* 1
今回は「左派が戦争をする」「右派が戦争をする」、この対立を取り上げます。
* 2
左派が戦争すると思われている例
一部の人は、ヒトラーが凶暴な社会主義革命家だと信じているようです。
その根拠はヒトラーのナチスが国家社会主義ドイツ労働者党だからでしょう。
彼が国民に訴えたのは、ゲルマン民族の優越(反ユダヤ)と反共産、栄光の軍事大国復活でした。
彼は、当時の大不況と社会混乱にあって、上記スローガンで中産階級や農民、青少年を魅了し組織化したのです。
彼はバイエルン邦国で知名度が上がってくると、それまでの味方(過激な労働運動家)を切り捨て、旧来の軍部や資本家と手を結んでいきました。
その20年前、社会主義国を目指したドイツでしたが、当時は保守勢力と軍部が政権を担うようになっていました。
彼は一貫した主義や論理を持たず、総統になるために手段を選ばなかった。
国民は、ヒトラーの提案した夢にすがり信じたのです。
当時はファシズム(全体主義)が世界各地に吹き荒れ、独裁者が国を牛耳り軍事侵攻を始めた。
その代表格がイタリア、ドイツ、日本、スペインだった。
ではなぜ一部の人々はヒトラーに対して違った見方をするのでしょうか?
ポイント
A.「戦争をするのは共産主義者(左派)」「保守主義(右派)は戦争をしない」と信じたい人々がいる。
B.その事を訴える人々がいる。
この二つは共に右派と見なされ、同様に左派にもこの傾向があります。
ここで重要なことは訴える人と信じる人の二重構造になっていることです。
ちなみに日本の右派(保守派)は民族主義(排外主義)、軍事志向で、左派(急新派)は社会主義、平和志向と見なされています。
* 3
左派と右派、どちらが戦争をしたがるのでしょうか?
米国の民主党政権と共和党政権どちらが戦争をよりしていると思いますか?
簡単に言うと、ベトナム戦争は民主党大統領、イラク戦争は共和党大統領が始めました(事情は複雑ですが)。
ここでも両派で意見が対立することになります。
共産国家が軍事独裁や帝国主義になることは度々あり、典型的なのはスターリンでしょう。
日本では軍人が幾度もクーデターを起こし、軍部が政権を掌握するとやがて日中戦争へと向かって行きました。
これは右派のパターンでファシズム(全体主義)と呼ばれるものです。
かつて武力で植民地を従えた西欧の帝国主義国は共産主義と無縁でした。
今の米国は、どうでしょうか?
日本では好意的に見られていますが、中近東や南アメリカでは嫌われていることが多い。
それは自由主義の米国がここ半世紀あまりの間に、軍事介入や政権介入(諜報活動)を行ってきたからです。
* 4
ポイント
C.特定の観念や主義だけが国家を戦争に向かわせるのではない。つまり右派、左派に関係なく戦争をするのです。
重要なことは、観念や主義が社会の合意形成や団結によく利用されることです。
多くは、国民が信じやすい観念や主義が唱えられ、盲目的に受け入れてしまっている間に、独裁や全体主義が完了し軍事国家となった。
一度、そうなると多くは壊滅状態になるまで突き進みます。
その観念や主義で重要なのは、事実や論理ではなく、如何に人々が信じ共有出来るかにあります。
その観念や主義の類には、共産主義や資本主義だけでなく民族や宗教、ドクトリン(他国の脅威への抑止論)があり、テロ対策や国益を守るなども同様でしょう。
* 5
まとめ
私達はどうしてもステレオタイプにものを見てしまいがちです。
その方が日常暮らしやすいからです。
一度、知らず知らずのうちに右派・左派どちらかに属してしまうと、例えば特定の新聞や報道番組に偏ってしまうと、それと異なる情報や見解は少なからず葛藤を生むので、やがて避け拒否するようになって行き、さらにその傾向は深まります。
このことが、多くの誤解に基づく左派と右派の対立を招くことになります。
次回は、左派・右派の不思議に迫ります。
No comments:
Post a Comment
どうぞご意見をお書き下さい。Please write an opinion.