< 1. 北朝鮮のミサイル発射 >
今日は、身近な軍事的脅威、核攻撃について見ます。
これは人類が高々ここ半世紀ほどで生みだしたパンドラの箱のようなものです。
ここにも落とし穴があります。
< 2. 日本のミサイル防衛システム >
核ミサイル攻撃を防御する
多くの日本人は北朝鮮からの核ミサイル攻撃を現実の脅威と感じておられるはずです。
自衛隊はこれに対応した迎撃システムを持っています。
簡単に、迎撃するとはどのようなものかを見ます。
この迎撃は日本海のイージス艦(SM3)と陸上配備(PAC3)の2種類のミサイルで行います。
核ミサイルは北朝鮮から5~10分で日本に到達します。
飛来する核ミサイルを同時に数発~十発(?)打ち落とせるイージス艦が数隻、日本海で常時待機しています。
陸上のPAC3の迎撃半径は25kmなので、全土(四大島のみ)をカバーするには220発以上が均等配備されることが必要です。
同じ場所に5発飛来すると仮定したら、5倍の1100発以上が必要になります。
おそらく現在、全域をカバーせず、重要拠点で同時2~6発までの迎撃を目指している。
攻撃が朝鮮半島北部からPAC3配備地点に2発程度に限定されていれば迎撃可能でしょう。
< 3. イージス艦より迎撃ミサイル発射 >
都合の悪い攻撃だったら
いつもそうですが、攻撃側は相手の裏をかくもので、最悪の事態を想定することも必要です。
例えば、四発が同時か連続的に発射されたらどうでしょうか。
もし近距離であれば5分で飛来しますので、首脳部の判断が間に合わずイージス艦の発射が間に合わない可能性があります。
残りは陸上の迎撃率75%のミサイルで撃ち落とすとして、確率的に1発は着弾してしまいます。
そうすれば数十万人から百万人は被害を受けることになるかもしれません。
しかし、これも迎撃ミサイルが配備されている所に飛来した場合に限ります。
軍事専門家が指摘する北朝鮮の攻撃ミサイルは命中率が低いので問題ない、軍事拠点についてはそうですが、国民にとって核爆弾とはそのようなものではありません。
いくらでも、防御をくぐり抜ける攻撃方法が工夫されるでしょう。
核ミサイルを朝鮮半島北部からでは無く、偽装艦艇や潜水艦、日本海以外からの発射もあり得ます。
さらにおとり弾や高弾道を使うかもしれません。
もっと言えば、爆撃機による核爆弾投下、原発を狙ったテロ攻撃でも、同規模の被害は起こるでしょう。
ミサイルの迎撃率(現在70~80%)が将来向上すると軍事専門家は言明するが、相手のあることを無視してはいけません、いたちごっこになるでしょう。
大雑把にみても、けっして迎撃システムが日本本土を核爆発から救ってくれることはないのです。
もっとも無いよりはましですが。
< 4. 陸上で迎撃ミサイルPAC3発射 >
一つの問題は費用対効果・・現実的な想像力で
既に、レーダー網や艦艇などの基本配備や研究開発費(数兆円から将来10兆円)は概ね済んでいますが、今後増やすにはPAC3一発5億円、SM3一発20億円、イージス艦一隻1千数百億円の費用が必要になります。
当然、軍事技術は日進月歩し、さらに軍拡競争が始まれば、今後、更新費用は膨大になるでしょう。
実は、核ミサイルの方が高精度な迎撃ミサイルより安いので、北朝鮮が核ミサイルを10から200発所有していると言われているが、200発の可能性も充分あります。
ちなみに北朝鮮のGDPは4兆円に過ぎませんが、軍事費は1兆円ですので。
これは驚くに値しないのです。
現在、地球上で2万発の核ミサイルが陸上のサイロと潜水艦で、核爆弾が爆撃機で臨戦態勢にあるのです。
当然、これらすべてを迎撃することなど不可能です。
ここで感じて頂きたいことは、核ミサイルの迎撃は非常に分が悪いことです。
実は、「攻撃は最大の防御なり」孫子か信玄の言葉だと思うのですが。
攻撃、戦争を推奨しているわけではありません。
実はこのジレンマにはまり込んだのが、冷戦時代の米ソの無謀な核開発競争だったのです。
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次回、冷戦時代の米ソの核開発競争を見ます。
そこには恐ろしいほどの人間の創造力と途方もない愚かさが共存しているのです。
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