20180321

何か変ですよ! 102: これからどうする 3





< 1.馬鹿の遠吠え >


今日は、国民が目指す社会を考えます。
ここ30年ほどの社会経済の低迷にヒントがあります。
そこには国民軽視と豊かさの履き違えがあります。


* 世にも奇妙な物語

私達日本人は、どうしても島国の呪縛から抜け出すことが出来ない。
その典型を紹介します。


 
< 2. 亡国の??? >


先日、前川前事務次官の講演に横やり(検閲、嫌がらせ)を入れたのが左の赤池議員です。

さらに馬鹿げた事実が判明しました。
彼は自らのブログで、「ちびまる子ちゃん」のキャッチフレーズは国家崩壊を招くと文科省に直談判したと自慢していたのです(現在、消去)。

皆さん、このキャッチフレーズの何処が危険かわかりますか?
彼は、『友達に国境はな〜い』と教育したら日本という国家がなくなってしまうと、真剣に訴えたのです。
笑うべきか、泣くべきか?

こともあろうに、この赤池は自民党文部科学部会長で、アベ政権で文科政務官の要職を2期も拝命しているのです。

さらに魔訶不思議なことがあります。
先日、アベ友応援団の和田議員(写真右)が国会で爆弾発言をしました。
「山梨のある学校法人が格安で国有地の払い下げを受けている。この学校の保護者の会の連合会長は野党のある国会議員!」
実は、この学校の校長がこの赤池だったのです。

アベ周辺の脳みそはどこまで偏り、腐っているのか?


今日は、こんなつまらないを話をしたいのではなく、もっと皆さんが世界に目を向けて欲しいと願うからです。



* 私達は幸福なのか?

難しい質問で恐縮なのですが、幸福はどうしたらわかるのでしょうか?

狭い単一文化の中にいると、前述の赤池のようなとんでも認識が幅を利かせてしまう。
皆さんの素直な思いでも良いのですが、やはり諸外国の暮らしぶり(ライフスタイル)を一度は知ってから判断することも必要です。
私はツアー旅行と視察旅行ですが、30数ヵ国を訪れ、多くのカルチャーショックを受けました。

残念ながら、日本はいつまで経っても成熟せず、国民を幸せにする方向に向かっていない。
さらにアベ政権になってからの社会状況は急速に悪化している。

先ずは国際的で客観的な指標から日本の現状と凋落を見ます。



 

< 3.世界幸福度報告2016年 >
国連が発表し、各国で6項目について主観的な評価(1~10)を聞いて算出したものです。

* 世界幸福度報告から見えるもの

日本は157ヵ国中53位で、ロシアや韓国よりは少しましだが、欧米先進国には届いていない。

各項目を見ると、一人当たりGDPでは26位、社会的支援では23位、健康寿命では3位、社会の腐敗度33位で特段悪いとは言えない。
しかし人生選択の自由度45位、さらに寛容さ136位が水準を押し下げている。
これらの項目はGDPを除いて、国の文化と社会状況に大きく影響を受けるだろう。
この社会状況とは、経済と社会保障制度の状況に左右されるだろう。

この指標を眺めても、日本の姿はまだ見えてこない。


 

< 4. 世界幸福度報告2013年(2010-2012年) >

このグラフは日本の順位が43位であったことを示している。
つまり、3年の間に順位を下げている。
当然、上位を占める北欧の上位は揺るがない。

他の指標で、日本が衰退しているかを見ます。



 

< 5. 人間開発指数 >
国連が発表し、人間開発を実現させるための基本となる長寿、知識、人間らしい生活水準の3分野の平均達成度を算出したものです。
長寿は出生時平均余命、知識は成人識字率と就学率、生活水準は1人あたり国内総生産 GDPを使う。
人間開発とは、人の能力の拡張、選択肢の拡大、自由の増大、人権の実現の程度を示す。

このグラフから、日本の順位は1980年から2013年にかけて、10位、8位、15位、そして17位と低下傾向にあることが分かる。

つまり、日本では幸福や自由などの国民にとって重要だとみなされているものが日増しに低下している。
言い換えれば、他の先進国が日本より、より幸福へと近づく努力がなされている中で、日本は取り残されつつあると言える。

この悪化状況をより具体的に示す指標を見てみましょう。



* 幾つかの指標

経済や労働の状況を示すものに一人当たりのGDP、非正規雇用者率、賃金の推移、失業率、年間労働時間、貧困率がある。
また社会状況を示すものに自殺率、報道の自由度がある。
これらの中から、二つの指標を見てみましょう。





 

< 6. 報道の自由度 >
赤の折れ線の赤数字は世界ランキングを示し、1位が最も良くて、数字が増えるほど自由が無い状態です。


日本の状況は深刻で、マスコミを外から傍観しているだけでは、政府により弾圧されている状況はわからない。
とても先進国とは言えず、凋落の度を深めている。

しかし、少し努力すれば見えて来る。


 

< 7. 2018年3月2日の各紙比較 >

この日、朝日が森友のスクープを放った。
毎日は、野党追及の果てにアベが裁量労働制を断念したニュースを載せた。

読売は、当然、どちらにも触れず、アベが贈った羽生選手への国民栄誉賞で紙面を飾った。

当然、国民、特に勤労者にとってより重要なのは国民栄誉賞ではない。

多くの人は新聞購読を1社に限定し、ニュースもそれに合わせて限られた放送局しか見なくなる。
こうして御用新聞ばかりを見ていると社会の真実から疎くなってしまう。

これを脱する為には、インターネット上の各社デジタル版のトップ見出しを比較するだけで良い。
きっと、どちらの新聞により価値があるかわかるはずです。



 

< 8. 日本の貧困率の推移 >

概ね30年の間に悪化し続けているのがわかります。
日本の所得格差拡大、社会保障制度の劣化が進行している。
これはアベのせいと言うより、長年の自民党の政策の結果です。
現在は株バブルの影響で幾ら貧困率が下がっている。



 

< 9. 貧困率のランキング >

日本の貧困率は、格差の激しい米国より少しましなだけで、どうにか西欧諸国に仲間入り出来る程度です。


* まとめ

いつの間にか日本の栄光は風前の灯なのです。
そして悪いのは経済だけでなく、むしろ私達があまり意識していないところに問題があるのです。

それは政府らが唱道する「勤労」や「道徳」などではなく、「生きがい」「ゆとり」「自由」などなのです。
生きがいは働き甲斐を意味するのではなく、むしろ仕事以外、余暇や家族との暮らしにあるのです。

直ぐには、意識を切り替えることは出来ないかもしれないが、北欧や他の生活先進国を直に見れば、何が本来の人生かがわかるでしょう。


終わります。









20180320

何か変ですよ! 101: これからどうする 2



*1



人々は本来、国に何を期待するのだろうか?
ある女性は介護、平和、失業、地球温暖化と答えました。
国民が安心して暮らせる為には何が必要か?
そこにはアベが必要か、はたまた災いか?


はじめに

彼女は私の妻で、60才代後半です。
上記四つのテーマについて考えます。

介護: 高齢者介護に不安。

これは社会保障(医療、年金、健康、弱者の救済などの)の一部です。
進む高齢化と累積する財政赤字で、これら制度が破綻するか不安です。


平和: 戦争をしたくない。

誰しも戦争を避けたいのですが、現状、戦争を避ける口実で戦争を始める可能性が高まっている。

戦争の発端は三つあり、①敵が侵略して来る場合、②防衛と称して侵攻する場合、③小競合いから戦争に発展する場合です。
無数にある戦史をひも解くと見えてくるのですが、ここ半世紀ほどはイラク戦争、ベトナム戦争に始まり、多くの内戦も②と③が多数を占めるようになっている。


失業: 失業が増えると、彼らは無給で暮らさなければならない。

所得が少なく将来が展望出来ない若年層や貧困層が益々増えている。

これは経済力、社会保障、労働制度がすべて上手く機能してこそ解決出来る。
既に説明して来たが、例えGDPが上昇しても、社会保障(失業者対策)と労働制度(最低賃金、同一労働同一賃金、非正規雇用)が劣悪であれば、現状のように悪化は続く。


地球温暖化: 異常気象が将来の人類の生存を危うくする。

これは非常に長期的な取り組みを必要とするが、着実に防止策を進めておかないと取返しのつかないことになる。

無視されやすいが、私達の食料生産、小麦から水産物までが異常気象で大幅な減産の憂き目にあっている。
地球の食料生産量は既に自然の生産力を越えて久しい。

他にも伝染病、水源、林業資源など不安は多い。
またエネルギーと原発政策は地球温暖化と環境破壊に密接している。

個々に検討を加えます。


 
*2

* 介護について

最近、失業者の所得より生活保護費の方が多いとして、生活保護費が削減されました。
政府や与党は、生活保護者が失業者よりも多く貰っているとはけしからんと罵倒していました。

単純に二つのことが言えます。
一つは生活保護費が基本的人権(最低の文化生活)を維持する為のものだとしたら、失業者はそれ以下になります。
今一つは、日本の社会保障がそれほど素晴らしいのかと言うことです。
確かに日本より医療保険制度が酷い先進国(米国)もありますし、年金も医療も金額的には悪くないでしょう。

しかし、先進国の中では格差が拡大し、貧困層が増えています。
介護保険制度も進んだ北欧から見れば、内容は今一つです。

特に、今の政府と自民党には基本的人権を敵視している人が目立つ。
これは、上述の生活保護費など社会保障を徐々に無力化させ、これまでの公的な社会サービスを自由放任主義経済にほり投げることになる。

今一つ重要なことはアベノミクスにより、今回のバブル崩壊の被害額が格段に増加し、年金は直接数十兆円失い、また大幅な累積財政赤字となり、将来、社会保障制度は瓦解する可能性が高まった。

この右翼的な個人軽視と博打的な経済な流れは、これからの先進国の進むべき道ではない。
米国への熱愛か百年前の国家スタイルへの復古に過ぎない。

つまり、アベは百害あって一利なし。


 
*3


* 平和について

この問題は複雑なのですが、今回は一つの視点で戦争に巻き込まれる危険について考察します。

戦争には表裏一体の奇妙な思い込み「被害者」が国民を支配することになります。

例えば、ドイツのラインラント進駐(1936年)、日本の満州事変(1931年)、米のベトナム戦争とイラク戦争を見ます(ソ連にもあるのだが、日本でよく知られているのであしからず)。

世界の常識から見れば、この国々は侵略国です。
しかし、当時の国民は加害者とは思いもよらなかった。
多くは、敵国が強大になる前に叩いておこう、または攻めて来る前に防御線を確保しておこうとの意図から始めたものでした。
ドイツは少し違ったが、すべて被害者意識がなせる業で、綺麗ごとを言えば予防的な戦争(防衛?)と言うことになる。

ここで不思議なことがあります。
ドイツは戦争を自己批判し周辺諸国から免罪され信頼もされています。
一方、日本と米国では自己批判が一部に留まってしまい、周辺国や被害国からいまだに憎まれ、疑いの目で見られている。

特に、日本会議一色になったアベ政権になってからは、この悲劇のサイクルがまた始まろうとしている。

青山や三浦などアベ友応援団、御用新聞が北朝鮮が攻めてくると煽り立てる。
一方で、報道の自由度が失われ、戦前と同じ状況になっている。
国民は被害者意識を煽られ敵意が強くなており、客観的に世界情勢を見れなくなっている。

まだ戦略や外交などの問題(同盟、中立など)もあるが、最低でも国民に正確な情報が入らないと、戦前と同じ誤りを繰り返す。

つまり、ここでもアベは百害あって一利なし。


 
*4


* 失業について

知って欲しいことは失業率の低下は一時的なもので、今後も続くものではないことです。

今の失業率低下は、震災復興とオリンピック需要、株高、高齢者の大量退職、そして好調な世界経済による所が大きい。
すべてここ1年から数年で逆転が始まり、これまでの反動でより大きな逆境に突入することになる。

元来、日本の失業率は低いものでした。
しかし、ここ30年ほどの非正規雇用増加に見られる労働システムの悪化が、失業者を増やし、労働者全体の所得の低下を生んだのです。
それが、一時、上記の理由で減っただけなので、今後また増加し不安定さは増すことになる。

将来、競争力ある産業を育成するには、労働者の流動性は不可欠です。
しかし、今の労働者だけに負担をかける政策は明らかに間違っている。
(それは北欧の政策を見れば明らかです)

それには同一労働同一賃金、失業者の生活保障と転職支援が不可欠なのです。
労働者の首切りと残業代未払いを自由にして、企業を支援するアベの政策は止めるべきです。
現実に、非正規では生涯勤めても生涯賃金は正規の50%に過ぎない。


つまり、ここでもアベは百害あって一利なし。


 
*5


* 地球温暖化について

これは説明を待つまでもなくアベは百害あって一利なし。

なぜなら地球温暖化防止条約を離脱するトランプに唯一人ラブコールを送っているのは我が国の首相なのですから。

さらにアベになってから相次いで原発推進、原発と武器輸出、核兵器禁止反対などを矢継ぎ早に行って来た。
見た目、派手な外交に映り、経済界からも大歓迎だが、国民にとってはどうだろうか?

福島原発の後処理の膨大な費用、被害者救済の進み具合を見て、皆さんは原発が地震国、津波国にふさわしいと思いますか?


 
< 6.原子力と再生可能エネルギーの行く末 >


また世界のエネルギー事情からは取り残されつつあります。
時代錯誤も甚だしい。

青山の言うように北朝鮮が攻めて来るなら、高額な弾道ミサイルではなく海岸にある原発を手軽な小火器で狙うことで目的を達するはずです。
わざわざ迎撃ミサイルやイージス艦を並べても役には立たない。
政府のやっていることは防衛上、真逆というか支離滅裂ではないでしょうか。


 

< 7. アベ御用達の言いたい放題、外れ放題 >


* 最重なこと

見てきたように、アベのやっていることはすべて国民と国益にマイナスになっている。

このような間違った政策がここまで普及したのには理由がある。

それは、アベ政権によって言論や情報が一方だけに偏るようになったからです。
今は、タカ派、右翼、保守、自民党、アベ信条以外の言論や情報は押さえつけら、マスコミから葬られている。
都合の良い情報だけが流され、都合の悪い情報は隠すようになった。


その目的とするところは、彼らが財界、企業、米国、軍事を優先するからです。
彼らすべてが悪意を抱いているわけではないが、あまりにも報道や官僚の自由が無くなり、一方で露骨な干渉やパワハラが行われるようになった。

このことがすべてに災いをもたらすことになる。

規制緩和に始まり、特区、秘密保護法、働き方改革、次いで憲法改正へと進む。

重要なことは敵対することではなく、批判を受け入れ、互いに議論し、国民が政府を信じ、労働界と産業界が協力できることです。

これなくして、介護、平和、失業、地球温暖化の真の問題を解決出来ない。


終わります。





20180319

何か変ですよ! 100: これからどうする 1






*1

これからアベ政権倒壊後を考えます。
先行きが読めないので仕方なくアベをまだ支持している人がいる。
むしろ先行きを読めばアベは不要になる。


* はじめに

ニュースで流れる政府の惨憺たる状況を見ても、まだ支持率は30%もある。
本来なら5~10%だろう。
ネットウヨは産経新聞がアベ支持率39%を発表しただけで裏切り者呼ばわりしている。
まだまだ腐敗への不感症は国民に深く浸透している。


* アベによる日本沈没の現状

結論、アベが政府から手を引かない限り、日本の更生は無い。

そこで現状の深刻さをまとめます。

A 中央省庁の腐敗、内閣の劣化。
B 縁故主義の蔓延、便宜供与とそれによる一層の権力集中。
C 報道の自由崩壊、ウヨとアベ友応援団による扇情。

D タカ派的対応と日米同盟強化によって高まる戦争危機。
E 深まる格差社会と繰り返すバブル崩壊、日本の長期衰退。

A、BCは喫緊の課題で、確実に日本をどん底に陥れるので絶対に正常に戻さなけらばならない。
アベが政治に関わる限り、再生は不可能。
ここ数年の状況を見ていると、与党(自民党、公明党)は絶大なアベ人気とその剛腕ゆえに完全に盲従していた。
これを再来させてはならない。
もっとも、適当な代役が出現すれば与党はまた同じことを繰り返すだろうが、数年はないだろう。

Dは、わざわざ火種を撒き散らしているようなもの。
北朝鮮の核弾頭は米国に向けられていたもので、わざわざ日本に向けさせる必要はない。
要は、気まぐれなトランプとの連携強化を避け、米国と中国の間をうまく泳ぐしかないだろう。

Eは、ここ30年以上、自民党(公明党も)が押し進めて来た政策を、更にアベが加速させた(非正規拡大、賃金低下、企業収益上昇、逆累進課税など)。
しかし、これは民主主義を取り戻した後に10年ほどかけてやるしかないだろう。
手本があるので政策として難しくはないが、労働界と産業界のコンセンサスを得るのが難しいだろう。


* 経済はこのままで本当に良いのだろうか

既に、幾度も説明して来ました。
結論は、概ね良いことはアベの政策と無縁、概ね悪いことは自民党の政策とそれを拡大させたアベのせいです。

株価は上昇し、失業率は下がり、人手不足、円安が進み、オリンピック工事で都心は活況です。
・株価高騰はアベの貢献半分、世界の株高が半分(半分は目安)。
・円安はアベの貢献半分、世界の金融政策が半分。
・失業率と人手不足はアベの貢献1/4、残りは他の要因。


 
< 2. 人件費、企業利益、売上高 >

重要な事は、株価が上がりGDPが少しプラスになっても大半の国民には何らメリットが無いことです。
このような経済システムが既に定着しており、さらにアベによって深刻の度が増している。

上のグラフはこれを如実に示しています。
表面的に景気は良くても、株価や企業収益が上がっているだけで、賃金は上がらない。
ほんの一部の人は株高や企業収益のおこぼれに預かれるが、圧倒的多数は無縁なのです。

残念なことに御用マスコミとアベ友応援団の大合唱で、大半の国民はこの事実に
気付かない。
そして、良くなると信じてひたすら待っている。
格差を広げる労働システムと税制、バブルを繰り返す経済システムを変えない限り、国民に未来はない。

多くの若者は現実に苦しんでいるのに、このシステムの理解から遠ざかっている。

しかし、追い打ちをかけて災難が襲う。
世界的な株価下落で日本の株価高騰は逆に日本を窮地に陥れる。
次の章で分析します。



* 今の経済はバブル崩壊で木っ端みじんになるだろう

国民は、アベが去ることにより経済の舵取りに不安が生じると思っている節がある。

今、大きな災難が降り注ぎつつあるが、この被害の甚大さはアベの政策がもたらしたものです。
従って、結論はアベの政策を正常に戻し、アベの関わりを絶つことが急務です。

この問題を考える前に、現状を確認しておきます。


 
< 3. 世界の株価推移 >

上記グラフは世界(日本、中国、ロンドン、米国)の株価が、今年の1月から下落していることを示しています。
円ドル相場も、同時期から円高になっています。

問題はバブル崩壊によって、世界経済と日本経済がどれほどのダメージを受けるかです。
ダメージは株価下落の進み具合によって異なります。

最高値24000円をつけた日経平均が以前のように8000円にまで暴落すれば、日本経済はこの半世紀経験しなかったほどの最悪となるでしょう。

高失業率、大幅なGDPマイナス、続出する企業倒産が10~30年続きます。
さらにこれを救済するために財政赤字が一気に増え、さらに税収と預金の減少で財政破綻は秒読みになるでしょう。

この可能性を見てみましょう。


 

< 4. 世界の株価時価総額と世界のGDP >

このグラフから、2018年の暴落は2007年のリーマンショックに始まる欧州金融危機の再来と言えるでしょう。


 
< 5. バフェット指数にみるバブルの兆候 >

2016年以降、世界と日本の株価は投資家が提唱するバブルの目安(100%)を越えており、バブル崩壊の警告を発しています。
日本のバフェット指数は1989年の株価暴落の前兆を示し、この後、日本経済は20年以上苦しむことになった。
2017年の指数はこれに近づいている。
これは、アベがこれまでの堅実な日銀政策を博打的なものに変えたからにほかならい。

米国は逆に150%から100%に低下中です。


 

< 6. 米国中央銀行の貨幣供給と株価の差 >

米国は既に緩和縮小(ベースマネー減少)を行っているが、過去の緩和の勢いで株価は過熱気味です。
今、日銀がやっている大量の貨幣供給も、このようにコントロールが難しいのです(金利操作の余地があれば良いのだが)。


以上5つのグラフは、ほぼ確実に世界が同時にバブル崩壊に入ったことを示している。
そのダメ―ジについては、世界は前回のリーマンショックと同程度で、日本のダメージはアベノミクスにより1990年代の最悪に並ぶでしょう。



 

< 7. 今年になってからの日本の為替と株価 >

為替の動向は概ね日米の金利差で動いているが、期待値だけで大きく変動することがある。
相場水準は両国の金融緩和の差(金利差)で概ね決まり、後は投機家が先読みし売買することにより為替の変動が起きていることを示している。


年初から、今まで日本株を買い続けて来た海外投資家は一気に見限り逃げ出した(円高が大きい)。
それを日本の個人投資家がチャンスと見て買い足している。

しかし、一番始末に悪いのは日銀が株価を買い支えていることです。
もし、ここで日銀が買わなければ株価は暴落し、今まで年金基金と日銀が買い支えて来た60兆円(?、2017年3月で50兆円)の大半が失われる。
こんなことをしても、世界でバブルが弾ければ、追加購入は損失を増やすだけに過ぎない。

こんなバカげたとことを、アベ政権になってから本来独立機関である日銀まで行うようになった。


* まとめ

皆さんは、見かけに囚われず、経済システムを理解するようにしてください。
そうすれば、このまま続けると危険なことがわかるはずです。

とりあえずは、アベ政権が誕生する前の状況にでも戻し、しのぐしかないでしょう。
そして日銀政策と労働の規制緩和を元に戻し、これ以上の逆累進性の税制をストップすることです。
これなら、たいていの政権で行えるはずです。

絶対してはならないことはアベノミクスの深追いです、アベノミクスがバブルの傷を深めるのですから。
やるべきことは、アベノミクスからのスムーズな撤退です。

これから日本は景気上昇どころではなく、手痛いバブル崩壊で景気後退に苦しめられることになる。
このために、また景気刺激策(財政投資)と金融緩和がまた必要になる。
新政府は過去の経験と日銀の従来の手法、米国の知恵を借りてやるしかない。
米国はバブル崩壊の大先輩なのだから。
だが、米国の猿真似は危険、後にさらに大きなバブルと格差拡大を呼ぶことになる。

このバブル崩壊後の対処で、おそらく政府は最悪100兆円に及ぶ損失を被ることになるだろう。
これもアベがもたらした置き土産です。

この悲惨な状況を心ある経済学者は以前から警鐘を鳴らしていた。
しかし、優勢なアベ友応援団と御用マスコミの単純な礼賛に国民は踊らされてしまった。
これまで煽動して来た人物は、鳴りを潜めるだけで責任を取らず、騙された国民が自己責任を取るのです(米国も同じ)。

実に痛いの一言に尽きる。



終わります。