< 政党乱立 >
政局混乱がなぜ起き、何を招くかを見ます。
ヒトラーが活躍した時代にヒントがある。
今の政局は、短命内閣、小党分裂、タカ派台頭、甘言が特徴です。
この現象は1930年前後のヒトラーが頭角を現す時期に酷似しているのです。
増税拒否から独裁が始まった
当時ドイツは前の大戦で疲弊しながらも議員内閣制をかろうじて維持していた。
1928年、社会民主党は保革大連合を果たし政権に返り咲いた。
当時、少数政党が乱立し主要政党だけでも4つあった。この年に始めてナチスが国会議席を得た。
また内閣は1年と保たない状況が5年続いていた。
次の年、世界大恐慌が起こり、失業者が巷に溢れ、内閣は失業保険支払いに応じるために労使への拠出金増額を提案した。
前回は資本家側の猛反対で廃案になり、今度は自陣営の労働組合側からの猛反対に合い内閣は退陣した。
< ヒトラー首相と大統領 >
この後、決められない内閣が嫌われ、元将軍の大統領が権限を握ることになる。
これを元参謀とヒトラーが虚々実々の駆け引きで操り、最後はヒトラーの大芝居で決着がついた。
この間にも歴代内閣は財政悪化を外債発行で乗り切ろうとするが反対に遭い挫折した。
ナチスの活躍は外国資本の逃避を招き景気を悪化させるが、打開策の増税案はナチスに反対され頓挫する。
1933年、第一党となったナチスは国会放火事件で過半数を得て憲法改正し、独裁を開始することになった。第三帝国の誕生である。
こうして経済悪化が財政悪化、打つ手なし、政局混乱を招き、一発逆転が声高に叫ばれるようになった。
さらに夢のような起死回生策、強い指導者が望まれ、独裁者の誕生を招いたのです。
皆さん、何か嫌な予感がしませんか・・・・
今私達は何をすべきなのか、すべきでないのか
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景気浮揚策 : インフレ率1~2%を目指す政策に転換する。 極端な政策変更は危険。ここ数年の海外の様子から察すると、インフレターゲットが必ずしも成功し続けるとは言えない。日本のGDP増加は人口が減少しているので難しい。
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財政悪化 : ここ数年以内に確固たる財政赤字縮小策に転換すべき。 確かに無駄を省ければ良いのだが、総論賛成各論反対で立ち往生している間に手遅れになる。
増税分を特定財源化(直接家計消費に回るよう)すれば景気にプラスになる。並行して無駄を省くべきである。
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無駄を省く : 無駄を省くには、硬直化を招いている官僚・議員・産業界・組合の癒着を断ち切ることが必要であるが、ダム建設中止、原発、農業保護で見たように、既定路線が完全に浸透している。大都市の市民はある意味一様であるが、国政では産業や利権が地域で異なり国民はバラバラで了解を得るの困難である。
その困難な改革をどの政党が出来るか、出来ないかは、その政党の体質を見るべきである。既得権益や地縁にどっぷり浸かっている政党は、いくら甘言を弄しても不可能だろう。
< 官僚の責任 >
次いで、優秀なリーダーとそれを支える党組織(固定の支援者)である。いくら優秀な数人がんばっても、2万人のキャリア官僚相手に改革を実行出来るだろうか。その先例は、ドンキホーテのように始めて官僚に挑んだ民主党が見せてくれた。
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打つ手無し : 財政悪化が進めば進むほど、打つ手が無くなってくる。今のうちに根本的な打開策を少しずつ試みるのが重要です。
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政局混乱 : 今はまさにその兆候が出ています。現在の日本経済は最悪状況ではないが、失望が失望を生んでいる。
重要なことは、日本の体質を徐々に変えることで、そのためには次ぎの時代を担える政党を育てることです。2~3大政党が望ましい。その為には4~8年の間、政権担当能力が育つのを見守る姿勢が必要です。
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してはならないこと : 何があっても議会制民主主義を守り、短絡的に憲法や二院制の改革を行うべきではない。どさくさに紛れてやられないように。議員やマスコミに乗せられて首相をコロコロ変えるべきではない。
次回は、国防と平和を考えます。