20210305

没落を食い止める! 12: 世界はなぜ悪化しているのか? 4

  

 



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今回は、累積債務が増える理由を考えます。

 

 

* 身の回りで起きている怪奇現象

 

1. なぜ株価は乱高下するのか? 済

2. なぜ賃金は上がらないのか? 済

3. なぜ物価は上がらないのか? 前回

4. なぜ政府の累積債務は増え続けるのか? 今回

5. なぜ経済は良くならないのか? 次回

 

 

* なぜ政府の累積債務は増え続けるのか?

 

 

< 2. 世界の政府の累積債務、GDPに対する% >

https://www.weforum.org/agenda/2015/11/how-should-the-world-deal-with-sovereign-debt-crises/

赤線は先進国、オレンジ線は世界全体、緑線は発展途上国。

 

かつて欧米は戦争によって巨大債務を背負うことがありましたが、その後減らすことに努めました。

しかし今は違い、先進国だけが急激に債務を増やし、大戦期に近づいています。

発展途上国は、これに比べると穏やかです。

 

単純に、債務の増大は年々の税収よりも出費が多いからですが、国によって状況は若干異なります。

 

 

 

< 3. 日本の各年の国債発行額 >

https://www.nippon.com/ja/japan-data/h00714/

 

累積債務がGDPの270%に達して先進国最悪を突き進む日本について見ます。

 

グラフから、91年バブル崩壊とリーマンショックが二大要因だとわかる。

しかし日本は他の要因も抱えており、長年のバラマキ公共事業、二度の震災復興、経済低迷による税収減、法人や富裕層への大幅減税、高齢化で増加する社会保障、コロナ禍対策(160兆円増?)などです。

これらは政府の危機管理の未熟、贔屓の業界や富裕層・法人の優遇が招いたものです。

残念ながら現行の政府であれば、グラフのように悪化するのは必然です。

 

 

しかし世界が同じように悪化しているからには共通の理由があるはずです。

 

 

 

 

< 4. 米国政府の累積債務、GDPに対する% >

https://zfacts.com/national-debt/

赤線は共和党政権、青線は民主党政権時を示す。

ピンク矢印は米国で起こった金融危機、1987年、2000年、2008年を示す。

 

傾向として、大幅減税(富裕層)を実施し景気を煽った共和党で債務が増える。

一方、景気過熱後のバブル崩壊で財政出動しなければならない民主党でも債務は増える。

トランプ政権は大幅減税とコロナ対策失敗(300兆円?)。

 

グラフから1980年代に始まるレーガン政権が、現在の債務増大の先鞭をつけたことがわかる。

世界の債務(グラフ2)もこの時期から急増した。

 

この急増時期にこそ、現在の先進国衰退の秘密がある。

 

それは政府が税収ではなく、中央銀行に大量の貨幣供給を行わせ、借金(国債)で政府支出を賄うようになったからです。

加えて大量の貨幣供給がバブルを引き起こし、崩壊の後始末にさらなる膨大な貨幣供給を行わざるを得ない悪循環に陥ったからです。

 

 

* 今、世界は?

 

コロナ禍で日本の累積債務は1500兆円を越えるでしょう。

もし金利が5%になれば、年間の金利返済額だけでも75兆円になり、日本の税収65兆円を越えてしまう。

今は、不景気で金利が零なので助かっていますが、これは世界も同様の爆弾を抱えている。

 

膨大な金融緩和の結果、世界中の政府や企業、家計の債務残高は過去最大の約28000兆円に上っている。

(各国政府の債務以外では米国の学生ローン返済、オーストラリアの住宅ローン返済など)

これは世界全体のGDPの約3倍の規模で、地球上の全人口74億で割ると1人当たりほぼ380万円に相当する(一日1.9ドル以下で暮らす人は7億人)。

 

 

 

< 5. ピケティ『21世紀の資本』図表より >

https://cruel.org/books/piketty/capital21c/pdf/F5.8.pdf

 

ところが上記グラフを見ると、世界の資本はGDPの4.5倍に達している(参考)。

つまり巨大な借金があると言うことは、それに匹敵する資産を持つ人々がいるのです(当然)。

さらに残念な事に、一般国民はこの資本の一部しか持てず、その割合は減りつつある。

 

極論すれば、政府は国民に莫大な借金(国債)をする一方で、超富裕層は莫大な富を増加させる時代になったのです。

 

上記の説明は厳密ではありませんが、世界の全体像が掴めると思います。

 

 

次回に続きます。

 

 

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