< ベルリンの壁崩壊 >
現在、タカ派の威勢が良い。
平和をどうしたら得られるか、ここ半世紀にそのヒントがあります。
どうして世界が平和を取り戻したのか
ベルリンの壁が崩壊した1989年以前にヒントがある。
この壁はベルリン市民が壊したのですが、それは東欧民衆の西欧への強い憧れと長い苦悶の末だったのです。以前、東欧諸国はソ連をバックにした独裁制で、秘密警察に監視され監獄のようでした。民衆が民主化を求めるとソ連の戦車が進入し制圧したのです。
ソ連のゴルバチョフ大統領が改革を始めており、その一貫として衛星国(東欧)への軍事干渉を行わないことを明言した。このことが東欧民衆を勇気づけ、立ち上がることを可能にしたのです。
なぜゴルバチョフは東欧を自由にしたのでしょうか。
第二次世界大戦後、米ソは冷戦と呼ばれる軍拡と衛星国獲得で熾烈な競争を行っていました。しかし巨額の軍事費と戦費は増大する一方で、ついには両者の所有核ミサイルは地球を7回全滅させるところまで進んでいました。
< ニクソンと毛沢東の会談 >
この時、米国の二人の大統領が電撃的に冷戦を緩和させたのです。ケネディのキューバー危機回避とニクソンのベトナム戦争終結が端緒となり、両国の意思疎通が進み、軍縮が進み始めたのです。
以前の米国の共産主義勢力への恐れ、敵対感情を思うと青天霹靂でした。
両国共に軍事費の増大が経済を悪化させていたのですが、よりソ連の方が深刻だったのです。一方、東欧民衆は隣接する西欧の経済進展に接することが出来、古くはドイツやオーストリアと国を一つにしており親近感を持っていた。
このような背景の下で、東欧は独裁国家から自由な民主国家に血を流さず転換出来たのです。
< 迎撃ミサイルPAC-3 >
北朝鮮のミサイルを巡って
現在、迎撃ミサイルが沖縄に配備されて、北朝鮮の弾道ミサイルを迎え撃とうとしています。有難いことです。これがなければ防ぐ手立てはありません。
しかし迎撃は完全とはなり得ません。10兆円を費やしても迎撃ミサイルで常時日本全土をカバーしきれません。膨大な陸上の迎撃ミサイルとミサイル搭載のイージス艦が必要になるからです。
なにせ弾道ミサイルは音速の10~20倍、発射から最短5分以内で打ち落とす必要があるのです。まして冷戦時代のように互いに競争し始めると際限がなくなります。
ここで東欧の教訓が生きるのです。
< 左端、ルーマニアの独裁者チャウシェスク >
あれほど強固に思えた東欧の独裁政治(東独、ルーマニア)が一気に氷解したのです。
その要因は三つでしょう。東欧民衆が西欧に強い憧れも持っていた。西欧は東欧民衆に対して軍事的ではなく包容力で迎えた。ソ連が東欧政権を支えなくなった。
当時のケネディとニクソンの宥和行動は予想出来ないものであり、平和という果実を世界にもたらした端緒となったのです。
北朝鮮の周辺諸国とそれを支える中国の態度が如何に重要か、世界がどのように関わるべきかが、わかっていただけると思います。
躍進し自信溢れる中国、ミサイルや核を独自開発する北朝鮮は、当時のソ連や東欧と異なるようにも見えます。
一方で見方を変えれば、体制を柔軟に変えてきている中国、ソ連に見放され中国だけが頼りで経済が疲弊しきっている北朝鮮、経済成長著しい隣国韓国、同じ中華文明の影響を受け、遺伝子を共有する経済大国日本、これらは好材料でもあるはずです。
血気盛んで偏狭な孤立主義者や国粋主義者の口車に乗ると、後悔しても後の祭りとなるでしょう。
今回で、この度の選挙に関する連載を終えます。
長い間、拝読に感謝します。
ご意見、ご質問があれば何なりとお書き下さい。
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