20190717

平成の哀しみ 97: 終章 3: 願わくば




< 1.オスロ湾の小島 >



先ず到達点を確認しよう


 
< 2.国連の幸福度ランキング >
北欧4カ国とスイス、オランダが6位までを占めるが、日本は156ヵ国中54位。

我々日本が目指す社会とは

国際機関が様々な基準でランク付けしたランキングのどれにもトップ10に入るような国を目標にする。

それは北欧、ベネルックス、スイス等でしょうか。
多くの日本人は文化が異なり、所詮、欧米人の価値観に過ぎないと疑問視するかもしれない。

これらの国々は、キリスト教と言語で他の西欧に通じるが、体制をそれぞれ異なるものに変革して来た。
単に経済指標、労働条件、人間開発指数、幸福度、民度が高いだけではない。
実に、ゆったりと家族で人生を楽しむ社会がそこにはある。


 
< 3.北欧の平日の光景 >
上からストックホルム近郊、オスロ湾、ロスキレの広場での光景


是非とも皆さんがこれらの国の暮らしに触れられることをお薦めします。
まったく日本が取り残されていることに気づくでしょう。

私は北欧を35年隔て2度訪問し、これらの国々が大きな変化を成し遂げ、さらに良くなっている印象を受けた。
日本の御用マスコミが意図的に流布しているような暗い停滞したイメージはまったくない。


北欧は福祉国家と言う他の西欧諸国と異なる道を選んだ。
当然、同じ資本主義経済で自由主義圏に属する。


 
<4. 世界競争力 >
北欧3カ国とスイス、オランダは競争力でも9位以内です。
ちなみに日本は25位です。

皆さんに気付いて欲しいことがある。
それは、これらの国が、米国が押し進める自由放任主義と金融重視の経済に対抗し、強力なグローバリゼーションに晒されながらも国民の幸福を高める道を進んでいることです。

私には日本の現状で自由放任主義の呪縛から解き放つ策など思いつかない、おそらく数多くいる日本の経済学者も・・・。

実に、小国ながら国民が一体になって至難の道をこともなげに進んでいるように見える。

一方で、今回の旅行で少し不安に感じたこともある。
それはスウェーデンが移民問題も含めて、世界経済の荒波に呑まれ、荒みつつあるように思えたことです。


とは言え、日本は惰性で斜陽の道を選ぶべきではない。


次に続く


平成の哀しみ 96: 終章 2: 何から手を着けるべきか









*1


日本再生には何から手を付けるべきか
深刻なジレンマに陥る


 
*2


再生させるには

A 暴走する安倍政権

B 腐敗と停滞の温床である自民党、官僚、公明党

C 疲弊し格差が拡大する経済政策

D 古い政治文化(三バンなど)

E 米国への盲従

F 社会政治歴史への国際的な認識欠如

これらを正すには、どれから手を着けるべきか?


安倍政権を倒しても自民党と官僚が変わらなければ、暴走を一時止めても、行き着く先は同じ没落。

自民党と官僚を牽制する為に野党が政権を担っても、根が張った旧来の組織力の前には歯が立たないだろう。

悪化著しい日本経済の立て直しは急務だが、副作用のない経済政策はない。

三バンなどの遅れた政治意識を変えない限りまともな政治家は出てこない。
しかし自民党が権勢を振るう限り、障害になっている選挙・教育・社会制度の改革が進まない。
また相当の年月を要する。

米国の傀儡から自立すべきだが、性急な離脱は米国の裏工作と軍事的・経済的な恫喝の前に早晩潰される。


私が一番確実と考えるのは教育です。

A~Eの多くは一朝一夕に解決しないし、一時、成功してもまた逆行する事になる。
重要なのは国民が政治への関心と関与を深めることで、政治を国民に取り戻す最も確実な方法です。
この為には政治意識と参加を促す学校教育が不可欠です(北欧で実施)。

しかし自民党と公明党が政治を握る限り、教育は世界水準から益々後退するだけになる。
当然、国際的な認識に近づくとは不可能でしょう(幸福、夫婦、労働、歴史・・・)。

結局、戦後からの溜まりに溜まったヘドロで身動き出来ないと気づかされる。



 
 
*3

しかし、一つだけ明確な事がある。

人類は、信頼出来ない人物を瞬時に峻別し避ける心性を獲得している。
これは心理学で検証済みのことです。
そんな人物を社会のトップに用いないのは当然です、冷静であれば。

ヒトラー、岸元首相、トランプ、安倍首相に共通するものは何でしょうか?
単純に言えば、平気で嘘が言える人物です。

これが何を招くか、そして選挙であなたは何をすべきかは自明なはずです。

次回に続きます。



20190716

平成の哀しみ 95: 終章 1: はじめに





*1

2月から始めたこの連載は、
平成への惜別と多少の分析を交えた記録を残したいと思ったからでした
結果は悪化への転換点を嘆くだけになったようです

これから未来に向かって語りたいと思います


日本の没落と異常さには呆れるばかり。
しかし危機感を持つ人に出会うことはほとんどない。
隣国に敵意を燃やす人はいるが。

低迷する経済と危険な外交、そして茹でガエルの状況に至った理由は既に見ました。
これは貧弱な政治文化と国を売るに等しい狡猾な政治家が招いたものでした。

国民は悪しき政治文化を古き良き文化とはき違え、政府の民主主義の根幹を切り崩す策術を無自覚に受け入れるばかり。
野党は経済政策に無頓着で政権担当の経験も少なく、脆弱なまま。

救いようの無い日本は没落せざるを得ないかのようだ。

 
*2

一方、海外35ヵ国を旅行していると気付くことがある。

町並みは古く、日本ほどに物は溢れていないが、人々は実に幸せそうに暮らしている。
現地で通訳やガイドと話し、色々調べてみると、それぞれの国は幾多の災厄を乗り越えて来た過去があった。
そして歴史と文化に根付いた工夫や暮らし方があることが分かる。


これから日本が危機から脱出する道を探してみたい。


次に続く



平成の哀しみ 94: 何が日本を貶めているのか 11: 戦後、何が日本を歪めたのか 3





日本政治の堕落は政府による作為が大きかった
しかし今一つ自戒すべきことがある


それは国民の驕りです。

日本のあらゆる社会・経済・政治の指標が悪化し、伸び悩んでいる。
国際機関の発表する国別ランキングで日本はここ30年間低下し続け、特に安倍政権になってから著しい。
昔は当然のように10番以内もあったが、今は30番より下げているものが多い。

残念ながら日本は島国であり、言語が独特なので海外で発信される情報や警鐘はほとんど届かない。
さらにマスコミ(新聞の半分、テレビ)が御用化してしまったことで、国民に真実がほとんど伝わらない。

例えば、『Yahoo!』の「トップニュース」のカテゴリーの割合に日本の現状が反映されている。
日本では芸能ニュースが世界ニュースの2倍でほぼトップです。
ところが英米の比率は0.5と0.1で逆転し、日本人の視野の狭さは歴然としている。

海外に目を向けると分かるのだが、日本が衰退している間に、発展途上国や後進国は経済・社会(教育・医療)を向上させて来ている。

私達は日本の政治や経済を疑い、世界に目を向けないと、日本の真の姿は見えない。


この茹でガエルの状況は一つに、かつての高度経済成長の心地よい余韻が残っているからです。

どうやら人類は、社会が徐々に悪化している時は気付かないだけでなく、むしろ昔への回帰を望み、守勢になるようです。
歴史を振り返ると、経済や軍事を握る階層が保守的(権益拡大に奔走)になって、さらに国の没落を加速さえしている。

19世紀の英国も同じ状況になり没落を逃れなかった。


この没落から抜け出すには?
一つ面白い事実がヒントになる。


 
< 3.高度経済成長と共に生じた様々な公害:四日市公害 >

 
< 4.急速に拡大した大殺戮:ベトナム戦争 >

日本の70歳代以上の人(団塊の世代)は高度経済成長と共に急激な環境悪化やベトナム戦争が起きたことを知っている。
さらに、そのことを身をもって政府や世論に訴え(デモなど)、公害対策を推し進め、世界が一緒になってベトナム戦争終結に尽力し、成果を残した。

一方、若者が政治に無関心になったのは、この老人世代が仕事にかまけて、政府の監視を置き去りにしたことが災いしているとも言える。

私はこの老人世代に望む。
あなた方の子供や孫の為に、今一度立ち上がり、社会の没落と暴走を止めて頂きたいと・・・

日本を救えるのは老人と女性とだけかもしれないと・・・


次から最終章になります。


20190715

平成の哀しみ 93: 何が日本を貶めているのか 10: 戦後、何が日本を歪めたのか 2







 
< 1. 先鞭をつけた首相、戦犯から密約へ >


日本の政治が歪められた歴史を見ます


 
< 2.日本のCIA協力者の一部 >
米国国立公文書館の日本帝国戦争犯罪記録より。


日本は敗戦で米国一国(GHQの占領を受けた。
初めは軍国主義の牙を抜く為の民主化が進められた。

一方、米国は共産圏との対立を深めていた。
そこに朝鮮戦争が勃発し、日本列島の役割は急変する。

日本を兵站基地にし共産主義の目を摘むことは至上命令になった。
こうして民主化と軍備放棄から一転して、社会運動の弾圧と再軍備が政府に課せられた。


 
< 3.沖縄返還密約を暴いた記者は陥れられた >


ここで日本は悪魔の選択をします。

ドイツの場合、欧米三ヵ国共同の占領地は自由になったが、ソ連1ヵ国の占領地は強固な支配が続き、日本も裏でこれが進みました。

GHQが去っても、自民党政権は二つの密約を米国と結び、自党優位への支援と引き換えに米国の傀儡化(特に軍備)を容認します。
これを行ったのが戦犯であった岸と賀屋であり、その後の佐藤でした。
この手の傀儡化は世界中に大なり小なりありますが、先進国では珍しい。

70年代まで自民党は野党(左派)潰しを条件にCIAから資金援助と支援を受け続けた。

これが尾を引き自民党と官僚はCIAや米軍と深く繋がることになる。

現在も米国のNSAにより盗聴が行われており、時に野党の重要人物潰しに使われている節がある(日中融和策を唱道する人物は消える)。

悲しいことに、米国のスパイであった社主の御用新聞は勢力を拡大した。

80年代以降、政府は学校から政治学習の機会を奪った。
北欧に政治腐敗が無く投票率が高いのは、生徒達に小学校から社会や政治を議論し学ぶ機会を与えているからです(これだけではないが)。

さらに安倍政権で報道の偏向と弾圧が進んだ。
報道の自由度のランキングは一気に落ち、危険性を海外(主要新聞、国連)からも指摘されている。

こうして日本の政治は歪められた。


次回に続く



参考図書

CAI秘録 上」第12章。ティム・ワイナー著

「知ってはいけない」など 矢部宏治著

「暴露」スノーデン著

「戦後史の正体 1945-2012」など 孫崎享著

平成の哀しみ 92: 何が日本を貶めているのか 9: 戦後、何が日本を歪めたのか 1





< 1. 傀儡化の起源 >


前回まで、日本のお粗末な政治文化をみました
しかしこれは本来の姿ではない



< 2.自由放任主義経済の始まり >


世界銀行発表の政治民主化度が日本の実態を明らかにしている。
これは市民の参政権・政府選択権の可否、報道の自由、表現の自由、結社・組合の自由を評価している。
このランキングで北欧4ヵ国は8位以内、イタリア36位、日本は41位です。

多くの方は、三バンに象徴される因習を素晴らしい日本文化の一部だと思っているようです。

しかし明治維新や自由民権運動を思い出して欲しい。
当時は民衆が改革の主役になっていた。

今の人々は自覚を持てず悪化に晒されている。



< 3.安保闘争の反動で政府は教育を後退させた >

何が政治を歪めたのか?

やはり強い村意識が働いているのは今も昔も変わらない。

それ以上に以下の作為が災いしている。

戦後の税制で地方は独自性を失い、中央集権化を生んだ。

70年代以降、学校教育において生徒から政治への関心を奪った。

GHQ以降の米国の傀儡化と80年代以降の自由主義の隆盛で自民党の一強が確定した。

近年、自民党の裏工作もあってマスコミの御用化が一気に進んだ。


結局、今の茹でガエルのような国民の政治感覚は、けっして日本本来の姿ではなく、戦後以降の作為によるものなのです。

今、正に毒が全身に回ってしまった状況です。


次に続く





20190714

平成の哀しみ 91: 何が日本を貶めているのか 8: パトロネージュ 3








日本の政治文化は悲惨




 


止まない汚職、多い世襲議員、少ない女性議員、深刻な少子化はなぜか?

汚職が止まないのは議員が利権漁りに奔走するからだが、そもそも初めから政治家を目指す動機が不純です。

ほとんどの議員は地元の三バン(後援組織、知名度、選挙資金)に支えられている。
当然、親からの世襲議員であれば三バンをそっくり引き継ぎ楽勝です。
後援側も手堅く利権を維持拡大出来ます。

こうして今なお汚職と世襲は続く。

この欠点は人格や能力で劣る人物が地元しか見ず、社会の公正や国家の未来を意識せず議員になることです。
さらに金がかかり、人気が左右する選挙になってしまう。

歴史を振り返ると、文明や国が亡ぶ時は、いつもこのように利権が国政を預かる者に集中することから起こっています。


それではなぜ女性議員が少なく、深刻な少子化を放置することになるのか?

安倍首相は国会で「当時、子供手当は馬鹿げた政策と考え、野党の法案を否決した」と述べた。
これは先進国では効果のあった政策でしたが。

理由は簡単です。
地元に利権(公共事業など)を取ってくることでしか生き残れない議員は、それを当てにする後援者達や地元民の保守的な嗜好に合わせるしかない。
これが社会の守勢、後退の悪循環を生む。

つまり、時代遅れの女性軽視が未だに罷り通るのです。

北欧では全てが異なる。


次に続く





平成の哀しみ 90: 何が日本を貶めているのか 7: パトロネージュ 2






*1


日本では汚職と世襲は当たり前ですが、
先進国では異常です。


 
< 2. 内閣の女性の割合 >

私が去年、デンマークを旅行中に会った女性の言葉が示唆的です。
日本人の彼女はデンマーク人と結婚しコペンハーゲンに暮らしている。

政治談議になった時、彼女は開口一番
「日本では政治腐敗が止みませんね!
デンマークでは議員が汚職をするなど考えられません」

私も覚悟していたが、そんなに違うものかとショックを受けた。

国際機関による政治腐敗のランキングで、腐敗が少ない方から北欧4ヵ国が5位までを占め、日本は18~21位です。

日本の国会議員年収は約3000万円を越えるが、北欧では手弁当と聞きます。
つまり収入が少ないから汚職に手を出すわけではない。

北欧の世襲議員率は不明ですが、参考に米連邦議会で5%、日本の自民党では70%です。
ちなみに世襲議員が多いイタリアは少子化でも日本と同じ状況です。
合計特殊出生率を見ると、先進国で高いのはフランスと北欧です。
女性の国会議員比率の多さはスウェーデン5位、イタリア30位、日本165位です。

不思議な事に、汚職が後を絶たず、世襲議員が多い日本では女性議員が非常に少なく少子化も深刻で、北欧はすべて真逆です。

これはなぜか?


次に続く




20190713

平成の哀しみ 89: 何が日本を貶めているのか 6: パトロネージュ 1






*1

政治家と後援者の癒着について
海外の事例を見ます

 

 
< 2.植民地支配がもたらした悲劇 >

アフリカで政治腐敗から抜け出せず、内戦が頻発している国の多くは、実はこのパトロネージュの罠にはまっています。

日本と異なり政党(自民党)ではなく、部族対立に起因しているがメカニズムはまったく同じです。

ある部族の代表が選挙で勝っと、自分の部族を優遇し他部族を冷遇する政策を露骨に始めます。
そうしないと同じ部族民が次の選挙で強力に支援してくれないからです。
こうして大概、対立はエスカレートし内戦まで進みます。



 

 
< 3.止められない自民党の口利き >

日本はここまで酷くはないが、やっていることは五十歩百歩です。
要は、帰属する集団を一義的に考え、社会全体の公正さを軽視する社会で起こります。
つまり日本の政治社会は、口利き(賄賂)がまかり通り、ダブルスタンダードに違和感を持たない、親分子分の世界、村意識の強い社会なのです。

この手の社会は南欧にもあり、多くは政治腐敗が深刻で経済も停滞している。


しかしこの対立は古い文化によるとは限らない。

アフリカや中東には部族や宗派によるパトロネージュから未だに抜け出せない地域が多い。
これは1世紀前、宗主国が植民地支配の為に恣意的な国境策定と部族の分断を強化したことも一因になっている。

実は敗戦後の日本も同じことが起きた。
後に語ります。


次に続く


平成の哀しみ 88: 何が日本を貶めているのか 5: 政治が劣化する理由 



*1


今の政治の劣化は主に政治家に非がある
しかし国民にもその一端はある


 
*2

何が政治を劣化させたのか

パトロネージュ    ― 政治が金権化、腐敗し世襲が多くなる
教育とマスコミの支配 ― 国民は政治を語らず真実を知らされず
占領の爪後      ― 米国の傀儡となり一党優位が定着した
村意識        ― 集団や組織に自浄作用が働かず暴走し易い
繁栄後の驕り     ― 多くの国は守勢になって衰退した

劣化は複合的だが、これらが最も罪深い。

問題点を明らかにします。


 
*3


パトロネージュ

これはよくある後援者との関係を指すが、日本のように政治家と後援者の利益誘導の癒着が問題です。

日本には三バンと言う選挙にまつわる時代遅れの政治文化がある。
これは地盤=後援組織、看板=知名度、鞄=選挙資金を指し、自民党の代名詞と言える。

このパトロネージュを指摘しても、多くの国民は当然であって悪弊だとは思っていない。

例えば、議員が地元に新幹線の駅を誘致する、地方交付金を多く回してくれる。
さらには地元業者に公共事業を回し、交通違反切符の取消し、選挙時の金品贈与は当然と受け止めていることなどです。

人々は、これらは議員に投票(後援)した見返りであり、当然と捉えるようです。

この悪弊の深刻さはどっぷり浸かっている人には分からない。


次に続く