20180316

何か変ですよ! 97: 何が最優先か?



*1



これまで日本の現状を憂い、様々な問題を取り上げて来ました。
しかし、いくら大所高所から経済や平和、社会を俯瞰しても意味が無い。
既に、土台が腐って・・・



< 2. 立派な家系の・・ >

* 麻生大臣の一言から見える・・・

最近、テレビのニュースを見ていて気になることがある。
それはトップ政治家の人相です。

アベ首相は政権を担う前、ぼんぼんらしい清々しい顔で国民の人気を博した。
しかし、いつの間にかやつれて悪相になった。
おそらく彼は、優れた取り巻き、智者に恵まれていれば良きリーダーに成れたかもしれない。

残念ながら、盟友、副総理の麻生大臣の人相が良くないように思う。
同じ世襲のブッシュ元大統領を連想させる。
彼はプライドが高くて短慮軽率、これが災いを招く、ブッシュのように(富豪優遇、規制緩和、大減税で赤字拡大、戦争開始、リーマンショックなど)。

しかし、つい本音が出てしまう彼の発言から政治の裏を読めるのが有難い。



*3


13日、麻生大臣は記者から、神戸製鋼社長の辞任を例に責任を問われると、逆に記者に問い直した。
「神戸製鋼は20年ぐらい続いてたのかな?」
彼は得意満面でした。

彼は、20年間のデーター改ざんと高々4年間の任期と同列に扱うとは無礼千万とでも言いたかったのでしょう。

皆さんは、この発言をどう理解しますか?

一つは麻生大臣発言の額面通り、期間が短いから責任は無い。
しかし、少し考えるとおかしいことに気付く。
通常、責任はその期間に関係なく、その結果に依るはずです。
二人を殺した犯人が、その期間が1時間か10年間で無罪を訴えるようなものです。

彼の脳裏にはある不満があったはずです。
つまり、以前からあった内閣と官庁の腐敗の責任を、なぜ俺が一人で取らなければならないのか・・・
(少しばかり盟友とやり過ぎただけなのに)
事実、腐敗の一例、改ざんはそれ以前のものが見つかり始めています。




< 4.とほほ >

* 自民党国対委員長の発言から見える・・・

15日、ようやく佐川前国税庁長官の証人喚問が決まりました。

佐川の証人喚問が申請されたのは国会紛糾後、半年を経た2017年9月3日でした。
その後、こんなやり取りが続いていました。

佐川氏、2017年7月、国税庁長官に昇進。
野党「佐川宣寿国税庁長官の証人喚問を・・」
自民党「今は国税庁長官だから難しい」

佐川氏、2018年3月、国税庁長官を辞任。
野党「佐川前国税庁長官の証人喚問を・・」
自民党「民間人だから喚問は難しい」
(これらの人事は内閣)

証人喚問を拒否し続ける理由が子供だましであっても国会ではOKなのです。
これをダブルスタンダード、数の力、それとも与党の巧みさ・・・
日本の政治は、庶民と先進国の常識からかけ離れている。



*5

* マイナンバーから見える・・・

現在、日本のマイナンバーの普及率は9.6%です。
目的は脱税を防止し、事務の合理化を図る素晴らしいものでした。

実は、普及している国は幾らでもあるのです。
北欧のスウェーデン、デンマークは100%活用され、無くてはならないものになっている。

それではなぜ悲惨な結果になったのでしょうか?
これは日本国民が政府を信頼していないからです。
日本と北欧を共に知っている人々がこのように指摘しています。



* 問題の本質

上記三つから、腐敗が蔓延している政府(内閣と官僚)、正論が通じない政治(党利党略の政治)、国民に信頼されていない国家が日本と言うことになります。

これらすべてがアベ政権によるものではないが、彼になって一気に加速したのは疑いない。

この災難に国民はどのように向き合うべきか?

現在、日本では労働条件(賃金、非正規)の悪化、世界的なバブル崩壊と北朝鮮の不安がある。
長期的には日銀の後始末と財政破綻、社会保証(年金、医療)への不安がある。
そして増えているトランプ大統領などの暴走に不安がある。

しかし、足元を見れば、まさに土台は崩壊寸前です。
放置すれば、景気や平和などを求めるどころではなく、政府は国民を向かなくなってしまう(人気取りとごまかしの扇情はあるが)。
中央政府は一部政治家に私物化され、官僚達はそれを支えるだけになり果てた。



< 6.とある応援団の発覚直前の発言 >

さらにマスコミ(新聞、放送局、雑誌)だけでなく、多くの評論家や記者までが政府に飼いなされている。
(首相はあれほど朝日新聞を貶めようと国会で叩いたが、立派に謝罪する首相と自画自賛するわりには、まだ謝罪していない)



< 7. 犠牲者は二人か >


* 再生について

結論は、出来る限り早く腐った土台を破棄し、新築すべきです。

腐敗や不信感を放置すれば、単に政治が回らなくなるだけではなく、将来への再生が不可能になる。

土台新築のポイントは、以下の通りです。

政府の腐敗を防ぐ為にすべき事。

A: 公文書管理の徹底(米国並み)。

大日本帝国の時代から、軍隊の証拠隠滅と虚偽報道は他の先進国には見られないほど徹底していた。
この背景に村社会の残滓があり、組織を守る為であれば、外部に対して不都合な真実を知らせないことも許される。


B: 監視制度(オンブズマン制度)の確立。

スウェーデンでオンブズマン制度が成立したのは1809年でした(明治維新の半世紀前)。
議会で任命された者が、裁判所及び行政機関と公務員を監視し、勧告と起訴する権限を持つ。

企業も含めて組合が正常に機能していれば、経営者や行政の横暴や不正を牽制する機能を持つ(これは西欧と米国で弱体化)。

日本では、内部告発者の保護制度が貧弱で、せっかくの法改正はあったが公務員は除外されている。
日本社会は、まだ内部告発者を組織の裏切り者とみなす傾向が強く、これを教育などで正す必要がある(自民党では不可能)。


C: 忖度を抑制するシステムと法整備。

報復や制裁人事の監視、便宜供与の連座制などです。
忖度は美徳と言うより組織が劣化する要因でもあり、上層部が忖度を悪用し不正行為の法的責任から逃げることにある。
しかし世論が逆風になると、道義的責任と言って辞めるだけ無罪放免となる。


国会に信頼を取り戻す為にすべき事。

D: 常態化している政治家と役人による便宜供与の抑制。

上記ABCの対策が発生を抑える効果を持つが、議員の強欲を抑える別の対策が必要です。

恣意的な便宜供与は政治を歪め、最終的に社会経済の効率を悪化させる。
国民はこれに慣れているが、逆にこれが不信を抱くことに繋がる。
例えば地元議員の票田や派閥が異なると、土木工事のメリットに大きな差が出るなどで選挙民は自然にこの道理を会得している。

これが日本の保守政党が延命出来る最大の要因なので、自民党による腐敗刷新は期待できない。
それこそ盗人に追い銭です。

もっとも野党にも便宜供与の動機はあるが。


* 最後に

上記のことが進めば、信頼される政治の土台が固まり、次のステップに進める。

願わくば、国民が中央政府を信頼するようになり、正論がまかり通る国会になって欲しい。
正しい情報と情報開示がタイムリーに行われるようになれば今回のような不毛な国会攻防はなくなるだろう。

まさに、40年遅れのペレストロイカかもしれない。

この段階を経て、日本は新たな目標に向かって、国民と政府が一体になって進むことができるだろう。

それは超格差社会と繰り返すバブル崩壊経済へ突き進む道から、平和と生きがい、高い所得も可能な社会への大きな転換です。
(北欧などが実現している社会)



< 8. 村社会(文科省)の怨念 >


最後に注意を一つ。

日本の村社会の心理では、どうしても異なる組織―村だけでなく異なる政党や外国、に対して情報を共有し議論を経て協調を得るより、情報を隠し閉鎖的になって組織を守る傾向が強い。

この習性から脱却しない限り再生は困難だが、きっと教育や具体的な政策の積み重ねでいつかは脱皮できるものと信じたい。
北欧も一朝一夕に今に至ったのではない。


終わります。



20180314

何か変ですよ! 96: どちらが大事か?





*1


前回、国政の恐ろしい腐敗を確認しました。
しかし内閣、与党、御用新聞、ウヨは無視と言っている。
どちらを信じれば良いのでしょうか?



*2


* 事件矮小化の果てに

前回見たように、主要官庁は軒並み腐敗していました。
今の状況が放置されれば、国民は正しい情報を知らされず、内閣によって政治が私物化されても手の付けようがなくなる。

国民が苦しむ悪政を国が流す嘘の情報で正当化し、さらに御用新聞が世論を誘導し、政権は選挙で連戦連勝を続けることになる。
これはかつてのファシストの策でした。

アベ政権存続を望む人々は今回の事件をどう扱っているのでしょうか。
概ね、彼らは事件を矮小化し、アベ首相の代役はいないとしています。


矮小化の極地は、佐川前長官一人の思いつきでアベ首相への忖度すらないと言う。
これは論外です。
それでは佐川らが忖度し財務省だけで犯罪に走ったとしましょう。
この場合、佐川らの処分だけで表面的な腐敗防止で終わる。

忖度自体は文化であり、罪に問えるのは犯罪行為(虚偽発言と公文書改ざん)だけです。
まして忖度された側(アベ首相)を罰することは出来ません。

ここで考慮しなければならないことがあります。
日本では、忖度が組織の上層で常態化しているのは自明で、さらに忖度せざるを得ないシステムが存在します。

それは日本流の必勝必罰があるからです。
部下は忖度することで上司の面目がたてば昇進に浴し、忖度せず無視することで上司の面目が無くなれば左遷や昇進の道は閉ざされます(不当労働行為)。
実際、加計や森友問題で内閣の面子を保った人物は昇進栄転し、損なった人物は左遷されています。

この結果、「君、たのむよ」だけで、部下は露見しないことを願いながら犯罪に手を染めることもある(日本の組織を守る文化)。
後に露見すると、犯罪に手を染めた人物は組織の目と良心との板挟みで、自殺に追い込まれることもある。

このような状況で、上層部(首相など)が自分に都合の良い嘘を公言してしまえば、部下はどうするでしょうか。
今回のように財務省は完全対応(改ざん)を行い、厚労省は完全ではなかった(後に露見させた)。
上層部は虚偽の可能性を感じながらも、むしろ事実を確認せず公言することで、望みの結果が得られ、たとえ後にバレても過失で済むのです。

一度、諸官庁が嘘をカバーするようになると、内閣は何も確認せず、先ず嘘と否定で乗り切るようになります。
これが今の現状でしょう。

このような場合、腐敗の放置を単なる過失と言えるでしょうか、管理責任が問われるのは当然です。

一方、内閣からの指示の証拠が無い限り法で内閣を罰することは出来ません。
(もし取り締まる法(厳格な文書管理規定)や第三者期間や労働組合による監視システムが整備されていれば防げる)
また、既に述べた不正行為の忖度に対して報酬や報復人事を行った証拠を掴むのは甚だ困難なので、この摘発もさらに難しい。

こうして内閣と官僚はバレるはずがないと高をくくって今まで押し通して来た。
これはあまりにも国民を愚弄している。
今、続々と明らかになる官庁で起きている事件や日本の組織文化に照らせば、森友事件の矮小化が間違っていることは明白です。

これを断ち切らないと内閣と官庁の健全化は不可能です。




*3


* アベ首相の代役について 

一番重要なのはウヨが唱える、アベ首相の代わりがいないと言う論です。

アベ首相の人気が無くなれば与党自民党は彼と心中する気はさらさらないので、頃合いを見て彼をあっさり切るでしょうが。


ウヨがアベ首相に抱いているイメージを挙げます。

A: 敵国?に強面。
B: 強引な経済の舵取り。
C: 右翼的な憲法改正。

これらが日本の将来を大きく損なうことは別に詳しく語っています。

ここでは簡単に要点を見ておきます。

Aは、今回の米朝会談の急転回に見られるように、当分、強面だけの外交は不必要になった。

Bは、確かに歴代の首相で、これだけの金融政策の大転換をやった人物はいなかったし、今後も出ないかもしれない。

だからと言って素晴らしいと言うわけではない。
どちらかと言うと、経済を知らず、怖い物の知らずの度胸だけかもしれない。
理論的にも怪しく実績の無い政策をここまでやってしまうと、後に何が起きるか予測がつかない(おそらく数年以内に悲惨なことになる)。


Cは、これは彼の辣腕ぶりを示す最大のものでしょう。

自分が右翼団体のトップに名を連ね、大半の国民が考えもしていなかった憲法改正へと機運を盛り上げたのですから。
御用新聞を最大限(露骨)に使い、緊張を巧みに醸成し盛り上げる手腕はヒトラーに負けるとも劣らない。

確かに、上記の点でアベ首相に代わるものはいないが、従来の経済・外交を継承する分には自民党に幾らでもいる。
ただ凋落をゆっくり進めるだけだろうが、アベ政権のように急速な没落や戦火に見舞われる危険性は減るでしょう。





< 4. 幾らでも繰り返す** >


* どの選択がより危険が少ないか

10年ぐらいのスパンで三つのシナリオを考えます。

A: このままアベ首相が続投する場合。
三つの危険が増すでしょう。

政治腐敗がさらに進み、二度と正常に戻らず、破局まで突き進む。

バブル崩壊かハイパーインフレで経済的な破局化を迎えるか、衰退を早める。

周辺諸国との緊張を高め、また米国の戦争に巻き込まれるなりして、戦火はより早く訪れる(特にトランプで)。



B: アベ首相が辞め、自民党の誰かが政権を継ぐ場合。
少しましですが、良策ではない。

おそらく、一度腐敗への歯止めが論じられ、腐敗防止が進むでしょうが、便宜供与の悪習は直ぐ復活するから、結局元の木阿弥になる。
経済と外交政策は、今よりは穏健な路線に舵を切るだろうが、結局は米国の「夕暮れ社会」(注釈1)に突き進むだけです。



C: 解散になり連立野党が政権を掌握した場合。
日本を再生するチャンスではあるが不安もある。

おそらく、腐敗防止はかなり進むでしょう。

しかし、経済と外交政策には不安がつきまとう。
現状では、米国の自由放任主義から脱して次に向かう経済モデルが見えていない。
北欧の社会保障充実がお薦めですが。

外交面で米国追従から脱するのは良いが先が見えない。
近隣重視外交と自衛隊保持の中立政策、世界平和貢献が最良ですが。

野党が不安な大きな理由は、米国が日本の離脱に対して徹底的に妨害することです。
経済や軍事に始まり、CIAによる個人攻撃などが熾烈を極めるでしょう。
また米国と政財界の癒着が進んでいるので、足元からもすくわれるでしょう。


刷新の政策を自民党に期待できないが、さりとて今の野党で主導出来るかは未知数です。

さらに心しなければならないのは、アベ内閣が進めた経済政策のつけが、このバブル崩壊で一気に襲いかかることです。
これを乗り切れる優秀な政策通と国政での団結が最も必要になるかもしれない。
バブル崩壊は既に始まっており、過去最大のものとなる可能性が高い。




*5

* 最後に

一番、皆さんに望むことは、国のトップには最低限度の人徳を有した人物を選んで欲しいと言うことです。

トップにタカ派や辣腕、パフォーマンスだけを求めるのは危険です。
下卑た振る舞いを行う人物が信用できないことは誰も知っているはずです。
今回の腐敗に見られるように、水面下で何が起きていようと笑っていられる人物は凄いのではなく危険なのです。

ヒトラーがそうでした。
ヒトラーは初期に経済復活を成し遂げ、さらに見かけのパフォーマンスで人気を博したが、心中は恐ろしく常軌を逸していた。
トップは人徳がすべてとは言わないが、トランプもいつか米国と世界に災いをもたらすでしょう。

今、日本だけでなく多くの先進国で危険な人物(人徳の欠けた)が選ばれる傾向が強いのです。
少なくとも20年ほど前までは、朝日の昇る日本だったのです。

もう一度、誇れる幸福な日本を取り戻そうではありませんか?


終わります。



注釈1 夕暮れ社会
90%の国民の所得低下が進む一方で、超富裕層が国の富みを牛耳る超格差社会。









20180313

何か変ですよ! 95: 今、何かが崩れようとしている


 
< 1. 野党による財務省での聞き取り調査 >


今、日本の中枢で起きていることを透視します。
何が国民にとって最重要課題なのでしょうか?
つまらない中傷と致命傷を仕分けします。



 
< 2. 縁故主義の疑念でアベ政権の未来は、by The Guardian >


* はじめに

ようやく、森友文書改ざんが世間に知られるようになりました。
ここ数日の間に、沈黙を守っていた多くのマスコミも追及を始めました。
さらに御用新聞(注釈1)も論点をすり替えてはいるが報道を始めました。

私が良識ある皆さんに願うのは、事件の深層を見抜き、そこに解決すべき問題に気付いて欲しいのです。

これから細かいことは省き、今回の事件のエッセンスだけを語ります。



* 森友文書改ざんについて

事実としては、「国会での森友問題への追及をかわす為に、提出すべき財務省の決裁文書が改ざんされた」ことだけです。

平たく言えば、見えている事実はこれだけです。
予定通り、現在、財務省は一部の人間による犯行だと説明している。

「これがそんなに深刻な問題とは思えない」が多くの人の実感ではないでしょうか。

ここで「これは問題ではない」との一連の発言をみましょう。
そこから真実が浮かび上がって来ます。

* こんな便宜供与は日常茶飯事であり、首相の妻に限った事ではない。これを騒ぎ立てる野党には不純な動機がある(維新の足立議員)。

* これは、人が死ななければならないような問題ではない。つまり些細な問題(学者の三浦瑠麗)。

これら矮小化を意図する発言として
* これを政争の具に使う野党の手口には乗るな。
* これは財務省だけの問題に過ぎない。
* これは単なる修正に過ぎない。
* 朝日新聞は明確な証拠を示さず、疑惑だけ報じて国会を混乱させた責任は重い(数日前までの論調)。


これらの報道しか触れない人々にとって、確かに事件は些細な事に映るだろう。


 
< 3.居並ぶ天真爛漫な笑顔が素敵です! >



* 問題のとっかかり

例えば、朝日新聞の今年3月2日からの報道が国会を混乱させたと、多くの識者やマスコミが批難しました(もっとも側用人か御用マスコミかも)。

しかし、よくよく考えて見れば、この混乱は1年前に始まっていました。

政府や官僚が如何に追及されようとも、知らぬ存ぜぬの一点張りで完全否定、資料は破棄したと断言し、証人喚問は不要だとして来た。
今回、明らかになった虚偽行為を必死に隠し通して来た。

もし、本当に国会を混乱をさせたくないのであれば、管理責任のある政府がまともな調査を一度でも行っていれば、事件は1ヶ月以内で解決したことでしょう。

つまり内閣は、疑惑の否定を主導し解明を妨げて来た。

これは国会の議事進行などで明らかです。
一例を挙げておきます。
「関係省庁の幹部がモリカケ問題の答弁で細かい手続きを説明すると、途中で“もっとはっきり否定せよ”といったメモが入る。そこには“PMの指示”と書かれていて、総理からダメ出しされているという意味だ。メモがくれば幹部は飛び上がって指示通りに答弁する」(PMはプライムミニスターの略、今年2月20日のYAHOOニュースより。

つまり、関係省庁を政争の具に使って、国会の混乱に拍車をかけたのはアベ首相なのです。



 
< 4. 間抜けな攻防 >


* 深い問題とは何か

上記のことは、それこそ表面的なものです。

ポイントになる事実を少し挙げます。

* 会計検査院は森友問題で既に「2種類の文書に気付いていた」が問題としなかった。

* 改ざん前の決裁文書には、きめ細かく経緯が書かれ、名だたる政治家と首相の縁故関係が明記されていた。
改ざん後、アベ首相の妻、首相が副会長を務め閣僚の8割を占める日本会議(右翼団体)、その一翼を担う森友学園の関係が消されていた。

* 大臣が「既に無くなっていた」と言明した資料が厚労省地下から32箱の段ボールで見つかった。
同様な事件は防衛省の日報など、頻発している。

* 現在、マスコミや野党が追及し内閣が否定し続ける問題は、他に幾らもある。
それらはすべてアベ首相の縁故者か側近が関わったものです。


これで問題が明瞭になって来ました。

* トップの縁故者や自民党政治屋による便宜供与は日常茶飯事であり、官僚は証拠としてそれを記録している。

* 会計検査院や厚労省などの対応から、官庁全体に腐敗(隠蔽、虚偽発言)が蔓延し、大臣主導が明確な事案も多いことがわかる(最低でも大臣は加担している)。

つまり、今の政権と官庁は腐敗まみれと言えます。



 

< 5. 国会、抱腹絶倒!!「おらおら、うるさい!」「痛い!」 >


* 実はこれだけでは済まない問題

この腐敗がなぜここまで深刻になったかが問題です。

三つのことが言えます。

A: 2014年5月発足の「内閣人事局」。
B: 長期与党による官庁による便宜許与の悪習。
C: 首相の絶大な人気に群がる人々、それを首相が利用することから生まれる強力な縁故主義。

Aは、民主党政権時に掲げた政権主導が発端だが、アベ政権はこれを恣意的な官僚支配に改悪した(独裁)。

Bは、これは長年の自民党の体質であり、今までも癒着の暴露が繰り返されて来たが、政権が安定するとまた悪質さが露骨になった。

Cは、これは上記二つが土台になっているが、政権やトップに絶大な人気があると今回のように暴走してしまう。

これは悲しい日本の政治文化なのですが、倫理観に乏しいトップ(責任をとらない)であっても人気があれば何でもオーライなのです。
しかし人気が無くなれば同じ行いでも批難され、派閥の力学で責任を取らされるのです。
この時、辞任する人は如何にも自らを恥じた振りをするのです。
人気があれば絶対認めないし、黒を白と平気で言い募ります。

巧みな政治屋はそれが分かっているので、中身を別にして人気取りのパフォーマンスに励むのです。

これでもまだ皆さんは、まだ内閣や官庁が腐敗していようが、大した問題ではないと考えているかもしれません。



 
< 6.とある国の民意 >


次回、この腐敗にどう対処すれば良いかを考えます。




注釈1 御用新聞
最近の報道姿勢から私が御用新聞とみなすもの。
産経新聞、夕刊フジ、読売新聞などが代表格でしょう(他もありますが)。

これらのニュースを見る場合、一応疑って下さい。
何が何でも事件を矮小化し政権維持を計り、またこれまでの報道姿勢の正当化に躍起です。
是非とも他紙と比較してください、親近感を持っている人には耐えがたいことでしょうが。
電子版のサイトで簡単に比較出来ます。






20180312

平成イソップ物語 18: 猫とネズミ







*1


昔々、ある川の傍に野ネズミがたくさん暮らしていました。
この川がしばしばが氾濫するので、皆困っていました。
そこに一匹の猫がやって来ました。



 
*2


猫    「 皆さん、困っているなら私が助けましょうか 」

ネズミ達 「 どうするのですか 」

猫    「 私が堤を作ってあげましょう 」

ネズミ達 「 お願いします 」

猫    「 それでは皆さん、土と石を集めて下さい 」
     「 必ず皆さんは私の指示に従って下さい。違反は許しません 」
     


一月ほど経つと、かなりダムが出来てきました。



白ネズミ 「 猫さん、隅の小さな穴から少し水が漏れています 」

猫    「 秘密にして下さい。皆完成に向けて頑張っているのでね 」



 
*3


さらに一月が過ぎました。

ネズミ達 「 猫さんのおかげで素晴らしい堤が出来ました。ありがとう。 」

猫    「 喜んで頂ければ本望です 」

白ネズミ 「 猫さん、隣山で聞いたのですが、あなたが作った堤が決壊し、多くのネズミが死んだそうですね 」


猫    「 それは想定外の洪水と彼らのずさんな工事のせいでした。 」

白ネズミ 「 隣山のネズミが、工事中に問題を指摘していたそうですね 」


その夜、猫はこっそりと逃げ出しました。


ネズミ達は皆で相談し決断しました。

「 皆、雨が降る前にこの地を捨てて他に移り住もう 」


やがて雨が降ると堤は決壊しましたが、ネズミ達は助かりました。