20190520

平成の哀しみ 42: 日本経済に何が起きているのか 8: 気になる兆候 8








現政策の実体は



 

一、従来のやり方の踏襲

公共投資や金融緩和(中央銀行の国債買い、リフレ策など)は欧米で行われた政策の踏襲。
だが日本の公共投資額はGDP比で先進国中群を抜いており、しかも欧米が減らしても続けた。



 

二、多くが富裕層や企業優先

これも欧米の踏襲で半世紀の間、各国で繰り返すバブル、累積債務の増大が定着した。
大多数の国民、特に低所得層の所得ほど伸びず、格差が拡大し、トリクルダウンは起こらなかった。
北欧やドイツ、フランスなどは是正しているが日本は突き進んだ。


三、米国一辺倒

政府(外交、軍事)だけでなく経済界と経済学までが米国中心。
米国の押しつけによる経済政策で幾度もダメージを受けながら、まだ手本は米国流です。
米国で成功したとしても日本の現状にそぐわないもが多々ある。
他の国には素晴らしい手本と実績が幾らでもある。


そして重大な少子高齢化と人口減少を放置し、既存産業やシステムからの脱却を行わなかった。
こうして日本経済が衰退し、累積債務は先進国で群を抜いて最大となり、他では起きていない賃金低下が続いている。

政府は新機軸を打ち出したとしているが、実体は抜本的な改革を怠り重病にしただけだ。


次回につづく

20190519

平成の哀しみ 41: 日本経済に何が起きているのか 7: 気になる兆候 7




致命傷とは何か?
区別することは重要です。


 

例を挙げます

交通事故死者数は毎年4千人ほどです。
これは車の欠陥(部品の寿命や故障)が原因でしょうか。
いな、ほとんど人災です。
(原発事故を起こしたチェルノブイリは手順ミス、福島は指摘されていた装備を行わなかったミスです)


毎年多くの人が死亡し障害を負っているが、自動車が禁止されることはない。

もし自動車の原動力が小型原発だったらどうでしょうか?
衝突事故の度に放射能汚染が広がり汚染を除去できない。

当然、製造だけでは安全を確保できないので国民は禁止を願うでしょう。
国民は便益と危険を勘案して即断出来るはずです。


 

しかし大型原発になれば違う。

残念なことに構造が複雑で、身近に見ることもない(危険で)。
さらに放射線の危険性、体内の細胞や遺伝子が破壊される恐ろしさを理解出来ない。
特に確率的に侵され、時間をかけて発症することが見え難くしている。

ここでも国民は理解する努力を惜しみ、政府や代弁者(産学官)の喧伝を鵜呑みにし、判断を委ねてしまう。

こうして災厄は繰り返される。

重要な事は致命傷を負うと感じたら他人任せでなく、少なくとも拒否の表明(投票)が必要です。


次につづく




20190517

平成の哀しみ 39: 日本経済に何が起きているのか 5: 気になる兆候 5






問題視されている経済政策が強引に進められている


いくつか見ます。

日本の累積債務残高は増え続け去年1100兆円になった。

一派はすべて日銀で買い続ければ、幾ら国債を発行しても問題ないと言う。
これなら課税は不要になり、夢のような世界が訪れる。
現状の金融政策はまだ不十分だからもっと加速させろと言う。

別派は「中央銀行による国債の引受け」は財政法で禁止されており、歴史的に繰り替えされた自滅策であると言う。
これなら増税もやむなしか(他に方法はあるが)。
日銀は失敗を認めて欧米のように出口戦略に転換しないと危険だと言う。

さらに国が購入した株は下落すればおそらく40兆円が灰になる。


他にもある。

最低賃金を上げると中小企業が潰れて失業者が増えるから出来ない!
賃金が上がってこそ国内消費が増えて景気が良くなるはずだ!

労働者の首切りを容易にして産業転換を進めるべきだ!
それでは首切りが横行し非正規と低賃金化が益々進み、デフレは深まるぞ!


 


法人や富裕者を減税しないと企業や資産家が国外に逃避し経済が停滞するぞ!
それでは税収不足を消費税で補わなければならず格差拡大が益々進み、国民は苦しくなるぞ!


衰退へ突き進む日本。


次回に続く


20190516

北欧3ヵ国を訪ねて 67: コペンハーゲンで運河クルーズ 2





*1

今回は、コペンハーゲン運河クルーズの後半です。


 
< 2. 運河クルーズの航路、上が北 >

黄線が航路で、Nが前回からの続き、Sが終点(発着桟橋)。
右手(東側)が海側です。
写真は撮影順に並んでいます。





 

< 3.運河で泳ぐ子供達、午後4:40頃 >

水は綺麗だと思うのですが、ここは首都コペンハーゲンです。
本当に信じられない光景です。

もっともストックホルムでも中心部からメ-ラレン湖を上流に船で5分も行けば市民は泳いでいた。
カールスタッドでも中心部、メインストリートの端を流れる川で泳いでいました。
オスロでは市役所のあるオスロ湾のウオーターフロントで市民は泳いでいた。

人口密度が低いのも一因だろうが、北欧は持続可能な自然環境を本当に大切していることを痛感した。






 
< 4. 軍港 >

下: 正面は軍港のようです。
数隻の軍艦、潜水艦が見えました。



 
< 5. 一番海に近づいた >

上: クルーズ船か大型フェリーが見える。

下: 河口の中央に要塞島Trekroner Fortが見える。




 
< 6. カステレット要塞 >

上: カステレット要塞。
右手に人だかりが見えるのは、人魚の像です。

下: 中央に、石の上に腰掛ける人魚の像が見える。
これがアンデルセンの有名な像です。

私は30年以上前に、陸側からこの像を見たことがあります。
その時は、有名なわりに小さく、寂しげな像だと落胆したものです。
当時、訪れた季節は11月で、空が厚い雲で覆われていたので見栄えが悪かったのかもしれない。

やはり今でも一大観光スポットのようです。


 
< 7. フレデリクス教会 >

上: アメリエンボー宮殿の奥に見えるドーム屋根がフレデリクス教会です。

下: また脇の運河に入って行きます。


 
< 8.昔ながらの街並み >

多くのレジャー用のボートがあります。


 

< 9.救世主教会 >

上: 螺旋状の尖塔が美しい救世主教会。
後に訪れます。

下: 多くの市民が運河で寛いでいる。
北欧の短い夏は始まったばかりです。
恋を語らうカップル、上半身裸で船腹を塗装する青年たち、水着になって船上で日光浴する乙女たち、水着でボートを操る若者たち。
ここには暮らしを楽しむ北欧人の姿が集約されている。




 
< 10. 憩い楽しむ市民 >



 
< 11. 王立図書館 >

下: ガラス張りの建物が王立図書館。
後に訪れます。

 
< 12. いよいよ終わりです >

上: 左がクリスチャンスボー城(宮殿)の城壁です。
カヌーを楽しむ人がいる。

下: この運河の奥を右に曲がると発着桟橋です。
中央に見えるのがニコライ教会の尖塔です。


北欧では、どこにいっても日々暮らしを楽しむ人々に出会う。
自然を大切にし、家族や友人と自然に親しむ人々がそこにいる。


次回に続きます。



20190514

平成の哀しみ 38: 日本経済に何が起きているのか 4: 気になる兆候 4





好調を担うもの


日本経済で最も好調なのは円安・株高、就業者数と海外からの旅行客の増加です。

もし、これが現政権による政策効果でないとしたら?

政策の効果なら今後も期待出来るが、これが海外要因や以前からの傾向だったとしたら。
そうとするならバブルを加速させているだけかもしれない。
また悪化が目隠しされ経済の根本的治療を遅らせ、傷を深くすることにもなる。


確認します

円安が始まったのは安倍政権誕生の5ヵ月前、切っ掛けはEUの金融危機が去ったことでした。


 


就業者数は2000年代中頃からリーマンショックを除いて増加傾向にあった。
また増加の主なものは医療福祉従事者と高齢者で、これは以前から増加傾向にあった。

株高は円安を見込んだ海外投機家がアベノミクスへの期待もあっ
て買ったのが始まりでした。
しかし、彼らは去年売り逃げし、現在は日銀と年金資金管理法人が買い支えている。



 


海外旅行客の増加は世界的傾向だが、特に中国の経済成長が大きい。
中国人の海外旅行者数は15年以上も前から鰻登りで、2014年には20%増の1億人を突破した。
これに円安が加わって日本に流れ込んだ結果でした。

つまり別の要因が大きく現政権の成果ではない。



次回に続く





20190513

平成の哀しみ 37: 日本経済に何が起きているのか 3: 気になる兆候 3

 


気になるのはバブル崩壊だけではない。
多くの経済指標が長期衰退を示している。







賃金低下、消費と設備投資の低迷、伸びない生産性、起こらないインフレ、ほぼゼロの経済成長率、貧困率増大、貯蓄率低下、財政赤字増大、外資による企業買収などが目につきます。
これら半世紀間、約10年毎に起こったバブル崩壊の度により悪化して来た

今後バブル崩壊は起きない、アベノミクスで経済は上昇に転じるとまだ信じたいかもしれない。

しかし黒田日銀総裁がバズーカ砲と称し500兆円もの巨額の国債購入を行い、市中に通貨をばら撒いても消費GDP伸びなかった
さらに日銀は主要国がどこも採用していない異例の策、株を毎年買い続け、株価下落を防いでいるが、今や年金資金管理法人と合わせて保有高は0兆円にもなる。

 

普通これだけやってもだめなら、日本経済に根本的な問題があるとみるべきなのですが
福島の原発事故と同じで御用学者は問題ないと言い切るが、後で想定外と言い訳することになるのだろうか

例え経済が分からなくても繰り返された巨額の景気刺激策と金融緩和、そしてバブル崩壊、この長期衰退を直視すれば事の深刻さに気付くはずです


次回につづく


20190512

平成の哀しみ 36: 日本経済に何が起きているのか 2: 気になる兆候 2







今はバブルなのか?


 


多くの人は今の日本がバブルの頂点にあるとは考えないでしょう。
株価は高めで人出不足だが、実態経済を示す経済成長率やインフレ、賃金などは芳しくない。

こんな状況でバブルと言えるのか?
たいして上昇していない株価や不動産が大きく下落するだろうか?

2009年に日経平均が7500円台まで下落しているので、今の2220円が3分の1になる可能性はある。
こうなれば日本の株式時価総額620兆円(2019年3月)の内、410兆円が消えることになる。
一瞬にして、享楽を味わっていた人々は絶望を味わうことになる。

こうなれば金融業界が一気に冷え込み、日本国内の資金供給と消費が共に大きく減退し不況へ、さらに金融危機が再来するでしょう。


ここで注意が必要なのは、バブル崩壊は日本が切っ掛けとは限らないことです。
大きく金融緩和をして来た米国・中国・欧州などが発端になる可能性は高い。

日本の金融緩和は世界でも稀にみる巨大さなのだが、不幸中の幸いと言うか効果がなかった。
景気が良くなって金利が上昇するより、このままゆっくり景気後退する方が国債の膨大な利払いで苦しむことがなく国民には良いかもしれないが。


次回に続く



20190511

平成の哀しみ 35: 日本経済に何が起きているのか 1: 気になる兆候 1








国民は今の経済を順調、それとも衰退と見るのでしょうか
両方の特徴がある


 

 


良い点としては失業率の低下、好調な輸出企業と株価でしょう。
悪い点としては賃金の低下、増加する非正規雇用と財政赤字でしょう。
おそらく多くの人は順調と捉えているでしょう。

ここで一つ確認します。
もしこれら良い点が一過性のものだったとしたら。

当然、投資家と多くの人は一過性で終わるとは考えたくないでしょう。
また若い人は過去のバブル崩壊を知らないので判断出来ないでしょう。

たとえ政府の政策が失業率低下と株価上昇に効果があったとしても、良好な状態が継続するとは限らない。

もっとも起こりうる事態は世界の株価が急落し、それに釣られて日本の株価も下落し、倒産が増え、失業率が上昇することです。

単純な想定として平均株価が1万円を切り、1ドル100円以下の円高になれば日本経済はどうなるでしょうか?
この状況はバブル崩壊翌年の2009年に起こっており、失業率は5.1%まで上昇した。
ちなみに去年の失業率は2.4%でした。


大事なことは、たとえ今が良好だとしてもバブルが崩壊すれば元の木阿弥か、今までの経験から言えばさらに悪化することになる。


次回に続きます。



20190510

平成の哀しみ34: 深まる亀裂 32: 何が重要なのか 3







今回で「深まる亀裂」を終わります

世情に蔓延っているものは何か

悪化に気付かない
歴史の教訓を生かせない
世界を知らない
権威に依存し政治に無関心


 

これが日本の哀しみを生み出している


日本の首相が右翼化し、巷でネットウヨが跋扈する。

安倍首相が右翼化したと言うより、右翼化の波が彼を押し上げ、また彼がそれを煽った。
近隣外交では敵対的な姿勢が目立つが、これは右翼の真骨頂。

ここまでは誰も異論はないだろう。
しかしこれだけでは済まない。

国内の社会経済は低迷し続け、貧乏人は増え続けている。
これは右翼化と軌を一にしている。

今、あらゆる対立が渦巻き深まりつつある。

貧乏人と金持ち、非正規と正規、労働界と経済界、マスコミの左派と右派、野党と与党、老人と若者、女性と男性など。

一方の優勢は勢いを増し圧倒し始めている。

この結果、日本の将来はどうなるのか?

右翼化は戦争の危機や平和の喪失だけではない。
そこにはもっと恐ろしい社会経済の衰退の始まりと暴発の危険が隠されている。

実は、最初に掲げた4つの意識は今に始まったものではない。
これは従来からの社会意識に、戦後の繁栄への執着が加わっての事なのです。


次回から別のテーマで深堀します。




20190509

平成の哀しみ33: 深まる亀裂 31: 何が重要なのか 2






これまで日本の危うい兆候を見て来たが理解する人は少ない


なぜか?

ウヨは「攻めて来る軍隊に向かって憲法9条を掲げて見ろ」と言う。
これを聞いて納得し嘲笑する者は多い。

それでは「洪水で決壊した堤防に向かって砂袋を掲げろ」はどうか。
砂袋は決壊する前に使ってこそ意味があり、当然武器も役に立たない。
短絡思考が幅を利かせている。

これだけではない。

人は内社会の悪化より外部の異変に目を奪われ易く、より危険に感じる。
国が悲惨な状況に陥るのは、攻めて来る外国だけだとするのは早計です。

古くは聖書の預言者が国王の外交ミスが強国の介入を招くと警告した。

古代ギリシャは団結してペルシャ戦争に勝利したが、その後は内戦状態に陥り、遂にはマケドニアに支配され命脈は尽きた。

古代ローマも拡大する侵略戦争、疲弊する社会、傭兵偏重で自壊した。


 

今次の二度の大戦は資本主義と世界経済圏の発達が相まって、西欧列強が植民地獲得競争に狂奔し、至る所に対立の火種が撒かれたことによる。
ドイツに侵攻された英仏はその百年前に火種を作っていた。

つまり世界や歴史から学び論じることがない人々が、徐々に衰退する中で危機意識を持てないことにある。


次に続く