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まるで中世そのままの町がブドウ畑の中にある。
さらにアルザスワインのワイナリーが数多くある。
私達は小さな村の散策を愉しみ、ワイナリーで試飲しました。
リクヴィルについて
この町はコルマールの北方12kmほどの処にあります。
ここは小高い山が途切れ、それに続くなだらかな斜面に広がるブドウ畑にあります。
この町は縦断するメインの通りが350mほどの長さしかない小さな町です。
しかし、第二次世界大戦の爆撃を幸いにも免れたことにより、16世紀以降の家並みが町全体に残っています。
また多くのワイナリー、アルザス最大手のワイナリーなどが町の中や周囲にあり、観光客を楽しませてくれます。
ここを訪れたのは旅行6日目、5月22日(月)、14:10~15:30です。
この日も快晴でした。
< 2. リクヴィルの地図、右が真北です >
下の写真: 黄線はリクヴィルの散策ルートを示します。
駐車場Sに到着し、東西に延びるメインの通りをポート・オートGまで行き、少し戻ってワイナリーWに入った。
試飲が終わると、自由時間となり、私は教会Cの前を通り、村の外周の一部を歩いた。
その後、駐車場Sからストラスブールに戻った。
< 3. 市役所と噴水 >
駐車場から最初に出会うのがこの市役所です。
この市役所のまえから西にメインの通りが伸びている。
< 4. メインの通りを行く >
上の写真: 緩やかに上っているメインの通りを西に向かって進む。
下右の写真: 1561年に切妻壁の建物をつなげて造られた6階建ての家屋で、アルザス地方で一番背の高い木組みの家の一つです。
< 5. 通りに面した店の顔 >
下二つの写真: アンシ作の看板。
この通りに面してアンシ美術館があります。
< 6. ドルダー・タワー >
ドルダータワーは13世紀に壁に沿って建てられた望楼で、中には鐘がある。
非常時の警報用です。
上左の写真: メインの通りからドルダータワーを見た。
上右の写真: ドルダータワーをくぐり抜け振り返った。
< 7. ポート・オート >
この門はドルダータワーの直ぐ外側に1500年に建てられた。
二重の重たい木からなる扉、ヨーロッパ一古いとされる落とし格子が備えられていた。
上の写真: 村の中側から見た。
下の写真: 村の外側から見た。
門の左側に壁らしいものが見える。
< 8. ワイナリーで試飲 >
上左の写真: 試飲したワイナリーの入口。
< 9. 教会と路地 >
ワイナリーの後は自由時間なので、私はこの路地を抜けて村の外に出ました。
下の写真: 路地から外に出るには、この写真右に見える民家にあるトンネルをくぐり抜けなければなりませんでした。
< 10. 村の北側外周 >
村の外に出てから、外周に沿って市役所の方に回り込みました。
この時、私はやっと気が付きました、この村は単に古いワイン作りの村ではなく、堅固な城塞都市ではなかったのかと。
上の写真に見える村を囲む城壁のような家屋、下の写真に見える噴水は堀の跡ではないかと。
それであれば、既に見た二重の門、城壁のような壁の名残が合点出来る。
この最後に、リクヴィルの歴史と城塞の種明かしをします。
< 11. メインの通り >
至るところに噴水が見られる。
< 12. 村の南側 >
南側には、ブドウ畑の中に現代の住宅が広がっている。
この駐車場からこの村とはお別れです。
リクヴィルの歴史
この町はローマ時代に遡る。
11世紀、この地一体を寄付された修道院がブドウ畑とリクヴィールを所有した。
1269年、神聖ローマ皇帝がここに城を建設し、アルザスで一番最初に要塞化された町となった。
その後、城主は幾度も替わり、公爵の城下町として栄えた。
16世紀に住民の多くがプロテスタントへと改宗した。
1796年、フランス革命軍との戦いの結果、公爵家はリクヴィルを含むアルザスの所領を放棄し、ここはフランスに併合された。
そして第二次世界大戦中、この一帯で戦禍を免れた数少ない町となった。
< 13. 城塞化の経緯 >
この地図から、1291年の城壁、さらに1500年、その外側に城壁が造られたのがわかる。
このことがドルダー・タワーとポート・オートの二重門が存在する理由でした。
< 14. 1644年のリクヴィルの俯瞰図 >
これは町を東側から見たもので、手前が現在の市役所側になる。
二重の城壁と堀が見える。
私は、こののどかなアルザスの地にこれほど要塞化した村や都市が多いとは思わなかった。
今回訪れた、アルザスの三つの地がすべて要塞化されていた。
コルマールの要塞化については説明していませんでしたが、かつて城壁で囲まていた。
ストラスブールとコルマールは自由都市になっていた。
このアルザスはライン川が流れ、ドイツ(神聖ローマ帝国)とフランスの間にあって、交易上有利であったが戦火が絶えない地であったのだろう。
次回に続きます。