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20180409

何か変ですよ! 110: 未来の壁 8






今回は、海外の歴史から日本の現状を打開するヒントを紹介します。
それは世界で感動を呼んだ数々のデモです


 
< 2. デモの地 >


* デモが社会を変える時

人々が集団で意思表示し、政治を変えた例を見ます

通常、国民議員や大統領の選挙公約選択し、政策転換や政治刷新実現します。
しかし、政治が国民を向かず、惰性に流され、腐敗まみれになって、通常の手段では埒が明かない時、国民に残された手段は直接行動しかない
国民は、国家(警察、軍)に対して無力なだけに出来る限り大きな集団で体を張っ訴えます。


* 世界の例
  
力の無い人々が知恵と情熱、そして団結することにより国を変えた行動には感動があります。
事例はかなりデフォルメし単純なストーリーにしています。

 
3 「A」


A: 独立を勝ち取った人間の鎖

1991年、バルト三国(エストニア、ラトビア、リトアニア)はソ連からの独立をほぼ戦火を交えずに果たした。
これはソ連のペレストロイカが幸いしたのですが、民族を異にする三国が共に手を携えたことが大きい。

これは三国の首都を結ぶ600kmを、各国の600万人国民が手を繋いだ人間の鎖でした。

当時、各国政府は徐々にソ連の支配から脱しつつあったが、いつソ連軍が侵攻してくかを恐れていた(実際2ヵ国は短期間の侵攻を受けた)。
これら小国は数世紀にわたり、大国に支配され続け、独立抵抗の辛酸を舐めて来た。

1989年、彼らは世界に人間の鎖をアピールすることにより、2年後の西欧諸国のいち早い独立承認を得ることが出来た。

こうして彼らは平和裏に独立を勝ち得た。

ポイント
・ 小国が大国から独立する為に、彼らは武力ではなく国民の強い意志を世界にアピールする方法を選んだ。
・ 彼らは世界中に散らばった移民と協力しながら事を進めた。


 
4 「銃反対デモ」


B: 戦争を終わらせたデモ

米国は米ソ対立下で次第にベトナムで戦火を拡大させ、21年間で全死者800万人を出すに至った(爆撃量は大戦を上回った)。
米国の大統領が三代にわたり、のめり込んだ泥沼の戦争はなぜ終戦を迎えることが出来たか?

その転機は、学生らが中心になって全米各地で反戦デモを展開したことにある。
1967年と69年にワシントンで大規模デモを行い、71年まで続き、1回に最大30万人が参加し、総勢100万は越えただろう。
1968年には報道番組においてジャーナリストのクロンカイトが戦争継続に反対を表明した。

1969年、「名誉ある撤退」を掲げる相手候補を負かして大統領になったニクソンは、その後も戦線を拡大させていったが、一方で和平交渉を開始していた。

1971年、ホワイトハウスが隠蔽していたベトナム戦争の虚構を「ペンタゴン・ペーパーズ」が暴露し、反戦ムードはさらに広がった。

こうして1973年、和平協定が結ばれ、米軍はベトナムから撤退した。

ポイント
・ 議会や大統領は戦争拡大を容認し続けた(負けたままで止められない)。
・ 国民の反戦世論とデモが圧力になった。
・ ホワイトハウスに抵抗し戦争の真実を伝え続けた報道と内部告発は不可欠でした(今は規制緩和で力を失ったが、まだ日本よりは良い)。

蛇足ながら。
あれほど米国が恐れ、排除しようとした共産国家北ベトナムは無害だった。
彼らは米国の傀儡、腐敗した南ベトナム政権を打倒するのが主目的だった(戦後のマクナマラの会談で判明)。
この戦争は日本が防衛と称して朝鮮半島から満州に侵攻し、傀儡政権を擁立した状況によく似ている。

 
5 「C」


C: 東西を融合させた行進

今のドイツがかって壁やバリケードによって遮られていた国だったことは嘘のようです。
大戦後、ソ連と欧米によって分断させられた一つの民族が、なぜ半世紀後に再統合が出来たのか。

その契機は、東ドイツの都市ライプチヒの教会にあった。

東ドイツの共産政権時代、この教会は毎週月曜に平和のあり方を考える「平和の祈り」を細々と続けていた。
やがて言論・政治活動の自由を求める人々によって規模は拡大し、粛々とした行進を教会外で行うようになっていた。
彼らは警官隊の暴力に耐えながら、「自分たちの手で自由な国を創ろう」と訴え続けた。

1989年8月、数千人の東ドイツ国民がハンガリーの協力によりオーストリア国境を越えて西側に亡命を果たすピクニック事件が起きた。

この年の10月7日、東ベルリンで建国40周年記念式典に参加していたゴルバチョフは、上記の状況を無視し改革に背を向けるホーネッカー書記長を否定し、書記長は失脚した。

この2日後、ライプチヒで7万人の参加者が「我々こそが主権者たる国民だ」と叫びながらデモ行進を行った。

そして同年11月10日、東ドイツ政府は通行の自由を認め、ベルリンの壁は崩壊し、1年後に東西ドイツが統一された。

ポイント
・ 弾圧を受けながらも自由を求める非暴力の行進が大規模になり、国民の意思を政府に見せつけた。


 
6 「D」


D: 女性達の歌声が内戦に終止符

アフリカ西岸のリベリアは内戦で血まみれでした。
大統領も近隣のアフリカ諸国もこの内戦の停止を望むが、各地の武装勢力が入り乱れ交渉は決裂するばかりでした。
この内戦で25万人が死に、100万人の難民が生まれていた。

2002年、一人の女性レイマ・ボウィがキリスト教徒、ムスリムを問わず平和を訴える非暴力の「平和のための女性リベリア大衆行動」を組織します。
彼女達は白いTシャツを着て大統領の行列の前で歌い踊り、プラカードで停戦を訴え続けます。

やがて、彼女らは大統領との会見に成功し、ガーナでの和平交渉への参加を確約させた。
しかし、男達の交渉はいっこうに進展しなかった。

そこで彼女達は、ガーナの会議場に座り込み、交渉成立を迫った。
彼女らの強制排除が始まると、レイマは服を脱ぎはじめた。
アフリカでは、自分の母親の全裸を見ると不幸になるという言い伝えがあり、男達はようやく重い腰を上げた。

この結果、翌年に内戦は終結し、国連の平和維持軍が到着し、2006年のアフリカ初の女性大統領誕生に繋がった。

ポイント
・ 続く内戦で荒んだ社会にあって、女性の熱情が武装集団の深刻な対立を制した。

実は、彼女らは戦う夫への性交拒否と言う数少ない武器を使ってはいたが。
彼女はノーベル平和賞をもらった。


 
7 「E」


E: 一人の女性の「ノー」から始まった運動

米国がベトナム戦争に深入りし始めた1955年、南部の州都モンゴメリーで一人の女性ローザ・パークスがバスの席を譲らない事件が起きた。
彼女はバス内で警察官に逮捕され1日収監の後、罰金刑を課せられた。
これが後に米国を揺るがす大運動に繋がった。

これは黒人の彼女が白人専用の席に座り、人種分離法に違反したからでした。
この地に1年前赴任していたルーサー・キング牧師(26歳)がこの事件を知ると、彼はモンゴメリーのすべての黒人にバス・ボイコット運動を呼び掛けた。

利用者の75%以上を占めていた黒人が歩いたりして、バスを利用しなくなったのでバス路線を運営する市は経済的に大きな打撃を被った。
ローザ側は、人種分離の条例を違憲として訴え、翌年、連邦最高裁は違憲とし、公共交通機関における人種差別は禁止された。
ボイコット運動は1年以上続き、この違憲判決の翌日に収束した。

キング牧師はこの後、全米各地で公民権運動を指導し、非暴力と不服従を掲げて1963年にワシントン大行進で25万人を集めた抗議集会を開催した。

翌年、公民権法が成立した。

ポイント
・ 一人の冷静で勇気ある行動が、優れたリーダーの下に非暴力の大衆運動に結実し、選挙で変えることの出来なかった差別を突き崩すことになった。


 
8 「I」


他の歴史的なデモ

F: 1913年、日本で民衆数万が護憲を叫び国会包囲。
G: 1930年、インドのガンジーによる塩の行進。
H: 1993年、マンデラのサッカー競技場での演説。
I: 2016年、韓国で5ヵ月間、朴槿恵大統領の退陣求める100万人デモ。


 

* 最後に

日本の政府首脳と与党はデモを非常識な行動と非難し、さらに国民の非暴力の行進とアピールに対して、大量の警官隊が国会周辺を取り囲み封鎖し威圧している。

世界には非暴力のデモが、しばしば腐れきった政府や強権を発動する体制を刷新して来た。
これは人類が生み出した民主主義の重要な一発現です。



次回に続きます。







20180329

何か変ですよ! 105: 未来の壁 3





*1



今回は、深刻な政治の暴走を招く要因を取り上げます。
それは国民に真実が伝わらないこと、つまり報道の自由が奪われることです。
多くの場合、真実が隠されていても国民は気づかない。
しかし一番の問題は、国民が「報道の自由」を気にかけないことです。


* 「報道の自由」の何が問題なのか?

これから数回に分けて以下の問題を明らかにします。

A: 「報道の自由」が無くなると、政府が独善的になり暴走を始め、遂には国家の破綻や破滅を招く。
    
B: 政府は都合の悪い情報流失を制限しまた国民に知られずに報道の自由を制限することが出来る。
   
C: 逆に自由が確保されていると国は幸福で豊かになる。
 
D: 日本に固有の危険要因があり、これが災いをより深刻にする。

E: 一度、報道の自由が低下すると正常に戻すことはほぼ不可能です。

今日はAとBの問題を取り上げます。




< 2. NHK番組改ざん事件と報道ステーション >


* 今、報道の自由が危機に晒されている

現在、アベらがやっている報道の自由を脅かす圧力(批判封じ込め、情報隠蔽)を列挙します。


A: 2001年、安倍官房副長官がNHK放送局長を呼びつけ、制作済み番組を大幅に改変させた。
2005年、朝日新聞がこの「NHK番組改ざん事件」を暴露した。

B: 2013年、アベ内閣が特定秘密保護法を成立させた。
日本の安全保障に関する秘密情報の漏えいに罰則などを定めた。

C: 2015年、古賀茂明が報道ステーションで安倍首相のイスラム国問題への対応を批判すると、菅義偉官房長官の秘書官が「古賀は万死に値する」とメールを送りつけた。
さらに、後に菅は放送法(電波停止)を楯に恫喝を加え、この後、古館と古賀は番組を去ることになった。

D: 2016年、高市早苗総務相は衆院予算委員会で、放送局が政治的な公平性に欠ける放送を繰り返した場合の電波停止の可能性に言及した。

E: 2016年の池上彰の暴露によると、アベが政権に着くと、自民党からニュース報道への毎日のような抗議、そして自民党が作ったネットウヨから番組スポンサーへの抗議電話が殺到するようになった(一次、二次共)。

F: 2017年なら2018年にかけて、政府と官僚らが国会での追及を逃れる為に、証拠書類の隠蔽、破棄、機密扱い(黒塗り)、そして虚偽答弁を繰り返している。
自衛隊、厚労省、財務省など多くの中央官庁が事実を隠し、公文書改ざんまで行っている

G: 2018年2月、自民党文部科学部会長の赤池議員が文科省を通じて、政府批判を繰り返す前川前事務次官に講演を依頼した学校に圧力(検閲)をかけた。

H: 2018年2月、アベは予算委員会で放送法改革を匂わせ、3月、共同通信が「政治的公平」(放送法第4条第1項第2号)の規制を撤廃するという政府の方針案をスッパ抜いた。
これについて野田聖子総務相 「放送法4条を撤廃した場合、事実に基づかない報道が増加する可能性」があるとして慎重な態度をとった。


これら政府と官僚、自民党の動きを見れば、一貫した意図が見えて来る。
それは政府批判の封じ込めであり、その為に国民には真実が隠され捏造されて来た

現政権は歴代政権の中でも非常に露骨であり、裏では一層複雑巧妙に行っている
 
 

* 政府批判の封じ込め策は繰り返されて来た

今の凄い封じ込め手口は、これまでの自民党さえ実施したことはなかったはずです

アベ政権の手口をまとめます。

A: 育成されたネットウヨが批判的な報道機関に嫌がらせを行い報道自粛に追い込ませ(個人攻撃も)。

実際、放送各局は批判的な報道を抑制し、今回の森友事件での「改ざん」用語さえなかなか使用せず、国会前のデモも放送しなかった。

実は、この手法は、戦前の反権力新聞(朝日、毎日)への抗議や不買運動を煽った在郷軍人会と一緒です。
つまり、軍部(政府)が裏で在郷軍人会を操っていた。

米国のティーパーティー運動(保守派ポピュリスト運動)は今や共和党を支えるまでになったが、これとネットウヨが似ている。
ティーパーティー運動の初期、オバマに反感を持つ実業家や企業が資金を提供し、人々のまとまりのない不安や敵意を煽り、大きな運動へと組織化していった。


B: 放送局への電波停止を匂わせる恫喝は、戦前の新聞紙条例と同じです。

当時の手口は、政府の検閲に従わない場合は新聞紙を供給しないと言う脅迫だった。
これは世間から隠れて行われたので、国民は知らず知らずの内に、検閲されたものだけしか読めなくなっていた。


C: 特定秘密保護法は1925年の治安維持法の再現を思わせる。

治安維持法成立以降、特高や警察によって手当たり次第に政府批判者が捉えられ、多くが国家転覆罪や天皇侮辱罪で獄死し、闇に葬られることになり、社会は急速に沈黙していった。
この結果、政府(軍部)の暴走を止めるものが無くなり、1931年満州事変で大陸進出の口火が切られることになった。

治安維持法は当初、共産主義革命への恐れから制定されたが、すぐに政府批判を封じ込める手段として猛威を振るうことになった。


D: アベの露骨で執拗なマスコミ支配。

アベ首相による読売絶賛と朝日批難の大合唱、政府や自民党らが裏で行報道機関への執拗な圧力、政権批判者の執拗な嫌がらせ、「政治的公平」の規制撤廃案などがある。

これらは先進国から見れば常軌を逸した行為とみなされる。
しかし日本の国民はこれらにあまり違和感を感じない。

これこそが第三の未来の壁なのです。

この露骨な支配について米国を例にみましょう。



* 米国のマスコミから見えるもの

ベトナム戦争時、1960年代の米国でホワイトハウスとマスコミは対立していたが、マスコミはこの干渉をはねつけた。
そして米国民はこのマスコミの姿勢に信頼を置いていた。



< 3. クロンカイト >

CBS「イヴニング・ニュース」の有名キャスターのクロンカイトは仕事を終えると、度々大統領から電話(干渉)を受けることがあった。
戦争終結の5年前の1968年、彼はベトナム戦争でアメリカは勝利しないとニュースで宣言した。
ジョンソン大統領は、「クロンカイトを失えば、アメリカの中核を失う」とその影響力を高く評価し、圧力を加えることが出来ず、撤退を考えざるを得なかった。

当時の米国ジャーナリズム健在だった。

しかし、今は違います。
それは、1980年代に始まった規制緩和の流れの中で、報道にも規制緩和が進んだことによる

巨大企業によるマスコミの買収、グループ化したマスコミの娯楽優先姿勢、政治的公平の規制撤廃、さらにインターネット普及による新聞(特に地方紙)の衰退などが、米国のマスコミ報道の自由を蝕んでいる。

その結果、日米の報道の自由度は低下し続けている。




< 4.主要国の報道の自由度ランキング >

ちなみに、報道の自由度ランキングでは、2002年、米国は上位から17位、日本28位でした。
しかし2017年には米国43位、日本72位へと大幅に下げている。
一方で、北欧4カ国はこの15年間、上位4位から10位で安定している。

つまり、政府が報道の自由を守る気がないから低下しているのです。




< 5. 日本の報道自由度ランキング >


* まとめ

報道の自由が圧迫されると、国民は真の問題が見えなくなり、政府はやがて都合の良い方向に国民をリードする。
多くの場合、政府は政策の失敗をごまかそうとして嘘で塗り固めて行く内に取返しのつかないことになる。
よくあるのは、政府が国民の不満を逸らす為に戦争を始め、また経済不調を他国や移民のせいにして来た。

この結末はいずれも悲惨なものでした。

よく保守論客は、報道の自由度ランキングの算定がいかがわしいので信じるに足らないと言う。
しかし、このランキングを時系列で見、海外と比べ、かつ現実の手口を見ると、概ね評価が間違っていないことがわかる。

次回は別の視点から「報道自由」を見ます。


次回に続きます。









20180314

何か変ですよ! 96: どちらが大事か?





*1


前回、国政の恐ろしい腐敗を確認しました。
しかし内閣、与党、御用新聞、ウヨは無視と言っている。
どちらを信じれば良いのでしょうか?



*2


* 事件矮小化の果てに

前回見たように、主要官庁は軒並み腐敗していました。
今の状況が放置されれば、国民は正しい情報を知らされず、内閣によって政治が私物化されても手の付けようがなくなる。

国民が苦しむ悪政を国が流す嘘の情報で正当化し、さらに御用新聞が世論を誘導し、政権は選挙で連戦連勝を続けることになる。
これはかつてのファシストの策でした。

アベ政権存続を望む人々は今回の事件をどう扱っているのでしょうか。
概ね、彼らは事件を矮小化し、アベ首相の代役はいないとしています。


矮小化の極地は、佐川前長官一人の思いつきでアベ首相への忖度すらないと言う。
これは論外です。
それでは佐川らが忖度し財務省だけで犯罪に走ったとしましょう。
この場合、佐川らの処分だけで表面的な腐敗防止で終わる。

忖度自体は文化であり、罪に問えるのは犯罪行為(虚偽発言と公文書改ざん)だけです。
まして忖度された側(アベ首相)を罰することは出来ません。

ここで考慮しなければならないことがあります。
日本では、忖度が組織の上層で常態化しているのは自明で、さらに忖度せざるを得ないシステムが存在します。

それは日本流の必勝必罰があるからです。
部下は忖度することで上司の面目がたてば昇進に浴し、忖度せず無視することで上司の面目が無くなれば左遷や昇進の道は閉ざされます(不当労働行為)。
実際、加計や森友問題で内閣の面子を保った人物は昇進栄転し、損なった人物は左遷されています。

この結果、「君、たのむよ」だけで、部下は露見しないことを願いながら犯罪に手を染めることもある(日本の組織を守る文化)。
後に露見すると、犯罪に手を染めた人物は組織の目と良心との板挟みで、自殺に追い込まれることもある。

このような状況で、上層部(首相など)が自分に都合の良い嘘を公言してしまえば、部下はどうするでしょうか。
今回のように財務省は完全対応(改ざん)を行い、厚労省は完全ではなかった(後に露見させた)。
上層部は虚偽の可能性を感じながらも、むしろ事実を確認せず公言することで、望みの結果が得られ、たとえ後にバレても過失で済むのです。

一度、諸官庁が嘘をカバーするようになると、内閣は何も確認せず、先ず嘘と否定で乗り切るようになります。
これが今の現状でしょう。

このような場合、腐敗の放置を単なる過失と言えるでしょうか、管理責任が問われるのは当然です。

一方、内閣からの指示の証拠が無い限り法で内閣を罰することは出来ません。
(もし取り締まる法(厳格な文書管理規定)や第三者期間や労働組合による監視システムが整備されていれば防げる)
また、既に述べた不正行為の忖度に対して報酬や報復人事を行った証拠を掴むのは甚だ困難なので、この摘発もさらに難しい。

こうして内閣と官僚はバレるはずがないと高をくくって今まで押し通して来た。
これはあまりにも国民を愚弄している。
今、続々と明らかになる官庁で起きている事件や日本の組織文化に照らせば、森友事件の矮小化が間違っていることは明白です。

これを断ち切らないと内閣と官庁の健全化は不可能です。




*3


* アベ首相の代役について 

一番重要なのはウヨが唱える、アベ首相の代わりがいないと言う論です。

アベ首相の人気が無くなれば与党自民党は彼と心中する気はさらさらないので、頃合いを見て彼をあっさり切るでしょうが。


ウヨがアベ首相に抱いているイメージを挙げます。

A: 敵国?に強面。
B: 強引な経済の舵取り。
C: 右翼的な憲法改正。

これらが日本の将来を大きく損なうことは別に詳しく語っています。

ここでは簡単に要点を見ておきます。

Aは、今回の米朝会談の急転回に見られるように、当分、強面だけの外交は不必要になった。

Bは、確かに歴代の首相で、これだけの金融政策の大転換をやった人物はいなかったし、今後も出ないかもしれない。

だからと言って素晴らしいと言うわけではない。
どちらかと言うと、経済を知らず、怖い物の知らずの度胸だけかもしれない。
理論的にも怪しく実績の無い政策をここまでやってしまうと、後に何が起きるか予測がつかない(おそらく数年以内に悲惨なことになる)。


Cは、これは彼の辣腕ぶりを示す最大のものでしょう。

自分が右翼団体のトップに名を連ね、大半の国民が考えもしていなかった憲法改正へと機運を盛り上げたのですから。
御用新聞を最大限(露骨)に使い、緊張を巧みに醸成し盛り上げる手腕はヒトラーに負けるとも劣らない。

確かに、上記の点でアベ首相に代わるものはいないが、従来の経済・外交を継承する分には自民党に幾らでもいる。
ただ凋落をゆっくり進めるだけだろうが、アベ政権のように急速な没落や戦火に見舞われる危険性は減るでしょう。





< 4. 幾らでも繰り返す** >


* どの選択がより危険が少ないか

10年ぐらいのスパンで三つのシナリオを考えます。

A: このままアベ首相が続投する場合。
三つの危険が増すでしょう。

政治腐敗がさらに進み、二度と正常に戻らず、破局まで突き進む。

バブル崩壊かハイパーインフレで経済的な破局化を迎えるか、衰退を早める。

周辺諸国との緊張を高め、また米国の戦争に巻き込まれるなりして、戦火はより早く訪れる(特にトランプで)。



B: アベ首相が辞め、自民党の誰かが政権を継ぐ場合。
少しましですが、良策ではない。

おそらく、一度腐敗への歯止めが論じられ、腐敗防止が進むでしょうが、便宜供与の悪習は直ぐ復活するから、結局元の木阿弥になる。
経済と外交政策は、今よりは穏健な路線に舵を切るだろうが、結局は米国の「夕暮れ社会」(注釈1)に突き進むだけです。



C: 解散になり連立野党が政権を掌握した場合。
日本を再生するチャンスではあるが不安もある。

おそらく、腐敗防止はかなり進むでしょう。

しかし、経済と外交政策には不安がつきまとう。
現状では、米国の自由放任主義から脱して次に向かう経済モデルが見えていない。
北欧の社会保障充実がお薦めですが。

外交面で米国追従から脱するのは良いが先が見えない。
近隣重視外交と自衛隊保持の中立政策、世界平和貢献が最良ですが。

野党が不安な大きな理由は、米国が日本の離脱に対して徹底的に妨害することです。
経済や軍事に始まり、CIAによる個人攻撃などが熾烈を極めるでしょう。
また米国と政財界の癒着が進んでいるので、足元からもすくわれるでしょう。


刷新の政策を自民党に期待できないが、さりとて今の野党で主導出来るかは未知数です。

さらに心しなければならないのは、アベ内閣が進めた経済政策のつけが、このバブル崩壊で一気に襲いかかることです。
これを乗り切れる優秀な政策通と国政での団結が最も必要になるかもしれない。
バブル崩壊は既に始まっており、過去最大のものとなる可能性が高い。




*5

* 最後に

一番、皆さんに望むことは、国のトップには最低限度の人徳を有した人物を選んで欲しいと言うことです。

トップにタカ派や辣腕、パフォーマンスだけを求めるのは危険です。
下卑た振る舞いを行う人物が信用できないことは誰も知っているはずです。
今回の腐敗に見られるように、水面下で何が起きていようと笑っていられる人物は凄いのではなく危険なのです。

ヒトラーがそうでした。
ヒトラーは初期に経済復活を成し遂げ、さらに見かけのパフォーマンスで人気を博したが、心中は恐ろしく常軌を逸していた。
トップは人徳がすべてとは言わないが、トランプもいつか米国と世界に災いをもたらすでしょう。

今、日本だけでなく多くの先進国で危険な人物(人徳の欠けた)が選ばれる傾向が強いのです。
少なくとも20年ほど前までは、朝日の昇る日本だったのです。

もう一度、誇れる幸福な日本を取り戻そうではありませんか?


終わります。



注釈1 夕暮れ社会
90%の国民の所得低下が進む一方で、超富裕層が国の富みを牛耳る超格差社会。