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20200403

世界が崩壊しない前に 12: コロナ危機対応で見えて来るもの 3








*1

コロナ対応から見えて来る日本の危機管理とは・・・


気になる事項を幾つか挙げます。

1. LINEによる16万人のコロナ症状調査(3/27~3/30)で東京都7.1%、神奈川・埼玉・千葉県6.5~5.7%が該当すると答えた。

これは正確な診断ではないが、現状のPCR検査では感染者を把握出来ていない証だろう。


 
< 2.感染経路 >

2. 政府は、3/2から春休みまで全国の小中学校、高校の一斉休校を要請した。

これは過去にも実施されており一定の効果はあるだろうが、誤ったメッセージを発した。

当時、ニュースを見る限り、感染に関わっていたのは圧倒的に小中高生でなく大人だった。
小中高生に発症者が出ていない段階で、彼らが感染させるとする根拠は薄かった。
(現在は状況が異なるので必要だろう)

本来最初に、一番感染に関わっている大人(大学生も)の外出・密集行動を制限すべきだった。
結局、経済ダメージの少ない安直な一斉休校に頼り、上記の制限を行わず、逆に大人は外出への緊張感を無くしてしまった。
このことが巨大人口を有する都市部で、その2週間後の3月中旬以降の感染増加になった推測できる。


3. 縮小されていた日本の感染症対策

国立感染研の人員や予算は減らされていた。
2009年から2018年の間に60億円から40億円に減額されていた。
既に満杯になりつつある感染症病床は全国で1871に過ぎないが、実は1990年から2009年にかけて、人口10万に対して9.9から1.4と激減していた。



 
< 3. 最近の主要国のインフルエンザ死亡者 >

それでは感染症対策の必要は無くなっていたのだろうか?

近年、エイズ、サーズ、マーズ、デング熱などが世界を騒がせ、インフルエンザはここ十年ほど猛威を振るうようになっている。
当然、世界の疫学者らは警鐘を鳴らしていた。
世界銀行は、2017年にパンデミック債の創設まで踏み込んでいる。

ところが、この2月も政府は大幅な病床削減を進めている。
これは日本の全病床数が先進国トップで、福祉予算切り詰めの為としている。
しかし日本の人口当たりの感染症病床数、長期療養病床数、臨床医数などは先進国では少ない方であり、変化に対応できないでいる。


 
< 4.日本の医療水準のランキング >

これは「防ぎ得る死をどれぐらい防げているか?」を評価したランキングで、珍しく順位は良いが、自慢できるものでもない。


実は、医療予算削減は日本だけではない。

繰り返すバブル崩壊後の超金融緩和策によって各国の累積赤字が増大している。
日本は断トツ最悪で嘆かわしいが。
それに加え、日米首脳に見られるように世界の右傾化が進行し、軍事費が上昇している。
不思議な事に、同時に企業や富裕層への減税も進み、更なる財政圧迫要因となり、日米を筆頭に当然のように国民の福祉予算の削減が進んでいる。

つまり国民の安全保障は、いつの間にか見栄えのするものに偏ってしまった。


次回に続きます。











20200402

世界が崩壊しない前に 11: コロナ危機対応で見えて来るもの 2









前回に続いて、コロナの感染爆発の可能性を探ります。


現在、東京で感染が拡大しているが、これとPCR検査との関係で意見が真っ二つに分かれている。
一方は「検査を少なくし感染を抑制している」、逆に「把握できていない感染者がやがて感染爆発を招く」と対立している。
前者は現状の日本政府と初期の米政府、後者はドイツや韓国の対応です。
残念ながら日本ではデーターによって論証する姿勢がない。

結論から言えば、検査を拡大させ初期に感染者を隔離してこそ感染爆発が防げる。
世界の感染推移のグラフ(前回のグラフ4)を見る限り、多くの国で、始めはゆっくり感染は進行しているが、やがて何らかの切っ掛けで感染爆発を起こしている。

当然、検査拡大時には、感染防止(ドライブスルー方式など)と事前の健康状態チェックによる選別は必要です。
実際、上記対策を講じて検査を拡大した国は、感染者数の割に死者が少ないか、終息を向かえつつある。
しかし日本政府はオリンピック開催と医療システムの不足・不備による医療崩壊を恐れて検査を増やすことが出来ないでいた。

今ままでは低水準だったが、前回説明したように対策の効果と言うよりは偶然の産物に過ぎないと考えて、検査拡大と共に、データーに基づいた抑制策(外出禁止など)が不可欠です。


日本の異常な推移を確認します。

 

< 2. 各国の感染データー >

横軸は累計感染者数、縦軸は1週間当たりの新規感染者数の推移。
横軸と縦軸の両方が対数目盛であることに注意。
上は3月3日、下は3月21日の値。
赤の矢印は、注目すべき米国、日本、韓国、中国を示す。

驚くべきは、世界各国がほとんど直線状に並び、感染の増加率(新規感染者/累計感染者)が一定だと言うことです(同じ病原体なので当然か)。
そして中国と韓国は、ある時点から抜本的な対策を講じたことで一気に終息に向かっている。

一方、米国は感染が発覚した時点で検査拡大を行わなかった為、上図のように平均的な線より下にあったが、感染拡大と共に検査による状況把握が進むと同じ結果になっているようだ。

一方日本は、未だに平均線より低い所でふらついている。
本当に日本だけが感染の増加率が低いのであれば、平均線を下にずらした緑色の線上を進んでも良いはずだが、そうではない。


もう一つ、不穏な状況を示すグラフがある。

 
< 3. 感染経路不明者の数 >

日本政府は感染クラスターを抑えているので問題無いと言うが、上記グラフの感染経路不明者と感染者の増加を見れば、否と言わざるを得ない。

しかし不可解な点もある。
/30現在、コロナの死者数が54名で、これと累計感染者数1420名からすれば比率3.8%は各国の平均より少し高い程度に過ぎない。
つまり死者数から、感染者数は妥当と言うことになる。

ところで日本の毎年の死者数は肺炎で95000人、インフルエンザで3000人(12月から5月が主)ほどいる。
推測でしかないが、死因の判別でコロナが洩れているのではないかと疑っている。

現状の日本の医療体制に、検査を拡大出来ない事情があるようだが、このままズルズルとやっていると取り返しのつかないことになる。


次回もコロナ危機を探ります。







20200401

世界が崩壊しない前に 9: コロナ危機対応で見えて来るもの 1






前回、急所を掴んでこそ危機を察知出来ることを見ました。
これから2回にわけて、全体を見ない狭量さが危機を招く例を見ます。


お粗末なコロナウイルスへの対応


 
< 2.フォックスニュースの虚言「コロナは嘘だ!」の検証ビデオ >


当初、米国ではトランプ大統領と保守系フォックスニュースが「コロナは問題無い」とか「民主党のデマだ」と盛んに言い立てました。
この間、米政府の検査体制は出遅れ、多くの人は危機感を持たず、感染拡大を引き起こした。

当初、日本政府は感染者がいる寄港予定のクルーズ船を寄港させなかった。
結局、船内で感染爆発が起きる状態のまま引き受けた。
この時に、船からの感染者隔離や国内対策に本腰を入れるべきだった。
政府部内の「中国の細菌兵器」「武漢ウイルス」の発言は、米国と根は同じだ。

彼らには稚拙な逃避行動-危機の矮小化と先送り、が見られる。
一番困るのは、両国の首脳が共に非科学的・非論理的だと言うことです。
二人は不安を煽り、目立つパフォーマンスで人気を得ていることでも共通している。

そうは言っても、日本のコロナの感染状況は、今まで世界に類を見ない低水準で推移している。
これは日本政府の感染対応が適切だからだと、多くの人は感じている。
これが正しいなら、今後、感染爆発は行らないだろう。

私は素人だが、いくつかのデーターから今後、さらなる危機が起こると予想している。
要約すれば日本の現状は、ある条件がたまたま幸いし感染のスピードが遅かったが、対策の不備から感染者が知らぬ間に増大しているらしい。


 
< 3.著しく低い日本の感染状況 >

この横這いに近い状態は、世界に類を見ない日本人の衛生意識の高さ、加えて閉ざされた島国、マスコミの危機報道が幸いしたと信じたい。
しかし別の方法で比べると違う状況が見えて来る。


 
< 4. 縦軸を対数目盛りにした >
高橋洋一(嘉悦大)、@YoichiTakahashi

破線の日本、台湾、シンガポールが何故か同じ感染速度が遅い傾向を示している。
最も低い台湾は、確かに素早く画期的な対策を講じたが、実は中国からの旅行客が去年9月以降半減していたことも幸いしている。
(中国は、台湾が香港デモを支援したとして報復措置を取った)

何か共通の要因があるはずだ。
しかし韓国の途中からの急激な拡大も気になる。


 
< 5. 感染者数と致死率、3月26日のデーター >

これを見ると、三角印の国(結核予防のBCG接種が行われている国)は武漢を除いて、すべてで低い。
BCG接種は世界157ヶ国で実施されているが、欧米の15ヶ国だけが停止か限定しており、今回、酷い感染状況になっている。
これが日本、台湾、シンガポールが同じ傾向になった理由の一つだろう。
しかし、同じBCG接種をしていながら韓国も武漢も、突如急拡大した。

つまり日本は、まだ安心してはいけない。
気付かない不安要因があるはずだ。


次回に続きます。





20200330

世界が崩壊しない前に 9: 無視されているものにこそ






世界は良くなっているのに崩壊の危機などあるはずがない。
これが多くの人の気持ちでしょう。


平均寿命が延び、社会保障が向上し、経済成長が続き、大きな戦争もない、そして益々便利になってる。
この半世紀、世界は良くなっている。

* 安逸の陰に隠れているもの *

A. あなたは健康で医者に無縁と自慢している。
たまたま医者に診てもらうと、糖尿病がかなり進行していると分かった。
これからは節制し、薬無しでは生活出来ない。

B. いつも通行している橋が突然崩壊した。
あなたは助かったが多くの死傷者が出た。
古いと気付いてはいたが、そこまで老朽化が進んでいるとは思わなかった。

C. 会社は順調に業績を伸ばしていた。
しかし主力製品でリコールが発生し、その回収、加えて信用の失墜で会社は倒産した。
あなたは路頭に迷うことになった。

D. 株価上昇が続き、企業業績も好調で、国民も潤っていた。
しかし遂にバブルが弾け、世界は金融危機に見舞われ、過大な累積債務を抱える国はデフォルトを起こした。
そして年金支給額などが激減した。

E. 海外の観光客が大幅に増え、観光地は大いに繁盛し、国も潤っていた。
しかしコロナウイルスが伝染し、観光地の客足は途絶え、遂にはあらゆる産業活動が停滞し始めた。
多くの企業が潰れ失業者が増えるだろう。

これらの事例で本人に非があるものはAだけです。
後者になるほど被害が広範囲で甚大なものになる。
多くの人は後者になるほど予測出来るはずがないと思う。

しかし以下の実施で被害は抑えられる。

A 毎年の健康診断

B 定期的な劣化検査

C 開発時の安全検査と製造時の品質検査

D バブルを煽らない、政府財政の健全化(透明性の確保も)

E 感染症対策の拡充、世界との連携。
この10年間、世界の感染症は増加し、警鐘が鳴らされていたにも関わらず、日米も含めて多くの国で関連予算を削減していた。
 ]


 
< 2. 日本の感染研予算と防衛費の推移 >
両予算の金額を見ると、如何に国難が間違った方向に誘導されていたかが分かる。
これは米国も一緒でした。


私達は漫然と社会全体の風潮に惑わされるのではなく、むしろ隠れている危機の芽にこそ注視すべきなのです。


次回に続きます。



20200325

世界が崩壊しない前に 8: 何が重要なのか 1





これまで危機への警鐘と対応について見て来ました。
どうすれば警鐘を生かし危機の防止に取り組めるのだろうか?


1. 警鐘が無視される主な4つの理由。

科学的な理解が困難、未来の事は後回しにする、強力な世論誘導がある、分裂している社会では論理が通じない。
加えて転換の難しが加わる。


2. 危機回避の正しい選択が困難

日本では原発からクリーンエネルギーへの転換が進まないが、最大の理由は既得権益を得ている人々が、今の社会経済の体制維持に巨大な力を使うからです。

このように問題(危険性、腐敗)、非効率(高負担、経済損失)が露見しても、一度、定着した事を捨て切れず転換できない社会・経済現象をロックイン現象と言います。
これは個人の消費行動から国策まで及び、特に経済的な規模が大きいほど抵抗が大きく、世論操作まで行われて転換が妨げられる。

一度、軍拡競争が始まるとほぼ止めることが出来ず、別の選択肢はなくなる。
双方の疑心暗鬼は深まり続け、膨張した軍需産業と軍隊は縮小を受け入れない。

1930年代、ドイツと日本は不満と恐怖を解消する為に、民主主義を捨て軍事独裁国家への道を選んだ。
国民はヒトラーに熱狂し、予想だにしなかった末路に至った。

このようなことが繰り返されたら、これからの危機に対応できず、人類の未来はないように思える。
しかし光明はある。

1980年代初め、フロンガスが南極上空のオゾン層を破壊し、放置すると紫外線が増大し人体を害すると分かった。
しかし80年代末には世界が協力してフロンガスの使用を禁止した。

これは地球システムの破壊を世界が一致して防止した最初の成功例でした(汚染物質の禁止は以前からあったが)。

なぜこうも素早く解決出来たのか?
フロンガス製造中止で影響を受ける産業と国が限られていたこと、代替えフロンが開発されたこと(但し地球温暖化の問題は残る)。

そうは言っても、世界が科学者の発見を受けて、経済負担が有りながらも、世界が一致協力出来たことは快挙に違いない。

一人の訴えが、社会を救った事例は他にもある。
南アフリカのマンデラは人種差別で、インドのガンジーは帝国支配の終りで、英国の経済学者ケインズは不況の克服で貢献した。



次回に続きます。




20200319

世界が崩壊しない前に 7: 罠に嵌った人々







20世紀最大の罠と言えば、ファシズムへの暴走でしょうか。
人々は危機を脱しようとして、より悲惨な危機に陥った。
日本も同じですが、ドイツを見ます。


特報!!
 
< 2.いつか来た道 >


当時の状況
・ 巨額の戦後賠償と世界恐慌による大量の失業
・ 革命後の社会民主主義政権は安定せず、軍部の復権が進んでいた
・ 共産革命とソ連への恐怖が高まっていた

一人の天才アジテーター、ヒトラーが出現した。
彼は、かつてのドイツ帝国領土を取り戻し、共産主義者とユダヤ人を排除すべきと訴えた。
彼は清廉な人物と見なされ、若者に絶大な人気があった。
彼が行う政策、国民運動や大規模公共事業は功を奏し経済が好転した。
これでナチ党は国民の支持を得て国会の議席を伸ばしていった。

当時、政治を掌握していたのは元軍人の大統領でした。
彼は自ら任命した首相に政治を任せ、まだヒトラーを信用していなかった。
だがこの非力な首相は、人気のあるヒトラーの抱き込みを図った。

大統領が高齢で弱気になったと見るや、ヒトラーは一気に政権掌握に動いた。
彼は部下に国会議事堂を放火させ、それを共産主義者のせいにし、彼らの議員職を剥奪します(緊急事態条項と同じ)。
そしてナチスは過半数を占める第一党となり、ヒトラー総裁を決議させた。

この後、第二次世界大戦へと一気に突き進むことになる。
やがてユダヤ人追放が始まり、彼らの莫大な資産は国民に分配され、虐待や虐殺への批判は起きなかった。
同様の手口は中世スペインでもあった。

この間、ヒトラーを支えた巨悪があった。
ドイツのメディア王は彼を応援した(フォックスニュースや読売と類似)。
ドイツの鉄鋼王(兵器王)も彼を支えた。
英米系の大企業は、戦後までこの鉄鋼王に巨額資金を提供し利益を得ていた。注1.


ポイント

・ 国民は騙されたと言うよりヒトラーに狂信し続けた。
・ 安直な危機打開策が、最悪の被害を招いた。
・ 一部の国民は命を賭して抵抗したが制圧され、暴走を止めることは出来なかった。



次回に続きます。


注1. 「オリバー・ストーンの『アメリカ史』講義」p391より。




20200314

世界が崩壊しない前に 6: 罠を知る





*1

前回、私達が原発に呪縛されていることを見ました。
これと似た国を越える罠もある。


米ソ軍拡競争を見ます。

突然、現れたソ連のゴルバチョフが、米国に核戦力削減を提案し、核軍縮条約締結が成った。
しかし、この後が続きませんでした。
それはなぜか?

当時、米国は自画自賛していた。
「ソ連は我々の軍拡競争に負けて経済的に弱ったのだ。
だから宇宙にまで軍拡すれば、遂にソ連はねをあげる。
平和になるぞ!」
人々は、軍拡競争こそが軍拡を終わらせ、危機は回避されると信じた。

しかし、30年後の今、間違いだと分かるはずです。


 

何が起きていたのか?

当時の米国大統領はレーガン、次いで父ブッシュでした。
ホワイトハウスはまったくソ連を信用せず、相変わらず軍備増強と軍事支配拡大で押し切ろうとした。

一方、ゴルバチョフは政治刷新の手腕を認められて、トップに立つことは出来たが、立場は危ういものでした。
彼が前例のない大幅な軍事的妥協(アフガニスタン撤退も)を提案すると、当然、軍部や保守派からの猛反発に晒された。

米国は、これ幸いと不平等な兵削減をソ連に迫り、また南米への軍事介入を進め、ソ連の制止も聞かず湾岸戦争に突入します。

湾岸戦争は、子ブッシュもやった人気取りの可能性が高い。
米国の駐イラク大使は、クウェートとイラクで緊張が高まっていた時、フセインに告げていた。
「ブッシュ大統領は、イラクの友好が優先であり、友人でないクウェートとの国境紛争には何の意見も持っていない」と。注1.
この戦争で大統領の人気は鰻登りとなった。

米国の中東やアジアへの軍事介入の経緯と、世界断トツトップの米国の軍需産業の伸張を知れば、頷けるはすです。


もし1980年代末、ホワイトハウスがゴルバチョフを信じ協力していれば、彼はクーデターで辞任することもなく、戦争は減っていたかもしれない。

結局、国民は真実から遠ざけられ、政府に振り回されている。


次回に続きます。


注1.「オリバー・ストーンの『アメリカ史』講義」p397より。


20200308

世界が崩壊しない前に 5: 原発に見る無視の構造






すいません、投稿がダブりましたので投稿し直しました。

危機の後、正しかったと判明した警鐘は多い。
しかし幾度も無視した。
これを事例で確認します。


警鐘が国民に届かない理由を前回見ました。
1. 無理解(科学など)
2. 未来の事(近視眼的思考)
3. 世論誘導(政治・経済絡み)
4. 分裂する社会(ナショナリズムなど)


原発を例に考えます。

1 原発の危険性を理解できない

安全とは規定の設計基準を満足するだけであって、日本の基準では外部要因(テロ)、より大きい地震や人為的ミスなど、さらに福島の事故原因(電源喪失、水素爆発)は無視されていた。
実際、原発事故の多くは操作ミスや製造ミスなど人為的なものが多い。
人々は、住民が無視されていることを理解しない。

原発事故が致命的なのは、放射線が遺伝子破壊を永遠に進行させ、しかも見えず消去出来ないことです。
他の技術では、失敗を繰り返しながら安全基準を高めることが出来る。


2 エネルギー政策の転換が見えない

クリーンエネルギー(太陽光、風力)発電のコストが原発より高いと誘導され原発破棄が進まない。

国と産業界はこれまでの建設・維持費を安く見積もり、廃炉・灰・汚水処理の費用と事故の賠償額を無視している。
彼らは原発村と研究開発、更に安全神話を創り上げるための広報宣伝と裏金にどれだけ投じて来たか。
現在、クリーンエネルギーのコストは低下しているが、原発は急上昇している。

危険性を理解出来ても、対策や代替え案の選択が困難になっている。


 誘導され安直に流される

原発推進を担って来た人々が、事業継続の為に総がかりで国民を誘導している。
与党議員、官僚、経済界、そして学会、労働界、マスコミの大半が存続に加担している。
例えば、原発差し止め裁判は上級審に行くと必ず敗訴するが、これも司法官僚上層部が政権に従属し、政策否定や憲法判断を封じ込めるからです。

さらに、この誘導に強く影響される人々がいる。
例えば野党嫌い、科学に弱い人、今ならウヨがこれに加わります。
それは彼らが、好みの情報(御用マスコミやネットウヨ)しか信じないからです。

これらの障壁を乗り越えて、警鐘をまともに受け止められる人がどれだけいるだろうか。


次回に続きます。





20200307

世界が崩壊しない前に 4: 人々はなぜ警鐘を無視するのか?





時には命を削ってまでも、警鐘を鳴らす人がいた。
しかし、ほとんど聞き入れられなかった。


なぜ人々は無視するのか?

前述の例、原発事故、資源枯渇、人口増、環境破壊、核戦争勃発、米国の監視体制、地球温暖化の危機から見えるもの。

1. 科学的な理解無しで危機を理解出来ない

原子炉の構造や安全設計の概念を理解していないと、推進側の権威者が唱える原発の無謬性を容易に信じてしまう。
多くの人は、その安全性の根拠が如何に抜けだらけかを見破ることが出来ない。

地球温暖化の危機を知るには、気候現象や地球史を知らないと、これまた煙に巻かれる。

中途半端な知識や感情論では無理。


2. 人は数十年先に訪れる危機に対して及び腰になる

おそらく数か月後に起こるとするなら対処するでしょう。
しかし10年、50年先となると、ましてやコストと手間がかかるものなら無視するでしょう。
さらに対策の費用対効果を見積り、優先順位を付けるとなると絶望的です。


3. 危機とその因果関係を否定し、世論を誘導する集団がいる

この力は非常に大きく、かつ国民が気付かないよう行われる。

現在、大きな危機の元凶はすべて人間だが、限られた人間によるものが多い。
彼らは防止策や規制により、利益の減少や賠償による損失を避けようとする。

例えば、現在、自由放任経済の恩恵を享受している人々は、かつてのルーズベルト大統領のニューディール政策(需要喚起、賃金上昇政策)を貶めて続けている。


4.人は論理よりも帰属集団の意向に沿って判断し易い

これは分裂を極める社会ほど顕著です。
例えば、人は組する集団が原発推進、敵対する集団が原発反対なら、迷うことなく原発に賛成する。
現在、都合の良い情報(フェイク)は幾らでも集まるので、事実は二の次となる。

今や未開地の部族間抗争に逆戻りした感がある。
残念ながら日本人は稀に見る高い帰属意識を持っているので陥りやすい。


次回に続きます。



20200227

世界が崩壊しない前に 3: 警鐘を鳴らし危機を乗り越えようとした人々






ここ半世紀の間にも様々な危機を訴え、乗り越えようとした人々がいた。
人々は彼らをどう見ているのだろうか?
残念なことに彼らは無視され貶められることが多い。


幾つかの事例を見ます

A 京都大学原子炉実験所の研究者らは、福島事故の前から原発の危険性を訴えていた。

B 百名を越える世界の学識経験者(ローマクラブ)が、資源・人口・環境などで地球は成長の限界を迎えると訴えた。

C ソ連の元書記長ゴルバチョフは、核戦争勃発の危険を訴えた。

D スノーデンは、自ら関わっていた米国政府による電話やインターネットでの世界の要人と米国民への監視体制が進行していることを暴露した。

E グレタは、先進国首脳に対し、地球温暖化に対する無策を痛烈に非難し続けている。


それでは世界はどのように反応したのか?

A: 福島原発事故後も訴えは無視され続けている。

B: 皮肉だが、少しは前進している稀なケースです。

ローマクラブ発表の後、アラブ石油輸出国機構が米国のイスラエル寄りを封じるために、始めて石油価格の大幅引き上げで対抗した。
これが後に、石油価格高騰から世界的な節約へと繋がった。

C: 彼の提案により核兵器削減は一歩進んだが、交渉相手の米国から梯子を外され、彼は国内で孤立し努力は徒労に終わった。

D: 彼と他に二人も同様に訴え続けているが、事態は変わらず、彼らは米国の司直の手から逃げ続けなければならない。

E: 一人で立ち上がった少女の行動は、世界の人々、特に若い人に地球温暖化の危機を自覚させた。
しかし自覚が必要な首脳ほど彼女を茶化すか、迷惑扱いしている。

概ね、多くは警鐘を無視し、危機を無視するようです。


現在も、日本の経済・金融政策、米国主導の自由放任経済に警鐘を鳴らし続ける学者はいるのだが・・・



次回に続きます。