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20200113

中国の外縁を一周して 15: 観光バスで巡る北京





*1


今日は、北京の観光バス3号線からの眺めを紹介します。
約1時間、北京中心部の北西部にある幾つかの観光地を車窓から見ました。



 
< 2. 観光バス3号線について >

上: 「北京城市观光3线公交车」の情報とバスの外観。
私が乗ったのは「下行」で、頤和園の北門から紫禁城の神武门(北門)まで行きます。
下の地図の青線が、そのルートです。
バス停は合計12箇所です。
サービスは何もないが、ゆったりしたシートに座りバスの2階から景色を楽しめます。
料金は大人20元、一卡通提示で15元です。

下: 走行ルート、上が北。
乗車のバス停は頤和園の北門の東側直ぐにある大きなバス駐車場の道路沿いにあります。
降車のバス停は紫禁城の北側、景山公園南門の前の道路沿いにあります。
ここは、この戻りのバスや他の観光バスの発車場所になっていますので、多くのバス停があり非常に込んでいました。

このルートで私が楽しみにしていたのは、中関村(北京のシリコンバレー)、鳥の巣(オリンピックのメインスタジアム)、鼓楼と城門(德胜门箭楼)でした。

私は途中一度も降車しませんでした。




 
< 3. 観光バス3号線の内部 >

上: 観光バス3号線の2階。

下: 圆明园、最初の観光地です。


 
< 4. 精華大学 >

上: 精華大学の門が見える。

下: 通りを示す看板に「中関村」とある。
バスからは確認できなかったが、近くに中関村サイエンス・パークと呼ばれるところがある。

この周辺には世界有数の精華大学、北京大学、国家の研究機関などが集まっており、また日本を含む海外のIT代表企業が研究所を建ている。
IMBMicrosoftAppleIntelNokiaや富士通など。
中国と海外企業がここに毎年数兆円をつぎ込み、200を越える研究所、参加企業数は4万社を越える。
ここは中国の科学技術と産業発展をリードしている重要な地域の一つです。
北京には他にもこのような場所があり、当然、深圳や天津、蘇州など各地にも多数ある。

これらが、中国が幾つかの先端分野で米国を抜く特許件数を出す理由の一つだろう。
国を挙げての取り組みと、それに乗る海外企業の多さに驚くばかりです。

ここでも旧態依然とし、乗り遅れることに無頓着な日本を思ってしまう。



 
< 5. 北京大学 >

上: 北京大学。


 
< 6. 鳥の巣 >

上: 鳥の巣が左側に見える。
中国らしく、全てが巨大で広大、歩く気になれない。

下: バスはこの一帯を一周した。
斬新な建物が目を惹く。


 
*7

スモッグらしいが、視界が悪い。


 
< 8. 德胜门(徳勝門 ) >

これはかつての内城(北京)の北側の門の一つで元朝、15世紀に建てられた。



 
< 9. 鼓楼と钟楼(鐘楼) >

上: 右が鼓楼、左が钟楼(鐘楼)。
鼓楼は13世紀に始まり、大太鼓と角笛で時を知らせていた。
鼓楼は他の古都でもよく見かける。
钟楼は15世に始まり、63トンの銅製の鐘があった。
この二つは紫禁城を南北に貫く中心線上にある。

下: 鼓楼。
西安で見たことがあり、今回、開封でも見ることになる。


 
< 10.終点に近づいた >

上: 鼓楼を過ぎた什刹海の辺り。
前日訪問した場所です。

下: 遠くの山頂に景山公園の建物が見える。
ここも前日訪問した場所です。
あの反対側に着くと、バス観光は終わります。


次回に続きます。



20200108

人はなぜ愚行を繰り返すのか? 34: 最後に




< すばらしい主役たち >

ここまで読まれた方は、既に理解している。
日本の何が問題で、どうすれば良いかを。
簡単にまとめます。

1 安倍政権を存続さてはいけない

日本の衰退を止めるどころか、大きな破綻の後、間違いなく衰退途上国になる。
当然、与党が続けて政権を担うなら同じでしょう。
結局は米国隷属・財界従属・官僚専横・汚職政治から抜け出せない。


3 野党を育てる以外に道はない

野党は未熟だが、再度野党に政権を担わせ、転換を図るしかない。
腐敗を断ち切り、独立を果たし、再生に向かうにはこれ以外にない。


4 どの道を進むべきか

残念ながら日本を再起させる確実な理論はなさそうだ。
しかし北欧や中国は、米国流と異なった手法で成功を手に入れている。
必ず衰退から脱する道はある。

5 何を変えるべきか

* 教育
後進国並みの政治風土が政治の劣化を生んでいる。
だから北欧のように政治意識を育てる教育が必要です。
男女平等も。

* 財界と労働界が協議し、新規産業育成を方向付ける。
様々な特権を無くし、無駄な規制・指導を止める。

* 官僚の特権を崩す(特別会計、天下り)。
最有力のIPS細胞の援助を減らそうとする官僚は不要だ。

* 中央から地方自治へ(北欧では進んでいる)
中央が膨大な予算を握っていることが、腐敗、専横、意欲減退を生んでいる。

* 米国追従からの独立
多くの経済凋落のきっかけは米国の圧力でした。
立ち位置が難しいが、米国の過去の振る舞いを見るなら戦争の危機は確実に増す。


私が望むのは、北欧のように国民の一人一人が社会・政治・経済に目を向け、希望を持って進み、豊かさと安寧を手に入れることです。
少なくともこのまま愚行を繰り返さないことを願うばかりです。

これまで読んで頂きありがとうございました。



20200107

人はなぜ愚行を繰り返すのか? 32: 見たくない危機 7




< 放置すればやがて現実に、歴史は知っている >

見たくない危機ほど恐ろしいものはない。
まとめます。


なぜ人は甚大な被害が出る危機に関心を持たないのか?

これら甚大な被害をもたらす危機は10年から数十年に一度しか起きない。
そうすると、その人の立場や年齢により実感することがないこともある。
さらに歴史を無視していては、過去の危機から教訓を得ることもない。

さらに厄介なのは、政府や体制側が推進している原発や金融緩和などでは危機感を薄められる。
毎回、バブル崩壊や年金不安、経済政策の不発などで御用マスコミや御用学者などが楽天的なキャンペーンを盛大に張ります。
危機到来後は平気で手のひらを返すのですが。

おおくの人は幾度も騙され続けます。

今の日本の哀しみは社会がマンネリ化し、さらに右翼化してしまったことです。
人々は煽られ真実が見なくなり、危機感から解放され安堵すら覚えている。


皆さんにお願いがあります。

どうか世界を見、歴史を理解し、曇りのない目で日本の現状を見つめて下さい。

きっと私の指摘したことが、嘘でないことが分かるはずです。

「後悔は先に立たず」と言います。


次回に続きます。




20200106

人はなぜ愚行を繰り返すのか? 28: 見たくない危機 3




< 責任を取る人は >

人々が見たくなくても危機は迫る。
歴史はこれを示しているが、それでも知らぬふりをする。


毎年来る台風に対して、人は被害を想定し対策を立てる。
しかし人々はいつ起きるかは分からないことは無視できる。
例えば数年先の危機、また向こう30年以内の発生確率30%と言われればさらに非現実となる。
その被害の程度が不明瞭であればなおさらです。

ここで是非とも知って頂きたいことがある。

それは社会・経済・安全保障の危機は台風災害や交通事故と大きく異なることです。

例えば、香港のデモ、伊藤詩織事件、移民問題、金融危機、社会保障の低下、戦争勃発、地球温暖化などです。
いわゆる天災ではなく人災です。

これら危機の三つの主要な特徴について説明します。

A 被害が甚大で広範囲に及び、逃れることが出来ず、その後遺症は数十年以上も続くことがある。

前回の日本のバブル崩壊によるダーメージは20年を越え、経営者達を完全に委縮させた。
被害が巨大な原発事故や大震災も含まれる(天災だけではない)。


B 危機の到来が確実だとしても発生日を特定できず、ほとんどが手遅れになる。

多くは火種がマグマのように社会内部に溜まり、ある日突然爆発するか、手遅れを知ることになる
一方で政府などが根本的な対策を実施することにより危機を回避できる場合がある。

世界が協力し、半世紀を経て石油など地下資源の枯渇を遅らせることが出来たように(オゾン層破壊のフロンでも)。
日本のように無策では移民拡大から20年後に問題が噴出するかもしれないが、北欧やカナダは30~40%の移民人口でも問題は起きない。

金融危機は、好況時の金利操作でバブル崩壊を抑えようとするが、毎回発生している。
未だに暴落日を予想できず、数か月後しか分からず、バブル崩壊から逃れることが出来ない。
日本では毎回250兆円近くを失って来た。
一度投機家は儲けるが、暴落後の景気刺激策で国民がそれを税金と国債で穴埋めし続けている。

この手の危機は政府次第で回避できるかもしれないが、無能で隠蔽する政府では事が悪化し、泣きを見ることになる、必ず国民が。

つまり愚かな政府を支援した人々はきちっと責任を取らせるのです、反対した人々を巻き添えにして。
これも愚行と言えるでしょう。


次回に続きます。







20200104

人はなぜ愚行を繰り返すのか? 24: 腐敗と衰退を担う者 2




< 月明りもやがて雲に隠れるのか >


前回、官僚の腐敗が日本で特に蔓延る理由を、日本に特有の低能力の議員と特別会計、中央集権的な税制、長期政権と指摘しまた。
その絶望的な実態を見ます。

なぜ官僚は腐敗するのか?

当然、議員も摘発されないだけで口利きと賄賂汚職は日常茶飯事です。
そのボロが森友・加計問題で明るみに出た(握り潰されたが)。
議員は、主に選挙費用を得る為に業者に金銭を要求し、見返りとして業者に有利な口利きや規制を行います。
(与党議員は、官僚の法律案を自分の業界の為に修正する力だけは持っている。)

それでは官僚は何のために動くのでしょうか?

彼らは自分の省庁の権益拡大の為に動くのです。
露骨に言えば、権益拡大は天下り後の贅沢を約束し、この拡大に貢献した者が出世出来るからです。
財務省の「ノーパンしゃぶしゃぶ」接待などは日常茶飯事です。
例えば、銀行に研究所を造らせ、そこを通じて毎年、官僚の海外旅行費を出させています。

財務省は、天下り先の金融関連の予算拡大が絶対で、それ以外の支出は抑え、将来の予算減額に結び付く公共投資(財政赤字の原因)も反対するのです。
だから財務省は増税を奨励し、社会保険などの費用を減らすのに夢中なのです。
その為に財政赤字の危険性を、マスコミを通じて声高に言わせるのです。
当然、社会保険関連の天下り先は少ないし、調整し易いから狙われる。

それでは他の省庁は自らの天下り先をどう確保すれば良いのか?
財務省に首根っこを押さえられているのに。
それは特別会計と言う無尽蔵の金庫があるからです。

与党が今まで幾度も構造改革をやって来ましたが、特別会計の実額はまったく減っていません。
つまり、国民の目の届かない所で天下り先は確保されているのです。

与党議員にとって強大な天下りグループは得票に繋がるので、知らぬふりを決め込むのです。
逆に天下り先を温存しながら民営化したことにより、会計検査が出来ず、横行を許してもいるのです。

こうして、各省庁は権益拡大の為、官僚主導で関連業界の温存にありとあらゆる手立てを使って日夜励んでいるのです。

これが続く限り、本来の自由競争や新規産業の勃興は起こり得ないのです。
なにせ官僚が懐を肥やす為に扱う金額はGDPの60%を超えるのですから。
これが日本の長期衰退を招いた大きな理由の一つなのです。



次回に続きます。





人はなぜ愚行を繰り返すのか? 23: 腐敗と衰退を担う者 1




<  何が温床なのか >

今の状況を作っているのは与党、経済界、官僚、マスコミでした。
しかし官僚が腐敗と衰退の元凶だと言うのが分かり難い。
かつて良いイメージもあったが、何が問題なのか。

ここで言う官僚とは3万人ほどのキャリア組を指します。

官僚とは本来、政府の指示とルールに従って政策を実施する者に過ぎない。
しかし世界史において、王の取り巻きや近代国家の官僚が専横を極め、国家を傾けた例は多い。

一番の問題は、支配力を得た官僚が世俗の利権と癒着し、自らの利益の為に経済や社会を歪めてしまうことです。

残念ながら今の日本には官僚を腐敗させる条件が揃っています。

A 議員の能力が低い
議員に法案作成能力が無く、官僚が作成と議会での答弁までを完全にフォローする。
だから首相から大臣まで国際会議での演説や国会での質疑応答に、質問の事前予告と官僚の書いたカンペが絶対必要なのです。
だから読み間違いも起きるし、答えらえない時のごまかしは滑稽そのものです。

こうなると歴代の大臣や首相は官僚のレクチャー(経済政策、社会保障)に抗しがたい、つまり言いなりになる。

こんなことになったのは、与党議員の大半が二世三世議員で占められているからで、先進国では絶対見られない。
官僚出身の議員が多いのも異常です(屑の政治家しか育たない)


B 官制経済
通常、経済政策の主導権は内閣にあるのですが、前述の理由で財務官僚が予算(支出と税収)を握っています。
(逆らえば官僚のサボタージュが怖い)

それだけではない。
議会で論議される予算の4倍にも上る400兆円もの特別会計がある(実質200兆円強)。
各省庁がこの使い道を議会に通さず自由に決めている(闇の中)。
一言で言えば、無数の天下り特殊法人に金をばら撒くことです。

これも世界に類も見ないものだが、明治期に軍備拡張の為に設けられ今に続く。
これが続く理由は、与党議員がこれを追求しない替わりに、特殊法人傘下の無数の企業が大きな集票マシンになるからです。


また日本の税収は国税(中央)に多く、地方に少ない。
各自治体は補助金(交付金)をより多く獲得するために中央政府(議員や官僚)の顔色を伺わざるを得ない。
更に赤字の方が沢山貰えるので各自治体は自ら工夫する意欲を無くし、活力を失っていった。
(これは本来の目的から外れ浪費の競争に走る「ふるさと納税」と同じです)

これも官僚の権力維持に繋がっている。


C 長期与党政権
この悪い状況が続く理由の一つは、異なる政党による政権交代がないために、官僚と与党議員が強固に癒着したことによる。

これらは先進国で共通と思われるかもしれないが、日本がずば抜けてお粗末なのです。


次回に続きます。


20200103

人はなぜ愚行を繰り返すのか? 20: 反日の意味




< ウヨの神様と仏様 >

「反日」には、ある可笑しさがある。
井戸に向かって「馬鹿野郎」と怒鳴ると、
より大きく響いて返って来るような。


ある人々は「反日」と相手を罵倒して論戦に終止符を打つ。
そして嫌なら出て行けと付け加える。

何が可笑しいのか、例え話で説明します。

山の麓の畑で野菜を作っている兄弟がいました。

兄が言いました。
「毎年、台風による被害が大きくなっており、土砂崩れで畑が埋まるかもしれない。擁壁や排水溝を整備する必要がある。」

弟は興奮気味に反論した。
「擁壁などを造れば、せっかくの美しい景観が台無しになる。俺は怖くない! 兄はこの畑が嫌なら出ていけ!」

こうも付け加えた。
「そんなことより、隣の住人は野菜を盗む目をしている。俺が見張りに立つ。」

兄は仕方なく別の畑に行きました。

やがて台風が来て、弟は畑を守ろうとして土砂崩れの犠牲になりました。

結末は、先を予測できるか、冷静に判断できるかで明暗が分かれた。
もっともこの例え話が理解出来るぐらいなら・・・。
これは自分の愚かさを疑わなくて猪突猛進する典型的な愚行の例です。


次回に続きます。



20200102

人はなぜ愚行を繰り返すのか? 18: 愚行は一度失敗したぐらいでは




< 経済を操る策術 >

当時の英国と日本、そして今の日本の経済状況はそっくりです。
また同じ愚を犯している。

実は、19世紀の英国と20世紀の日本で同じことが起きていた。

かつて国内経済が低迷すると、両国の大量の資金は発展途上国の開発に向かいました。
(かつて英国の資金が米国の発展に貢献したように良い例もあるが、英国のエジプトや日本の朝鮮半島に向かった例は・・)
そして失敗すると資金回収(没収や課税)や安全確保の為に軍隊が出動した。
これが帝国主義の一面です(侵略が伴うのは民族差別と結びついた時)。

さすがに現在は無理なので、お上任せの日本では国民が企業の海外損失を被るようになっている(輸出の保証契約で)。

現在、日本の企業は莫大な余剰資金を蓄えているが、国内経済は低迷している。
これは消費増税分が企業減税、賃金低下分が企業の余剰資金に替わり、このせいで国民の消費が落ち込んで、長期の経済低迷に陥ったからです。
すると企業家は余剰資金があっても国内ではなく海外に投資する。
(つまり大嘘のトリクルダウンは起こるはずもない)

今回の財界の要望にはもう一つの魂胆があります。
実に情けないのですが、財界はシステムと謳うが、要は既存技術の応用で儲けたいのです。
つまりチャレンジ精神を失っている。
これも英国の企業家が産業革命後に保守的になって衰退を始めたのと酷似している。

ここまで読めば憤りと言うより、無知と絶望を感じるはずです。
こんな馬鹿げた事が、白昼堂々と行われようとしているのかと!
知らぬが仏!

次回に続きます。

人はなぜ愚行を繰り返すのか? 17: 嘘を見抜く 2



< 日本の表と裏 >

経済活性化策には落とし穴が隠されている。
政府は鉄道や原発のシステム輸出を狙っている。
これは日本にとって良策でしょうか?

多くの人は1件で1兆円近くの売り上げがあれば素晴らしいと思う。
一方で左翼は原発輸出反対と訴える。

少し中身を見てみましょう。

売上の多くは海外で生産されるので国内生産への寄与度は大きく無い。

一方で、輸出国に対して莫大な保証責任(事故・運営不備・予定経済効果未達の賠償)が生じ、加えてカントリーリスクもある。
(売るために過大な保証を付加している)
これら契約の隠された大問題は、最終の賠償責任は企業ではなく日本政府になっていることです。

原発輸出は既に二ヵ国で頓挫しているが、これは原発事故を受けて安全対策の費用が倍近くになったからです。
発展途上国での建設投資は内戦や暴動などで中止、資金回収不能が起こる可能性がある(かつてのイラン)。

それではなぜ首相は自ら頑張るのでしょうか?
この案件も財界(安倍トモ)の要望です。

財界の狙いは、ひとえに膨大な余剰資金を輸出国に融資し利息を得たいからです。
そして失敗したら国民が自腹を切って賠償する手筈なのです(税金など)。

もう一つ国民が見落としてはならないことがある。
それは現在のデフレ脱却には国内の設備投資増加が不可欠なのですが、首相が先陣を切って民間の国内投資を免除しているのです。

こんな馬鹿げた事は前代未聞と思うかもしれないが、歴史は繰り返しているのです。


次回に続きます。


20191230

人はなぜ愚行を繰り返すのか? 14: 規制緩和と言うけれど 1




< 日本を導くもの >

様々な会合をリードしている安倍さんが頻繁にテレビに映る。
皆さんはかなり期待したはずだ。

例えば働き方改革はどうか?

政府はデーターを捏造してまで法案を通し、雇用の規制緩和に邁進した。

この間違いを経済的に説明することは可能だが、誰の為にやっているかが分かれば話は早い。

結論は米国と日経連(企業経営者)の為です。

米国は1996年「規制撤廃要望書」、2002年「日米投資イニシアティブ」で、労働者の流動性と派遣サービスの拡充を強く要求して来た。
これは米国企業が日本に参入するための地ならしでした。
(派遣サービスはかつて米国経済復活で持ち上げられたが、賃金格差の温床とも言える)

日経連は1995年「新時代の日本的経営」を上梓し、正社員を減らし、雇用保障も無くすべきだと訴えた。
(これは80年代、米国の要望に従って政府と日銀が無茶をやってバブルが弾けた為に、打開策として日経連が労働者に犠牲を求めたものです)

これを受けて小泉政権から安倍政権へと、規制緩和が大々的に進められ、なぜか国民も期待した。
(米国と日経連は大助かりで、与党と官僚に痛みが伴わず、大半の国民が喜んでくれるのですから万々歳)

その結果、非正規雇用が年々増加し、賃金は低下し、経済成長も零近辺に張り付くようになった。
これは米国流の当然の帰結だが、北欧などはむしろ賃金上昇を図り成長を手に入れている。

次回に続きます。

20191229

人はなぜ愚行を繰り返すのか? 11: 理解を妨げるもの 2



< 右も左も、右ばかり >

右傾化が日本を最も危険に陥れている。
これは左翼のデマだ! 
しかし違反や失策を認めても良いでは。


右傾化した人々の絶大な影響力

*右傾化した人々にとって、今の首相に替わる人物はいない。

彼は正に、「敵国が攻めて来る恐怖を理解し、力で相手をねじ伏せる強いリーダー」に他ならない。
従って、縁故主義や選挙違反、失策の隠蔽や捏造があったとしても、国土防衛の前では些細なことに過ぎない。
つまり「大事の前の小事」に過ぎず、無視すべし。

さらに政府と大半のマスコミは隣国の恐怖を煽り、首相が正しいとのキャンペーンを続ける。
すると右傾化に縁の無かった人も流されていく。

人は恐怖心を煽られ、さらに愛国心で隣国への敵意を深めてしまう。
こうなると他は些細なことに見えてしまう。
これを逆手に取って人気を得たのがヒトラー、林彪、ブッシュでした(最後は悲惨)。

こうして政治風土、保守化、右傾化の風潮が一般国民にも波及し、今の自浄作用が効かない世情になった


次回に続きます。

20191228

人はなぜ愚行を繰り返すのか? 9: そんな馬鹿な



< 綺羅星のごとく・・・ >


首相がパトロン達に絶大な恩恵を与えても、
片手落ちであれば、他の人は納得しないはず。
しかし日本は違います。

三つの事が自浄作用を奪っている。

A 地元
首相や議員への盲目的な支持。
与党支持者は次に恩恵があると期待して組する。

B 保守
首相側に組する層(与党、官僚、経財界、右派マスコミ)は存続をかけて守る。

C 右傾化
首相が強権的である限り熱狂。


A これは選挙をギブアンドテイクとみなす発展途上国並みの政治風土による。
日本の政治が良くならない根本的な理由。

B ここ半世紀、既得権益層が根を張り巨大になり、庇護してくれる権力の為に彼らは富とネットワークを惜しみなく差し出す。
本来、保守思想とは別もの。

C 右傾化は世界と日本で大きな潮流になった。
これを一早く捉え、煽った者が国を動かすようになった。
今の首相は、北朝鮮拉致問題でタカ派ぶりをアピールして以来、人気が上昇した。
熱狂者達は、首相が非難されればされるほど陰謀から守るべしと燃え上がる。
実に厄介です。

これらの影響度はABCでしょうか。
こうして積極的に支持する人と、煽られて同調する人が多数を占めることになる。


次回に続きます。



人はなぜ愚行を繰り返すのか? 7: 騙され続けたら・・・



< 猛烈に慕われる人々 >

もし政府に危なげな兆候があったら、
国民はどうするでしょうか?


A 信じて吉報を待つ。

B 他に手が無いので無視する。

C 放置すると危険が増すから、早急に改善を図る。

現状はABが大勢を占める。

それでは太平洋戦争と原発ラッシュの時代、そして幾度も訪れたバブルと消費税増税をやり過ごしたらどうなったか。

いずれも不幸な結果を招いた。
その時、多くの人は放置したことを後悔し、二度と起こらないことを願っただろう。

しかし残念ながら繰り返している。
甚大な被害に無頓着で、露見するまで騙し続ける政府も悪いが、幾度も騙され続ける国民にも非があるように思うのだが。

少なくとも、そんな政府を選ぶ時点で間違っているとは言えるのだが。

これを半世紀も続ける国民は・・・


次回に続きます。



20191227

人はなぜ愚行を繰り返すのか? 5: もし危機を自覚出来ていたら



< 日本を押し、倒す人 >

知らずに危険に遭うことはあっても
甚大な被害を知って、わざわざ危険を選ぶ人はいない

結局、愚行とは予測できる危機を無視し、自滅することだろう。

なぜ人は社会の危機に無頓着なのか?

A 危機が隠されている
B 危機から目をそらされている
C 指導者自身が危機に気付いていない

これが主な理由です。

歴史を振り返れば幾らでも事例はあります。

A 太平洋戦争で、敗北を隠し勝利を発表し続けた大本営。
隠蔽と虚言は与党の体質と言うより、それを生み出す日本の体質。

B 原発はクリーンエネルギーと喧伝した政府機関と企業。
世論誘導は他国でも起こり得るが日本では容易に起こる。

C 日中戦争で、中国は簡単に敗北し泥沼にならないと考えた軍指導部。
悪い状況を愛国心鼓舞で乗り切れる為、現実を無視しがちなのが日本。

この事例からわかるように、一部の人が警鐘を鳴らしていたにも関わらず、
国民は災厄が訪れるまでまったく気が付かなかった。

こうしてみると危機を自覚できないのは、国民側だけの問題でないことがわかる。


次回に続きます。


20191226

人はなぜ愚行を繰り返すのか? 4: 危機を無視する不思議




< 経世済民の人、それとも傾城傾国の人 >

明日、巨大台風が来るとしたら・・・
3年後に失業率が倍に、15年後に年金が3割カットになるとしたら、

人は「そんなこと誰にも分からない」と言う。

もし原子力発電所が隣にあっても無視出来ますか?
なにせ政府や学者が絶対安全と言っていたのに事故が起きたのだから。

そうは言っても原子力村では今も稼働が続いている。

彼らは巨額の見返りと引き換えに安全を売ったのではない。
彼らは政府の言う安全と恵みを信じたのだ。
今さら捨てろと言うのは酷だろう。

しかし、こうも言える。

今、あなたの町に原発建設が持ち上がったら。

福井県高浜町のフィクサー(助役から事業家へ)と関電の癒着が暴露された。
つまり原子力村の住民の恩恵は二の次だった。
また皆は既に原発事故の恐ろしさも知っている。

つまり事前に真相を知っていたら、別の選択をしたはずです。


次回に続きます。


人はなぜ愚行を繰り返すのか? 3: 「見ざる」で安心できるのか?




< 飛んでいる人々 >

普段から私達は危険を予知しています。
海で泳ぐ時、家を買う時など、
注意し未来を予測します。


それなのに、なぜか経済の悪い兆候を無視するのか。
今が良ければOK、どうせ分からない、分かっても打つ手がないと諦める。

何かがおかしい。
初めての海岸で子供と泳ぐ時、少しは危険を予想するはず。

以下の心理が邪魔している。

経済学は面倒、悪化した経済を知らない、政治と無縁。

現状を放置すれば、より大きな金融危機と緊縮財政を招き、極端に生活が苦しくなる可能性は高まる。
「見ざる」で危機がより大きくなったことは過去に幾度もあった。

経済に疎くても株の購入ぐらいは出来るし、バブル崩壊(金融危機)はほぼ10年毎に起きている。
また政策変更を訴える選挙にも参加できる。

理解し危機を避ける手立ては幾らでもあるのだが。


次回に続きます。

20191225

人はなぜ愚行を繰り返すのか? 2: 「見ざる」を決め込む不思議




< 稀に見る清廉な人々 >


今の日本の経済はどうだろうか?
良い? 悪い? 飛躍前? 衰退中?

どう思いますか?

多くは「わからない、悪くない」
ひょっとしたら「良い、飛躍前」と感じているかも。
実際、就業率と株価は上昇している。

何処の国の人も、景気が良ければ後は気にしないものですが。

??????

それでは、家計の所得と貯蓄が30年以上低下し続け、有名企業が外国に買収され、海外に資本が流失し、新しい産業が生まれない、この状況を衰退でないと言えますか?
これが日本だけの現象だとしたら。

「日本経済は大丈夫なのか?」と不安になるかも。

株価は日銀と年金基金、就業率は人口変動とバブル、景気は世界経済の活況によるとしたら。

「早晩、反動がある」と思い当たるかも。

もし愚かでないなら、「 ????? 」以降を無視しないだろう。


次回に続きます。


20191123

中国の外縁を一周して 6: 廈門を訪ねて 2




*1


今回から廈門の訪問地を紹介します。
訪れたのは2019年10月16日(水曜日)で、
写真は朝7時から10時半に撮ったものです。



 
< 2.全总休养中心・杏林湾大酒店 >

私達はここに2泊しました。
ここは友人が手配してくれました。
この宿舎は普通のホテルと異なり、政府所管の休養センターです。
詳しくは分からないのですが、政府に関わっている人や下の写真の看板にあるように労働模範者の為のようです。


 
< 3. 全总休养中心の前の内海 >

上から順番に北から東、そして南を見ています。

上の写真: 全長8.5kmの杏林大桥が見える。
この橋は大陸と右側の廈門島を結ぶ5本の内の一つです。

中央の写真: 干潟の向こうに廈門島が見える。
島の南部には低い山が有り、廈門大学や南普陀寺がある。

下の写真: 大きな河口を挟んで大陸側が見える。





 
< 4. 干潟の様子 >

広大な干潟を少し歩くと、そこには自然が残っていた。
白鷺やハゼなどの小魚を見ることが出来た。
水は泥を含み濁ってはいるが、悪臭は無く汚水とまでは言えない。
また見渡してもゴミは少なかった。
清掃されているのか、下水処理が進んでいるのか、おそらく後者が大きな理由なのだろう。

干潟には人口の水路や畔のような堤で囲まれた池が無数に広がっていた。
その中で数人が漁をしているようだった。
その一人が大量の小魚を持って帰って行くのが見えた。



 
< 5. 全总休养中心の朝食 >

宿泊所での朝食は敷地内の大きなビュッフェレストランでした。
ビュッフェの料理は、今まで宿泊した中国のホテルでも良い方だと思います。
私の一番のお気に入りは、上の写真のコーナーでの初めて食べた泉州麺ででした。

外国人で食事しているのは私達二人だけで、すべて中国人のようでした。
ここで少し気付いたことがありました。

私はツアーで海外旅行をしていると、中国人観光客の傍若無人さに閉口していたのですが、ここではすべてが落ち着いており、紳士的なふるまいをしていた。
ここの利用者は、どうやら大きな団体客ではなく、家族などの少数のグループらしい。
どちらにしても、違いを感じた。

この後、中国国内を一周するのですが、至る所で「模範工」などの掲示板を見ることになる。
この事と、中国人のマナー向上や親切さは関係しているのだろうか?



 
< 6. 高層ビルが並ぶ中心部 >

十数年前に廈門を訪れた時は、このような高層ビルはほとんどなかったと思う。
当時はせいぜい5階ぐらいまでの建物が並ぶだけで、落ち着いた街並みの印象があった。
それでも眺望の良い所には高層のマンションが出来始め、すでに不動産価格の上昇は始まっていた。


 
< 7. 中山公園にて 1 >

友人に、市民の暮らしぶりがよくわかる所に案内して欲しいと頼んで来たのがこの公園です。
入場したのは平日の9:30頃でした。
公園は無料です。

上の写真: この1枚の写真は私にあることを連想させたが、後に大きく覆されることになった。
それは北欧を旅して知った、男性の育休の多さでした。
男性が平日にベビーカーを押して街中を行く姿を多く見た、女性よりも多いかも。

しかし、この公園を抜け、併設の小さな動物園(無料)に入ると、異様な光景を見ることになった。
そこは数歳の子供一人と、それをあやす老人夫婦で一杯でした。
若い夫婦と子供の姿はほとんどなかった。


下の写真: 予想していたとは言え、音楽に合わせ踊る女性達の如何に多いことか。
至る所で異なるグループに分かれ合わせて踊っていた。
中国に来る度に、踊ると言うか、体操と言うか、その演目に変化が見られる。
昔は太極拳などの古典的な体操が主流だが、今は軽快なダンスと言ったものが多い。




 
< 8. 中山公園にて 2 >

上の写真: 木立の陰では、そこらじゅうで男性が卓上で中国将棋などのゲームを楽しんでいた。


 
 
< 9. 中山公園にて 3 >

上の写真: 池の端の建物から、多くの人による朗々とした歌声が聞こえて来た。

下の写真: 近づいてみると、人々の見ている譜面は西洋式の五線譜ではなかった。

友人がその一人に聞いてみると、彼女は参加して日が浅く、譜面は読めないが聞いて歌っていると出来るようになるとのことでした。
彼女は譜面を買って自由に参加しているそうです。


これは友人に聞いた話ですが、この公園で土日になると集団見合いが始まるそうです。
一人娘や息子の為に、それぞれの親が公園に集まり、互いに情報を交換し、見合いにこぎ着けるそうです。
娘や息子が、このことに同意しているかはお構いなしに進められるようです。



 
< 10. 新民菜市场 >

ここは中山公園の近くにある昔ながらの庶民の市場です。
三十年来、この手の市場を見て来ましたが、その様子は変わっていないように思う。
私には相変わらず不衛生に思えるのだが、多くの生鮮食品が並び、買い物客でごった返していた。
海の近くのせいもあり、魚が多かった。


* 知り得たこと

実は、公園や動物園に居た人々のほとんどは50~60歳以上の男女でした、数歳の子供を除いて。
これは中国の定年が、女性では50~55歳、男性で60歳以上だからです。
定年後は年金を毎月3万円は貰っているそうで、大企業や公務員勤めでは、定年が遅れたり、年金などの上乗せがあるそうです。

この公園に来る人は、昔から廈門の中心部に住む人々です。
住居は既にあり、食費・交通費は非常に安く、衣類も安いのがあります。
従って、月3万円で暮らすことに問題はないようです。
(昔は、公社が従業員に住居を安い家賃で与え、最後には買取も許した。土地は手に入らないが)
そして60~70歳以上の入場料などが無料と優遇もされている。

だから子供夫婦が働きに出た後、その両親が孫を引き取り、公園などで遊ぶことになる。
これで待機児童の問題も解消し、退職した親も余生を孫育てと公園での愉しみに費やすことが出来ると言うわけです。
端で見ていると、両親と子供夫婦と孫は皆、親密なようです。
孫は甘やかされているとも言えるが。

北欧とは異なるシステムだが、人生を優雅に過ごすシステムが中国にあったことに驚いた。

ただ気になる事もある。

一つは、地方からの転入者にとって住居費は今、非常に高いので、この年金で都会暮らしは出来ないだろう。

今一つは、既に中国の生産年齢人口が減りつつある中で、定年が50~60歳なのは不合理だろう。
おそらく定年延長が必要になるだろう。


次回に続きます。