売り上げが目に見えて減った。


彼女は何を指摘しているのか!

地球の温暖化を抑制するには、二酸化炭素排出量を2030年までに世界全体で約30%減らさなければならないとされています。
2016年、一人当たりの二酸化炭素の年間排出量は日本9トン、米国15トン、中国7トン、アフリカ平均1トンでした。

米国の場合、一人の年間肉食量は100kgだから年間CO2排出は1.4トンになる(牛肉で計算)。
牛肉をすべて鶏肉に替えると排出量は1.2トン減り8%減となる。
また米国の航空旅客の一人年間平均排出量は3トンです(国民の平均ではない)。
確かに航空機を止めれば、利用者は20%減らすことが出来る。

私は節約する方なのでCO2排出が少ないのですが、年1回海外旅行をしているので航空機で約2トン増やしてしまっている。
弁解すると、鉄道と船ならCO2排出はかなり減るのだが、鉄道は不可能だし、船は日数と金額の点で無理です。

彼女の指摘は的を得ているが、生活や経済活動への影響が大きいので、彼女に反感を持つ人もいる。

しかし彼女のメッセージ発信によって世界は動き始めた。
航空会社(北欧)は鉄道との連携やCO2排出削減に取り組み始めた。
また2019年以降、世界の機関投資家や銀行の主要団体は、パリ協定の目標が不十分として、目標の引き上げと具体策を提言し、各国に迫るようになった。

実に、彼女一人の行動が世界危機への突破口を開いたと言える。


私には後悔がある。

彼女が一人で最初にストを行ったのは、ストックホルムの国会議事堂前で、2018年8月20日でした。
私はその頃、北欧を一人旅しており、少し前の6月1日、国会議事堂の付近を歩いていた。
残念なのは、つい最近まで彼女のストの場所を知らなかったことです。

是非とも、一人の決起が世界を目覚めさせた瞬間に立ち合いたかった。


次回に続きます。

20200408

世界が崩壊しない前に 14: 18歳少女の戦い 1





*1

今回は、地球温暖化を強烈に訴えるグレタさんを紹介します。


 
*2


彼女は2018年末の「国連COP24」で訴えた。

「私は希望を語りません。
 何にもしないこのままではだめ!
 世界のシステムを変えなければならない。」

これに対してトランプやプーチンら首脳は、彼女の異常さを指摘し、操られていると嘲笑る。
日本にも同様の発言をする人はいる。


グレタさんについて

彼女は環境問題に関心を持つと自分で勉強を始め、やがてSNSで温暖化懐疑派に討論を挑むようになった。
感化された両親は、彼女に温暖化の現地調査や気候学者との対話の機会を与えた。

そして満を持して彼女はストックホルムの国会議事堂前で、一人でストライキを始めた。
彼女は幼少期より自閉症、強迫神経症があり、両親はストを始めるまで発作の再発を恐れていた。

彼女には始めるにあたり戦略があった。
先ず、SNSで実況中継を発信し続けた。
さらに緊張に耐えながら多くのメディアによるインタビューに答えた。

これらにより彼女の期待以上に、ストは世界に急速に知られ、彼女のメッセージの真意が世界に伝わった。
9月には161ヵ国で400万人が参加した地球温暖化ストップのストライキが行われた。
その後、彼女は数々の世界的な温暖化対策会議に引っ張り出されるようになった。

彼女の姿勢を示すエピソードがある。

ストライキ中に、ある男がベジタリアン用のバーガーを差し入れた。
(肉牛の飼育には多くの炭酸ガス排出が伴うので)
スト仲間は食べたが彼女は食べなかった。
彼女は、「あなたが差し入れを望むなら、次回から別の店のものを提供して下さい」と提案し、彼は二度と来なかった。
彼は便乗して自社製品を宣伝しようとしていた。


元々、北欧では小学校から環境問題を学習させ、中学校から政治の学習だけでなく政策についても討議させている。
国民のほとんどはボランティア活動を通じて、地域社会と密接に繋がり、政治意識が高い。

また北欧各国は「持続可能な社会」の実践で先行しているが、市民レベルでも取り組まれている。

つまり、スウェーデン、北欧から彼女のような警鐘を鳴らす人物が出ることは当然なのです。
おそらく日本からは望めないでしょうが。


次回に続きます。

20200404

世界が崩壊しない前に 13: コロナ危機対応で見えて来るもの 4





*1

コロナ対応から見える日本の危うさ
問題点を整理します。


主要な問題ではないが、今の日本の危うさを象徴する事例を紹介します。

最近、コロナ新規感染者に外国籍が含まれるグラフが出回っている。

 
< 2. 恐怖心がデマのグラフを作らせた >

これに添えて「病床は日本人の物であって、外国から逃げて来た奴などに与えるな!」と記されている。
また「外国人にコロナの現金給付は問題!」との発言もある。
これらの発言はウヨや与党議員から発せられた。

海外移入が増えているのは、空港での水際対策の不手際です。
実は、厚労省は国籍を区別していないので、これは誤解を基に意図的に作られたグラフです。

どちらにしても、今の政府を熱烈に支援する人々や、コロナ対策の要職を務める人には、この類の人が目立つ。



* 政府の何が問題か *

基本的な問題
² 感染症対策の不備(パンデミックを想定せず、病床を減らし続けた)。
² 上記前提で対策を講じた(検査をせず、一斉休校のみ)。
² この間、感染爆発への対策を怠った(感染症病床などの増設)。

さらに加えて
² 日頃の隣国敵視政策が災いし、中韓の成功例を受け入れられず、中韓の協力も得られず必需品の調達に支障をきたした。
こんな時ほど世界が連携しなければならないのだが。

² 対策は、データーによる論理的な説明もなく検証もない。
これまでの野党による国会追求での逃げと同じ。


* 何が最悪か *

危機を乗り越えるには、科学的で論理的な状況認識と不断の変革が不可欠だが、これが出来ない。

対応の拙さは福島原発事故と同じで、膠着した体制に根源があり、一人首脳の不出来だけに帰することは出来ない。
それは半世紀に及ぶ政治屋・官僚・産業と大半の学者・マスコミによる癒着にある。
この体制は、既得権益の維持と拡大に邁進し、時代の変化には閉じ籠り、危機に対しては想定外と言い放ち、事なかれを繰り返す。

これは日本が大戦に突き進んだパターンとも酷似する。
半世紀に及ぶ軍部による政治掌握、それを支える陸大出の参謀本部、軍令部のエリート、強硬派の陸軍から東条が首相に選ばれ、日米開戦と突き進む。
最優秀な知性と見識を備えた中枢は、いとも簡単に危険を冒し、途中、冷静に省みることなく敗北まで突き進んだ。

結局、日本は、幾度も同じ事を繰り返している。
今回、おそらく壮絶な結果になるでしょう。

日本が再生出来ることを願うばかりです。
今はコロナだが、これからは更にあらゆる世界的な危機が待ち受けている。


次回からは視点を変えて続けます。



20200403

世界が崩壊しない前に 12: コロナ危機対応で見えて来るもの 3








*1

コロナ対応から見えて来る日本の危機管理とは・・・


気になる事項を幾つか挙げます。

1. LINEによる16万人のコロナ症状調査(3/27~3/30)で東京都7.1%、神奈川・埼玉・千葉県6.5~5.7%が該当すると答えた。

これは正確な診断ではないが、現状のPCR検査では感染者を把握出来ていない証だろう。


 
< 2.感染経路 >

2. 政府は、3/2から春休みまで全国の小中学校、高校の一斉休校を要請した。

これは過去にも実施されており一定の効果はあるだろうが、誤ったメッセージを発した。

当時、ニュースを見る限り、感染に関わっていたのは圧倒的に小中高生でなく大人だった。
小中高生に発症者が出ていない段階で、彼らが感染させるとする根拠は薄かった。
(現在は状況が異なるので必要だろう)

本来最初に、一番感染に関わっている大人(大学生も)の外出・密集行動を制限すべきだった。
結局、経済ダメージの少ない安直な一斉休校に頼り、上記の制限を行わず、逆に大人は外出への緊張感を無くしてしまった。
このことが巨大人口を有する都市部で、その2週間後の3月中旬以降の感染増加になった推測できる。


3. 縮小されていた日本の感染症対策

国立感染研の人員や予算は減らされていた。
2009年から2018年の間に60億円から40億円に減額されていた。
既に満杯になりつつある感染症病床は全国で1871に過ぎないが、実は1990年から2009年にかけて、人口10万に対して9.9から1.4と激減していた。



 
< 3. 最近の主要国のインフルエンザ死亡者 >

それでは感染症対策の必要は無くなっていたのだろうか?

近年、エイズ、サーズ、マーズ、デング熱などが世界を騒がせ、インフルエンザはここ十年ほど猛威を振るうようになっている。
当然、世界の疫学者らは警鐘を鳴らしていた。
世界銀行は、2017年にパンデミック債の創設まで踏み込んでいる。

ところが、この2月も政府は大幅な病床削減を進めている。
これは日本の全病床数が先進国トップで、福祉予算切り詰めの為としている。
しかし日本の人口当たりの感染症病床数、長期療養病床数、臨床医数などは先進国では少ない方であり、変化に対応できないでいる。


 
< 4.日本の医療水準のランキング >

これは「防ぎ得る死をどれぐらい防げているか?」を評価したランキングで、珍しく順位は良いが、自慢できるものでもない。


実は、医療予算削減は日本だけではない。

繰り返すバブル崩壊後の超金融緩和策によって各国の累積赤字が増大している。
日本は断トツ最悪で嘆かわしいが。
それに加え、日米首脳に見られるように世界の右傾化が進行し、軍事費が上昇している。
不思議な事に、同時に企業や富裕層への減税も進み、更なる財政圧迫要因となり、日米を筆頭に当然のように国民の福祉予算の削減が進んでいる。

つまり国民の安全保障は、いつの間にか見栄えのするものに偏ってしまった。


次回に続きます。











20200402

世界が崩壊しない前に 11: コロナ危機対応で見えて来るもの 2









前回に続いて、コロナの感染爆発の可能性を探ります。


現在、東京で感染が拡大しているが、これとPCR検査との関係で意見が真っ二つに分かれている。
一方は「検査を少なくし感染を抑制している」、逆に「把握できていない感染者がやがて感染爆発を招く」と対立している。
前者は現状の日本政府と初期の米政府、後者はドイツや韓国の対応です。
残念ながら日本ではデーターによって論証する姿勢がない。

結論から言えば、検査を拡大させ初期に感染者を隔離してこそ感染爆発が防げる。
世界の感染推移のグラフ(前回のグラフ4)を見る限り、多くの国で、始めはゆっくり感染は進行しているが、やがて何らかの切っ掛けで感染爆発を起こしている。

当然、検査拡大時には、感染防止(ドライブスルー方式など)と事前の健康状態チェックによる選別は必要です。
実際、上記対策を講じて検査を拡大した国は、感染者数の割に死者が少ないか、終息を向かえつつある。
しかし日本政府はオリンピック開催と医療システムの不足・不備による医療崩壊を恐れて検査を増やすことが出来ないでいた。

今ままでは低水準だったが、前回説明したように対策の効果と言うよりは偶然の産物に過ぎないと考えて、検査拡大と共に、データーに基づいた抑制策(外出禁止など)が不可欠です。


日本の異常な推移を確認します。

 

< 2. 各国の感染データー >

横軸は累計感染者数、縦軸は1週間当たりの新規感染者数の推移。
横軸と縦軸の両方が対数目盛であることに注意。
上は3月3日、下は3月21日の値。
赤の矢印は、注目すべき米国、日本、韓国、中国を示す。

驚くべきは、世界各国がほとんど直線状に並び、感染の増加率(新規感染者/累計感染者)が一定だと言うことです(同じ病原体なので当然か)。
そして中国と韓国は、ある時点から抜本的な対策を講じたことで一気に終息に向かっている。

一方、米国は感染が発覚した時点で検査拡大を行わなかった為、上図のように平均的な線より下にあったが、感染拡大と共に検査による状況把握が進むと同じ結果になっているようだ。

一方日本は、未だに平均線より低い所でふらついている。
本当に日本だけが感染の増加率が低いのであれば、平均線を下にずらした緑色の線上を進んでも良いはずだが、そうではない。


もう一つ、不穏な状況を示すグラフがある。

 
< 3. 感染経路不明者の数 >

日本政府は感染クラスターを抑えているので問題無いと言うが、上記グラフの感染経路不明者と感染者の増加を見れば、否と言わざるを得ない。

しかし不可解な点もある。
/30現在、コロナの死者数が54名で、これと累計感染者数1420名からすれば比率3.8%は各国の平均より少し高い程度に過ぎない。
つまり死者数から、感染者数は妥当と言うことになる。

ところで日本の毎年の死者数は肺炎で95000人、インフルエンザで3000人(12月から5月が主)ほどいる。
推測でしかないが、死因の判別でコロナが洩れているのではないかと疑っている。

現状の日本の医療体制に、検査を拡大出来ない事情があるようだが、このままズルズルとやっていると取り返しのつかないことになる。


次回もコロナ危機を探ります。







20200401

世界が崩壊しない前に 9: コロナ危機対応で見えて来るもの 1






前回、急所を掴んでこそ危機を察知出来ることを見ました。
これから2回にわけて、全体を見ない狭量さが危機を招く例を見ます。


お粗末なコロナウイルスへの対応


 
< 2.フォックスニュースの虚言「コロナは嘘だ!」の検証ビデオ >


当初、米国ではトランプ大統領と保守系フォックスニュースが「コロナは問題無い」とか「民主党のデマだ」と盛んに言い立てました。
この間、米政府の検査体制は出遅れ、多くの人は危機感を持たず、感染拡大を引き起こした。

当初、日本政府は感染者がいる寄港予定のクルーズ船を寄港させなかった。
結局、船内で感染爆発が起きる状態のまま引き受けた。
この時に、船からの感染者隔離や国内対策に本腰を入れるべきだった。
政府部内の「中国の細菌兵器」「武漢ウイルス」の発言は、米国と根は同じだ。

彼らには稚拙な逃避行動-危機の矮小化と先送り、が見られる。
一番困るのは、両国の首脳が共に非科学的・非論理的だと言うことです。
二人は不安を煽り、目立つパフォーマンスで人気を得ていることでも共通している。

そうは言っても、日本のコロナの感染状況は、今まで世界に類を見ない低水準で推移している。
これは日本政府の感染対応が適切だからだと、多くの人は感じている。
これが正しいなら、今後、感染爆発は行らないだろう。

私は素人だが、いくつかのデーターから今後、さらなる危機が起こると予想している。
要約すれば日本の現状は、ある条件がたまたま幸いし感染のスピードが遅かったが、対策の不備から感染者が知らぬ間に増大しているらしい。


 
< 3.著しく低い日本の感染状況 >

この横這いに近い状態は、世界に類を見ない日本人の衛生意識の高さ、加えて閉ざされた島国、マスコミの危機報道が幸いしたと信じたい。
しかし別の方法で比べると違う状況が見えて来る。


 
< 4. 縦軸を対数目盛りにした >
高橋洋一(嘉悦大)、@YoichiTakahashi

破線の日本、台湾、シンガポールが何故か同じ感染速度が遅い傾向を示している。
最も低い台湾は、確かに素早く画期的な対策を講じたが、実は中国からの旅行客が去年9月以降半減していたことも幸いしている。
(中国は、台湾が香港デモを支援したとして報復措置を取った)

何か共通の要因があるはずだ。
しかし韓国の途中からの急激な拡大も気になる。


 
< 5. 感染者数と致死率、3月26日のデーター >

これを見ると、三角印の国(結核予防のBCG接種が行われている国)は武漢を除いて、すべてで低い。
BCG接種は世界157ヶ国で実施されているが、欧米の15ヶ国だけが停止か限定しており、今回、酷い感染状況になっている。
これが日本、台湾、シンガポールが同じ傾向になった理由の一つだろう。
しかし、同じBCG接種をしていながら韓国も武漢も、突如急拡大した。

つまり日本は、まだ安心してはいけない。
気付かない不安要因があるはずだ。


次回に続きます。





20200330

世界が崩壊しない前に 9: 無視されているものにこそ






世界は良くなっているのに崩壊の危機などあるはずがない。
これが多くの人の気持ちでしょう。


平均寿命が延び、社会保障が向上し、経済成長が続き、大きな戦争もない、そして益々便利になってる。
この半世紀、世界は良くなっている。

* 安逸の陰に隠れているもの *

A. あなたは健康で医者に無縁と自慢している。
たまたま医者に診てもらうと、糖尿病がかなり進行していると分かった。
これからは節制し、薬無しでは生活出来ない。

B. いつも通行している橋が突然崩壊した。
あなたは助かったが多くの死傷者が出た。
古いと気付いてはいたが、そこまで老朽化が進んでいるとは思わなかった。

C. 会社は順調に業績を伸ばしていた。
しかし主力製品でリコールが発生し、その回収、加えて信用の失墜で会社は倒産した。
あなたは路頭に迷うことになった。

D. 株価上昇が続き、企業業績も好調で、国民も潤っていた。
しかし遂にバブルが弾け、世界は金融危機に見舞われ、過大な累積債務を抱える国はデフォルトを起こした。
そして年金支給額などが激減した。

E. 海外の観光客が大幅に増え、観光地は大いに繁盛し、国も潤っていた。
しかしコロナウイルスが伝染し、観光地の客足は途絶え、遂にはあらゆる産業活動が停滞し始めた。
多くの企業が潰れ失業者が増えるだろう。

これらの事例で本人に非があるものはAだけです。
後者になるほど被害が広範囲で甚大なものになる。
多くの人は後者になるほど予測出来るはずがないと思う。

しかし以下の実施で被害は抑えられる。

A 毎年の健康診断

B 定期的な劣化検査

C 開発時の安全検査と製造時の品質検査

D バブルを煽らない、政府財政の健全化(透明性の確保も)

E 感染症対策の拡充、世界との連携。
この10年間、世界の感染症は増加し、警鐘が鳴らされていたにも関わらず、日米も含めて多くの国で関連予算を削減していた。
 ]


 
< 2. 日本の感染研予算と防衛費の推移 >
両予算の金額を見ると、如何に国難が間違った方向に誘導されていたかが分かる。
これは米国も一緒でした。


私達は漫然と社会全体の風潮に惑わされるのではなく、むしろ隠れている危機の芽にこそ注視すべきなのです。


次回に続きます。