20190514

平成の哀しみ 38: 日本経済に何が起きているのか 4: 気になる兆候 4





好調を担うもの


日本経済で最も好調なのは円安・株高、就業者数と海外からの旅行客の増加です。

もし、これが現政権による政策効果でないとしたら?

政策の効果なら今後も期待出来るが、これが海外要因や以前からの傾向だったとしたら。
そうとするならバブルを加速させているだけかもしれない。
また悪化が目隠しされ経済の根本的治療を遅らせ、傷を深くすることにもなる。


確認します

円安が始まったのは安倍政権誕生の5ヵ月前、切っ掛けはEUの金融危機が去ったことでした。


 


就業者数は2000年代中頃からリーマンショックを除いて増加傾向にあった。
また増加の主なものは医療福祉従事者と高齢者で、これは以前から増加傾向にあった。

株高は円安を見込んだ海外投機家がアベノミクスへの期待もあっ
て買ったのが始まりでした。
しかし、彼らは去年売り逃げし、現在は日銀と年金資金管理法人が買い支えている。



 


海外旅行客の増加は世界的傾向だが、特に中国の経済成長が大きい。
中国人の海外旅行者数は15年以上も前から鰻登りで、2014年には20%増の1億人を突破した。
これに円安が加わって日本に流れ込んだ結果でした。

つまり別の要因が大きく現政権の成果ではない。



次回に続く





20190513

平成の哀しみ 37: 日本経済に何が起きているのか 3: 気になる兆候 3

 


気になるのはバブル崩壊だけではない。
多くの経済指標が長期衰退を示している。







賃金低下、消費と設備投資の低迷、伸びない生産性、起こらないインフレ、ほぼゼロの経済成長率、貧困率増大、貯蓄率低下、財政赤字増大、外資による企業買収などが目につきます。
これら半世紀間、約10年毎に起こったバブル崩壊の度により悪化して来た

今後バブル崩壊は起きない、アベノミクスで経済は上昇に転じるとまだ信じたいかもしれない。

しかし黒田日銀総裁がバズーカ砲と称し500兆円もの巨額の国債購入を行い、市中に通貨をばら撒いても消費GDP伸びなかった
さらに日銀は主要国がどこも採用していない異例の策、株を毎年買い続け、株価下落を防いでいるが、今や年金資金管理法人と合わせて保有高は0兆円にもなる。

 

普通これだけやってもだめなら、日本経済に根本的な問題があるとみるべきなのですが
福島の原発事故と同じで御用学者は問題ないと言い切るが、後で想定外と言い訳することになるのだろうか

例え経済が分からなくても繰り返された巨額の景気刺激策と金融緩和、そしてバブル崩壊、この長期衰退を直視すれば事の深刻さに気付くはずです


次回につづく


20190512

平成の哀しみ 36: 日本経済に何が起きているのか 2: 気になる兆候 2







今はバブルなのか?


 


多くの人は今の日本がバブルの頂点にあるとは考えないでしょう。
株価は高めで人出不足だが、実態経済を示す経済成長率やインフレ、賃金などは芳しくない。

こんな状況でバブルと言えるのか?
たいして上昇していない株価や不動産が大きく下落するだろうか?

2009年に日経平均が7500円台まで下落しているので、今の2220円が3分の1になる可能性はある。
こうなれば日本の株式時価総額620兆円(2019年3月)の内、410兆円が消えることになる。
一瞬にして、享楽を味わっていた人々は絶望を味わうことになる。

こうなれば金融業界が一気に冷え込み、日本国内の資金供給と消費が共に大きく減退し不況へ、さらに金融危機が再来するでしょう。


ここで注意が必要なのは、バブル崩壊は日本が切っ掛けとは限らないことです。
大きく金融緩和をして来た米国・中国・欧州などが発端になる可能性は高い。

日本の金融緩和は世界でも稀にみる巨大さなのだが、不幸中の幸いと言うか効果がなかった。
景気が良くなって金利が上昇するより、このままゆっくり景気後退する方が国債の膨大な利払いで苦しむことがなく国民には良いかもしれないが。


次回に続く



20190511

平成の哀しみ 35: 日本経済に何が起きているのか 1: 気になる兆候 1








国民は今の経済を順調、それとも衰退と見るのでしょうか
両方の特徴がある


 

 


良い点としては失業率の低下、好調な輸出企業と株価でしょう。
悪い点としては賃金の低下、増加する非正規雇用と財政赤字でしょう。
おそらく多くの人は順調と捉えているでしょう。

ここで一つ確認します。
もしこれら良い点が一過性のものだったとしたら。

当然、投資家と多くの人は一過性で終わるとは考えたくないでしょう。
また若い人は過去のバブル崩壊を知らないので判断出来ないでしょう。

たとえ政府の政策が失業率低下と株価上昇に効果があったとしても、良好な状態が継続するとは限らない。

もっとも起こりうる事態は世界の株価が急落し、それに釣られて日本の株価も下落し、倒産が増え、失業率が上昇することです。

単純な想定として平均株価が1万円を切り、1ドル100円以下の円高になれば日本経済はどうなるでしょうか?
この状況はバブル崩壊翌年の2009年に起こっており、失業率は5.1%まで上昇した。
ちなみに去年の失業率は2.4%でした。


大事なことは、たとえ今が良好だとしてもバブルが崩壊すれば元の木阿弥か、今までの経験から言えばさらに悪化することになる。


次回に続きます。



20190510

平成の哀しみ34: 深まる亀裂 32: 何が重要なのか 3







今回で「深まる亀裂」を終わります

世情に蔓延っているものは何か

悪化に気付かない
歴史の教訓を生かせない
世界を知らない
権威に依存し政治に無関心


 

これが日本の哀しみを生み出している


日本の首相が右翼化し、巷でネットウヨが跋扈する。

安倍首相が右翼化したと言うより、右翼化の波が彼を押し上げ、また彼がそれを煽った。
近隣外交では敵対的な姿勢が目立つが、これは右翼の真骨頂。

ここまでは誰も異論はないだろう。
しかしこれだけでは済まない。

国内の社会経済は低迷し続け、貧乏人は増え続けている。
これは右翼化と軌を一にしている。

今、あらゆる対立が渦巻き深まりつつある。

貧乏人と金持ち、非正規と正規、労働界と経済界、マスコミの左派と右派、野党と与党、老人と若者、女性と男性など。

一方の優勢は勢いを増し圧倒し始めている。

この結果、日本の将来はどうなるのか?

右翼化は戦争の危機や平和の喪失だけではない。
そこにはもっと恐ろしい社会経済の衰退の始まりと暴発の危険が隠されている。

実は、最初に掲げた4つの意識は今に始まったものではない。
これは従来からの社会意識に、戦後の繁栄への執着が加わっての事なのです。


次回から別のテーマで深堀します。




20190509

平成の哀しみ33: 深まる亀裂 31: 何が重要なのか 2






これまで日本の危うい兆候を見て来たが理解する人は少ない


なぜか?

ウヨは「攻めて来る軍隊に向かって憲法9条を掲げて見ろ」と言う。
これを聞いて納得し嘲笑する者は多い。

それでは「洪水で決壊した堤防に向かって砂袋を掲げろ」はどうか。
砂袋は決壊する前に使ってこそ意味があり、当然武器も役に立たない。
短絡思考が幅を利かせている。

これだけではない。

人は内社会の悪化より外部の異変に目を奪われ易く、より危険に感じる。
国が悲惨な状況に陥るのは、攻めて来る外国だけだとするのは早計です。

古くは聖書の預言者が国王の外交ミスが強国の介入を招くと警告した。

古代ギリシャは団結してペルシャ戦争に勝利したが、その後は内戦状態に陥り、遂にはマケドニアに支配され命脈は尽きた。

古代ローマも拡大する侵略戦争、疲弊する社会、傭兵偏重で自壊した。


 

今次の二度の大戦は資本主義と世界経済圏の発達が相まって、西欧列強が植民地獲得競争に狂奔し、至る所に対立の火種が撒かれたことによる。
ドイツに侵攻された英仏はその百年前に火種を作っていた。

つまり世界や歴史から学び論じることがない人々が、徐々に衰退する中で危機意識を持てないことにある。


次に続く





20190508

北欧3ヵ国を訪ねて 66: コペンハーゲンで運河クルーズ 1





*1

これから2回にわけて、コペンハーゲンの運河クルーズを紹介します。
快晴の下、心地よい川風を受けて首都中心部を一巡しました。


 
< 2. ボートの航路 >

上: 私が乗ったボート運行会社の航路図。
黄、青、赤、緑の航路があり、私が乗ったのは黄線です。
乗船位置は赤星印S表記で、乗船時間は1時間です。

運河クルーズは何種類もあり複雑で、私は予定と違ってこのボートに乗ってしまったが失敗ではありませんでした。
他に青星印のボート発着場所が二ヵ所あるので注意してください。
それぞれ運行会社が異なったり、航路やコペンハーゲンカード利用の有無が異なります。

下: 今回紹介する航路を黄線で示し、緑線は次回の紹介になります。
赤い矢印がボート発着場所Ved Strandenです。
ピンク線は地下鉄駅Kongens Nytorvからの徒歩コースです。
ここはロスキレから電車でNørreport駅まで来て、地下鉄に乗り換えて一駅目です。


 
< 3. いよいよ乗船 >

上: 発着場所にあるチケット販売所。
ここでコペンハーゲンカードを見せると無料で乗車出来る。

下: 私は撮影の為に、ボート最後尾に座った。
一つ注意があります。
このボート上でのガイド説明は英語やデンマーク語だけのようで、私は理解できませんでした。
発着場所が異なる別会社Netto Boatsのガイド説明も同じようです。

しかしこのVed Strandenから出るHop On - Hop Off Boatは日本語(イヤホーンだろう)もあるようです。
こちらの方が途中7ヶ所自由に乗り降り出来るので良いのですが、コペンハーゲンカードが使えません。


 
< 4. 出航直前 >

上: すぐ近くにあるクリスチャンスボー城。
後日訪問します。

下: 午後の一時、運河沿いで日光浴を楽しむ人々。
乗船したのは2018年6月7日(木)、16:30~
17:30です。


 
< 5. いよいよ出航 >

上: 右に旧証券取引所、左にホルメン教会が見えます。

下: 本流に出た所で、振り返った。
左から旧証券取引所、クリスチャンスボー城、ホルメン教会が見える。



 
*6

上: 本流から、進行方向の海側を望む。



 
< 7. Nyhavn 、ニューハウン >

下: コペンハーゲンで最も有名な運河沿いの街並みニューハウン。
ボートはここに入りませんでしたが、後に訪問します。



 
< 8. デンマーク王立劇場 >

私が北欧を訪れて一番驚いたのは、「市民はいつ働いているのか?」でした。
ストックホルム、カールスタッド、オスロ、コペンハーゲン、皆同じでした。
平日午後、早々に市民は湖畔、河畔、海岸に出て日向ぼっこ、泳いだり、家族や友達と飲食を楽しんでいた。
それも凄い人出でした。

羨ましいことに、こんな仕事ぶりで一人当たりの国内総生産高は日本の2倍近いのです。
何が違うのか、深刻に悩んでしまいます。


 
< 9. オペラハウス >
上: 遠方にオペラハウスが見える。

下: 運河、家族でボートを楽しんでいる風景。


次回に続きます。




20190507

平成の哀しみ32: 深まる亀裂 30: 何が重要なのか 1






これまで隣国との対立や戦争、軍事について見て来ました。
今、私達は何を求められているのか。

戦争を始めるのは非常に簡単で誰にでも始められるが、これを終結させ、さらに再発を防ぐ為に敵対から融和に持ち込むことは甚だ困難です。



 


これを実現できる人物は今の日本に見当たらない。
何故か?

* 大国に従属するだけで隣国と融和を図った経験がない。

* 閉鎖的な国民は融和よりも敵視する世論に傾きやすい。

* 社会が混乱すると国民は指導者に身を委ねやすい。

* 指導者は民主的よりも強権的なやり方を望むが、国民はこれを許す。

* 指導者は失敗や不都合を隠蔽し、全情報を統制し始める。

こうして明治以降、戦争は繰り返されて来た。


さらにここ半世紀、特に平成になってからの変化が追い打ちをかけている。

* 欧米先進国で経済成長鈍化と経済格差が進行中。

* 冷戦の後遺症と難民流入で、欧米先進国は宗教と民族間の対立が激化した。

* 日本は平成以降、欧米以上に経済が失速し貧困率が増加した。

つまり日本の政治文化の悪弊に先進国に共通する経済的ダメージと対立が重なり、益々日本は危うくなっている。

日本の歴史と現状をよく見れば、この指摘は間違っていないはずです。



次回に続く






20190506

平成の哀しみ31: 深まる亀裂 29: 敵対と融和 3

 






人はなぜ攻撃的になるのか?

これは厄介だが避けられない。

人類は進化の過程で、未来に不安と希望と言う相対する情動を持つようになり、失敗の少ない発展を手に入れるようになった。

しかし、一方が強く働くと問題が生じる。
例えば、異なる集団に不安を感じると、やがて強い憎悪を抱き、予防的な敵対行動に出ることがある。
初めは些細なもめごとでも互いにエスカレートする。
この過程で内集団の共感が高まり愛国心の高揚が起き、大規模な抗争に発展する。

逆に不安を感じないのも問題で、大きな失敗をし易くなる。


つまり人類はまだまだ敵対し易い。

実は敵対と融和感情はノルアドレナリンやドーパミンなど幾多の脳内ホルモンが関わっている。
極論すればホルモンの分泌、遺伝と生得による脳の特性が敵対と融和を決めることになる。

共感度が低く攻撃的な性格を持つ人は社会にいつも一定数存在する。
時に社会が不安定化すると、人々はこのタイプの指導者を担ぎ出すことになる。
例えば、企業で云えばリストラを貫徹出来るトップ、戦争で云えば犠牲を
気にしないで大攻勢をかけるトップを皆が欲するからです。





こうして社会は敵意を増大させ、争いを加速させることになる。


次回につづく