< 1. 旧約の預言者イザヤ >
古くから警鐘を鳴らす人はいたのだが、ユダヤ人は聞かなかった。
前回、大半の労働者にとって悪化している経済の現状を確認した。
それはここ半世紀の日本と先進国の経済政策が生み出したものでした。
しかし、問題の核心は別にあり、さらに根が深い。
< 2.世界に占める日本のGDP >
はじめに
前回紹介した、三つの政治経済の潮流。
A: 1980年代からの米国主導による自由放任主義経済。
B: ここ半世紀の日本与党の企業優先の政治。
C: 2013年からのアベノミクス。
私はこの三つが今の世界と日本をさらに劣化させ行くと見ています。
劣化とは、繰り返す倒産と失業で国民の大半は所得を減らし、中央政府への信頼を無くし、追い打ちをかけて国家債務のデフォルトが起こり、遂には争乱へと進むことを意味します。
私はこのことをこれまでのブログで取り上げて来ました。
Aの問題点については、世界的に著名な経済学者クルーグマン、スティグリッツ、ジャック・アタリ、ピケティ、経済評論家ジェフ・マドリックが指摘しています。
BとCについては、国内の一部の経済学者が指摘しています。
しかし、残念ながら多勢に無勢で、社会を変革する力にはなっていない。
この少数派の警鐘は、既得権益側による圧倒的な情報量と印象操作で掻き消えてしまうのでしょうか。
または不景気と好景気が繰り返されていれば、じんわりと社会経済が衰退を深めていても、人々は一縷の望みを託し現状にすがりついてしまうのでしょうか。
しかし、一度衰退が始まると、そんなわずかな望みさえも冷酷に踏みにじって来た。
それが歴史でした。
< 3. かつての栄光、実は一人当たりの実力は? >
衰退に人々はどのように向き合ったのか?
かつて栄華を誇った国が衰退した例は数知れずあった。
古くは都市国家アテネ、ローマ帝国、スペイン、オスマントルコ、英国、ソ連がそうでした。
これらの国が衰退したのは、いずれも一人の権力者による失策が原因ではなかった。
むしろ起死回生を願い、末期にすら改革に立ち上がった人々がいた。
しかしその思いは既得権益層の抵抗と根付いた社会の流れにかき消されていった。
つまり、かつては繁栄をもたらした社会経済のシステムが社会に根を張り、これが逆に世界や国内の変化に対応できずに自壊していった。
衰退する運命にある文明や国は、どうあがいても再起が不可能なのかもしれない。
おそらく今のままでは米国そして追従する日本がこれに続くことになるでしょう。
両国のここ半世紀の経済データーを見ていると悲観せざるを得ない。
しかし、その一方で既に衰退した国もあれば方向転換を成し遂げた国(北欧やドイツなど)がヨーロッパ内にも存在する。
やはり、人類の英知を持ってすれば可能なのかもしれない。
もし国民や政府が真摯に警鐘に耳を傾け、痛みを伴っても方向転換を図っていれば良かったと思うターニングポイントが過去に少なからずあった。
いつの時代も、社会経済の異常や危険の芽を鋭敏に察知し、勇気をもって指摘した人は存在した。
日本が第二次世界大戦へと突き進む過程においても、その危険性を議員やジャーナリスト、言論人が命を張って訴えていた。
残念ながら、かき消されてしまったが・・・。
< 4. 英国の辿った道、それは・・・ >
なぜ人々は警鐘に耳を傾けないのだろうか?
今の日本で想定される幾つかの理由を挙げます。
D: 政治に期待せず無関心な人々の増加。
E: パトロンとクライアントの関係が強い政治文化、「ジバン(地盤)、カンバン(看板)、カバン(鞄)」の言葉で代表される。
F: 偏った報道や印象操作による洗脳。
G: 孤立した日本文明の弊害や歴史に根差すもの。
H: 人類に共通した心理。
いくら警鐘を鳴らす人が出ても、それを拒絶したり無視する人々が多くては話にならない。
これに怒っても事は解決には向かわない。
少しでも多くの人が、未来の危機を認識出来るかにかかっている。
私は、上記の理由が如何に重要な認識を阻害しているかをこの連載で明らかにしたい。
そして、未来の危機を回避し、子供や孫の世が平和で豊かになることを望見ます。
< 5. 日本のターニングポイント >
この赤線を上下逆にするとグラフ2の山にほぼ重なるので不思議です。
次回に続きます。