< 1. 嘘の国と真実の国 >
下の写真は北欧5ヵ国の首相。
前回、かつて日本は報道の自由が無くなり自滅したことを見ました。
同じ状況がアベの下で進んでいることも確認しました。
今回は、報道の自由が高い国ほど国民が幸福であることを見ます。
はじめに
日本の報道の自由度ランキングはかつて11位(民主党政権下)が最高でしたが、2回のアベ内閣で下がり、現在はついに180ヵ国中72位まで下がりました。
西欧諸国で日本より低い所は無く、既にアフリカのボツワナ48位やニジェール61位よりも低いのです。
とても先進国とは言えない状況です。
このままアベ政権が続くと、国連の勧告を拒否したことでもわかるように、さらに報道の自由を制限し、国政を私物化することになるでしょう。
恐ろしいことに、既にNHK始め、多くのマスコミが真実を報道しなくなり、官僚は事実を捻じ曲げるようになったので、益々国民は蚊帳の外に置かれることになる(3月29日、NHKの報道統制が国会で暴露)。
しかし、今なら政権交代で良くなる可能性があります。
かつて第一次アベ内閣の後は良くなったのですから(この時は短期だった)。
ここで視点を変えてみましょう。
報道の自由が脅かされると、国家が暴走したり国が権力者に私物化されることを皆さんは理解したとしましょう。
しかし、一方で報道の自由を手に入れてもメリットが無いと思われるかもしれません。
そこで、報道の自由度が高い国ほど国民に幸福をもたらしていることを見ます。
< 2. 報道の自由度が高い国 >
上記表はすべて2017年の180ヵ国中の「報道の自由度」「一人当たり名目GDP」「男女平等」の上位ランキングです。
橙、緑、茶色の線が相互の繋がりを示しています。
* 報道の自由度が高い国では何が起きているのか?
これから幾つかの客観的な指標を使って、「報道の自由度」が高い国は世界と比べて何が優れているかを見ます。
上の表の「報道の自由度」上位にある北欧、1位ノルウェー、2位スウェーデン、4位デンマークを見ます。
この三ヵ国は隣国同士で、かつてバイキングの国であり、同じ民族圏に属します。
するとどうでしょう、この三カ国は「一人当たり名目GDP(USドル)」は上位12位まで、「男女平等」は上位14位に入っているのです。
ちなみに日本は22位、114位で、経済高く、人権低いでしょうか。
< 3.民主主義指数 >
これはイギリスのエコノミスト誌傘下の研究所エコノミスト・インテリジェンス・ユニットが世界167ヶ国を対象に2年おきに発表しているものです。
上位にあるほど民主主義度が高い。
黄色マークは北欧5ヵ国を示し、国名右側の順位は「報道の自由度」の順位を示す。
当然ですが、「報道の自由度」が高いほど「民主主義指数」は高い。
日米は「報道の自由度」が低いので、当然、欠陥のある民主主義と言うわけです。
< 4. 経済民主主義指数 >
英グラスゴー大学の教授が2017年に発表したもので、OECD加盟国のうちトルコやメキシコを除く32カ国を対象に「経済民主主義指数」を算出した。
重視した調査項目は「職場および労働者の権利」、「経済に関する決定権の分配」、「マクロ経済政策における決定権の透明性と民主化度」です。
これは金融セクターの強さや徴税権の中央集権化の度合い、また腐敗、説明責任、中央銀行の透明性、政策決定の過程に社会の多様な構成員が関与しているかどうかも調査した結果が含まれている。
上表の上位6位までに北欧4ヵ国(青線)が入っている。
ちなみに米国は最下位から2位、日本は4位になっている(赤線)。
< 5. ジニ係数 >
ジニ係数は所得の不平等度を示す指標で、所得が完全に均等に分配されている場合は0となり、1に近づくほど不平等度が高いことを意味する。
上のグラフ: 2008年の再分配後のジニ係数を示す。
北欧4ヵ国は上位から11位に入っている。
ここでも米国は30ヵ国中下位から4位、日本も下位から11位、つまり所得格差が大きいことを示す。
下のグラフ: 北欧を含めて概ね世界の主要国でジニ係数が上昇し、所得格差が拡大している。
これは世界が自由貿易で繋がっており、北欧も資本主義で貿易依存度が高い為に、どうしても悪貨が良貨を駆逐するようにな状況にある。
これは世界が一緒になって対処しなければ格差が拡大し続けることを示している。
対策としては1980年代から始まった自由放任経済に終止符を打つことであり、具体的にはピケティやスティグリッツらが対策を提案している。
< 6. 世界幸福度報告 >
これは国際連合の持続可能開発ソリューションネットワークが発行する幸福度調査のレポートです。
2016年、157ヵ国が対象になっている。
表の青印は北欧5ヵ国で、その内の丸印は北欧3ヵ国を示し、幸福度は上位10位に入っている。
一方、赤丸の日本は53位に過ぎない。
ちなみに報道の自由度ランキング43位の米国は幸福度で14位です。
* 報道の自由度が高い国は国民にとって良い国と言える
上記の結果をまとめます。
「報道の自由度」が世界トップレベルの国(北欧5ヵ国)は、「一人当たり名目GDP」、「男女平等」「民主主義」「経済の民主主義」「所得格差(ジニ係数)の低さ」、さらに「幸福度」もトップレベルでした。
7つの指標を見る限り、疑義を挟む余地はなさそうです。
つまり国民にとって良い国なのです。
一方、「報道の自由度」が低い日本は、とても先進国とは言えない。
「報道の自由度」が低い米国も似たようなものです。
しかし日本は、これから「報道の自由度」の劣化がボディブローのように効き、さらに上記指標が悪化していくことでしょう。
これで「報道の自由度」が国民にとって重要であることを感じていただけたでしょう。
しかし、まだ信じられない方もいるでしょう、疑いは当然です。
北欧5ヵ国の大戦の被害、天然資源の豊富さ、大国との関係、民族と歴史など様々に異なります。
それでもここまで似通った結果が出ることは驚きです。
* なぜこのような結果が生まれたのか
「報道の自由度」がなぜ国民に幸福をもたらすのか。
もしあなたが誰かと交渉する時、相手が嘘つきで騙すことが平気な人物であればどうでしょうか。
善良なあなたでも、この人物を避けることが出来なければ、家族を守る為にはったりや嘘もつくことになるでしょう。
どちらにしても協力し合える仲にはならない。
私達の社会では、あらゆる集団(様々な力の異なる場合も)が関わりながら共に暮らしています。
主要なものとして政府と国民、企業家と労働者があります。
もし一方が真実を伝えず嘘をつくようであれば結果は明らかで、互いに反発し協力することは無い。
実は、北欧の政治社会が上手く機能しているのは、政府と国民、企業家と労働者が協力し合えるからなのです。
その為には互いに嘘と隠し事がないように、「報道の自由度」を高くし、いつでも真実を知ることが出来るようにしているのです。
逆に、これが脅かされると国民や労働者は激しく抗議し、是正を求めるのです。
こうして「報道の自由度」が確保された社会では、話し合いを通じて互いに協力し合えるのです。
そして弱者や様々な人権を守りながら、国際競争力を高める為に、必要な競争も受け入れることが出来るのです。
このことがスウェーデンのマイナンバー100%や労働組合組織率70%に結び付くのです。
ちなみに日本ではそれぞれ8%と18%です。
残念ながら、「報道の自由度」「男女平等」「民主主義」「経済の民主主義」「所得格差」が劣る国では、政府と国民、財界と労働界、男性と女性、与党と野党は対立するばかりで、共に協力して社会を発展させることが出来ない。
だから日本の政権のように、国民に真実を告げて批判に晒されるより、虚偽発言や文書改ざん、そして報道を弾圧して事を進めようとするのです。
特にアベのように、極端に右傾化する場合、「報道の自由度」がないがしろにされてしまうのです。
始めこそ悪意が無くても、協力が得られず事が順調に進まなくなり、やがて嘘に嘘を重ねるようになり、更に酷い状況に落ちるのが歴史の常でした。
次回に続きます。