20190424

平成の哀しみ23: 深まる亀裂 21: 軍事同盟(集団安全保障) 




軍事同盟にも危険性がある


軍事同盟は戦争を招き被害を大きする。
これを避ける為に中立があるのですが。

同盟の危険性とは

同盟に参加することで敗北の危機感が減じ無謀になる。

他国の紛争への加勢により、対立する同盟間の大戦に発展する。

同盟内の覇権国が軍事力を恣意的に使い大戦に突入する。

境界にある国は対立する同盟国から攪乱され攻撃され易い。

これらは戦史の常識です。

国連憲章で集団安全保障は容認されたのですが、実は協議の過程で上記の反省から反対意見も多かったのです。
しかし米国の押しで決まった。

重要なのは軍事同盟の組み方です。

端的に言えば信頼できる国と対等に組めるかです。



 



例えばNATOは参加国の全員一致で決議します。
即応性に欠けるが、戦争の予防的措置や抑止力としては効果を持ちます。
国連は拒否権の問題はあるが、これに近い。

しかし米国一国への従属は、数々の危険がある。

ここ半世紀、米国が牽引した戦争には問題や失敗が多い。
現時点で、日本側から抑制出来るとは思えない。
日本の位置がアジア側にあることも問題です。

これから世界のパワーバランスが大きく変わり、新旧の対立から暴発が起きる可能性が高い。
見極めが重要です。


次回に続く







20190423

平成の哀しみ22: 深まる亀裂 20: 軍拡のジレンマ 3






軍拡が怖いからと言って軍を放棄すべきか


世界の中立国は防衛軍を持っている。
小国が軍を持たないこともあるが他国に依存している。
不穏な軍事大国やテロに走る国家や集団は存在する。

つまり防衛軍は必要です。

世界に安全保障のヒントがあり、大国と対等な軍備を持てない小国が参考になる。




ロシアに近い北欧やバルト三国を見ます。

対処は大別して三つある。
A 中立政策
B 集団安全保障
C ロシアに敵対しない

A スウェーデンは中立政策により第二次大戦の被害を軽微に出来た。
しかし1992年より中立政策を捨て、まだNATOに加盟していないが、この方向に進むだろう。

B ノルウェーとエストニアはNATOに加盟している。

C フィンランドはNATOに加盟せず、北欧理事会に参加しながらソ連に近い外交を行っている。

ちなみにこの4ヵ国の各人口はロシアの百分の2~7に過ぎない。
すべて軍を持っており、北欧の二ヵ国は国連などの派遣軍に積極的に参加している。

これらNATO加盟国はすべてロシアと国境を接している。
ウクライナ情勢が不安を駆り立ているようです。

これらは自国の軍備だけに頼ることをせず、中立政策も含めた外交と集団安全保障を重視している。


次回、集団安全保障についてみます。







20190422

湖北の桜を訪ねて 2: 風車街道から海津大崎









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今回は湖西から湖北に向かい、海津大崎を訪れます。
途中風車街道の桜並木を通過します。
天気と桜は素晴らしかった。


 
< 2. 車窓からの眺め >

上: のどかな高島市が広がっています。
安曇川でしょうか、堤のところどころに桜並木が見えました。

下: 新旭町の湖周道路に約6kmにわたりソメイヨシノが連なっていました。
ここは下車しませんでした。


 
< 3。 海津大崎に到着 >

私達は神社の駐車場でバスを降りて、岬に向かって約1.3kmほど歩きました。

上: 岬の付け根辺りから桜並木が見え初めました。


 

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小型の遊覧船が頻繁に出入りしていました。
また大型の遊覧船も沖合を航行していました。


 
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ここは湖岸園地で、多くの方が弁当を広げ仲間や夫婦で楽しんでいました。


 
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海津大崎の桜は延べ4kmほどあるのですが、私はマキノ側の入り口から1kmほどしか見ませんでした。
集合時間に合わして折り返し、元の駐車場に戻りました。


 
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下: この写真がマキノ側から見た全景です。

ここは桜の名所で眺めは素晴らしい。
しかし観光バス用の駐車場が遠くて不便なのが欠点でした。
一方マイカーは桜並木の所々にある小さな駐車場に止めることが出来るようです。
また桜並木を楽しむ散策路が、自動車道路の脇に追いやられており、歩き難い。

迫り出した山と湖が桜並木を際立たせ、自然な感じの桜が楽しめます。
しかし楽しみ方に工夫が必要だと思いました。


次回に続きます。








20190421

平成の哀しみ21: 深まる亀裂 19: 軍拡のジレンマ 2



軍備増強の思わぬ落とし穴

A 膨大な軍事費
実は、軍事費に上限が無いのです。

嘘のような話ですが理由は簡単で、軍拡競争で軍事費は上昇し続けます。
冷戦時代、米ソの核弾頭は地球を7回全滅させる量になった。

ここまで来れば、他の産業への投資不足が起こり、経済に悪影響が出ます。

日本は朝鮮戦争とベトナム戦争時、米国が軍需物資を買ってくれたので好況になった。
しかし太平洋戦争時、日本は総生産額は上がっても生活はどん底だった。

 


B 癒着する軍産複合体
軍需産業は成長すると政府と癒着するようになる。

理由は簡単で、政府が大口の発注者で機密を共有することになるからです。
米国の子ブッシュ大統領や明治維新の長州軍閥(陸軍)などが好例でしょう。

開戦は双方に莫大な利益と賄賂をもたらします。


C 拡散する兵器
軍事大国で育った兵器産業は輸出に拍車をかけるようになります。

中東は米国とフランス、ロシアの巨大兵器市場です。
中東戦争の初め、米国は短期間に大量の兵器をイスラエルに提供し、劣勢を優勢に変えた。

大国は覇権争いで、兵器産業は商売で、敵対する双方の国や戦闘集団に兵器を供給し続ける。
こうして世界各地で紛争が悪化し長期化します。


次回に続く




20190420

平成の哀しみ20: 深まる亀裂 18: 軍拡のジレンマ 1







「平和を愛する国民なんていない」と断言する首相もいるが、
皆さんはどうですか

軍備拡大を考えます

歴史を見ると、軍事力を軽視した国と小国は滅び、強大な軍事力が帝国を築いたように思える。

だが強大な軍事力にも問題はある。

A 軍事大国の内部
多くは軍事優先になり戦争を拡大し続け、経済・社会は疲弊し、遂には内部崩壊する。

ローマ帝国、中世スペインとフランス、大英帝国、大日本帝国と今の米国に共通するものがある。
戦費調達の為に、収奪目的の侵略戦争と苛酷な課税が繰り返され、遂には過大な負債が残る。
日本も日露戦争から戦費調達の外債発行で敗戦まで自転車操業に陥った。

B 軍事大国の周辺
侵略競争が常態化し、周辺諸国は軍拡競争と軍事同盟に走り、苦境に陥り、遂には破局を迎える。
この結果が20世紀の大戦でした。

これが軍拡を恐れる理由です。

この反省からパリ不戦条約や国連憲章で、世界は戦争と侵略を違法と見なすようになった。
この60年間、問題はあるが大国間の戦争が無くなり、多くの小国が独立している。





実は、中国の宋王朝は文治主義を採った珍しい王朝で最長の寿命を得た。
軍隊が弱く外圧に苦しんだのだが、文化と商業が非常に発展した。


次回に続く





20190419

北欧3ヵ国を訪ねて 63: 古都ロスキレ 2

  
*1


今回はヴァイキング博物館内部を紹介します。
これでノルウェーヴァイキングとの違いが見えてくるはずです。


 
< 2. バス停から博物館へ >

上: 右手前方の街路樹向こうに見える白い建物が博物館です。

中: 左手の船着場に小型木造船が数多く停泊しています。
後に訪問しますが、魅力ある体験の場になっています。

下: 道路の内陸側にはゆったりとした住宅街が広がっています。


 
< 3. 展示物 >

上: ロスキレ湾に沈んでいたバイキング船が4隻並んでいます。
これらは11世紀、ヴァイキング時代末期に作られた船です。
これら5隻は湾内の水路に沈められていたのもので、1962年に発掘されたものです。

下: 船腹です。
ノルウェーのヴァイキング船と同じような作りですが、オスロの博物館で見た船よりは小さい。

この船が小さいのは国の違いではないかもしれません。
オスロの場合は外洋向けの船体であり権力者の副葬品でしたが、ロスキレの場合は、農耕主体の彼らが海上からの敵の侵入を防ぐ為に沈めたものだからです。

このロスキレは11世紀にはデンマーク王家の宮殿が建てられ、ロスキレ大聖堂には歴代国王の棺が安置され15世紀までは王都でした。


 
< 4. 模型 >


 
< 5. 他の展示 >

上: このロスキレのヴァイキング村の再現ジオラマのようです。
幾つか並んでいました。

下: この展示ブースは、ヴァイキング船が夜に航海をしている雰囲気を再現していました。
子供に人気でした。



 
< 6. 沈められていた船の位置 >

左上: ロスキレの位置。

右上: 大きく複雑な湾の最奥部にあるロスキレ。
三角印は灯台、放射状マークは見晴台、一個の円は沈船の場所を示している。

下: 沈船箇所の拡大図。
この位置はロスキレのヴァイキング博物館より北方17kmにある。
湾が三つに色分けしてありますが、最も色の濃い部分の水深が1~3m、最も白い部分で5~7mです。
つまり、彼らは最も深い通行可能な水路を沈船で遮断したのです。
もっとも自分たちも航行できないと思うのですが。



 
< 7. 北欧ヴァイキングの航海実績 >

デンマークのヴァイキングは西側から北海に直接出ることが出来たので、ヨーロッパを荒らした主役だった。
フランスのノルマンディーや英国の南部など。

一方、ノルウェーの者は北側のアイスランド、グリーンランドや英国の北部になった。
スウェーデンの者はバルト海から東部に出た。


 
< 8. ヴァイキングの生活の地 >

上: ヴァイキング時代の定住地を赤で示している。
当時、デンマークの人口は50~100万人、男性の身長は170cm、男性の寿命は40歳ぐらいだった。

下: スカンジナビアの自然。
左側上二つの風景はノルウェー、深いフィヨルドが特徴。
中央二つはフィンランドとスウェーデン、深い森と湖が特徴。
下二つはデンマーク、平坦な地と干潟が特徴。

地域によって、かなり水辺や海岸の様子が異なることがわかる。
だから一括りでヴァイキングと言っても、地域で生業や交通手段が異なり、村の様子も異なったことだろう。



 

< 9. ヴァイキングの生活 >

上: 左上の写真は、同じシェラン島にある別のヴァイキングの要塞遺跡を示す。
その右側の三つの円形は、それぞれ三ヵ所のヴァイキング要塞を示す。
その位置は、直ぐ下のデンマークの地図に描かれている。
その右側に要塞内にあった家屋の図です。
どうやら居住用と言うよりは要塞内で共同で過ごすホールの用です。

下: 戦闘時の装束、兜、剣などが分かります。


ここの博物館はオスロのものと違って目玉の遺物は少ない。
しかし、別の野外展示や作業再現の展示が素晴らしい。


次回紹介します。



20190418

平成の哀しみ19: 深まる亀裂 17: 日本に欠けているもの 2






歴史を俯瞰しない人

歴史の評価が分かれる時、奇妙な事が起きている。

時に歴史を知ろうとして人物や著作に拘る人がいるが、なぜか右派的傾向を持ち易い。
歴史は人間によって作られるのだが。


例えば
邪馬台国問題で魏志倭人伝の文言に拘り、世界の都市発展と比較する視点がない。

南京虐殺は大量の死体遺棄が不可能だから無かったと言うが、すぐ横を大河長江が流れている。

ソ連軍が満州の日本人居留民を殺したが、日本軍は彼らを軍事境界線上にも配した。
世界各地、中国や旧ユーゴでも国境に人々を強制移住させることはあったが、多くは不平士族や異民族で日本の例は少ないはずです。




朝鮮半島と台湾の植民地支配が同列視されるが、産業発展の差と陸続きの有無が日本支配の苛烈さ変えた。
これは東西に通じるスエズを有するエジプトが苛烈な支配を受けたのと似ている。


何が欠けているのか?

これは木を見て森を見ないと言える。
または空間的、経済的、世界的な視点が乏しいと言える。

実は東アジア人は欧米人に比べ、木より森を見る傾向が強いのです。
しかし右派的思考は、右脳左脳の連携が弱くシステム思考に向かないとの説がある。

当然、左派的思考にも危うさはあるが。


次回に続く



20190417

平成の哀しみ18: 深まる亀裂 16: 日本に欠けているもの 1






批判精神


日本に欠けているもの



ジャーナリズム

* 高校生の感想

「戦争は経済が潤うから悪くない」

「愛国心のあるネットウヨに好感が持てる」

私は指摘した

「米国はイラク戦争で300兆円を費やした、イラクの被害は別にして」

「愛国心は誰にもある。オリンピックの応援を見ればわかる」

これでは彼らは簡単に煽情される。





* ワルシャワで通訳に今次大戦について聞いた

「この地はドイツとソ連に酷い扱いを受けたが、皆はどう感じているのか?」

彼女はきっぱりと答えた。
「ドイツは許せるがソ連は許せない」

「破壊と虐殺はドイツ軍の方が酷かったのでは」
と聞くと彼女は答えた。

「ドイツは謝ったが、ソ連はいまだに認めない」


この心情は重要です。



* ストラスブールで通訳に町の平和について聞いた

「千年に渡り仏独はこの地を奪い合ったが、現在トラブルはありませんか?」

「両民族が共に暮らしているが問題無い」
と彼女は答え、ベテラン添乗員も同意した。

異民族の混住は紛争の引き金になり易いので、さらに疑問をぶつけたが怪訝な顔をされた。

これはフランスとEUの積極的な融和策が功を奏しているからです。


この違いは日本の政治・教育・文化の貧困に起因しているのです。


次回に続く





20190416

平成の哀しみ17: 深まる亀裂 15: なぜ亀裂は深くなるのか





亀裂を深めるもの?


 



ここ半世紀の大戦争は民主的な国によっても始めらた。

国内に不満や不安が鬱積すると、これをうまく煽動出来る者が為政者になり、隣国への圧力を訴え始める。
やがて隣国と小競り合いが起きると、互いに敵意がエスカレートし、遂に開戦し、完全な敗北まで突き進む。
この手の為政者は発言と人格に問題が多いのですが、当初は歓迎されます。

もし適切に世論が形成されれば、この暴挙を止めることが出来るはずです。

世論の形成は昔、各地域の名士、最近までは新聞やテレビが大きく、今はSNSの影響が大きくなりつつある。


昔、日本の世論は中国侵攻直前に急転回した。
これは反政府新聞への弾圧と国営ラジオの放送が大きく、その後、御用新聞に押されて反政府新聞も戦争礼賛へと傾く。

原発反対の世論が20年かけて賛成になったのは電気事業連合会による毎年1000億円のマスコミ広告でした。
これを仲介するのがオリンピックも扱う電通です。

同様に平成の右翼化を担う企業がある。
「ゴーマニズム宣言」や新しい歴史教科書をつくる会、「国民の歴史」などを支援し出版したのはフジサンケイグループです。

私達は既にマスコミの術中に嵌っているかも。



次回に続きます