20121210

何か変ですよ 12 : 日本病


 震災当日の宮城県のスーパーで並ぶ人々

< 震災当日の宮城県のスーパーで並ぶ人々 >

硬直化を阻止出来ない最大の理由は、日本文化にあります。

それは村意識や内集団ひいきの悪い面が出ているのです。


私達は属している集団や企業に強い愛着と安心感を持ち、時には忠誠心も持ちます。

これが震災後の市民の落ち着いた振る舞いや、一致団結し企業を支えて高度成長を可能にもしたのです。

しかし一方で、公害や原発の危険を企業内から告発する人は少なく、むしろ彼らは組織の裏切り者と見られがちです。

また属している集団の目を気にするが、見られていなければ傍若無人です。これは日本や世界の共通認識に無頓着か無視することになります。

属している集団に強く肩入れすることは、部外者冷遇や隣国蔑視にもつながります。ここ百年間の外交史や世論の流れは極端に膨張主義であったかと思えば、現在は孤立主義(米国依存を除いて、国粋主義)に向かっています。両極端に振れ易いのです。

この内集団ひいきは対立感情や安心感を生み、選挙行動にも現れます。政策よりも地縁や縁故との関わりで投票を決めます。また少しの違いで多数の小党に分裂しますが、これを許すのも、ここらに理由があるように思えます。


残念なことに、これは2千年に及ぶ歴史と東アジアの一列島であったことに起因し、良い面もあるだけに、一朝一夕に改めることは困難です。


具体的な事例を幾つか見てみましょう。

        私は悪いとは思うが、皆がやろうと言うので反対出来ない。逆らうと場をしらけさすし、自分が浮いてしまう。職場を任されたが、前任者のやり方から逸脱してまで改革すると、彼を傷つけるし混乱を招くだけだ。

    よくある話です。これは人類共通なのですが、東アジア、特に日本が強いようです。


 内部告発者の苦闘

< 内部告発者の苦闘 >

        会社が違反行為を続けているが、これを訴えることは得策ではない。会社の名誉を傷つけ、告発者だとわかれば自分は大損害を受ける。

    社会規範の遵守に乏しい。日本には内部機密の漏洩者を罰する法律はあっても、米国のように告発者保護の制度(新聞社への密告)が貧弱なことも災いしている。

        上司が、トップの贈収賄事件に絡んで、飛び降り自殺した。彼は悪くないのに犠牲になったのでかわいそうだ。

    これは集団内の名誉意識に呪縛されていると思われる。本来なら自殺せずに真実を訴える方が良かったと思えるのだが。


 世襲

< 世襲 >

        先代の先生(国会議員)には御世話になっており、今度は息子さんが立候補するので投票する。これは地元の為に良いはずだ。

    国政とは次元が異なるはずだが地縁最優先になっている。これが欧米先進国の世襲議員5%なのに、日本の二大政党は40と20%になる理由でしょう。

        「私は官僚や政治家に有力な情報提供者がいる。」と自慢しているコメンテーターがいる。この人の解説は信用出来、頼もしい限りである。

    ニュースソースを明かすのなら信用して良いでしょう。結局、匿名のはずで、官僚や政府の都合の良い情報を掴まされるだけです。米国では信用されない。

        新聞社の社主が主筆でもあることは経営的に良いことで、何ら問題はないはずだ。

    経営的には良いのですが、記事が政府や資金、または聴衆迎合に陥り易い。米国市民は編集長が経営者から独立しているから信頼をおく(コミックのスーパーマンが新聞社を止めたように、米国も現在劣化中)。


このような状況を一つ一つ改善していかないと日本は良くならないのです。

次回は、日本の進むべきヒントを歴史から得ます。



















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