20190113

北欧3ヵ国を訪ねて 45: オスロ 4: ノルウェー民族博物館 2






< 1. スターヴ(木造)教会の内部 >

今回は、ノルウェー民族博物館の2回目です。
最初に、スターヴ教会の内部を紹介します。
この野外博物館の家屋はノルウェーの自然の厳しさを教えてくれました。



< 2. スターヴ教会 1 >
内部の写真はすべてフラッシュ撮影です。

左上: 正面玄関。
右上: 正面玄関の次にある入口。
この両側の柱の模様は北欧ヴァイキング時代からあったものでしょう。
これはツタと長身の獣が絡まった図柄で、スウェーデンのルーン石碑にも見られた。

左下: 内部、壁から天井を望む。

右下: 正面玄関を望む全景。
屋根が黒いのは防腐の為に塗布したタールの為です。



< 3. スターヴ教会 2 >

入って最初に感じたのは、非常に暗く、小さく、そして天井が高いことでした。
西欧の古い教会、ロマネスク建築の教会は、暗い堂中にガラス窓からの光が差し込み、荘厳さがある。
この木造教会にも幾つもの小さな明り取りの穴があるのだが、暗闇に圧迫されそうな感じがする。
逆に言えば、燭台の明かりが一層引き立つのかもしれない。
この空間には、西欧の教会には無い、古代信仰に根差した神域のイメージが引き継がれているのだろうか。
この感覚はスペイン、アルハンブラ宮殿の石材で覆われた薄暗い部屋に入った時にもあった。


上の写真: 祭壇を正面から見ている。
最後の晩餐らしい絵が正面に飾られている。
非常に質素です。

下の写真: 壁と屋根が接する柱の上にそれぞれ人面の彫刻がある。
私には王冠を被った王のように見えるが、不明。


< 4. スターヴ教会 3、Wikipediaより >

左: 別の木造教会の平面図。
今訪れている教会と同じで室内は十字架の形をしていない。

右: 今訪れている教会の構造図です。
柱上部に人面が見えます。



< 5.小屋 >

上: 屋根瓦を見てください。
北欧三ヵ国で見た屋根瓦が非常に日本の瓦と形が似ています。
親しみを感じます。

下: 野外展示場の丘から見下ろしている。



< 6. 農家 >

下の写真は大きな農家、大きな牛舎を持っています。
一方、上の写真は素朴な感じの農家です。



< 7.農家と水力小屋 >

上の写真の左側に水力小屋が見えます。
それを撮ったのが下の写真です。
この小屋はノルウェーの南部西海岸、ノルウェー海に面するフィヨルドにあったものを再現中のようです。
本来、水車が内蔵されており、動力となる水はこの小屋の左側から右側に流れ落ちるようです。
小屋の作りが面白いので取り上げました。



< 8. オスロ郊外北部の農家 >

建築が1845年の農家で、内部を見ることが出来ました。
この野外展示場では、内部に入れる家屋は多い。
下の写真はその内部で、左にベッドがあります。



< 9. 少し広い所に出た >

上: ここで驚いたのは、中国からの観光ツアーの一団です。
この展示場はストックホルムのスカンセンと違って遊戯施設が無く、民俗家屋の歴史を学ぶ所に特化している。
従って、すれ違う人々の多くは北欧のティンエイジャーを連れた家族や学校の小学生以上の団体でした。
このような場所に、中国の団体観光客が来ているのに驚かされました。
もっとも都市部での観光地で、アジア人の観光ツアーで断トツに多いのが中国で、次いで韓国、そしてわずかに日本かインドでしょう(見た感じ)。

下: 畑を囲んでいる柵が見えますが、この斜めに木を並べる形は、ストックホルムのスカンセンと同じでした。



< 10. パン焼き小屋 >

上: 表示にはパン焼き小屋とありました。
しかし中に入ることが出来なかったので、よくわかりません。
小屋の大きさの割に煙突が大きい。

下: これは別の小屋の内部です。
民族衣装を着たスタッフが、暮らしぶりを再現しています。
北欧で共通するようですが、暖炉と竈、暖房と料理は同じ場所で、非常に巨大なものが多い。
場合によっては一戸の家に複数ある。
その割には、この時代の壁の作りは断熱効果が乏しいように思える。
内壁となる丸太の木組みと外壁の板組の間に、断熱材が入れられているかどうかが分からない。



< 11. 作業中のスタッフ >

私がこの野外展示場で感心したのは、スタッフの親しみ易さです。
作業中の所を背後から撮影すると、二人は振り返り、笑顔で答えてくれました。
この対応は、他の小屋のスタッフにも共通していました。

一方、ストックホルムのスカンセンでは、どちらかと言うと冷たい感じがしました。
オスロでは小屋内部のフラッシュ撮影はOKなのですが、ストックホルムでは禁止でした。

ストックホルムとオスロを旅していて、国民性の違いを感じた。
オスロの人はノンビリしており優しい感じがしました。
一方、ストックホルムではお年寄りは親切なのですが、概ね就業中の人はピリピリしているようです。
これはアジア人に対してだけの対応なのか、それえともシビアに作業をしているからなのかわかりませんでした。
さらに言えば北欧の中で、スウェーデンは移民問題と格差問題を多く抱えているからもしれません。


次回に続きます。



20190111

連載中 何か変ですよ 215: 辺野古埋め立て中止の請願に協力願います!



*1


今、請願は勢いをまして、署名がもうすぐ21万に達しようとしています。
もうすぐ、ホワイトハウスでの順位が4位になるでしょう。
世界中の人々が沖縄に温かい眼差しを向け、署名を呼び掛けてくれています。


< 2. 辺野古の位置 >


前回、私が署名をお願いした時は14万でした。
今、世界の人々は沖縄の人々の思いに共感し、順調に署名数が伸びています。

現在、ハワイ在住の請願発起人は、ホワイトハウス前でデモをしています。
日本の数少ない芸能人の呼びかけに始まり、今は米英の著名ミュージシャンがこの署名を呼び掛けてくれています。

皆さん、このブログに立ち寄られた方はどうか、今一度家族や友人に署名をお願いして頂きたい。


*3

  なぜこの署名が重要なのか?
私の考えを述べます。

この請願の主目的は「沖縄の綺麗な海を守ろう」だと思う。
しかし、これ以上に大事なことがある。
それは日本の民主主義を守ることです。

日本の政治は長期に腐敗劣化していたが、遂に右翼化の波に乗って危うい方向に大きく舵を切り始めた。
その現われに、沖縄の民意を踏みにじる辺野古埋め立て強行と軍事大国化がある。
これらはいずれも個人の権利よりも、国の威信や国益が重視されている。
ここでは、この民権か国権の議論をしません。

問題は政府が腐敗の極致(森友・加計での隠蔽・改ざんなど)にあるのに、これ以上、独裁化を許すことはあまりにも危険です。
歴史的に権力者が独裁を進める為に敵意を煽る(右翼化)ことは繰り返されて来た。

この状況下で、この署名はほぼ唯一、良心の声を誇張も削減されることもなく表明することが出来る。
さらに、沖縄の意思だけでなく、日本全県さらに世界の声援も集まる。

結果はどうであれ、世界の民意が沖縄の心に届くのです。
ここから次のステップが始まれば良いのです。


*4

*5

        署名方法について
Stop the landfill of Henoko / Oura Bay until a referendum can be held in Okinawa
「国民投票が沖縄で開催されるまで、辺野古/大浦湾の埋め立てをやめる」(グーグル翻訳)

1.        この署名は、沖縄県の国民投票2019年2月24日までの埋め立て中止を求めています。
2.        これを発起したのは米国人(沖縄県4世)で、ホワイトハウスに届きます。
3.        請願が始まったのは2018年12月8日で、21日現在14万人以上が参加しています。
4.        手続きは非常に簡単で、三ヵ所の記入と返信メールをクリックするだけです。

(イ)           署名方法の説明 https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/361226



よろしくお願いします。


20190107

連載中 何か変ですよ 214: 何がより良い選択なのか? 5



 *1


今回が連載の最後です。
長期衰退の元凶を解き明かします。

 
*2


*先ず元凶を示し、それがどのように日本を蝕んで来たかを説明します。

元凶は「戦後の米国による傀儡化と、その後の自民党と官僚の寄生関係」です。

この自民党と官僚の関係は時と共に深まり、やがて日本の教育・司法・メディア・経済界・学会・軍事を包括する巨大な既得権益体制が生まれ、国民は蚊帳の外に置かれてしまった。
残念なことに、日本の国民性がこの政治劣化をさらに強め、社会と経済は再生を困難なほどに歪められ、長期衰退に陥った。注釈1.

さらに安倍一党が煽るウヨ化で一層分断が進み、日本は衰退から暴走へと大きく舵を切る。
保守重鎮の西尾や西部は最近になって安倍批判を強め、彼を保守の裏切り者と見做している。

劣化していく過程を説明します。

1.敗戦後、戦犯だった岸は米国に拾われ、左派勢力弱体化を条件に米国の資金援助と庇護を受け、自民党をまとめて国政を牽引して行きます。
この日本政府の傀儡化は少なくとも1970年代まで続いたことは米国のCIA公開文書で明らかです。

2.岸と佐藤首相は数度にわたる密約で、国民の目を欺きながら米軍基地と核配備を米国に無条件で提供した(ノーベル賞をもらった佐藤は岸と兄弟で、岸は安倍の祖父で皆同じ血筋)。
この提供は日本の防衛負担を減らすように見えるが、逆に米国と共産圏との最前線、しかも国内にありながら日本が介入出来ない軍事拠点になったことを意味する。

3.この後、自民党内閣と官僚は国民と野党の追求を逃れる為に、虚偽発言と公文書隠蔽・改ざんに深入りしていく。

ここまでが自民党のボスを通じて日本が傀儡化した前段です(現在も日米合同員会は月2回継続)。
この後、この傀儡化を隠蔽する過程で自民党と官僚の寄生関係は深まり、巨大な権力を握っていきます。

先ず米国の指示と援助を受けて自民党の長期支配は盤石になった。
次いで、密約を隠蔽するために自民党と官僚は結束を深めることになる。
この後も米国CIAはリベラル野党潰しの為に資金援助を継続した。
まるで松本清張「日本の黒い霧」で描かれているGHQ時代の闇です。

やがて官僚は、ぬるま湯で育った2世3世の自民党議員相手に優位に立ち、政策や予算などを支配し、自省の権益拡大に奔走していく(自民党議員も口利きで噛む)。
こうなると大臣は答弁書を読むだけの飾りになり、行政への責任は無きに等しくなる。
まるで戦中の陸軍と海軍の権益争いが無責任な軍事拡大を招いたのと同じです。

 
< 3.沖縄基地、原子爆弾、GDP成長率、政治腐敗度 >

*ここまでが安倍政権までの長い劣化の歴史です。

現在、安倍の人気は景気堅調もあるが、リベラル嫌悪と排他的愛国(ウヨ)の煽動が功を奏している。
日本のウヨ化は長期衰退への不満が、かつての自民党と官僚への批判から、植民地だった中国と朝鮮半島への反発にすり替えられたことで政府批判は掻き消され、安倍支持は強化された。注釈2.
これにより隣国との協調を唱えるリベラル野党と右傾化を強めた自民党の間の亀裂は強まり、多数を占めた自民党はなりふり構わず無視と強行を続けることになった。

安倍内閣は、ついに開き直って堂々と白を切るようになった。
既に大半のメデイアが御用化し、既得権益体制が総がかりで政権を擁護するなら、国民の目を眩ますことは容易です(トランプのようにフェイクを数多く流せば真実は見え難い)。

このような権益維持に奔走する自民党と官僚の政治が続く限り、真に国民の為の政治が行われるはずもなく、国民は米国友好と見せかけのパフォーマンスでごまかされることになる。


*ここで政治の劣化による具体的な弊害を見ておきます。

  学校教育は自主性のない、政治に関心を持たない生徒を育てた。
これが現状の不毛な政治を助長している。
かつて西欧の植民地でもこの手の教育が行われたが、現在、北欧の学校では生徒は政治や社会に積極的に関わり、当然、政治腐敗はなく、労使協力が得られ経済の好循環が生まれている。

  地方自治は中央頼みで自ら活性化出来ない。
これはシャウプ勧告が発端だが、中央官庁が地方の税の分配権を握っていることによる。
一度手に入れた権益を中央官僚も国会議員も手放さない。

  日本の裁判所は憲法判断を避け、政府寄りの判決を行う。
この発端は戦後直ぐの砂川事件(米軍基地訴訟)だが、その後原発などでも繰り返されている。

  政府・官僚に忖度するマスコミ。
これは記者クラブなどの取材慣行もあるが、最近の自民党からの露骨な圧力が一層酷くしている。

  極め付きは官僚が支配する巨額の特別会計451兆円(2018年度)で一般予算98兆円を遥かに上回る。
この実態は掴めないが、3000社もある天下り先、かつて年金福祉事業団のリゾート施設が二束三文で売られたこと、GDPが550兆円であることを考えれば如何に巨大で危ういものかかがわかる。


*結び
見てきたように日本は先進国の体を成していない。
民意がフィードバックされることもない(選挙制度と三ばんが歪めている)。
経済政策はせいぜい議席確保につながる既得権益擁護と米国の圧力か模倣に過ぎない。
軍事は米国の意向に逆らうことが出来ない。

これでも皆さんは、現政権にすがるしかないと考えるのでしょうか。
少なくとも政権の嘘・隠蔽と腐敗を見過ごすことだけは止めるべきです。

来訪に深く感謝します。
これで、この連載を終わります。


注釈1.
ここで災いとなった国民性は主に村社会-古い農耕民族に残る、組織への盲目的な忠誠心、によるものです。
この国民性は権力者の腐敗・専横の阻止、個人の権利と法の理念(正義)の順守よりも、組織の利益と権力者の意向を重視します、例え後ろめたさを感じていても。

注釈2.
本来保守は母国への愛(現体制への執着)が強いことにより、過去や歴史を礼賛(盲愛)することになる。
しかし、そのことが周辺諸国を敵視することに直結しない(西欧の極右は移民を敵視するが、隣国を敵視していない)。

今の日本のウヨは、歴史上繰り返された浅薄なポピュリズム(ファシズム、ナチス、現在西欧の極右、トランプ)と同じです。
社会に不満が鬱積し、かつ解決策が断たれたと感じた人々は、安易に単純明快な解決策に飛びつく。
そして強権的なカリスマ指導者の登場、そして彼は憎むべき敵を明示し、支持者の団結と闘争心を煽る。
まさに、今これが再来している。

少し考えれば、可笑しいことはわかるはずです。
日本の保守は、かつての日本の戦争は正義だとし、自尊心を満足させます。
その根拠に、よく「米国が仕掛けた罠に日本がはまり開戦せざるを得なかった」が挙げられます。
憲法も押し付けだから、自主憲法が当然だと言います。
これほど米国をコケにしておきながら、一方でまったく米国追従なので自尊心のかけらもない。
過去の南ベトナム政府よりも酷くは無いが、初期の自民党政権の傀儡化を知っていながら皆口をつぐみ、治外法権を許す地位協定(国家主権放棄)をいまだに後生大事に守っているのですから。

またウヨの言う中国と朝鮮半島憎しにどんなメリットがあるのでしょうか?
確実に攻めて来るのなら冷静に防衛策か懐柔策を講じれば良いだけです。
過去を批判されるから腹いせに罵る、これでは互いに敵愾心を煽るだけで、これこそ何かを切っ掛けに戦争が始まらないとも限らない(数々の戦史が示しています)。
結局、米国の思う壺であり、憎しみが権力集中に利用されているとしか思えない。


参考文献

日本関係
1.      「日本が自滅する日」石井 紘基著。
2.      「知ってはいけない1と2」2冊、矢部 宏治著。
3.      「日米同盟のリアリズム」小川 和久著。
4.      「どこへ行くのか、この国は」村田 良平著。
5.      「戦後史の正体」孫崎 享著。
6.      「没落するキャリア官僚――エリート性の研究」中野 雅至著
7.      「国家の命運」藪中 三十二著。

米国関係
8.      「暴露 スノーデンが私に託したファイル」グレン・グリーンウォルド著。
9.      CIA秘録上と下」2冊、ティム・ワイナー著。
10.   「日本は略奪国家アメリカを棄てよ―グローバリゼーションも共同幻想も必要ない」ビル・トッテン著。

隣国関係
11.   「中国 新たな経済大革命」肖 敏捷著。
12.   「韓国人に生まれなくてよかった」武藤 正敏著。

戦争関係
13.   「逆転の大戦争史」オーナ・ハサウェイ共著。
14.   「文明の衝突」サミュエル・ハンチントン著。

北欧関係
15.   「世界政治叢書3 北欧・南欧・ベネルクス」津田 由美子共著。
16.   「エリア・スタディーズ デンマーク、スウェーデン、ノルウェーを知るための・・章」3冊、明石書店刊。
17.   「北欧モデル」翁百合共著。

経済関係
18.   「国家債務危機」ジャック・アタリ著。
19.   「ドイツ帝国の正体」イエンス・ベルガー著。
20.   「国家はなぜ衰退するのか上と下」2冊、ダロン・アセモグル共著。
21.   「世界を破綻させた経済学者たち」ジェフ・マドリック著。
22.   「世界経済を破綻させる23の嘘」ハジュン・チャン著。
23.   「金融政策の誤解」早川英男著。
24.   「1970年体制の終焉」原田 泰著。
25.   「日本国債入門」永野 学著。
26.   「国家は破綻する 金融危機の800年」カーメン・M・ラインハート共著。