20190613

平成の哀しみ 58: 日本経済に何が起きているのか 21: 凋落の深層 2

*1


一番分かり易い深刻な問題とは

それはGDP国内総生産の停滞です


皆さんは日本のGDP成長率がここ30年ほとんど零だと言うことを知っている。
しかし多くの人は生活水準が維持されていると感じる。

その理由は下のグラフで分る。


 
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91年以降、3から8%への消費税増税と2度のバブルを繰り返しても税収は伸びなかった。

しかし国民生活を維持する為に国の歳出は増え続けている。
このギャップを次世代の負担になる国債発行で凌いでいる。

狂気の政府とエコノミストはこれでも百年は大丈夫だと言い切ります。


簡単に確認します。

以下二つのグラフは、一人当たりのGDPを見ている。

 
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このグラフから日本だけが取り残されているのがわかる。
今後、生産人口(15~64歳)が減少するのでさらに悪くなる。


 
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このグラフは購買力平価ベースで各国の順位を表したものです。
バブル景気を除いて凋落は確実です。
ここ数年のGDP上昇は好調な世界経済によるもので順位変わらず

日本は企業と国民に貯えがあり今までは凌げた。
しかし今後、国民所得が低下し始め、やがて貯えが大きく減ると、さらに少子高齢化による高負担に耐え切れなくなる。

既に政府は年金支給と退職年齢を延ばし始め、さらに続く。


次に続く




20190612

平成の哀しみ 57: 日本経済に何が起きているのか 20: 凋落の深層 1

 



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これまでバブルの悲惨さを見ました
これから日本経済の深刻な状況を見て行きます


バブルのまとめ
バブルはいつも歓迎され、崩壊が繰り返される
バブル崩壊は戦争を誘発し、経済を破壊し、社会を疲弊させる
バブルは投機家、金融業界、政府によって作られ続ける
バブルは経済学の限界を見せつける


今の日本は正に衰退の極み

それは経済の長期衰退が実際に起こっているだけでなく、多くの人が現状を維持すれば良くなると思い込んでいるところにもある。
この意識は悪い保守化の典型です。

この意識が益々強まり、自国の社会と産業の根本的な刷新を避け、従来の政策から抜け出せず衰退を深める。

この保守化は歴史上繰り返され、多くの悲劇を生み出した。


 
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よくて英国病ように、自国の産業過保護と海外投資に傾注し衰退を招く。
悪ければかつての日独伊のように、国内問題に目を背け領土拡張に向かい自滅した。

当然だが社会経済が悪化している時は、抜本的な改革か改善を繰り返さなければならない。
しかし保守化すると、体制維持ならまだ良いが過去の体制に戻ろうする。
こうなると悪化がさらに進み、遂には打開策が外国に向かってしまう。

これはトランプ大統領の言動に現れている。


次に続く




20190611

平成の哀しみ 56: 日本経済に何が起きているのか 19: 夢のバブル経済 9







 
*1

バブルで知る経済学の限界


 
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なぜ損をしてまで投資家は売り急ぐのか

株・不動産・商品の投機が過熱し価格が急上昇した後に急激な大暴落が起こるのが世の常でした。

投資家のほとんどは自己資金の数倍以上借りて投資する。
暴落が始まると、少しでも多くの返済額を確保する為に早く売り逃げようとし相場はパニック状態になる。
日本株の場合、頂点の1/2~1/4まで暴落し、全体で300兆円ほど値下がりする。

こうなると多くの投資家は借金を返済できなくなる。
当然の結果と言える。


ここで不思議に思うことがある。

よくエコノミストが理論的に大丈夫だからと政策に太鼓判を簡単に押す。
また多くのエコノミストは市場経済において参加者は合理的に行動し、
自由であればあるほど正常に機能すると説教する。

しかし、このバブル崩壊時の市場参加者の行動は合理的と言えるだろうか。
皆、損をするのが分かっていながら売って大損している。

しかも経済現象としては最も重大なものです。
経済学はこの現象の予測も制御も出来ない。

今の経済学は感情的な行動や完璧でない情報が絡む経済現象を扱えない。


 
*3

流行の経済学者や理論が過去、幾度も泡沫の如く消えた。
重大な結果には慎重に。




次に続く





20190610

北欧3ヵ国を訪ねて 71: シェラン島北東部を巡る 3: 野外博物館 1






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2回に分けて野外博物館を紹介します。
これでスカンジナビア3ヵ国の民俗家屋をすべて見ることが出来ました。
訪問したのは2018年6月8日10:00~11:00で、
ちょうど1年前でした。


 
< 2.野外博物館の地図 >

上: ホームページにあった地図。
本当は大きな地図で、展示家屋に番号があるが説明はデンマーク語です。
ホームページは英語表記が可能です。

下: 全景写真、上が北。
南北の長さは約1.4kmあり、黄色線が博物館の敷地です。
赤矢印の建物から入場し、ピンク線を徒歩で巡りました。
速足で一割ほどの家屋を見るだけで一時間掛かりました。

次の訪問地に急ぐ為、職員に頼んで黒矢印のゲートから特別に出してもらった。


野外博物館、FrilandsmuseetThe Open Air Museum)について

開設されたのは1897年と古い。
1650~1950年に建てられた主に農家100軒以上が、広い草原や森林に移築され再現されています。
出来るだけ自然な保存を心がけているようです。

平地なので歩き易いが広大です。
またスウェーデンのスカンセン野外博物館のようなレジャー施設はないようです。
参加できる催しはあるようですが、学生が民俗を学ぶ場所に特化しているようです。
また他の2ヵ国と違って、家屋内に説明員はいませんでした。
お陰で気兼ねなしに見学出来ました。

スウェーデンやノルウェーの野外博物館と違ってほとんど学生だけで、家族連れや海外の観光ツアー客には出会いませんでした。
コペンハーゲンから離れていることもあるかもしれない。


 
*3


 
< 4.No1の建物 >

上: 建物の説明書き。
ユトランド半島の北西部、北海に面した砂地に18世紀建てられた。
家族6人と家畜が右上に表示されている。
住人は農業と漁業を行っていた。

デンマークは大陸から突き出たユトランド半島と数多くの島からなる。
この半島の西側、北海に面したエリアは氷河後退により土壌が貧しく、高木が育たない。
なので、このような屋根は草ぶき、外壁は石やレンガなどになったのでしょう。
他の二ヵ国は圧倒的に巨木をふんだんに使い、屋根を樹皮で拭くこともあった。


 
< 5.No1の室内 >

室内の床、天井は木材、壁は木材と漆喰のようです。
良く分からないのですが、木材を燃やす暖炉(鉄製ストーブのような物も)などが室内にはあるのですが、
この建物には煙突が無かったようです。
ひょっとすると白川郷の合掌造りのように、排気を屋根裏を通しているのかもしれません(暖房の為か)。



 

< 6.No2の建物 >

上: 建物の説明書き。
ユトランド半島の中央西部、北海に面した所に18世紀建てられた。
住人は船長で、大半を海で過ごし、この農家を手に入れた。
住人は9人と家畜が右上に表示されている。
収入はアイスランドとの航海で得ていた。


< 7.No2の建物 >

内装、調度品、食器などから前の家よりは良い暮らしぶりがうかがえる。

下: これは暖炉と竈の兼用らしい。



 
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全体に長方形の大きい家屋が多いようです。


 
< 9. 風車 >

この敷地内には三基の風車があった。


 
< 10. No6の家屋 >

上: 建物の説明書き。
二番目に大きい島、フュン島の農業に適した森林に18世紀建てられた。
住人は代々製粉業者として成功し、二基の水車を所有していた。
住人8人と馬などの家畜が右上に表示されている。

森林に囲まれた敷地内の三方に長い家屋が配されている。
一方の裏が小川で水車がある。

中央: 今から敷地内に入って行く。



 

< 11. No6の水車 >

確か、室内は入れなかった思う。
水車の横軸が家屋内に入っており、これが製粉機を回していたのだろう。



次回に続きます。




20190608

平成の哀しみ 55: 日本経済に何が起きているのか 18: 夢のバブル経済 8


 
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バブルの元凶


 
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なぜ多額の借金が出来るのか

もし皆が自己資金だけで投機していればバブルは抑制され暴落しても負債に苦しむ人はいなかった。

バブルの燃料は際限のない借金。


 
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日銀が市中銀行に通貨を大量に供給すると銀行は融資を活発化させる。
この融資が消費と設備投資に向かえば良いのだが、手っ取り早く稼げる投機物件に集中し爆発的な借金が始まる。

さらに金融機関の担保査定やレバレッジなどが投機家の自己資金の何倍もの借金を可能にする。

そして実態以上の消費と生産が起こり、崩壊後は負債と不要物件が大量に残った。

この損失はバブル期のメリットを凌ぐ。
そして9割の国民の所得が低下し、所得格差の拡大が起きた。


金融緩和と公共事業で直接間接に消費を喚起し、一時期失業率を低下させても、その反動でさらに経済悪化と累積債務増が起こるだけだった。

前者の通貨供給増の政策は、先進国が80年代から拡大して来た。

これは巨大バブルと崩壊を生んだ張本人なので避けるべきなのですが、政府と経済界(金融)は、その魔力から抜け出せない。


 
*4

図のように日銀の供給した400兆円を誰も借りて投資や消費をしない。
つまり麻薬すら効かない体に日本はなってしまった


次に続く


20190607

平成の哀しみ 54: 日本経済に何が起きているのか 17: 夢のバブル経済 7









バブルは馬鹿げている


 

1991年のバブル崩壊で

ある人が預金2千万で宅地を買った。
これが3千万に値上がりしたので、これを担保にした借金3千万で原野を買った。
両方2倍に値上がりし合計評価額は1億2千万になった。

だがバブル崩壊、すべて売ろうとし宅地だけが1千万で売れた。


 


何が起きたのか

彼の預金2千万は借金2千万に化け、売れない原野が残った。


誰が大儲けしたのか

バブル崩壊で日本に200兆円の不良債権が生じた。
一部には儲けた人もいるが多くは大損し、役に立たない物件が全土に残った。
政府は国民からの100兆円で大手金融と大企業を支援した。

つまり投機を避けた国民も不景気と多額の拠出(国債)を強いられた。


誰が始めたのか

日銀が市中銀行に大量の通貨を供給し、銀行は低利で不動産融資を始めた。


なぜ過熱するのか

投機参加者は価格上昇は永久に続くか、自分だけは暴落前に売り逃げて儲かると妄想する。
金融業や証券屋はこの時ばかりと金利と手数料を稼ぐ。


なぜ崩壊するのか

ねずみ講と同じで、いつまでも人々が買い続ける限り安泰だが、
誰かが限界に気付き売り始める。
皆、借金で投機しているので我先に売り急ぐ。

こうして崩壊は一瞬に起こる。


次に続く



20190606

平成の哀しみ 53: 日本経済に何が起きているのか 16: 夢のバブル経済 6






何ぜバブルは繰り返すのか


理由
1.バブルは利益を生む。
2.バブル崩壊を制御出来ない。
3.崩壊の救済が次のバブルを生む。


説明

1. 投機家は財の価格上昇に賭けて資金を投じバブルの主役になる。
そして売買を繰り返せば資金は数倍から数十倍にもなる。





 

バブル崩壊で政府は金融業界と大企業を救済するので、バブルで膨張した資産は上位層ほど多く残る(図)。

政権は好景気が支持率に結び付くので景気を煽ることはあってもバブル崩壊の口火を切りたくない。
当然、バブル崩壊の責任を誰も取らないのでバブルはなくならない。


2. 優秀な中央銀行総裁であってもバブルを無難に終息させられない。

下手に金融を引き締めると崩壊が起きるので誰も避ける。

またバブルの実体を把握出来ないことが大きい。
いつも新手の金融商品と法の抜け穴を掻い潜る手法がバブルの主役になる(サブプライムローンの証券化)。


3. 崩壊すると金融危機が起こり放置すれば傷口が広がるので、政府は大規模な金融支援と景気刺激を行う。

さらに金融の規制緩和、通貨増発と公共投資拡大が行われ、次の深みに進む。
(レバレッジで自己資金の数十倍まで投資可能へ)


こうしてバブルは投機家、金融業界、政府によって生み出される。


次に続く