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20191001

北欧3ヵ国を訪ねて 88: 北欧の旅を終えて 9 : 北欧の人々の声 2







 
< 1.Älvsjöでは移民が多い >


今回はスウェーデンの移民男性を紹介します。


既に電車内でスウェーデン人の若者から声を掛けられ、少し話をしたことはあったが、これが北欧での最初のインタビューでした。
彼はストックホルム近郊の都市Älvsjöのホテルでフロント係をしている。
初めて見た時、彼はインド人の移民に見え、英語が使えると思い、また優しそうなので声を掛けました。
彼とは片言の英語でやり取りし、英語のアンケートを見せて英語で記入してもらった。
彼は英語で質問して来るので、上手く対応できない自分に苛立った。

 
< 2. Älvsjöのホテル >


彼の回答を紹介します。

1. あなたの国で最も素晴らしいものは何だと思いますか?
  
答え:  the Swedes (people)(スウェーデン人)

2. 現在、あなたの国や生活で不安や不満はありますか?

答え: the laws and orders belong to 20years ago, when here were not so many immigrants.
Many immigrants need to be trained as Swedes so, they can obey the rules.
( 訳: 法や秩序が20年前のもので、移民が少なかった頃のもので古い。移民はスウェーデン人としての教育を受け、この国の規則に従うことが出来る)

3. 何があなたの国を良くしていると思いますか?
   
答え: The older type of raising on educating children!  Not the new style of raising children.
( 訳: 古いタイプの子供教育で、子育てのスタイルは新しくない)

4. 日本について知っていること、または感じていることはありますか?
  
答え: Peaceful and orderly people, Judo, Kodokan and Yasuhiro Yamashita, Ryunosuke Haga.
( 訳: 平和を愛し秩序正しい人々、柔道、講道館、柔道の山下と羽賀選手)

5. 大半の日本人は北欧について無知で、暗いイメージを持っています。
何にか一声お願いします。

答え:  good image. (良いですよ)


 
< 3. ロスキレの校庭にて >


解説と感想

彼はイランからの移民で、およそ20年ほど経っており、英語が充分使えるようです。
彼は40歳代で温和で冷静沈着な人柄です。
知識と体格から見て柔道をやっていたのだろう。

彼は移民を問題視している。
都市によれば30%を超える移民が暮らしており、年々増加している。
北欧での移民への教育や待遇は進んでおり、スウェーデン語か英語が出来れば、賃金は平等(業種毎)に扱われる(教育機会は与えらえれる)。
これは日本とは真逆の発想です(企業が儲かれば良い)。
賃金の平等化は非常に重要な政策で、労働者全体の賃金低下を防ぎ、また移民の生活悪化による社会不安を無くす効果がある。
そうは言っても街中で見る移民(有色人種)は清掃などに多いように思えた。
なぜ移民を多く受け入れのだろうか?
察するに北欧は人道や平和で世界貢献すべし考えているからだろう。
(PKOや和平の仲介などに熱心)

また彼も先述の日本女性のように教育の良さを強調している。

私も日本の衰退を止めるには教育が重要だと考える。
一番の癌は惰性に過ぎる経済と政治だが、これを看過する国民が大勢を占めている。
これは長きにわたる愚民教育(政治から目をそらせる)のせいとも言えるが、この教育を正す手立てがない(北欧は真逆)。
なぜなら中央政府が教育行政を握っているからであり、政治を替えなければ良くすることが出来ない。
私は、この不毛な悪循環を断つ手立てを思いつかない。

彼は私ともう少し話したがっていたようだが、英語が出来ないので私は逃げるばかりだ。
声を掛けた北欧のほとんど人は英語が出来た、特に年配者は100%。
私が日本人とわかると、親切だけでなく、親しみと好感を持ち、挨拶や案内、会話をしたがる人が多くいた。
しかし何人かの若い人は、道を聞いても会話が進まなかった(理由が分からない)。

次回に続きます。




20190929

北欧3ヵ国を訪ねて 86: 北欧の旅を終えて 7 : 北欧の国民性 2









< *1 かつての日本人の海外移住 >

ヴァイキングが教えてくれたこと


日本のある著名人は、心優しい日本民族が虐殺などするはずが無いから、隣国からの非難は嘘だと言う。
そして多くの国民も溜飲を下げる。

私はヴァイキングの子孫の国、北欧を訪れたが、彼らが凶悪だと感じたことはなく、むしろ非常に親切です。

一方で、900年前のヴァイキングによる虐殺や略奪は真実です。
彼らはヴァイキングの冒険家と交易者の側面を誇りにしているが、その一方、かつての悪行も認めている。
前回見たように国民性はなかなか変わらないので、上述の説は辻褄が合わない。

この稚拙な説を採り上げるのは気が引けるのですが、残念ながら多くの人が真に受けている。

これも戦史や心理学、人類学を少し学べば、人は容易に状況に支配され異常行動をとること、またその程度は国民性によって左右されることが理解出来るはずです。

日本の国民性には著しい特徴があり、良くも悪くも大きく作用して来た歴史がある(ドイツと似ている)。

良い例としては、明治維新や戦後復興などを国民が一丸となって行ったことです。
悪い例としては、日清日露戦役から太平洋戦争に至る道でした。
心配な点はヒトラーのような独裁者が居なくても、一丸となって闇雲に突き進んでしまうことです。
現在も、省みることなく惰性のまま進んでいる。


 
*2

なぜ日本は閉鎖的なのか

北欧と日本は同じように海で囲まれ大陸の端にある細長い国土に住みながら、なぜかくも異なってしまったのか。

一つは語族です。
デンマークは同じゲルマン民族であるドイツと陸続きで、北欧三ヵ国は同じゲルマン語族です。(フィンランドは異なる)
後に新旧教徒の違いはあるが同じキリスト教を受容し、大陸との繋がりは深い。

一方、日本は隣国と言語を異にし、宗教も異なる。

もう一つは生業です。
日本は稲作農耕民のお陰で食料が豊富で、また南北に伸びる列島の産物が自給を可能にし、巨大都市を出現させた。

日本にも、かつて遠洋航海の交易民、倭寇がいた。
彼らはヴァイキングに3世紀ほど遅れ数世紀間活躍した。
しかし彼らは海流・海風に恵まれた北西九州の島嶼部を拠点にしたに過ぎない。
海賊は日本各地に多数存在したが、その活動は近海に限られていた。
幸か不幸か、日本では危険な遠洋航海で生計を立てる必要がなかった。

これらの違いが大きい。


 
*3

 
*4


閉鎖性が招く衰退

現在、海外志向を持つ日本の若者が減っている。
1ヵ月程度の語学留学は増えているが、長期海外留学は減っている。
一方、日本の政府や経済界は巨大なインフラ輸出(原発など)を次世代の産業に育成しようとしている。
おそらく多くの国民は、この政策に夢を抱くかもしれない。
残念ながら、この二つの現象は表裏一体であり日本をさらに衰退へと向かわせる。

日本が活況であるなら、若者が日本に残ることも良いだろうが、現在急速に衰退している。
所得低下が災いしているので同情するが、かつて大正時代に前後して100万人以上が日本から海外移住したこともあった。

またインフラ輸出は聞こえが良いが、産業の空洞化を加速させ、後に日本国民が発展途上国のカントリーリスクを長期に背負うことになる(原発事故の補償など)。
(実はこのパターンは西欧が帝国主義に邁進した結果、国民が税負担と命を投げ出すことになったのと同じです)

二つに共通していることは日本が惰性に流れ、世界から目を背けていることから起こっている。
やはり海外との差、特に衰退を自覚することが出来ないのが問題です。
またインフラ輸出の問題は、日本が諸外国の実情と世界史に関心がないことから気づかない。

明らかに我々は閉鎖的な民族であって、余程意識して海外に目を向けていないと、同じ轍を踏むことになる。
我々には、この自覚が必要です。

このことをヴァイキングが教えてくれた。


次回に続きます。



20190928




*1


なぜ北欧は成功したのか


彼らの国民性が幸いしている

経済的側面から見ると、旺盛な海外志向が大きい。
これは多言語教育や、規模を問わず海外進出を図る企業や個人の姿勢に見られる。

社会的側面から言うと、高い政治と社会意識が大きい。
これはほぼ全員のボランティア参加や高い投票率に見られる。

この淵源はどこにあるのだろうか?
これはヴァイキング時代に遡るだろう。

ヴァイキングの大遠征(北米への航海など)は先駆を成すもので、危険極まりないものでした。
当初は、作物が採れない冬期の交易の為で、スカンジナヴィア半島内を行き来するものでした。
やがて航海術の向上、西欧の発展による交易のメリット、西欧からの侵略への対抗策として、逆に遠洋航海による交易と侵攻に向かったのだろう。
そして彼らが非キリスト教だったことが暴力行為への抵抗を弱めた。

もう一つの側面は共同体の有り様でした。
ヴァイキングが作った国、アイスランドは直接民主主義でした。
遠征時のヴァイキングのリーダーも仲間によって選ばれた。
このことは出港地の村落共同体でも同じでした。


 
*2


ヴァイキング精神は今も生きているのか?

逆に、国民性は何百年も経てば特徴を無くしてしまうのでしょうか?
実は、国民性を育む文化、特に生業と家族形態が存続していれば、国民性は生き続けます。

ヴァイキング精神はゲルマン文化と氷河後退地の地形と気候が育んだと言える。
言語や法意識(村の掟)は、農耕と牧畜を生業としたゲルマン文化を受け継いだ。
一方、寒冷気候と痩せた土壌、平らな大地を縦横に貫く遠浅の湖や河川、また荒海から深く入った良港のフィヨルドは、北欧の生業と交通手段を規定した。
それは水際の小さな村落で漁労、農業、牧畜を細々と兼業していくことでした。
そして喫水の浅いボートで遠くまで交易することで不足の資材を補った。

このことにより、アジアのような大規模な農耕地と大都市の出現が遅れ、
かつての地中海の海洋都市国家のように、植民都市開拓や交易に重きをおくようになった。
このことが、後に誕生した王や貴族への権力への集中が遅れた理由でしょう。


この背景になっている状況は、それほど変わらなかったと思う。
ノルウェーなどはむしろ海上運輸や海洋資源を生かし続けている。

おそらくは国民性を育む最も重要な家族制度にも変化はなかっただろう。


 
*3

ストックホルムとオスロの巨大な墓苑を見たが、多くはシンプルな墓石で装飾にあまり差が無く、大きさにも差がなかった。
そして区画ごとに整然と並んだ墓石群、森林に囲まれた様子を見て、今なお、かつての国民性は健在だと感じた。
(新しい一部の墓石には大きなものや華美なものもあったが)

人は墓に最も保守的な側面、自然や社会への意識を遺すものです。


次回に続きます。


20190927

北欧3ヵ国を訪ねて 84: 北欧の旅を終えて 5


  


*1


北欧の歴史的意義とは?


 
< 2.2019年の世界幸福度ランニング、北欧青矢印 >
赤矢印の日本は低下し続けている(2015年は46位だった)。


不思議な北欧

北欧三ヵ国の人口は530~990万人と少ない、当然経済大国ではない。
寒冷地の為、農作物は期待出来ない(自給出来るようになったが)。
ノルウェーを除いて豊かな資源国とは言えない。
しかし日本のGDPに占める貿易額(輸出と輸入の計)の比率が30%に比べてスウェーデンは60%もある。
これが経済の強みの一つです。


北欧三ヵ国は福祉国家を目指している。
簡単に言えば、国が人権(健康・安全・生活)を手厚く保障している。
日本の通念では、国民の権利保護の行き過ぎが経済の自由を奪い、経済失速を招くはずです(米国に沿った主張)。
北欧は試行錯誤しながら隣国同士が切磋琢磨しながら国民の権利保護と経済成長を両立させ来た。

この試みは20世紀半ばに始まったに過ぎない。
なぜ彼らは画期的な挑戦を始め、成功させているのだろうか?
社会主義と目指す所は同じようだが、独裁と官僚主導を排し、経済効率も手に入れている。


北欧はバルト三国ほどではないが、侵略の苦渋をなめて来た。
両地域には似た宿命がある。
大国(ドイツやソ連)に侵攻され、また互いに争うこともあった。
助け合うこともあるが強固な同盟を結ぶわけでもない。

弱小国だけに、独立は武力ではなく世界の信任に頼らざるを得なかった。
現在、北欧三ヵ国は西欧(EUやNATO)との絆を強め、1世紀前の中立政策から距離を置いているようだ。

北欧三ヵ国は過去の軋轢を乗り越え、同じゲルマン民族として、よく似た政体(立憲君主制、福祉国家)を保持している。




 
< 3.小さな国土ながら世界に打って出た国々、赤の星印 >

小さいが一味違う北欧

小国が世界をリードしたことはあっただろうか?
ユダヤ王国、古代アテネ、古代ローマ、リトアニア、ポルトガル、オランダ、イギリス、日本などはどうだろうか?
これらの国は初期こそ国土は小さいが、やがて周辺から世界に君臨したことがあった。
但し、武力を背景にしていたが。

かつて日本は西欧の覇者イギリス、フランス、ドイツに政治・産業・軍事を学んだ。

しかし、これからの時代、最大の軍事力や経済力ではなく、国民が最高の幸福と所得を共に得ている北欧から学ぶべきではないだろうか。

米国は同じ資本主義である北欧に比べ国民の幸福と平和において遥かに及ばない。
(米国の平均所得は高いが、90%の国民は低い)

北欧はこれまで世界を席巻した文明国とは一線を画している。
この国々は今が旬かもしれない。
遠く小さいからと侮ることは避けたいものです。


次回に続きます。


20190926

北欧3ヵ国を訪ねて 83: 北欧の旅を終えて 4





*1

日本にとって北欧とは?


 
< 2. 両国にとって天国とは? >


北欧は遠い

北欧は寒くて荒海に閉ざされ、人口は少なく、作物は乏しく、小国ばかり。
まして大阪からストックホルムまで直線距離で8000km、航空機で12時間と遠い。
(エアチャイナの北京経由であれば時間はかかるが往復7万円台で可能)

北欧では収入の半分以上が税や保険料として徴収される、いくら教育・医療・福祉が無料だとしても、日本の現状から想像するに生活なんぞ出来ないぞ!
ましてそんな巨大政府の下では官僚や役人が横暴で、また平等が押し付けれ生活の隅々まで制約され息苦しいはずだ!

確かに日本の中央集権化しマンネリ化した政治状況で暮らす国民にとっては、議員や官吏の腐敗、汚職、非効率は当然に思えるかもしれない。

しかし、まったく違うのです。
日本の政治家は年3000万円貰っても賄賂を要求し汚職をするが、北欧の議員は手弁当であり、汚職がニュースになることは無いそうです。
共産圏のように一党独裁ではなく多党制です。
当然、日本のように世襲議員が50%越える党などないし、女性議員は5割近いのです。

日本にどっぷり浸かっていると、どうしても日本の悪弊から抜け出せない。
思考が停滞してしまう。



< 3. 日本と北欧の政治家の違い >


少し海外を知るだけで
北欧の政治や経済システムがわからなくても、自らの足で北欧を1週間ほど巡ると、日本との差異に気付くはずです。
それも大きな違いに!

郊外の都市であれ首都であれ、午後4時半を過ぎる頃には、市民は仕事から解放されて至る所で寛いでいる(6月初旬)。
夫婦や子供らと、そして恋人や友人と、街の中の公園や海岸・湖畔・河畔やレストランで過ごしている。

逆に、日本の飲み屋街や赤ちょうちん、くだを巻く男性の集団を見ることはなかった(35年前はそうだった、今回、夜遅く出歩いていない)。

また男性が乳母車を押している姿を如何に多く見たことか。
北欧では男女同権が浸透し、家事や育児の分担が進み、制度的にも支援が行き届いている(女性の8割以上は勤めている)。


さらに
このような少ない労働時間でも北欧の一人当たりの国民所得は日本の2倍弱あるのです。
(女性の高い就労率と賃金差の無いことも大きいのだろう)
しかも主要な出費は無料です。
(私には円安も加わり物価は高かった)
浮き沈みはあるが、概ね日本よりも高い経済成長率が続いている。

不思議に思いませんか?


次回に続きます。



20190925

北欧3ヵ国を訪ねて 82: 北欧の旅を終えて 3







*1


かつて日本は異国から数多くを学んで来た。
今もその時です。


これまでの日本

日本列島は古来より大陸の影響を受け、多くの技術、文化、制度、思想を受容して来た。
江戸時代までは中華文明、明治維新以降は西欧文明、敗戦後は米国と、柔軟に対応して来た。

しかし気になることがある。
それは受容が中央政府からのトップダウンになりがちだと言うことです。
残念ながら日本列島は海と異言語によって周辺国から閉ざされている。
どうしても政府の都合で、受容すべきものが選択され、入手出来る情報も偏ってしまう。

このことは現在のようなIT社会でもあまり変わらない。
やはり日本語使用が世界で1ヵ国だけであり、さらに海外に無関心な日本の国民性が大きい。
その上、マスコミやインターネットで政府追従によるネガティブ・キャンペーンやフェイクの発信が続くと防ぐ手立てがない。


 
*2

それでも
例えば、日本の現状が成熟か凋落かを知るにはどうすれば良いのでしょうか?

国内に立ち止まり、昔を振返っても分からない。
残念なことに、国が隆盛期を過ぎて衰退している時、往々にして内に籠り易くなる(かつての英国の保守化と帝国主義化)。


やはり思い切って、日本を外から俯瞰するしかない。

二つの方法がある。
一つは、国際機関が発表する経済や社会指標の推移を見ることです。
一目瞭然ですが、発表機関の偏りを見抜く必要があります。

例えば米国の体制寄りの機関であれば米国や日本に高評価を与えます。
国際的または西欧の機関の多くは、北欧などを高評価し日本を低評価しているが、西欧や自国への評価も低いことがあるのです。
つまり公平に扱っているようです。

今一つは、特色ある国を知ることです。
例えば、高福祉国家の北欧、発展を続ける共産主義中国、資本主義先進国だが分裂著しい米国などです。
知る方法としては、やはり訪問するのが手っ取り早い。

あたりまえだが、やはり海外を訪れる以外に道はない。
「人の振り見て我が振り直せ」でしょうか。


 
*3


とは言っても
やはり上記の手段を取れる人は少ない。

そうであっても、国民が海外事情に疎いことで大きな失敗を招いた歴史があったことを忘れないで欲しい(太平洋戦争への道)。
日頃から、心地よい情報を疑い、時には自ら真贋を確認するようにして下さい。

私は北欧の旅行記を通じて真の姿を伝え、微力だがネガティブ・キャンペーンに抵抗したい。


次回に続きます。


20190923

北欧3ヵ国を訪ねて 80: 北欧の旅を終えて 1





< 1. 1984年訪問時のスウェーデン郊外1 >


私が北欧を訪れたいと思ったのは、日本の進むべき道を知りたかったからです。
そして北欧への羨望と日本への哀惜の念はさらに深まった。
それでも日本への愛着が衰えることはないが。
これから北欧と日本への想いを語ります。


 
< 2. 2018年の北欧旅行のルート >


はじめに
私が北欧に初めて関心を持ったのは40年ほど前でした。
当時、日本は高度経済成長のピークを過ぎ、その余韻を残してはいたが、先が見えなかった。(今の方がより見えなくなっているが)
一方、北欧は高度福祉国家として名声を博していた。

当時、日本でスウェーデンに関してよく知られていたのはダンスミュージックのABBAとフリーセックスぐらいでした。
一方、数社のスウェーデン・メーカーは日本で今より活躍していた。


 
< 3.1984年11月訪問時のスウェーデン郊外2 >

1984年にスウェーデンとデンマークを視察し、現地の企業経営、福祉政策、人々のライフスタイルに深い感銘を受けた。
この1週間ほどの訪問で、私は日本と北欧二ヵ国の差異をつぶさに見聞した。

大きなカルチャーショックを受けたが、一言で言えば「家族と日々おおらかに楽しむ北欧」と「がむしゃらに走り続ける日本」の違いでした。
当時、北欧の暮らしに憧れたが、まだ日本の未来に希望を抱いていた。





 

< 4.1984年訪問時のコペンハーゲン >


それから35年経った現在、両者間には更なるギャップが生じていた。

日本の経済や社会の水準は概ね世界の30位前後まで低下し、一部の指標では100位前後も増えた。
一方、北欧4ヵ国は概ねほとんどの指標で5位以内を占め、希に10位内もあるが。

私は日本の現状を憂う中で、「北欧は手本になりうるのか」また「日本に欠けているものは何か。経済、政治、社会、国民性のどこに問題があるのか」の答えが無性に知りたくなった。
そして自ら北欧を訪れるしかないと決意した。

しかも観光ではなく、北欧三ヵ国の社会の実情と文化歴史を直に体得する必要がある。
この為に、一人で公共交通機関を使い、自分の足と口で、人々に接しながら北欧の首都と地方都市を巡ることでした。


次回に続きます。


20190713

平成の哀しみ 89: 何が日本を貶めているのか 6: パトロネージュ 1






*1

政治家と後援者の癒着について
海外の事例を見ます

 

 
< 2.植民地支配がもたらした悲劇 >

アフリカで政治腐敗から抜け出せず、内戦が頻発している国の多くは、実はこのパトロネージュの罠にはまっています。

日本と異なり政党(自民党)ではなく、部族対立に起因しているがメカニズムはまったく同じです。

ある部族の代表が選挙で勝っと、自分の部族を優遇し他部族を冷遇する政策を露骨に始めます。
そうしないと同じ部族民が次の選挙で強力に支援してくれないからです。
こうして大概、対立はエスカレートし内戦まで進みます。



 

 
< 3.止められない自民党の口利き >

日本はここまで酷くはないが、やっていることは五十歩百歩です。
要は、帰属する集団を一義的に考え、社会全体の公正さを軽視する社会で起こります。
つまり日本の政治社会は、口利き(賄賂)がまかり通り、ダブルスタンダードに違和感を持たない、親分子分の世界、村意識の強い社会なのです。

この手の社会は南欧にもあり、多くは政治腐敗が深刻で経済も停滞している。


しかしこの対立は古い文化によるとは限らない。

アフリカや中東には部族や宗派によるパトロネージュから未だに抜け出せない地域が多い。
これは1世紀前、宗主国が植民地支配の為に恣意的な国境策定と部族の分断を強化したことも一因になっている。

実は敗戦後の日本も同じことが起きた。
後に語ります。


次に続く


20190516

北欧3ヵ国を訪ねて 67: コペンハーゲンで運河クルーズ 2





*1

今回は、コペンハーゲン運河クルーズの後半です。


 
< 2. 運河クルーズの航路、上が北 >

黄線が航路で、Nが前回からの続き、Sが終点(発着桟橋)。
右手(東側)が海側です。
写真は撮影順に並んでいます。





 

< 3.運河で泳ぐ子供達、午後4:40頃 >

水は綺麗だと思うのですが、ここは首都コペンハーゲンです。
本当に信じられない光景です。

もっともストックホルムでも中心部からメ-ラレン湖を上流に船で5分も行けば市民は泳いでいた。
カールスタッドでも中心部、メインストリートの端を流れる川で泳いでいました。
オスロでは市役所のあるオスロ湾のウオーターフロントで市民は泳いでいた。

人口密度が低いのも一因だろうが、北欧は持続可能な自然環境を本当に大切していることを痛感した。






 
< 4. 軍港 >

下: 正面は軍港のようです。
数隻の軍艦、潜水艦が見えました。



 
< 5. 一番海に近づいた >

上: クルーズ船か大型フェリーが見える。

下: 河口の中央に要塞島Trekroner Fortが見える。




 
< 6. カステレット要塞 >

上: カステレット要塞。
右手に人だかりが見えるのは、人魚の像です。

下: 中央に、石の上に腰掛ける人魚の像が見える。
これがアンデルセンの有名な像です。

私は30年以上前に、陸側からこの像を見たことがあります。
その時は、有名なわりに小さく、寂しげな像だと落胆したものです。
当時、訪れた季節は11月で、空が厚い雲で覆われていたので見栄えが悪かったのかもしれない。

やはり今でも一大観光スポットのようです。


 
< 7. フレデリクス教会 >

上: アメリエンボー宮殿の奥に見えるドーム屋根がフレデリクス教会です。

下: また脇の運河に入って行きます。


 
< 8.昔ながらの街並み >

多くのレジャー用のボートがあります。


 

< 9.救世主教会 >

上: 螺旋状の尖塔が美しい救世主教会。
後に訪れます。

下: 多くの市民が運河で寛いでいる。
北欧の短い夏は始まったばかりです。
恋を語らうカップル、上半身裸で船腹を塗装する青年たち、水着になって船上で日光浴する乙女たち、水着でボートを操る若者たち。
ここには暮らしを楽しむ北欧人の姿が集約されている。




 
< 10. 憩い楽しむ市民 >



 
< 11. 王立図書館 >

下: ガラス張りの建物が王立図書館。
後に訪れます。

 
< 12. いよいよ終わりです >

上: 左がクリスチャンスボー城(宮殿)の城壁です。
カヌーを楽しむ人がいる。

下: この運河の奥を右に曲がると発着桟橋です。
中央に見えるのがニコライ教会の尖塔です。


北欧では、どこにいっても日々暮らしを楽しむ人々に出会う。
自然を大切にし、家族や友人と自然に親しむ人々がそこにいる。


次回に続きます。



20190510

平成の哀しみ34: 深まる亀裂 32: 何が重要なのか 3







今回で「深まる亀裂」を終わります

世情に蔓延っているものは何か

悪化に気付かない
歴史の教訓を生かせない
世界を知らない
権威に依存し政治に無関心


 

これが日本の哀しみを生み出している


日本の首相が右翼化し、巷でネットウヨが跋扈する。

安倍首相が右翼化したと言うより、右翼化の波が彼を押し上げ、また彼がそれを煽った。
近隣外交では敵対的な姿勢が目立つが、これは右翼の真骨頂。

ここまでは誰も異論はないだろう。
しかしこれだけでは済まない。

国内の社会経済は低迷し続け、貧乏人は増え続けている。
これは右翼化と軌を一にしている。

今、あらゆる対立が渦巻き深まりつつある。

貧乏人と金持ち、非正規と正規、労働界と経済界、マスコミの左派と右派、野党と与党、老人と若者、女性と男性など。

一方の優勢は勢いを増し圧倒し始めている。

この結果、日本の将来はどうなるのか?

右翼化は戦争の危機や平和の喪失だけではない。
そこにはもっと恐ろしい社会経済の衰退の始まりと暴発の危険が隠されている。

実は、最初に掲げた4つの意識は今に始まったものではない。
これは従来からの社会意識に、戦後の繁栄への執着が加わっての事なのです。


次回から別のテーマで深堀します。