20180304

デマ、偏見、盲点 28: 暮らしのカラクリ 2: 賃上げは国を滅ぼす・・





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今日は、労働者の賃金を上げると、国の経済力が落ちてしまうと言う妄言を検討します。


* はじめに

日本の皆さんは生真面目ですから、政府や偉い御用学者らに「賃金を上げると、企業の競争力が低下し、国はやがて衰退する」と言われ続けていると、賃上げに後ろめたさを感じるようになってしまった(笑い)。

これが真実かどうか、検討してみましょう。

A: 国民の賃金低下は経済に好影響を与える。

B: 賃金上昇は企業の競争力を低下させる。

この二つがポイントです。





* 賃金低下は経済に好影響を与える

賃金を低下させると企業は出費を減らせ、投資を増やし、競争力が増して輸出が増え、国の経済は上昇するとされている。

実は、この間違いを長々と証明する必要がないのです。
なぜなら日本は1990年代から賃金低下に伴って、経済は低下の一途なのですから。
そうは言っても、間違いのポイントは重要なので解き明かします。


 

< 2. 日本のGDPの内訳 >

国内総生産(GDP)と言う指標があります。
これは国内で1年間にどれだけの付加価値(生産額)が生まれたかと言うものです。
日本の場合はこの内、個人消費額の割合が60%ほどありますが、一方で輸出額は11%ぐらいに過ぎません。

もし国民の賃金を20%低下させたら本当に経済は上向くのでしょうか?

それでは簡単にメカニズムを追います。
賃金が下がると、国民は消費を減らし、単純にGDPは12%(=GDPx60%x20%)低下します。
労働者は貯金を下ろすか、借金をして生活レベルを守ろうとするので、実際にはここまで下がらない(注釈1)。
しかし現在、日増しに貯蓄率は減り、貯蓄の無い若い層が増え、エンゲル係数も上昇している。


一方、企業は製造コストの50%を占める人件費が減るので、10%(=GDPx50%x20%)の利益アップか商品価格の値下げが可能です。

問題はこれでGDPが幾ら上昇するかですが、実はほとんど期待出来ないのです。

例えば価格を下げ無い場合、同じ売り上げ額で企業の利益はおそらく3倍になるでしょう(製造業の平均利益率4%)。
もし全額、設備投資に回せば生産性もGDPも上昇するのですが、既に企業は国内への投資を増やさなくなっています。
つまり企業の剰余金が増え、その資金は海外や証券投資に向かうだけでGDPは増えません。


 
< 3. 円安と輸出額の関係 >


もし商品を値下げし売り上げ額を増やせばGDPが増加するのですが、この影響は大きくはない。

例えば図3の赤枠を見てください。
2012年から2015年で円安は33%(1ドル80円から120円)進んだが、この間の輸出のGDPに占める増加は約3%に過ぎなかった(注釈2)。

つまり、賃金低下は輸出を増やす効果よりも、GDPを減らす効果の方が圧倒的に大きいのです。
また賃金低下はデフレを加速させる。


* 賃金上昇は企業の競争力を低下させる。

結論から言えば、条件付きですが賃金上昇は国際競争力を低下させない。

実例があります、デンマークやスウェーデンは貿易依存度が60%あっても賃金は世界最高水準なのです(日本は25%)。
当然、両国の経常収支は黒字です(つまり競争力があり輸出が多い)。


確かに、個々の企業は販売価格を下げることで競争力が高まるので賃下げの誘惑にかられやすい。
しかし民主的な国であれば賃金低下で競争力を高めようとはしません。
なぜなら聡明な国民は反対し、政府は従うからです。

ここで重要なポイントは、国の経済力に応じて為替が自動調整されることです(変動相場制)。
歴史的に産業が発展した国(輸出が多い)の為替は高くなります。
この理由は、貿易で黒字(経常黒字)になることで自国通貨が高くなるからです。

一方、国が通貨安を画策する場合(為替介入)がありますが、これは貿易相手国が皆望んでいることであり、まず抜け駆けを許してくれません。
通貨が通常より大きく安くなるとすれば、それは身勝手な超大国のごり押しか、裏取引(密約による協調介入)、または投機筋の思惑でしょう(実需の為替取引額の10倍以上が思惑?で売買されている)。

つまり、賃金を下げ競争力を得て、輸出増になっても貿易黒字になれば円高になって競争力はまた低下するのです。
一時、これで企業家は楽して利益を得るのですが、結局、悪循環になるだけです。
この間、苦労するのは国民、労働者だけなのです。


* まとめ

結局、単純に考えても賃上げの方が経済や大多数の国民には正しい道なのです。
前回見たかつての「夜明け社会」がそうでした。
今は狂っているのです。

しかし多くの方はまだ納得しないでしょう。
現状で、賃上げして経済は持つのかと疑念を持たれるはずです。

実は、ここでも北欧に成功事例があるのです。
高水準の賃金でもやって行ける理由があるのです。
ポイントはやはり競争力です。
それは賃金カットではなく、競争力のある企業や産業、技術、人材を育てることしかないのです(いずれ紹介します)。
この仕組みは、一朝一夕に出来るものではありません。


おそらく日本の現状では、北欧のように国民と産業界が協調し政治と経済を動かす風土を作るには1世紀かかるかもしれません。

しかし、これしか道はないでしょう。
少なくとも米国の来た道(夕暮れ社会)を進むのは賢明ではない。


次回に続きます。


注釈1


 
< . 家計貯蓄率の減少 >

貯蓄額を可処分所得で割った比率はついにマイナスになった、つまり各家庭は貯蓄を引き出して生活をし出した。



注釈2
この説明では、33%の円安は33%の商品価格の低下とみなしています。
ドルで買う顧客にとっては33%の値引きになったが、数%としか売り上げは増えなかったと言いたいのです(企業利益は格段に増加)。
確かに為替変動(価格変動)に伴って輸出額は変化しますが、グラフの2002年~2007年の変化からわかるように海外の景気動向の方が影響は大きいのです。

実は、円安は輸出を増やすメリットだけではない。



 
< . 円安倒産 >

目立たないのですが、輸入業者は急激な円安で倒産の嵐に晒されたのです。
当然、輸入に依存している消費財も値上がりし、家計を苦しめることになります。

もう一つ忘れてはならないことは、為替変動は予測が困難で頻繁に振れることです。
つまり企業家も庶民も、円安や円高に甘い期待は出来ないのです。








20180303

デマ、偏見、盲点 27: 暮らしのカラクリ 1: 少ない稼ぎは・・







*1


これから日本の政治経済の劣化した局面を一つ一つ切り取って見て行きます。
巷にある誤解を分かり易く解説します。
今回は、裁量労働制などの労働条件の劣化を取り上げます。



 
*2


* はじめに

長屋の二人が稼ぎで口論していました。

熊吉 
「 稼ぎは自分の腕次第さ! 少ない稼ぎを親方のケチのせいにするな! 」

金太郎
「 働きによって稼ぎに違いはあるだろうが、一人の頑張りだけではどうにもならないものがある。 」

熊吉
「 そんなものがあるものか? それは逃げ口上だ、たかり根性だ! 」


みなさんはどちらが正しいと思いますか?
この理解が正しくならないと、日本は益々劣化していくことになります。

熊吉さんは自己責任を重んじる、如何にも良き日本人です。
一方の金太郎さんは、それと異なるようです。



 
*3


* 皆さんの給料は何によって決まるのでしょうか?

給料が決まるメカニズムを簡単に説明します。

単純な二つの社会を想定します。
普通の経済状況で、失業率は数%、複数の企業が労働者を雇っている二つの社会を想定します。

一つは企業に自由な首切りを認める「夕暮れ社会」、他方は絶対首切りを認めない「夜明け社会」とします。

この二つの社会の企業家と労働者はどのような行動をとるでしょうか?
その結果、この社会の給与水準に違いが生じるでしょうか?

この違いが分かれば、今の政治に何が欠けており、何が必要かが分かることになります。


 
*4


* どのようなメカニズムが働いているのか?

首切りが自由であれば、労働者は経営者の言いなりになります。

経営者は給与を上げてくれ、残業代が欲しいと訴える労働者の首を切ることになる。
これは替わりの労働者が幾らでもいることで可能になります(失業率は零にならない)。
企業はコスト競争をしていますので、一社が始めればついには社会全体にこれが蔓延します。
さらに賃下げが始まり、遂にデフレが定着します。
これが「夕暮れ社会」です。

もう一方の社会では、労働者は組合を作り、賃上を要求するようになります。
経営者はストをされても首切りが出来ないので賃上げせざるを得なくなります。
企業は賃上げ分を商品価格になかなか転嫁出来ず、企業利益は低下します。
ついには商品価格が上昇し始め、インフレが定着するようになります。
これが「夜明け社会」です。

こうしてみると稼ぎは、熊吉さんの言う自己責任で決まると言うより社会的にその水準が決まることがわかるはずです。
(注釈1で補足説明します)



* 「夜明け社会」は存在した

現実の日本経済は、「夜明け社会」と「夕暮れ社会」の間にあり、ここ40年ほどの間に益々、完全な「夕暮れ社会」に近づいています。

実は、欧米と日本も1940代から1970年代は「夜明け社会」だった。
これは概ね、経済学者のケインズが理論づけし、ルーズベルト大統領が実施したことから始まった。
この時期、経済成長と賃金上昇が続き、格差は縮小し、インフレが起きていました。
戦後は、今想えばまさに黄金期だったのです。

しかし、やがてスタグフレーション(インフレと不景気の同時進行)が起きました。
ここで、それまで賃金に利益を食い潰されて来た企業家は逆襲に出たのです。
それが1980年代に始まる、規制緩和とマネタリズムの嵐なのです。

こうして賃金の低下が始まった。
けっして難しい話ではないのですが、真実が隠されてしまったのです。
それは多くの経済学者、エコノミスト、マスコミが日々の糧を得るために体制擁護になってしまったからです。
(巨大な富が集中し、それが彼らに幾らか還元される)


* まとめ

結論は、給与水準はほとんど社会的に決まると言えます。

そしてこれは企業家と労働者のパワーバランスに左右され、また政府がどちらの立場に立つかで決まります(悪い規制緩和)。
他の要素もあるが、これが重大で、特に日本が酷い(注釈2)。
具体的には、首切りが自由な非正規雇用や残業代カットが容易な裁量労働制などです。
労働条件の劣化は、ここ30年ほどの現実のデーターがこれを裏付けています。

まだ信じることが出来ない方は、次の疑問にどう答えますか?

「ある移民が後進国から先進国で働くようになると大きく給料が上昇するのはなぜですか?」

これを個人の能力で説明することは出来ない(注釈2)。



次回に続きます。



注釈1
現実の経済では、首切りや賃金カットの容易さは複雑で、簡単に推し量れないものがあります。
そうは言っても、既に述べた基本的な理屈は明らかで、歴史が証明しています。

「夕暮れ社会」は正に今の自由放任主義経済の日本で進行中で、その悪弊の最たるものは非正規雇用の増加、賃金低下、デフレなどです。

しかし「夜明け社会」にも問題がありました。
それは生産性を上回る賃上げが、悪いインフレ(スタグフレーション)を招き、労働組合がその力に胡坐をかいてしまったことです。
これを暴走と言えるかもしれませんが、現在も別の暴走が加速しているのです。


注釈2
賃金水準は、国の経済力、個々の産業の競争力、そして組合の影響力(労働者の権利擁護の体制)で概ね決まると言えます。
どれか一つでも弱いと、賃金水準は低下します。


注釈3
例えば、同じベトナム人がスゥエーデンとベトナムで同じ仕事をした場合、大幅な給与差が生じます。
これは首切りのし易さと言うよりは、組合などの力により職種毎に給料が定まっていることが大きい(移民を差別している場合はこうならないが、スゥエーデンは同一労働同一賃金適用)。
どちらにしても社会が給与水準を決定しているのです。






20180302

平成イソップ物語 17: 乗り合わせた泥船





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昔々、あるところに狸と狐が暮らしていました。
ある日、二匹は泥船に乗って湖の沖に向かいました。



 
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*3

 
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湖の中央に来ると、釣りを始めました。


狸 「 狐さん! 魚と一緒にたくさんの水を船に入れると泥が溶け出すよ! 」

狐 「 あんたは魚がいらないのかい? 」

狸 「 船が沈みそうだから、もういらないよ。 」

狐 「 この船は外側を天日干ししているから大丈夫だ! 」

狸 「 だから心配なんだよ(内側が柔らかいので)。 」

狐 「 おまえはいつも文句ばかりじゃないか! 船が嫌なら降りろよ! 」

狸 「 それは・・・ 」


しばらくすると、船底に小さなひびが入りました。


狐 「 おまえが乗っているから船が壊れるだよ! 」

狸 「 だから言ったじゃないか・・・ 」

狐と狸 「 あーあー 」

ついに船は真っ二つ割れ、二匹は溺れてしまいました。



おわり。










20180228

デマ、偏見、盲点 26: 何がバブル崩壊と戦争勃発を引き起こすのか? 5




*1


今回はまとめになります。
世紀末の呪縛から脱する手立てはあるのか?
未来を変えるには・・・


* はじめに

結局、多くの人は豊かさと平和に慣れてしまい緊張感を無くしている。

日本が大戦後、無一文の焼け跡から未来を信じ全員が一生懸命働き、画期的な復興を成し遂げた。
この時、人々は希望を持ちながらも将来の不安に備え、少ない稼ぎに関わらず貯蓄を行った。
この資金が国土建設や設備投資に向かい高成長を実現させた。

今はどうでしょうか。 
日々、今を楽しむと言えば聞こえは良いが、夢に向かって挑戦し続ける若者は激減している。
あり余る資金は国内投資や賃金上昇に向かわず海外証券に向かうだけになった。
若者の海外志向の低下や資金の海外流出は英国没落時の正に再来です。

本当に刹那的な社会になってしまった。

これでは身も蓋もないが、回生の手立てはあるのだろうか。



*2


* 日本には素晴らしい歴史がある

かつて日本は長期的な展望を持つ民族だった。
この平野の少ない国土に1億以上の人間が暮らせる不思議がそれを物語っている。

これを可能にしたのが、共に社会や資源を守る文化です。
特筆に値するのは乱獲や乱伐を規制した漁業や林業の資源保護です。
世界にはこれらの枯渇を経験した地域が数多くありました。

また日本は海外の変化に素早く適応する力を持っていた。
明治維新では、それまでの中華文明一色から、攘夷すべきとした欧米に対し一転して、この文明を積極的に取り入れた。
地球上で、これほど遠方にある異文化の強国、しかも名うての侵略国相手にほぼ無傷で通商を結んだ国は、日本とタイぐらいでしょう。

また富国強兵の中で、初期には大英帝国に組し、ドイツが隆盛してくれば英国と手を切り、一度負かしたドイツと早々と軍事同盟を結んだ(二つの大戦で)。
この変わり身の早さは特筆ものです(親米も変わるかも)。

まして今は北欧と言う、素晴らしい次世代の社会モデルが存在する。
日本は真似るのが得意なのだから、今の疲弊と劣化から抜け出し、新たな道を進むことが出来るはずです。

しかし留意すべきことが一つある。
それは大陸の端にあり、巨大な人口を有する島国ゆえの宿命か、常軌を逸し無謀に走り易いことです(注釈1)。




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* 人類の素晴らしい足跡

人類は幾度も破局を乗り越えて来た。
破局とは、外敵や自然の驚異ではなく、社会が内包し放置すれば遂には崩壊に至るものです。
破局の最たるものに、既に述べた感情(貪欲と敵愾心)の暴走がある。

類は如何にして社会の破局を未然に防いで来たのだろうか
それこそが法制史であり、宗教だったと言えます。
要点をみます。


法制史の代表例を見ます。

古くはハムラビ法典に同害同罰(同害報復法)が規定されていました
これは貧富の差による罰則の不公平を是正し、民衆を公平に扱うことを目指した(紀元前2000年頃)。

仇討ちを禁止し復讐の連鎖防止した。
本来、限定された仇討ちは偶発的な殺人から部族間への戦闘拡大を避ける手段でした。
しかし、これを刑法で裁き決着させることにより殺人と憎悪の連鎖を断ち切った。

私有権が認められたことにより財産の侵害が明確化され、犯罪として禁止することが出来た。

税の徴収により公共投資が行われ、社会の安全、快適、衛生などの公共政策が進んだ

三権分立により、政治の独裁や腐敗を抑制した。

国民憲法を制定し、政治制度を規定することにより独裁を防止した。

化学兵器の禁止条約や不戦条約が結ばれるようになった。


こうして人類は長い年月をかけて因習や既成概念を打破し社会の平和と幸福の為に法制度を発展させて来た
さらに国家間、次いで世界が協働するようにもなった。

決して人類は規制緩和を進め、公共政策を縮小して来たのではない
今の逆行―エゴや欲望の放任―は単に既得権益層の私腹を肥やすゆえの口実に過ぎない(すでに根を張っている)。
これら法制度がなかったら今の世界はなかったでしょう。


こうして破局を誘発する行為(犯罪)を制限するようになったが、法律だけでその欲望や心理を抑えることは困難です。
それを担ったものの一つが宗教でした。

世界宗教の多くは欲望の自制を促し、より大きい隣人愛を奨励して来た

キリスト教を例にみます。
キリスト教は愛の対象を隣人から異民族まで拡大させ、暴力を否定したパウロの貢献大)。
(ユダヤ教の旧約を引き継いでいるので一部暴力を肯定しているが、全体としては暴力よりも隣人愛を優先している)
しかも、政治を忌避しなかったことで、中世まで政治と強く繋がり大きな影響力を与えた後に政教分離)
(原始仏教は政治を忌避し、精神修行に重きを置いたので、政治力が弱くなった)
ヨーロッパ史には、キリスト教の暗黒面も目立つが、熱心な信徒によって奴隷解放など人道的な革新や平和構築が多く行われた。

こうして見ると、人類は法制度と宗教を通じて、本能や欲望をコントロールし、社会の破局を防止して来たと言える。

我々は、その気になりさえすればまた豊かなを進むことが出来るはずです



* 最後の望み

今の日本を一言で言えば「無知、無関心、惰性、そして敵意」が社会を覆い尽くしている。

無知: 歴史を学ぼうとせず、都合の悪い歴史事実を無視する。

無関心: 未来を展望せず、現状の国際状況や国内の政治社会の動きを表面的に見るだけでメカニズムを理解しようとしない。

惰性: 不満や不安があっても現状維持からの脱却(改善さえ)に臆病になっている。
社会経済のメカニズムを理解しようとしないので、見栄が良ければ何ら中身の無い政策でも歓迎してしまう(注釈2)。

敵意: 既に解説しました。

この風潮を正さないといけない。


結論は、これ以上の悪化を食い止め、そして世界が手を握り、感情の暴走などの破局を防止する規制(法や条約)を始めることです。

その為には、惰眠を貪っている日本の大半(中間層)が覚醒し、政治を変え始めることです。

今なら政治の劣化は一部の過激な人々と煽るマスコミに留まっている。
しかし放置すれば、いずれ偶発的で小さな衝突事件を切っ掛けに破局へと進むでしょう(既に仕掛けられた歴史がある)。




*4


そこで期待出来る人々がいる。
年老いたと言え、団塊世代は青春時代、国家や戦争を論じデモに加わり篤い血潮をたぎらせた。
どうか日本の為、最後に人肌脱いでいただき、周囲に清風を吹き込み、改革に立ち上がる雰囲気を盛り上げていただきたい。
どうか団塊の世代は未来を生きる子供や孫の為に率先していただきたい。

東京裁判(~1948年)でインドのパール判事が願ったよう世界が共同して戦争を裁き、平和を構築出来る日が来ることを望みます。

後退ではなく、一歩でも改革に踏み出そうではありませんか。


終わります。



注釈1

この列島は、古くは中華文明から程よい距離にあったことで文明を摂取出来るが侵略を逃れることが出来た。
次いで、欧米から遠く、魅力的な産物に乏しく、軍事的に重要で無い孤立した列島であったことが、帝国主義の災禍を受け難くした。

こうして巨大な人口を抱える日本は、一度世界の覇者を夢見ることなった。
もし当時の人口が数百万人以下であれば、敢えて帝国主義に対する自衛と称して大陸進攻を企てることはなかっただろう。



注釈2

ふるさと納税は、結果的に富裕者の税金逃れを加速させ、課税の逆進性をもたらす。
これは寄付行為に多額の返礼品があるからですが、これは当初予想された。
政権はこの指摘を無視し、見栄えさえ良ければ後先考えず施行した。
多くの人は、楽しみが増え、景気上昇に繋がると感じているが、必要な税収が減り、それを他の国民の税収で補っているだけです。
景気を良くする為なら他の有効な手段は幾らでもある。

日本の公共投資と言えば、政治屋の地元の土建屋が潤うものでしかないが、福祉(人件費など)などの投資の方が社会的に有意義であり、かつ経済効果は同じです。
日本では話題に上らないが、北欧の公共投資とは後者なのです。

現在、日本では低所得の非正規雇用が増えているが、これを加速させているのがこの度の「働き方改革」など、これまでの与党の一連の政策です(米が主導し1980年代から始まった)。

難しい理屈は不要です。
実際に、悪化し続けている事実に目を向ければ納得できるはずです。

極論すれば、流動性の高い労働者の存在はあっても良いのです。
問題は補償の無い首切り、特に論外は同一労働同一賃金が無視されていることです。
政府はこれを野放にし、国民も嘆くだけで政権に拒否の態度を示さない。
北欧ではこれらが守ら、かつ最も幸福な国であり経済成長も続けているのです。

国民が目を覚ます以外に道はないのです。