前回、「自虐史観は・・」を書いた折、「日本は何を失敗したのですか?」との質問がありました。
今日は、この質問を取り上げます。
コメントに感謝します
この連載を7月中旬から始めて、多くのコメントをいただきました。
賛否両論ありましたが、いずれも熱のこもった御意見をいただき感謝しています。
賛成のコメントは、当然ですが、私の理解と一致しており、安堵を得ます。
一方、反対の立場からの批判は厳しいですが、逆に、発憤することになります。
指摘された有用なポイントは、この連載で取り上げて解説してきました。
その意味でも、批判的な意見をありがたく思っています。
批判のコメントは私を悩ませますが、この連載をより深いものへと導いてくれるような気がします。
どうかこれからもどしどし賛否両論のコメントをお待ちしています。
* 2
今回の質問
今回の質問はYAHOO!ブログ、アクアコンパス5に記入されたコメントです。
この質問を見た時、私は正直びっくりしました。
この連載で取り上げている戦争―主にアジア・太平洋戦争、を失敗でないと捉えられている人がいたことに驚きました。
しかし、よくよく自問自答してみると、当たり前の指摘でした。
私がこの連載を始めなければならないと思った理由は、まさにそこにあったからでした。
世の風潮が、軍事に頼り戦争を肯定する傾向が強まったからでした。
そこには、過去の戦争を失敗とする気持ちが無いのは当たり前です。
この問題をいつか書かなければならないと思っていましたが、私は避けていました。
それで決心しました、感謝!感謝!
* 3
失敗について
ここでは質問者への解答も含めて、皆さんに「戦争から学ぶ」について語ります。
一般的な認識から始まり、最後は「日本の失敗」について説明します。
あることを失敗と見なすかは重要ですが、これまた自由です。
失敗の意味
「失敗」とは「人間の行為がもたらした仕損じ、やり損ない、上手く行かなかったこと」と定義しておきます。
例えば、地震が襲ったとしましょう。
皆は、倒壊した家の前で、呆然と立ち尽くしていたが、やがて復興に向けて動き始めました。
ある人は、これは天災であり、天罰だと諦めました。
彼は、悲しんでいても始まらないと考えたに違いありません。
別の人は、これは人災であり、家の強度不足や立地に問題があったと考えました。
彼は、現状復帰ではなく改良の上、再建することにしました。
本来、地震は天災ですが、人はそこからすらも、自らの行為に反省点を見出し、次ぎの行動に生かすものです。
この反省点を失敗と呼んでいいのではないでしょうか(責任はないでしょうが)。
* 4
歴史から得るもの
この連載への批判の中に、「歴史から学ぶべき事はない」「過去は過去でしかない」「歴史にIfは無い」と言う意見もありました。
これらをすべて否定出来ないことも事実です。
確かに、歴史学者が過去について軽々しく是非を断じるのは問題でしょう。
しかし、一方で実践を旨とする人々、スポーツの監督に始まり軍事戦略家(孫子、トゥキディデス、クラウゼヴィッツ)まで過去から多くを学びます。
この学ぶ対象は、勝因もありますが、重要なのは相手の弱点や敗因(失敗)でしょう。
おそらく「歴史や過去から学ぶ価値」が無いと考える意識の中に、歴史認識と言う体系的な論理と、過去と現在との繋がり(共通する文化・精神の存在)に疑問を抱いていることがあるのでしょう。
これは当然の疑問であり、そうであるからこそ歴史を鵜呑みするのは危険で、歴史外も幅広く読み、確認しながら自問自答する姿勢は不可欠です。
もっともそんな暇はほとんどの人には無いはずです。
結局は、広く受け入れられている良書だけは目を通すことが肝要でしょう。
もう一つ言えることは、批判のコメントを書かれた人も、実は日本の過去に好感を持ち、通じるものを感じておられるはずです。
*5
戦争から学ぶ
今次の戦争を経験された人々はまだ周囲にたくさんおられます。
敗戦を迎え、多くの人は何を思ったのでしょうか。
当時、終戦を受け入れられない軍人はいたはずですが、一部に過ぎない。
「勝てると思っていた」「二度と悲惨な戦争はしたくない」が大勢でしょう。
しかし、戦争を知らない人々にとってそうではありません。
これは米国でも同様で、ベトナム戦争から40年も経つと、若者の多くは肯定するようになりました。
当時、大統領選の最重要な論点は戦争の終結だったにもかかわらず。
どうやら戦争には不思議な魔力が潜んでおり、戦争を生きた人々には筆舌に尽くせない悲惨と不条理があるのですが、戦争を指揮する人々や戦争を始める前の国民にはそうでも無いのです。
これは世界共通のようです。
ここに戦争を学ぶ必要があるのです。
どちらかと言うと、戦争の勝敗やいきさつに関わりなく、大いなる闘志と悲惨のギャップにこそ学ぶ価値はあるようです。
次回も続きます。
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