20160625

地中海とカナリヤ諸島クルーズ 20: テネリフェ島 2







 


< 1. 外輪山の一つ >

今日は、テイデ山のカルデラを紹介します。
前回の雪景色とはまったく異なる別世界が広がります。





< 2.カルデラの地図、上が北 >
青丸が前回紹介したレストランで、赤丸が今回、下車観光した地点です。

このカルデラは標高2100mにあり、広さは東西15km、南北10kmです。





< 3.車窓から1 >
レストランを出発し、地図の赤丸地点に向かう。
進行方向の左側、主に南側を撮影したので、真昼の日差しが非常にまぶしかった。



< 4.車窓から2 >
上の写真: 右上に前を行くバスが見える。
下の写真: 中央に一際高くそびえる標高2715mの外輪山が見える。
その右下が目的地(赤丸)です。

バスが進むに連れ、雪は無くなっていく。
このカルデラはテイデ山頂の南側にある為、強い日差しで雪が融ける。




< 5.下車観光の始まり >
雪を頂いているのがテイデ山頂です。




< 6.岩山からの眺望1 >
駐車場から少し岩場を登り、東南側と北東側を撮影した。
下側の写真は北東側で、左奥の方から私達は来た。
ここにはまったく雪が無く、むしろ砂漠の始まりのようです。
ここでSF映画の地球外惑星の舞台として数々の映画撮影が行われている。



< 7.岩山からの眺望2 >
同じ岩場から、北側と西側を撮影した。



この場所で撮影した22秒の映像です。



< 8. 駐車場周辺を散策 >
日差しはきついが爽やかだった。



< 9. 帰りの車窓から1 >
またバスに乗り、来た道を戻る。




< 10.帰りの車窓から2 >
この2枚はテイデ山頂の南斜面の下部を写している。
ところどころ、この雪原で遊ぶ人達を見た。

次回は、港近くのサンタ・クルスの町を紹介します。










20160624

何か変ですよ! 44: 本当に恐ろしいことは・・・




    



安全や平和を守るには我々は何を優先すべきか?
身近な所にその答えはあります。




< 2. 日本の交通事故と銃による死者数 >

車社会と銃社会
日本では、交通事故の死者は毎年約4千人、銃による死者は毎年10人ほどで共に減少しています。
米国では、交通事故の死者は毎年約3万人、銃による死者は毎年約3万人で近年増加傾向にあります。
尚、米国の人口は日本よりも2.5倍多い。

両国共に、非常にたくさんの人が死んでいますが、日本の方が遥かに安全で平和です。
この違いにヒントがあり、最も本質的な視点が隠れています。

交通事故と銃犯罪には共通点があり、それは国民が被害者にも加害者にもなることです。
そこで、日本では加害者の発生を減らすべく、警察が交通違反と暴力団の取り締まりを強化することで、共にピークの1/4に減らすことが出来ました。
一方、米国では有効な施策がとれず、特に、銃による死者は増加傾向にあります。注釈1.
米国の一人一丁以上の銃保有率は、明らかに銃犯罪と自殺者の増大を招いている。注釈2.

そこには基本的な社会通念の違いがあります。注釈3.
日本では、銃は武器と考えられ禁止されているが、米国では逆に防具または抑止力とみなされ奨励されている。






< 3. 米国の交通事故と銃による死者数 >
上の図: 米国の銃社会の一面。
下の図:赤線が銃殺人、青線が交通事故死。


このことから言えること
人々は毎年多くの人が周囲で死亡していても、その事件や事故に自分が遭遇するとは考えず、ましてや加害者になるとは思わない。
しかし、加害者の発生を極力減らすことで、社会の安全性は格段に高まる。
米国社会は、銃によって死者だけでなく、あらゆる犯罪も増大させてしまった。

米国はなぜ日本のように銃規制が出来ないのだろうか?
色々理由はあるが、一つ重要なことがあります。
それは一度、銃が蔓延してしまうと、そこから徐々に銃を無くすことが困難だと言うことです。
その理由は、個人にとって銃使用(攻撃)のメリットは明確だが、保有する損失がほとんどないことで保有競争に陥り易いことによります。
しかし社会全体、長期的にみればその損失は非常に大きいのです。
この理解は重要で、最新科学でかなり解明されています。注釈4.


まだ解決手段は一つ残っており、かつて各国で、日本でも行われたことはあります。





< 4. タカハトゲーム >
重要な要件として、ハトは全員に餌が行き渡るメリット、タカは怪我をするデメリットがある。


皆さんに知って頂きたいこと
安全や平和を確保することは容易ではありません。
目先の危険や恐怖に目を奪われ、一歩道を踏み誤ると取り返しのつかないことが起こりうるのです。
そして逆戻りは困難で、行き着くところまで行ってしまうのです。

それは日本の明治維新から太平洋戦争への道、米国のトールマンドクトリンからベトナム戦争への道、英国の委任統治領パレスチナから中東戦争への道が語ってくれています。
このことから教訓を得ることは難しいが、一度進み始めると止めることが不可能だったことだけは理解出来るはずです。

一つの問題点が判明しても、まだまだ現実の恐怖や他の危険がこの社会にはあります。

次回に続きます。


注釈1
かつて米国の銃保有率は、銃規制世論の高まりを受けて低下傾向にあったのですが、現在はまた高まっている。
米国の二大政党は銃規制と銃擁護と正反対の政策を採っており、州や年代によって銃保有率と犯罪発生に差があります。

注釈2
テロ事件が起きると銃が買われ、その必要性が訴えられるが逆効果です。
米国の2003年から10年間の銃による死者は35万人で、テロによる死者は312人で、その差には1千倍の開きがある。(US版『WIRED』より)
むしろ銃が増えるほど、犯罪と自殺者が増える。
米国の自殺は銃によるものが多く、銃の保有率と自殺率はほぼ比例している。
この状況は、私の連載「私達の戦争17~22: 銃がもたらすもの1~6」で詳しく説明しています。

注釈3
米国では、憲法で自衛権として銃の保有と自警団が認められています。
これは建国時、英国から銃で独立を勝ち取った事、さらには北米原野を銃で開拓していった経緯が今に尾を引いていると言えます。
この自警団と各州の独立性を堅持する姿勢により、第二次世界大戦後の国連で米国が戦争拡大の主要因であった集団自衛権を強く唱えることになり、米国の離反を恐れた各国が条約に盛り込まざるを得なかったのです。
もし盛り込むことが出来なければ、米国議会が批准せず、国連による団結は瓦解したのです。

注釈4
この手の問題は、タカ―ハトゲームと呼ばれるゲーム理論で扱われています。
これは闘争を好む固体と闘争を好まない固体が、一つの集団内で淘汰を繰り返しながら安定する状態をシュミレーションしています。
その結果は多くの人にとって常識とは異なりますが、実際の動物社会と比較しながら研究が続いています。
この理解は、社会や進化への理解を助けてくれます。
本「進化ゲームとその展開」佐伯・亀田編著、共立出版刊をお奨めします。
認知科学、進化論、動物行動学、心理学で研究されています。











20160623

Bring peace to the Middle East! 19: Israeli-Palestinian conflict 1: voices of the young 1


中東の平和を! 19: イスラエルとパレスチナの紛争 1: 若者の声 1





< 1. the book >
< 1. 本 >

I introduce voices of people living in Israel and Palestine where the conflict continues, several times.
My reference comes from the books reported on the actual place.
"Seeing the Middle East and Arab world in films" finished.

これから数回に分けて、紛争が続くパレスチナとイスラエルに住む人々の声を紹介します。
現地をルポした本を参照にします。
都合で、「映画に見る中東とアラブ世界」を終了しました。

The book
This book was published in 2003.
The book's title means "would talk about own honest feeling".
The author is Yagi Kenji, photographer, is addressing the Palestinian issue, and interviewed 100 people locally.
In the book, he introduces voices of Muslim and Judaist, the will of an Israeli refusenik or a Palestinian suicide bomber.
He does 15 common questions to 45 youths and the readers can understand their thought about the conflict.
The targets of the questions are 25 men, 20 women, 22 Judaist of Israeli, 21 Muslim of Palestinian, 2 persons from other religion, and their age is 15-25 years old.

I choose five cases from the questions, summarize the result and introduce my impression and the background in twice.
A note, total number of people isn't equal to total number of the answers because the answers to the questions have the plural number.


参照する本
著者は八木健二、「正直な気持ちを話そう」()たちばな出版、2003年刊。
彼はカメラマンだが、パレスチナ問題に取り組み、現地で百人にインタビューした。
この本ではイスラム教徒とユダヤ教徒、両者の声と、イスラエルの兵役拒否者やパレスチナの自爆テロ犯の遺書も紹介している。
対象者45人に共通の質問15件を行い、若者の紛争への思いや考えがわかるようにしている。
質問の対象者は男25人、女性20人で、イスラル人(ユダヤ教徒)22人、パレスチナ人(イスラム教徒)21人、他宗教2人、年齢は15~25歳です。

私は2回に分けて、その質問の中から5件を選び、その結果を要約し、私の感想と背景について紹介します。
尚、質問に対する回答は複数がありますので、件数の合計と人数は一致しません。




< 2.  Israel and autonomous Palestinian areas >
< 2. イスラエルとパレスチナ自治区 >
Black dashed line indicates the cease-fire line in 1949, green part does the autonomous Palestinian areas, cream part does Israeli territory, and many triangle marks are Israel forces garrisons.

黒破線が1949年の休戦ライン、緑色部がパレスチナ自治区、クリーム部がイスラエル支配地域、三角印がイスラエル軍駐屯地です。


Question,  " What do you think religion?  Do you think that God exists?"
Something seeing from the answers

Their religious devotion is fervent, and all the Palestinians believe in God.

This may be caused by Palestinian is earnest Muslim, and in addition, their religious devotion is deep when the society becomes hopeless.

Four Israelis occasionally doubt God and think that God may bring an evil.
As Israel becomes dominant and rich, the young feels war-weariness from the protracted conflict.

質問 「宗教とは何だと思いますか? 神は存在すると思いますか?」
回答から見えるもの

両者共に信仰心は篤く、パレスチナ人全員が神を信じている。


これはパレスチナ人が熱心なイスラム教徒であることもあるが、社会が絶望的な時ほど信仰心が高まることに起因しているのかもしれない。

4人のイスラエル人は神に時折、疑いを持ち、災いをもたらす場合もあると考えている。
これはイスラエルが支配的で豊かになるに連れ、若者は長引く紛争に厭戦感を抱くようになったことが起因しているのだろう。



< 3. the conflict and change of the territory >
3. 紛争と領土の変化  >
4 pictures are arranged in order of the following titles from the top, the First Middle East War in 1948, Israeli territory (white) keeps spreading, and the Fourth Middle East War in 1973.
The bottom map shows the autonomous Palestinian areas of the current West Bank.
The red lines show the separation barrier described in mentioned "the other son", and many blue points are the Jewish settlement that keeps increasing.

上から順番に、1948年の第一次中東戦争、拡大を続けるイスラエル領土(白色)、1973年の第四次中東戦争を示す。
一番下の地図は現在のヨルダン川西岸のパレスチナ自治区を示す。
赤線が映画「もうひとりの息子」で写されていた分離壁、青い点が増え続けるユダヤ人入植地です。


Question, "What is the war?"
Something seeing from the answers

質問 「戦争とは何ですか?」
回答から見えるもの

The most of them consider in common that the war is an evil and due to a stupid act objectively.

I feel that they have a feeling of war-weariness from a lot of the answers.
I think that they together come to regard themselves as the victims by the war and terrorism, during half a century from beginning of the war.

However, some Palestinians think they should continue the war for justice.

両者共に多くは、戦争は災いであり、愚かな行為であると客観的に見ている。

若者の多くは、剥き出しの貪欲さや弱肉強食が戦争をもたらしていると考えている。
また、多く回答から厭戦感が漂っている。
戦争を冷静に見ていると言うより、戦争開始から半世紀を経て、共に戦争やテロの被害者との気持ちが強いようです。

しかし、幾人かのパレスチナ人は正義の為に戦争を続行すべきだと考えている。


    


Question, " Who is in fault concerning the war during this 50 - 100 years? "
Something seeing from the answers

質問 「この50年から100年の間、誰が悪いと思いますか?」
回答から見えるもの

I was surprised they one-sidedly don’t consider each antagonist in fault.
The answers indicating this are 11 cases of Palestinians, and 17 cases of Israelis, and this tendency is strong in Israeli.

I include "both side's fault, no comment, obscurity, all the members, a fate, and nobody's fault" in the answers.
The second most answers of Palestinian are 8 cases of neighboring countries (Arab, radicals, Jordan, Iran, Iraq), next 6 cases of the U.S.A, 5 cases of the U.K., and 3 cases of Israel.
There was not Palestinian answering own country is in fault.

私が驚いたのは、互いに敵対者を一方的に悪いと見なしていないことです。

これを示す回答は、パレスチナ人で11件、イスラエル人で17件あり、イスラエル人にその傾向が強い。
この回答には「両方が悪い、ノーコメント、不明、全員、運命、誰のせいでもない」を含めています。

パレスチナ人の回答で次いで多いものを挙げると、近隣諸国(アラブ、急進派、ヨルダン、イラン、イラク)の合計8件、米国の6件、英国の5件、イスラエルの3件が続く。
自国が悪いと答える人はいなかった。


The reasons that I suppose
l       The Arab countries began the Middle East war, but they suffered a crushing defeat and recognized Israel with forsaking Palestine.
l       The neighboring countries only arrange everything to suit their own convenience, and don’t rescue Palestine. Jordan of the east side seems to have been regarded that way in particular. And the oil-producing countries such as Saudi Arabia close to the United States, after all, it brings benefits to Israel.
l       Various radicals repeat terrorism and let the conflict spread, but the neighboring countries (including Saudi Arabia, Syria, Iran) support each radical separately.
l       The United States performed various interventions in the Middle East and the Islam zone (Arab and Afghan) more than half a century and planted the war and confusion.
l       The U.K. established a border in the Middle East after the World War I without permission, and finally escaped when it became problems.



私が推測する彼らが悪いと見なす理由
     アラブ諸国は中東戦争を始めたが惨めな敗北を喫し、パレスチナを置き去りにしたままイスラエルを認めた。
     近隣諸国は自国の都合しか念頭になく団結して救援してくれない。東隣のヨルダンは特にそう思われており、またサウジなど産油国は米国に擦り寄り、イスラエルを利することになる。
     過激派がテロを繰り返し、紛争を拡大させているが、近隣諸国(サウジ、シリア、イランなど)はバラバラにそれぞれの過激派を支援している。
     米国は、ここ半世紀以上、中東やイスラム圏(アラブとアフガン)に様々な介入を行い、戦火と混乱を植え付けた。
     英国は、第一次世界大戦後、勝手に中東の国境を定め、もめると最後には逃げた。


The second most answers of Israeli are 2 cases of Arab, 2 cases of anti-Judea, 2 cases of Europe and America (include the U.K.), and next 1 case of the own country.
There wasn’t person answering Palestine is in fault.

I was surprised there is the anti-Judea in the answers.
When the world criticizes the severe act of Israel, they seem to consider it as age-old discrimination against Jew (anti-Judea).
Israel became more and more high-handed (the right wing) since Prime Minister Rabin (winning Nobel Peace prize) of the moderates was assassinated in 1995 by the Jewish young man objecting to the peace.
As one of the outcome, the separation barrier began to be made in the West Bank since 2002, and the total extension becomes 700km now.
In contrast, the United Nations did censure resolution, and there is certain American Jew group that stood up to have to correct such Israeli excessive act.

The young of the both sides don’t blame the responsibility of the war on each other, and consider that the causes are due to both sides, Arabic neighbor countries, and European and American.

This continues next time.


イスラエル人で次いで多いものを挙げると。アラブ2件、反ユダヤ2件、欧米(英国含む)2件、自国の1件が続く。
パレスチナが悪いと答えた人はいなかった。

ここで注目するのは、反ユダヤが挙がっていることです。
世界がイスラエルの苛酷な行為を非難すると、彼らは昔から続くユダヤ人差別(反ユダヤ)と受け取るようです。
1995年に穏健派のラビン首相(ノーベル平和賞受賞)が和平反対派のユダヤ人青年に暗殺されてから、イスラエルは益々、強権的(右翼的)になっている。
その現れとして、ヨルダン側西岸に分離壁が2002年から造られ始め、現在総延長は700kmにもなっている。
これに対して国連は非難決議をし、こうしたイスラエルの行き過ぎを是正すべきとして立ち上がった米国のユダヤ人団体もある。

両者の若者は概ね、戦争の責任を相手国だけに押し付けるのではなく、双方またはアラブ周辺国と欧米にあるとみている。


次回に続きます。






20160621

History of sickness and medical art 27:  China 2


< 1. Medical treatment scene of doctor Bian que >

This time, I look at the change of medicine through the activity of the doctor.

今回は、医者の活躍を通して医術の変遷を見ます。

< 2.  Capital's remain of Yin dynasty >

Doctor

In the entire world, the medical treatment by fortune telling or prayer was in the mainstream in ancient times.
Similarly, medicine man (witch doctor) was most valued in the royal palace of Yin that occurred in the 16th century B.C.
However, a portent of experience medicine was seen also in Yin dynasty, and, in Western Zhou Dynasty in the 8th-11th century B.C., the tendency further was progressing more.

医 師

どこの世界でも、古くは占いや祈祷による治療が中心であったが、前16世紀に始まる殷・周時代の王宮でも巫医(ふい)が最重視されていた。
しかしその殷王朝でも経験医学の萌芽が見られ、前11~前8世紀の西周ともなると、その傾向はさらに進んだ。

 3.  Duke of Zhou is a Prime Minster of Yin dynasty and seemed to have written ”Rites of Zhou”

According to ”Rites of Zhou” in which the administrative organization of Western Zhou Dynasty is described, there was a medical special department that separated from magic and religion.
It included the disease prevention, the treatment, the management about medicine and medical appliances, and the accountancy.
The ranking of medical person was indicated in that order: the doctor (he collected medicine and superintended inferior doctors), food doctor (he prescribed food and drink), internist, surgeon, and veterinarian.
The doctor had been classified by the results and was obliged to report his failure or his success as the judgment data.
In the middle of next chun qiu Zhan guo shi dai (end of the 8th-3rd century B.C.), the change appeared furthermore.
As we had looked a famous physician of the King of Qin last time, doctors like Bian Que (the 5th century B.C.) came to play an active part among many thinkers (Hundred Schools of Thought) that went around feudal lords of each country.

西周の行政組織が記されている「周礼」(前3世紀頃)によると、呪術や宗教から分離した医療専門部署があり、病気予防、治療、薬剤と医療器具管理、会計事務が設置されていた。
その治療を担当する医師には医博士(薬を集め、医師を監督)、食医(食物と飲料を処方)、医師、傷医(外科医)、獣医の順で記載されていた。
医師は成績により格付けされ、その判断資料として、失敗成功の報告が義務づけられていた。
続く春秋戦国時代(前8~3世紀末)の中期になるとさらに変化が現れた。
前回に見た秦王の侍医医爰は傑出していたが、諸侯の間を遊説して渡り歩く諸子百家に混じって遍歴医、扁鵲(へんじゃく、前5世紀)などが活躍するようになる。


< 4. a relief engraving(hua xiang shi) in the 2nd century A.D. showed Bian Que carrying out acupuncture. >

The bird expresses the doctor, and his name means the magpie of a wise bird.
He visited main five countries of those days.
He was skillful at pulse diagnosis and also was excellent in internal medicine, surgery, gynecology, pediatrics, five senses (eye, ear, nose, mouth, and tongue), acupuncture and moxibustion.
He was dealt with in “Records of the Grand Historian”, and it was written that he cured the diseases of from feudal lords till common people of each country.
In his words, there was “there are six cureless sickness", and one of that was " a person believes pythoness and does not believe medical art."
This shows a firm belief in medical art of those days, and it shares similarity with Hippocrates of Greece of the same period.
However, the experience medicine did not replace magic medicine.
In the preceding paragraph story of the famous physician of the King of Qin last time, the King was divined by pythoness as “King was cursed as that king had killed two men by his hand, therefore he must die.”

扁鵲は鳥で表現されているが、名前の鵲は賢い鳥のカササギを意味している。
この扁鵲は、当時の主要5ヶ国を巡り、東西両端の地を訪れた。
彼は脈診が巧みで、内科、外科、婦人科、小児科、目・耳・鼻・口・舌の五感、鍼灸科の医術全般にわたって優れていた。
後の淳于意(ジュンウイ)と共に「史記・列伝」(前1世紀)に取り上げられおり、各地の王侯・官吏から庶民までを治療した事が書かれている。
扁鵲の言葉に、「病気には六つの不治が有り」、その一つに「巫女を信じて医を信じない」がある。
これは当時の医術への確信を示しており、ギリシャの同時代人ヒッポクラテスに通じる。
しかし経験医学が呪術に取って代わったわけではない。
前述の医爰逸話の前段階において、晋王は巫によって占われており、「自らの手で二人の大夫を殺害した祟りであり、・・・、帝の死は避けられない。」と宣告されていた。

< 5.  “Shennong Ben Cao Jing” is a Chinese book on agriculture and medicinal plants >

Sickness

The sick classification was hardly based on cause of disease, but was based on "proof” of the condition or pulse diagnosis.
Therefore, the ancient name of disease is uncertain.
As for the oldest specialized book of materia medica, there is “Shennong Ben Cao Jing”(the 1st century B.C.).
The disease names being written in this book covered 170 different types including jaundice, malignant tumor, cold, etc.
And it explained each disease of internal medicine, surgery, gynecology, ophthalmology, otolaryngology, and dentistry.

病 気

病気の分類はほとんど病因によらず、もっぱら症状や脈診による「証」によった。
したがって古代の病名は判然としない。
最古の薬物学の専門書に「神農本草経」(前1世紀、後漢以降の編纂)がある。
ここに出てくる病気は黄疸、悪性腫瘍、風邪などを含む170種に及び、内科・外科・婦人科・眼科・耳鼻咽喉科・歯科の各疾患にわたっている。



何か変ですよ 43: 何がちがうの・・




    


私は技術者として、日々、新しい事や困難な事、また職場改善を行って来ました。
成功するには的確な分析と予測が不可欠でした。
そこで今日は、平和を求める意見の違いについて考察し、その対立がなぜ起きるかを見ます。



    


次の要望に対して、あなたはどう思いますか?

1問目
「ある集落が武装集団に襲われるようになり、村民が銃の携行を望んでいます。」
この現場は中東の紛争地域だとします。

2問目
「ある学校でいじめが横行しており、被害者の親が子供に武器の携行を望んでいます。」
これは日本の場合です。

3問目
「抗争相手の暴力団の規模が遥かに大きいので、部下が重火器の武装を望んでいます。」
あなたは日本の小さな暴力団の親分だとします。




    


どう答えますか
あなたは武器携行や武装に賛成、反対、それとも別の解決案を提示しますか。

武装に賛成する人は、弱者や被害者の身を思っての判断でしょう。
反対する人は、なぜそれを軽視するのだろうか。
反対する人は一度、武装を許すと巷に武器と暴力が氾濫し、むしろ被害が拡大すると考えるらしい。

どちらが正しいのでしょうか?
答えは皆さん次第ですが、幾つかのヒントはあります。

1問目は、多くの人は賛成するでしょう。
米国でテロ事件後に銃購入が増えるように、当事者の身になると武器携行を拒否するのは難しい。
しかし、中東での大国の武器供与による武力衝突の拡大、米国の銃社会における銃犯罪の増大を知ると賛成出来ない面もある。
そして一度、それを許すと逆戻りは不可能に思える。

これは大いに悩むところです。
犠牲や被害にこだわり手を打たずに放置すると災厄は大きくなるばかりです。
もし、第2次世界大戦で連合軍が10万人の戦傷者発生をためらい、ノルマンディー上陸作戦を敢行しなければ、死者5千万人を超えた戦争を終わらすことは出来なかったかもしれない。
また南アフリカで、マンデラが同胞1万人の虐殺被害にこだわって和睦を求めなかったら、アパルトヘイトは終わらなかったかもしれない。
凡人にはこんな判断は出来ないが、英断が世界を救った事例です。


2問目はあり得ない設定ですが、おそらく賛成する人はいないでしょう。
非力な我が子が暴力的ないじめを受けるかも知れないのに、権利として対抗手段(武器)をなぜ与えないのでしょうか。
一番の理由は、別の解決方法(学校がいじめを減らす対策)を採るべきだと考えるからでしょう。
これは、日本人が社会を信頼し、個人が紛争に直接手を出さないという暗黙の了解があるからでしょう(別の理由もあるが)。
私はこの事が平和の為に重要だと考えていますが、今回は触れません。
米国なら違う結果になるでしょう。



    

3問目では、おそらく、あなたは現実的に判断し武装闘争を諦め、相手の傘下に入ることでしょう。

このような事例は幾つもあります。
冷戦時代の米ソが保有していた核弾頭は合計5万発でしたが、この時、日本列島を迎撃ミサイル網でカバーすべきだと真剣に考えた人はいないでしょう。
今より、不透明で遙かに恐ろしい時代でした。
例え核弾頭の飛来を迎撃しても、一度核戦争が始まれば無意味だったからです。
もっとも迎撃も不可能でしたが。

北朝鮮ミサイルの迎撃は現時点で100%では無く、今後益々完全防御は遠のくでしょう。
まして中国やソ連の核攻撃まで含めると、迎撃構想は破綻します。

往々にして、核ミサイル配備の抑止効果よりも、近隣に核兵器開発や配備の競争を招くことになります。
このことは米ソの核開発競争が物語っています。
詳しくは「私達の戦争 44、45」で扱っています。


何がポイントか
この平和を求める議論が噛み合わないのには理由があります。
それは、ある人は現実の恐怖を重視し、別の人は未来に起きるかもしれないより大きな惨劇を予想するからです。

現実の恐怖心を無視出来ませんが、社会が共有した恐怖が些細な誤解や対立から徐々に高まり、さらにマスコミや政府によって煽られた事実は世界や日本に幾つもあります。
また、そのような発端と動機はいつの時代にも存在します。

一方、軍拡競争が戦争を招く事例も事欠かないが、今回もそうなると言い切ることは出来ません。

一つの事実に対して、なぜこうも認識が異なるのでしょうか。
ある人は現実の社会に概ね満足し、権威や秩序に信頼を置きます。
この人は社会の現状維持を望み、時には過去の美徳を礼賛することになります。
一方、異なる外部社会に対して排他的になる可能性が高いようです。

ある人は現実の社会に不満を持ち、権威や秩序に疑いを持ちます。
この人は社会の変革を求め、理想の形を想定することになります。
一方、外部社会にその理想の事例を見出そうとします。

両者は、信頼するものが異なり、自分に合った情報やマスコミを取捨選択するようになって行きます。
ついには、都合の悪い歴史や科学的な情報をそれぞれ無視するようになります。
こうなると、両者の意見の違いは埋まらなくなります。




    


結論
知って頂きたいことは、それぞれ信頼している論理(平和を求める案)が、両者の脳にとって心地良いだけ、錯覚かも知れないことです。

そうであるなら、あなたの確信を疑ってみることをお薦めします。