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今回は、良くならない経済について考察します。
* なぜ経済は良くならないのか?
この答えが分かれば、日本も世界も救われるのですが。
取り敢えず、経済と社会を悪くしている先進国共通の問題をみます。
端的に言うと、最大の問題は次の三つです。
l 賃金が上昇しない
l 投機が横行している
l 超富裕層が国を動かしている
これを排除出来れば、世界経済は順風満帆になり、国民生活と社会は良くなります。
早い段階での路線切り替えであれば良かったのですが、今となっては既成勢力が圧倒的な力を持っいているので不可能にすら感じる。
しかし放置すると、再度トランプ現象(脈絡なく窮鼠猫を噛む事態)を招き、遂にはヒトラーの再来になって滅亡するかもしれません。
残念ながら日本にはさらに上記以外に根深い問題が加わります。
* なぜ賃金が上昇しないことが問題なのか?
既に見たように、賃金が下降すれば、消費と住宅建設が減り、経済が落ち込むのは経済の基本で、この解決が絶対条件です。
単純に、昔と同じように働いているのに、貧しくなり学校に行けず、充分な衣食住が手に入れられず、結婚も出来ないことは異常です。
(発展途上国が追い上げても、変動為替相場制なので、日本の生産性が大きく落ち込まない限り現状維持は可能でしょう。だが一部の産業を守るために為替や経済を歪めると無理です)
普通に考えて、文明が発展し、国力が増しているのに多くの国民の生活が良くならない事に、国民は疑いを持つべきです。
* 三つの根深い勘違い
l 人類は充分豊かになったので、これ以上は望むべくもない。
これは間違いです。
心身や自然を酷使する必要はないが、効率よく働き、文明の発展に相応した生活を手に入れることは当然です(医療・介護・教育の向上、労働時間を短くして暮らしを愉しむなど)。
事実、一部の富裕層は加速度的に富を増やし、望む限りの贅沢が出来る。
また福祉国家を目指した北欧では、国民全体の生活向上が続いている。
l 企業や経営者・富裕者を優遇すれば、やがて国民におこぼれが回ってくる(トリクルダウン)。
これは洗脳で間違いです。
< 図2. 所得と消費の関係 >
これは日本の10分割された所得階層の中間と上位(右側)の所得推移を示す。
右側の赤線(可処分所得)が増えても、黄線(消費支出)は横這い。
上位所得層は所得が増えても消費を増やさない。
むしろ左側の中間所得層は赤線が横這いでも、黄線は増えている。
つまり上位所得層を減税しても消費が増えないので、トリクルダウンは起きない(給付や減税など方法によって効果は異なる)。
通常、所得が低い程、消費せざるを得ないので、消費税減税は効果がある。
現在、上位所得層を規制緩和、高給、減税などで幾ら優遇しても現実の経済は悪化の一途なので間違っているのは明白です。
しかし徹底的に刷り込まれて来たので、国民は疑わない。
こんな例がある。
日本では30年以上、電気事業連合会が総額2兆4000億円の広告費を投じ、この結果、世論は原発忌避から賛成へと変わった苦い過去がある。
さらに政官学に財界・裁判所・マスコミが一致団結し、市民の原発反対を無力化した。
本来、企業が従業員の賃金を上げて消費を増やし、企業が投資することにより競争力と付加価値を上げてこそ、経済が好循環する。
しかし今の日本の経済界は18世紀の英国と同じ轍を踏んでいる。
国民がこのプロバガンダに気付き反対しない限り、企業と政府は国際競争力を盾に賃金を下げ続けることになる。
l 賃金は自由市場で決まるべきで、賃金の高い安いは当然。
これも深刻な嘘です。
経営者の高給は、自然淘汰と言うより、経営や資本を掌握する人々による謀議の結果です(日産の元ゴーン会長、関電のトップの給与など)。
知って頂きたい事は、自由市場は多くの場合、機能していないのです。
多くは資金力と、政府との癒着による保護と寡占です。
現在、各国政府は大企業の更なる寡占や独占を促しています。
また、ここ1世紀の歴史を見ても、労働者の賃金上昇は政府による労働者の権利擁護が契機になっています。
例えば、最低賃金制や同一労働同一賃金制、組合結成の奨励などです。
残念ながら米国主流の経済学は、金融で稼ぐ為のもので、現状(国民)を救う気はありません。
反骨の経済学者や現代貨幣理論の学者は違うようですが。
次回に続きます。
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