20210402

没落を食い止める! 24: 日本が没落せざるを得ない要因とは 5: ふるさと納税 3

  



*1

 

前回、ふるさと納税が消費を減少させていることを確認しました。

ところが実害はさらに深刻です。

問題点を洗い出します。

 

 

< 図2.ふるさと納税寄付者の利得  >

 

図の説明

前回検討した金の出入りを、一人の寄付者で確認します。

 

寄付者は手数料2千円を支払い、ふるさと納税を申告すると、特例により納税すべき20万円をまったく納める必要が無くる(減税)。

さらに寄付先の自治体から市場価格で16万円(80%)の返礼品、多くは食品が届きます(限度30%だが還元率は遥かに高い)。

すると寄付者の世帯は、生活費(食費)を8万円(50%)節約するでしょう。

また減税20万円の内、予定外の購入に平均5万円(25%)使い、残り15万は預金(投資)などに充てるでしょう。

 

 

 

< 図3. 減税と納税の関係 >

 

図の説明

今度は全体像を掴むために、500人の寄付者で確認します。

ふるさと納税が行われると、寄付総額1億円を別の国民の納税1億円で補わなければなりません。

赤字国債発行でも良いが、本質は誰かが補わないと税収不足になるからです。

(税収1億円の国で1億円減税出来るだろうか?)

 

 

< 図4. ふるさと納税前後の全体の消費 >

 

図の説明

上図は通常の納税で、下図はふるさと納税後です。

通常、寄付予定者5百人は1億円、他の国民も1億円を納税し、計2億円が国民に直接サービスされていた(後で減税を考慮する為)。

 

ふるさと納税になると

国民へのサービス(消費)は都市から地方に移り、2億円が7千万円に減ります。

地方の返礼品業者は3千万円の売上(消費)を増やします。

寄付者は、2千5百万円を新たに消費し、4千万円を返礼品で消費を減らします。

すると都市部の返礼品(代替え)売上が4千万円減り、全国で合計1千万円減ることになる(図中の注意1)。

 

結局、合計消費は2億円から8千5百万円7+3+2.5-4=8.5)に減った。

しかも、国民への直接サービスは1億3千万円も減った。

 

 

< 図5.ふるさと納税前後の全体の流れ  >

 

上図: 通常の税制では、寄付者5百人と国民は合計2億円を納税し、国民に2億円が広く支出される。

シンプルで、国民全体が潤っています。

 

下の図: ふるさと納税が行われると大変な事態が起きた。

既に見たように、消費が減り、国民サービスが減り、減税で納税額が減り、結果、赤字なので増税される。

 

 

* まとめ 問題点の整理

ふるさと納税前後を比較する。

 

消費が減る。

2億円から合計8千5百万円に減る。

 

実は、こんな事をしているから経済が没落するのです。

数年以内に、ふるさと納税額は1兆円に達します。

すると前述の試算値から、毎年1兆1千5百億円の消費が減り、経済の足枷になります。

これを防ぐ為に1兆円の増税をしなければならないが、するとまた消費が減り、経済はダウンする(消費増税は最悪)。

結局、こんな無駄を繰り返している限り、日本は浮かばれない。

 

市民サービスが減る。

2億円から7千万円に減る。

政府は市民サービスを減らすことに無頓着です。

 

徴税は逆進性になり、かつ減る。

結局、今後も毎年、寄付者(高所得者)には1兆円減税、一般国民(低所与得層)には1兆円増税か赤字国債発行になる。

これも格差を拡大させる。

 

 

* まだ深刻な問題がある

 

ふるさと納税は、さらに自治体を疲弊させる。

支出は幾分増えるが変動があり、長期的な支出に使用出来ない。

結局、自主性のある経営を志向できない。

今の制度では、自治体は寄付金獲得競争で赤字すれすれまで返礼品業者に寄付金を注ぐだろう(表向きは出来ないが、少しでも収入増になる)。

 

本来、中央政府の徴税権をもっと地方に移管し、交付金のような自主性を阻害する税制を改めるべきです。

 

未だに政府は需要喚起策が分かっていない。

土建中心の公共工事や富裕層・法人への減税しか頭にない。

一部官僚は問題を理解しているが、今の政府では胡麻すりが横行し諫言出来る状況にない。

政府(与党議員)は選挙目当の人気取りと業界保護から 抜けられない。

これは明治期からの古い体質、そして自民党長期政権の弊害の最たるものです。

 

マスコミや経済学が機能しておらず、国民に正しい判断材料が提供されていない。

2008年に、諮問を受けて「ふるさと納税研究会報告書」が提出されているが、一部を見ただけで絶句した。

言い出した人物(菅)への忖度で、地方活性化の嚆矢になると讃え、細かい点を指摘しているだけで、私が指摘して来た重要な視点はまったく無い。

私は小さな地方自治体の諮問委員のようなことをしているが、これが実情です。

 

これも長期政権による癒着が災いしている。

 

「ふるさと納税」の基本的な欠陥は、通常の寄付行為の所得控除を「全額税額控除」に替え、商品を提供できる自治体を「寄付先に認定」したことです。

 

* 最後に

 

このような害悪を垂れ流す政策が堂々と行われ続けているからこそ、日本は没落せざるを得ないのです。

これは日本政府の愚かさが如何に無駄を生み出すかの典型例です。

このシミレーションは、結局、減税と増税の問題に尽きます。

私は経済専門でないので、ミスがあるかもしれませんが、ご容赦のほど宜しく。

 

 

次回に続きます。

 

20210401

没落を食い止める! 23: 日本が没落せざるを得ない要因とは 4: ふるさと納税 2

  

 



*1

 

前回、ふるさと納税の現状を見ました。

今回は、納税から消費への流れを追い、

如何に馬鹿げているかを説明します。

 

 

* 通常の税の流れ

 

 

< 2. 通常の税の流れ >

 

先ず基本から

 

例えば、年間収入300万円の人は、幾つかの所得控除(配偶者31万など)を差し引かれ、課税所得額が100万円になり、これに所得税と住民税の合計30%(所得で異なる)30万円を国と自治体に納めます

この税金は広く国民に使われます(消費

 

 

彼が「国境なき医師団に10万円寄付していたらどうなるか

 

 

< 3.普通の寄付行為 >

 

図の説明

寄付者確定申告すれば2.9万円還付され、彼の実質負担は7.1万円になる[(10万円-手数料2千円)x税率30%=2.94 

この2.9万円は結果的に他の国民の納税か赤字国債支払われる。

 

 

* ふるさと納税の金流れ

 

規模感を掴むために、大きな集団を想定します。

 

年収1200万円の5百人が各20万円ふるさと納税を行う。

それは都市部から地方の自治体への総額1億円の寄付になる。

彼らが4人家族とすると、ふるさと納税の全額控除の上限額は20万円なので全額還付される。

 

この結果は図のようになります。

 

 

 

< 4.金の流れ 1 >

 

図の説明

地方の自治体に千万円返礼品業者に千万円が入る(返礼品上限額は寄付金の30%)

寄付者の住む都会の自治体は、税金1億円を支出し、国が最高75補填し、最低でも2500万円の赤字になる(手数料2000円/件だけ入る)

国は最大7500万円の赤字になる

これらの赤字1億円を他の国民の納税か赤字国債で補う。

 

 

 

< 図5.返礼品無しのふるさと納税 >

 

この場合を見ると、返礼品の無い方が幾分良いように見えるが、実は国民と市民へのサービスが半減している(寄付者への還付で税が減る為)。

 

ここで異常に気付かれたかもしれないが、さらに問題がある。

 

 

* 返礼品がある場合、寄付者が消費を増やすかを検討

 

ポイントは二つあり、一つは返礼品がある事による消費減、もう一つは還付金による消費増です。

 

はじめに、返礼品による消費減を検討します。

 

 

< 図6. 返礼品人気ランキング >

 

返礼品の多くは魚介・肉・果物・パン・米・鍋セット・惣菜・加工食品・酒類等の食品で占められている。

すべて日常的に消費しているものです。

残りの家電・日用品なども、同様で多くは再度買う必要がないでしょう。

返礼品の実勢は、市場価格で寄付金の65〜109%(還元率)で手に入り、平均を少なめの80%と仮定した(還元率は「ふるさと納税ガイド」サイトで参照)。

 

ゆえに寄付した500所帯は寄付額の80%、8000万円相当の返礼品(魚介と肉など)を手に入れると推測する。

 

彼らは返礼品で食品を手に入れたら、日常購入している食品を減らし、返礼品が贅沢品なら、日常の物は安くするだろう。

例えば返礼品の肉1kgを食べて、日常食べている1kgを500gに減らすと想定する(もっと減らす可能性は高いが)。

 

従って500所帯は返礼品の市場価格8000万円の50%、4000万円(80%x50%=40%)を節約すると推測する(追記で詳細説明)。

 

 

次は、還付(減税)による消費増を検討します。

 

 

 

 

< 図7. 所得減税効果と定額給付のアンケート >

 

上図

右の棒グラフの青は給付金のGDPに対する経済効果で、1年目に23%の効果が出ている(2年度以降は通常の消費でも効果があるので省く)。

左の消費減税の方が2倍以上効果がある事に注意。

 

下図

これは定額給付を受けたら、国民が消費するかどうかを聞いたアンケート結果です。

結果は、20%の人が、新たな消費をするだろうと応えている。

ふるさと納税は年収1千万円以上の人に多いが、彼らでは30%になっている(別資料)。

 

これらを勘案して、還付金1億円の25%、2500万円を新たに消費するとした。

 

 

* 結論

 

現状のように返礼品が手に入る場合、寄付者は寄付額の40%を節約し、一方で新たに25%消費し、差額15%の消費減となる。

結果、1億円の15%、1500万円の消費が減ると推測した。

 

 

次回、この消費減を含めて、ふるさと納税が如何に経済をダメにしているか説明します。

 

 

追記: 減る消費額の推定

 

総務省: 2018年の総世帯(平均世帯人数2.33人)の食費は月平均62,819円(外食11,724円、酒類2,667円を含む)。

外食と酒類を除外した月の食費は48,428円になる。

 

総務省のふるさと納税: 2018年の一人平均年間寄付金額118,000円、他の資料より、寄付は平均6件に分けられおり1件当たり平均19,667円となる。

 

 

< 表8. 寄付者の消費行動 >

 

図の説明

毎月の食費は、前述の平均世帯のものとした。

返礼品額は還元率80%(寄付金の80%)で、前述の19,667円x80%=約1.6万円とした。

上表は返礼品を6回に分け、下表は3回に分けた。

 

返礼品を得た月は返礼品の半額を節約すると推測し、赤字で示した。

返礼品がまったく無い状況と比べると、節約することが理解できるはずです。

 

返礼品があるのに返礼品と同額・同量の食品を日常的に購入する可能性は零だろう。

つまり消費が増えることはない、減るだけです。

 

贈答用に返礼品を使うとしても、状況はあまり変わらないだろう。

常々送る先に返礼品の贅沢品を送り、さらに通常の贈答品を加えるよりは、購入を控えることになるだろう。

つまり消費は減ることになる。

 

 

20210331

没落を食い止める! 22: 日本が没落せざるを得ない要因とは 3: ふるさと納税 1

  






*1

 

今回は、日本らしい経済政策を分析します。

これは菅元総務大臣の肝いりで始まった。

国民が羨望の眼差しで歓迎しているものです。

しかし百害あって一利なしの典型的な愚策です。

 

 

それは「ふるさと納税」です

 

5年ほど前、私は「ふるさと納税」が国民を馬鹿にし、虐げていると二重の怒りを感じたものでした。

そして何人かの人に意見を聞くと、皆一様に肯定していました。

さらに突っ込んで聞こうとすると、政府を批判する変な奴という目で見られました。

この人達は、この税制で節税しようとするわけでなく、単にその政策が経済や自治体に良いことだと思っているようでした。

 

こうなると私には怒りを通り越して絶望しかなかった。

これでは日本の経済復興は不可能だ!

政府が様々な愚策を繰り返し、ここ30年以上も没落を深めているのに、誰も気づかず、共に没落を受け入れるとは。

 

感覚の鋭い方であれば弊害に気付かれるはずです。

 

この策は菅元総務大臣の肝いりで始まった。

2014年末、この拡大に熱心な菅元官房長に、ある官僚が諫言した。

「拡充が高所得者を優遇し、自治体の返礼品競争を過熱させる恐れがあるから、規制が必要」だと。

菅は反論もせず、当然是正もせず、翌年この官僚を局長から部外に左遷した。

 

日本には寄付行為が浸透しておらず、また自治体は、通常の寄付先である赤十字などと比べれば寄付に頼る必要がなく、正常な寄付行為から逸脱するのは必至でした。

この策が世間に広まって行くと、やがて寄付は高所得者に広がり、寄付先は都市から地方へと移り、節税返礼品目当てが露骨になっていった。

そして寄付額は勢いを増していった。

 

 

 

< 2. 人気急上昇 >

 

ふるさと納税の実態を見ます

 

熊本県のふるさと納税実績では、2018年から2020年まで「個人1件当たり寄付額」は7万、25万、5万と推移、ところが「法人・団体からの1件当たり寄付額」90万、90万、270万と額が大きく増えている。

一方、その合計1件当たりでは11万、28万、9万で、ブームによる変動がある。

 

総務省のふるさと納税実績で、2013年2019年の間、一人当たり12万と変化していない。

この間、寄付者は11万から400万人に達し、一人当たり6件分散して行っている(分散の方が減税・手続き簡易化になる)

またこの間、税額控除額/寄附額の率は35%から71%と増加し、減税目当てになっている

 

この7年間の寄付者の減税総額(税額控除)は8797億円で、2020年には1兆円を超えるだろう

返礼品上限額は、かつて寄付額の50%を越え、今は30%だが、実際は自治体の熾烈な競争で、返礼品の相場額は寄付金と同額に近いふるさと納税サイトの返礼品還元率100%)。

100万円寄付すると2千円だけ引かれて99.8万円還付される(年間所得3000万円以上なら可能)。

さらに現在でも寄付者の選んだ商品が市場価格で100万円近く届くことになる。

こうして高所得層の参加で益々繁盛している。

 

ここまで読んでも、まだ「これにより経済が活性化し、少なくとも地方自治体には良いこと」と見る向きもあるでしょう。

 

確かに、ふるさと納税のサイトは花盛りで、購買意欲が増し誘惑に負けそうです。

会計事務所のサイトでは、「是非、節税にふるさと納税を、特に高額納税者は見逃してはならない!」と謳っている。

批判的な記事やサイト見つけることは困難です。

 

 

何が問題か?

 

しかし問題はてんこ盛りです。

 

無駄を生む返礼品、藁を掴む思いで競争に走る自治体、実際は消費を減らす、返礼品業者だけが潤い、寄付者の住む自治体と政府は赤字が増え、国民へのサービスが減少し、最後には国民がツケを払うことになる、そんな馬鹿げた策です。

寄付された自治体はわずかに得するでしょうが、最も得をするのは寄付者の高所得(年収1千万円強が中心)で、税逃れとタダで同額の商品貰えるからです

 

実は、これ以外にも長期的に日本をダメにする深刻な問題があります。

 

しかし、いまだに政府はめげず、国民も掠め取られているとも露知らず羨望の眼で見ているだけです。

「ふるさと納税」は、需要喚起策の誤った典型例で、日本らしい愚策のオンパレードで

 

 

< 3.寄付金に影響が出ている >

「青棒」全体の寄付金は増えているが、「赤棒」ふるさと納税が急激に本来必要な「国境なき医師団」や「国連世界食糧計画」などへの寄付を減らしている。

 

最大の問題は、国民へのサービスを減らし、消費を減らし、富裕者を減税していることです

 

なぜこのような事になったのか?

愚かな政治家が人気とりでやり始めたが、経済と税制を知らず、あるタガを外した為に、市場が苛烈な競争に追い込まれたからです。

(タガとは、寄付税制特例と寄付先の認定です)

 

 

次回から2回に分けて「ふるさと納税」が経済に与える致命傷を説明します。

 

 

 

20210330

国境の島、対馬を訪ねて 8: 椎根の石屋根倉庫

  

*1

 

 

今回は、対馬独特の建築物を紹介します。

 

 

 

< 2. 椎根の位置、上が北 >

 

上: 対馬の下半分

紺色線の右が厳原、左が椎根で、この間は車で20分ほどです。

 

下: 小茂田浜と椎根の位置

黒線の右から来て、赤矢印の蒙古襲来の激戦地・小茂田浜に寄ってから、黒矢印の椎根に行きました。

 

 

 

< 3.対馬横断途中の車窓から1 >

 

 

< 4. 対馬横断途中の車窓から2 >

 

真っ赤な彼岸花が至る所で群生しており美しかった。

この辺りを走っている分には、特に対馬の山野と言う印象はなかった。

後に北部の上対馬や中央部の浅茅湾周辺を走ると、対馬独特の地形を目にすることになる。

 

 

 

< 5. 椎根に到着 >

 

上: 椎根の地図、上が北

赤線が観光バスを降りてからの散策ルートです。

Sから始め、Eで終わりました。

主に見た石屋根倉庫は赤矢印ですが、ここには合計5棟あるそうです。

 

下: バスを降りて、椎根川の橋を渡り、石屋根倉庫に向かう。

中央にこれから紹介する1棟が見える。

 

 

 

< 6. 1棟目の石屋根倉庫 1 >

 

上: 橋の上から上流、東側を望む

右岸にもう1棟が見える。

 

下: 1棟目の石屋根倉庫

確かに見たこともない造りです。

 

 

 

< 7. 1棟目の石屋根倉庫 2 >

 

まず初めに感じたのは、「なぜこんなに重い石を屋根に上げたのか?」でした。

次いで、小屋の柱にも違和感があり、何かが違う。

 

厳原が幾度も大火災に遭っていることと、この倉庫が西海岸に近いことから防火防風の為だとは察しがつきました。

江戸時代、瓦屋根が禁止されていたので、初めは裏山の石を載せていたそうです。

大正時代になると、発破技術が導入され浅茅湾に面した島山石で産出する見栄えの良いこのような泥板岩を使うようになった。

昔は対馬中にあったそうですが、今は南西部に合計40棟が残るのみだそうです。

 

左下: 私が違和感を持ったのは、写真中央の平柱のせいでした。

普通は角柱を使います。

屋根の重量を支えるのに適しているのでしょうか?

説明書きによると、平柱は山から切り出した丸太を半分に切って使うことから始まったそうで、対馬の伝統的な建物には良く使われているそうです。

この工法は、台湾や東南アジアにも見られるそうです。

 

それにしても大変な建築作業だったはずで、中で何を貯えたかは知らないが、ここまでする必要は無かったのではないかと思ってしまう。

村の中で見栄を張って競ったのだろう。

 

 

 

< 8. 二棟目の石屋根倉庫 >

 

上: 二棟目の石屋根倉庫

 

下: 瓦屋根の倉庫

 

 

< 9. 戻りの橋の上から >

 

 

< 10. 椎根川の対岸から >

 

次回に続きます。

20210329

没落を食い止める! 21: 日本が没落せざるを得ない要因とは 2

  




*1

 

これから、日本固有の悪化要因を幾つか見ます

 

 

 

 

< 2. 2018年の賃金上昇率ランキング >

http://www.all-nationz.com/archives/1072475175.html

 

 

* 主に賃金を低下させる要因

 

A. 非正規雇用の拡大

 

B. 低賃金の零細中小企業、個人経営多い

 

C. 低い最低賃金

 

 

< 3.2019年の最低賃金ランキング >

https://www.digima-japan.com/knowhow/world/8314.php

北欧が無いのは北欧が職業別最低賃金制の為。

 

D. 労働組合の弱体化

新自由主義の国では皆同じだが、賃金の高い国(北欧など)では組合組 織率は高い(図4と比較)。

 

 

 

< 4. 2008年の労働組合組織率 >

https://honkawa2.sakura.ne.jp/3817.html

 

E. 欧米の職業別・地域組合と異なる企業内組合

職業別の最低賃金がないので転職が困難で、労働市場が機能しない

 

F. 男女間の賃金格差

 

G. 介護やタクシー業界などの賃金規制

 

H. 低賃金の技能実習生制度(移民労働者)

現状のような野放図な拡大は、やがて欧米のように低賃金化と治安悪化を招く。

 

 

当然、これらの問題は日本の政治がもたらした結果です。

 

* 日本の政治がもたらす悪化要因

 

I. 長期政権(自民党)がもたらす弊害

 

根本は自民党が特定産業や既得権益と癒着し保護(腐敗)にすることです。

 

これは単純に、野党との政権交代がないことによるもので、歴史の必然です。

特に日本は政治文化が遅れたままなので、国民の多くは腐敗を当然視している。

 

一党のみが長期に君臨すると、経済的な癒着だけでなく、あらゆる社会的なものが腐敗し、国民から離れて行くことになる。

例えば、経済界だけでなく官僚(中央省庁だけでなく裁判所)、マスコミ、学校、学界すら強固癒着や忖度が蔓延しており、国民は政府の実態を知る事も訴えることも出来なくなり、社会は停滞して行くことになる。

 

特に官僚と自民党の癒着で深刻なのは特別会計(392兆円、一般会計100兆円だが)で、その規模の巨大さと不明瞭さが恐ろしい(民主党が切り込もうとしたが討ち死に)。

 

 

J. 活力を無くした地方自治体と公共企業体

 

地方を旅して気付かされることは、地方の衰退です。

この背景に、構造的な要因があり、戦後の税制が中央集権的であることが大きい。

一言で言えば自治体は中央からの許認可待ち、交付金待ちに慣れてしまって、自立出来なくなっているように見受けられる。

日本は先進国中、最悪ではないが、北欧に比べると活力がない。

 

 

K. 不甲斐ない野党

 

二大政党は欧米先進国では民主主義の根幹をなすと自認されているが、日本ではそうではない。

これが腐敗を招き、改革が進まない理由なのですが、出来ない。

国民は野党がだらしないから、自民党で仕方ないと思っている。

 

これが間違っているとは思わない。

だが、このまま一党長期政権が日本を支配し続けると、没落は必至です。

野党がなぜ脆弱なのか、その理由(初期の米国保護)を知り、政権交代可能な野党を育てない限り、未来はない。

 

 

L. 米国追従の弊害

 

米国追従は根を張っており、もはや軍事的にも経済的にも独立出来ず、運命を共にする可能性が高い

 

しかし1980年代以降の米国の傲慢に過ぎる圧力が如何に日本の経済を悪くしたかを知れば、目が覚めるでしょう。

日本は経済的に自立すべきなのです。

大戦後、いまだに占領国に隷属している国は、世界広しといえども日本だけでしょう。

しかもGDPで2位にまでなった国で。

 

これに関連して、重要なのが近隣諸国、特に中国との関わりです。

米国の軍事的な思惑で、日本は大陸、特に中国と分断されている。

(今まで中国と友好を図ろうとした日本の政治家はなぜか短命です)

 

しかし、中国は既に経済・技術・軍事的に大国であり、対応を誤ると、日本は孤立するだけで済まなくなり、安全保障で致命傷を負うことになるだろう。

 

 

M. 時代遅れの需要喚起策(財政出動など)

 

日本政府は、いつまで経っても古い経済政策から脱皮できない。

 

土木事業中心の公共投資や富裕層や法人税の減税などです。

既にこれらの効果が低いことは経済分析から判明している(土木事業は乗数効果がかなり低くなっている)。

それでもまだ懲りずに繰り返している。

後に、ふるさと納税を検証します。

 

日本の経済学ノーベル経済学者が出ていないことからもわかるように遅れており、国の政策に良いアドバイスが出せないようです。

 

 

次回に続きます。