*1
現在、日本や世界がどんな方向に進んでいるのか?
簡単に言えば、大多数の国民にとって国政は劣化し、生活は苦しくなっているのでしょうか?
これが把握出来ていなければ話にならない。
はじめに
ある人々は、日本は素晴らしい国だと言う。
逆に、このままでは日本は破局を迎えると言う。
また、この軍事的緊張にあって日本は再軍備に向かうべきだと言う。
逆に、このままでは日本は戦争に巻き込まれると言う。
どちらが正しいのか?
この認識の差は、どこから生じているのか?
人々は事実、社会や経済のデーターをどう見ているのか?
人々はそれぞれ保守的な脳や革新的な脳を持っている為なのか?
人々はマスコミや大きな力に洗脳され偏向してしまったのか?
いや、こんな高次元の話ではない。
単に、人々は分からない事、悩ましい事、どうせ政治はよそ事と考えているからこそ判断せず行動しないだけなのか?
いや違う、現状に満足しているからこそ変化を嫌い、政治的判断を保留しているのか?
ここである経済指標から日本経済の真の姿を追ってみましょう。
対立する経済への評価
ここに内閣府作成のグラフがあります。
< 2. 如何にアベノミクスは成功しているか! >
このグラフは現政権の成果を高らかに歌い上げています。
A: 失業率はドンドン下がっている。
B: パートの平均時給はドンドン上がっている。
C: 企業収益も少し上がっている。
(実はBとCのグラフは錯覚を利用しています。上昇率はどちらが高いでしょうか?)
ここで疑問が湧いて来ます。
こんなに経済指標が良いのなら、なぜ私達の周囲で景気の良い話が無いのか?
ひょっとしたら私だけが取り残された不運な人間なのかと思いたくもなります。
待てよ!
失業率が下がれば賃金が上昇するはずだが、現実にそうはなっていない。
何か裏がありそうだ!
< 3. 少し真実が見え始める >
上のグラフ: 内閣府作成のグラフ。
このグラフから三つの事がわかる。
一つは、人口減少による労働力人口減が効いて、2008年のリーマンショック時の不景気から2012年までの失業率低下を説明できる。
2012年以降は、後に説明する理由により就業者数が増えて失業率の低下を維持している。
もう一つは、団塊の世代の定年延長や働かねばならない女性が増えたことにより、労働力人口が増加し失業率の低下(人手不足)が緩やかになっている。
中央のグラフ: 第一生命経済研究所経済調査部永濱氏のグラフ。
上記の説明を裏付けているグラフです。
下のグラフ: 同上。
青線と緑線の差は非自発的離職者の率を示し、2009年よりその差は縮まっている。
非自発的離職者とは、辞めたくないのに会社を辞めざるを得なくなった失業者を指し、2016年ではまだ55万人以上が存在している。
これが企業が賃金を上げなくても人を採用出来る理由の一つになっている。
< 4. 失業率と賃金の関係 >
この二つも第一生命経済研究所経済調査部永濱氏のグラフです。
上のグラフ: 働きたくても就業環境が厳しい、適当な仕事がない、または出産や介護などで就職活動をあきらめている人を加算していくと失業率が上がって行く。
やむなく非正規で働き、正規採用への就職活動を諦めている人も加算していくと、広義の失業率は10%近くまで上昇する。
下のグラフ: すべてを加えた広義の失業率が低下してこそ賃金が上昇し、やっと経済学理論と一致することを、このグラフは示している。
また以下のことがわかる。
広義の失業率はここ8年ほどかけて低下し、安倍政権誕生前から始まっていた。
賃金上昇は安倍政権誕生(2012年12月末)の翌年から始まっている。
しかし今回の賃金上昇は前回(2005、2008年)より高い失業率低下にもかかわらず抑制されているように見える。
これらの事実は日本の経済政策のある実態を反映している。
次回、この謎に迫ります。