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今回は、物価が上がらない理由を考えます。
* 身の回りで起きている怪奇現象
1. なぜ株価は乱高下するのか? 済
2. なぜ賃金は上がらないのか? 前回
3. なぜ物価は上がらないのか? 今回
4. なぜ政府の累積債務は増え続けるのか? 次回
5. なぜ経済は良くならないのか?
* なぜ物価は上がらないのか?
本来、消費者にとって物価上昇は好ましくないのですが、アベノミクスの売りの一つがリフレ策だったので採り上げます。
リフレ策は、インフレを無理に起こし、国民が物価上昇前に消費を急ぐようになり、景気が良くなる事を狙った。
しかし御立派な学者が熱弁を振るい、日銀のバズーカ砲(ヘリマネ)が炸裂しても、見事に不発で失敗しました。
普通の人々は、景気が良くなって消費が増えこそインフレになると知っているのだが。
この政策の間が抜けているのは、肝心なことを見落としたからです。
日本のGDPに占める個人消費と民間住宅投資が60%もあるのに、80%ほどの国民の所得が下がり続け、さらに増税で財布の口を閉じさせて、消費が増えるはずがない。
これで景気が悪くなったことは、今、誰しも実感している。
つまり、物価が上がらない一番の理由は大多数の国民の所得が上がらないからです。
残念ながら、日本を牽引する東大出の経済学者と日銀総裁、私大出の財務大臣にはこれが分からない、今も反省の弁は聞かれない。
もっとも現代貨幣理論MMTは日本の現状を見抜いていますが。
実はここが問題なのです。
欧米各国も、わかっちゃいるがやめられないのです。
グローバル化で、国内産業が他国との厳しい競争に晒される中で、政府と経済界は労働者の低賃金化が最も手っ取り早いからです。
現実には競争に打ち勝つ手は幾つもあります。
国内への設備・開発投資による生産性向上、付加価値の高い新規産業の創出、労働者の転職を支援し旧態依然とした業界の刷新などです。
残念ながら、これは口で言うほどた易くなく、特に日本では旧態依然とした業界と政府の癒着が進んでいるので不可能に近い。
結局、経済界が望み政府がとる策は、最も安易な金融(投機)・富裕層の優遇と労働者の賃金低下しかないのです。
前者の言い訳として、安倍元首相は口角泡を飛ばして「トリクルダウンが国民を潤す」と賜っていた。
(ただ安倍は効果が無いと知れると早々と2015年から、白を切り始めたが、もともとご都合主義だったのだろう)
素晴らしいのか、残念なのか日本が最も賃金を下げることが出来た。
もし先進国の国民が、賃金の伸び悩みとデフレの関係に疑いを持てば、状況は変わるのでしょうが。
現実に、労働界は弱く、国民は労働条件の悪化に鬱鬱として従うだけです。
残念な事に、なぜかアングロサクソンの国と日本では政府はやりたい放題だが、フランスやドイツ、北欧4ヵ国では政府が気を使ってくれる。
トランプ現象は、国民の鬱積した不満が暴発したと言えるかもしれない。
(うまくガス抜きが出来ないと大爆発するかもしれないが)
つまり政府と御用学者は、労働者の賃金低下に白を切らざるを得ないのです。
もし国民が真実を知り賃金上昇を求めると、現代の経済システムを根底から覆すことになるからです。
ここ40年ほど、企業と富裕者に恩恵を与える経済システムを造り上げて来たのですから。
トリクルダウン等は付け足しの言い訳なのです。
次回に続きます。
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