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前回失礼ながら、今の政治の腐敗と混乱の責任は国民にあると言いました。
これは自浄作用がなく暴走し続ける安倍政権には責任能力がないからです。
しかし私達には国を正常にする責任があります。
家族、伴侶、子供、孫たちの為に。
*2
はじめに
最も指摘したいことは、「国政トップの責任を云々する場合、事態が深刻なほど既に手遅れになっている」と言うことです。
既に見て来ましたが、ドイツ、日本、米国でトップが世論を操作し、開戦に持ち込んだ状況を思い出して下さい。
戦争が始まれば、まず破滅に近い状態まで進んでしまいます。
それを後になってトップの責任を問い刑に服させても後の祭りです(罪に問えない方が多いが)。
重要なことは、政治腐敗と権力者の暴走を国民の手で即座にストップすること、さらには未然に防止することです。
*3
* 今、直ぐに国民が果たすべき責任
暴走する安倍政権に責任能力はないので、先ずは何としてでも辞めさせる事が必要です。
残念ながら、政権与党に国会の議席を圧倒的多数与えてしまっているので、通常の手段(選挙)で倒閣は無理です。
しかし遅れれば遅れるほど暴走と権力集中が進み、取返しがつかなくなる。
ここは倒閣の世論を高め、各地で行われているデモに参加し、直接行動するしかない。
放送局の多くは政府の圧力に屈し安倍擁護に廻っていますが、幾つかの新聞や雑誌は安倍政権の虚構を暴露し続けています。
朝日、毎日、東京新聞、日刊ゲンダイ、東洋経済は、幾ら政府・与党・右翼から攻撃されてもジャーナリズムの責任を果たしている。
しかし、安倍擁護の放送局、新聞、雑誌、インターネットサイトは絶大な物量を誇っています。
ほとんど多勢に無勢と言うところです。
しかし今回の京都知事選では共産推薦の立候補者が敗れたとは言え44%の得票を得た。
これは政権与党(自民党)への批判が大きい。
倒閣の兆しは熟しつつある。
ここで、少し留意していただきたいことがあります。
・ デモは政治改革に残された正当な最後の手段です。
このことは「何か変ですよ! 110: 未来の壁 8」で説明しています。
日本人は市民意識が未だに成熟しておらず、諸外国に比べデモなどの集団的な示威行動が苦手です。
もっともデモを軽蔑する政府と与党の意識は後進国以下ですが。
・ 紳士的な行動をとるべきです。
安倍首相は自分(日本会議、ウヨ)の事を棚に上げて、よく「左派は人権無視」と言っているらしいが、右翼の挑発に乗って過激になることは避けたい。
政府はこれを取り締まり強化の口実にする(議席が多数)。
戦前、このことが治安維持法など民衆取り締まりの法案成立に繋がった。
・ リーク(内部告発)を守ろう。
最近とみに官庁サイドからリークが多くなり、安倍政権の虚構が次々と暴露されるようになったが、政権はこれに公然と圧力をかけ始めた。
本来、組織内の不正を暴く内部告発(リーク)は歓迎されてしかるべきで、これに圧力を掛けることは先進国では犯罪です(内部告発者保護プログラムがある)。
残念ながら民主主義が未発達な日本では政府が公然と取り締まりを宣言しても、奇妙な事に国民は怒りを示さない。
日本では公務員の内部告発が法的に守らていない(今回の腐敗を想定してか、骨抜きになっている、巧み)。
国民はこのことを理解し、リスクを冒して行ってくれるリークを温かく見守ってあげてほしい。
これらの努力が報われて安倍政権の倒閣が無事なったとしましょう。
*4
* 次なる責任とは
倒閣したから成功ではない、それはほんの始まりに過ぎない。
実は、今回の破局を招いた国民の責任には三つある。
A: 安倍を支えた自民党支持者、そして強固な右派や保守派です。
B: 安倍政権を危惧し、倒閣に立ち上がった人々。
C: 政治に無頓着な人々。
Aは確信犯であり、世界の右翼化や衰退に脅威を感じた人々と既得権益層です。
当然、今の政治腐敗と暴走を助長した彼らの責任が最も重い。
しかし、彼らは未整備な法や規制の目をくぐり抜けて行っているので、罪に問うことは困難です。
まして、彼らは自発的に非を認めたり、自ら行動を抑制することをしないだろう。
つまり、彼らに責任を問うことは無理なのです。
このタイプの人は己の行動原理が日本のかつての戦争を押し進めたことに戦後70年経っても未だに気がついていない。
彼らの暴走は、ドイツのように法による規制か、大きな世論による抑制でしか止めることは出来ない。
Bの人々に責任が無いとは言えないが、安倍批判を訴え続けた貢献は認めるべきです。
彼らがいなければ、日本はそれこそ世界200ヵ国中、最下位から数十番の低劣位国に早晩なっていたことでしょう。
Cの人々の責任が最も大きい。
これは奇妙に聞こえ、また怒りを感じ方もいるでしょう。
例えて言うと、まさに沈没しつつある船で多くの人が助かる為には、常軌を逸した人(A)や訓練された乗務員(B)よりは、多数の乗客(C)が如何に冷静に振る舞えるかにかかっています。
Cの人々は、悪意を持っていないが社会人として無自覚であり、人口が最も多い。
彼らが現状の危機に目覚め、社会人として政治的責任を果たさない限り、日本の衰退は止まらず、再生は潰える。
国民多数の自覚が得られない限り、例え安倍が政界から退場しても、いずれトランプを凌ぐ危険人物を生むことになる(日本の民主度、報道の自由度は既に米国よりも低いので)。
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* 政治に無頓着な人々に望むこと
彼らは、現実社会はこのまま何事もなく過ぎていくと感じている。
少し深入りしてみても、せいぜい官僚がサボり、社会が少し右傾化しているが、株価は上昇しているからいいじゃないかと思うぐらいでしょう。
ここで安倍政権をこのまま放置してはならない理由を簡単に要約します。
彼らが以下の事をどれだけ理解するかに掛かっている。
・ 官僚は国民を欺き、国民を完全に無視するようになった。
彼らは政権首脳の利権(縁故主義)、経済界優先の政策実行、そして失政隠しや擁護の為には、あらゆる隠蔽、文章・データー捏造、虚言を行うようになった。
今回、腐敗が暴かれていなければ、国民は騙されたままあらゆる便宜供与、格差拡大を招く政策、言論弾圧、経済破綻危機、国際緊張などが亢進しただろう。
このようになったのは安倍政権が官庁を恣意的に操り、監督を怠ったと言うより国民に奉仕すべき官庁に手抜きや倫理崩壊を促した結果と言える(ずさんな文書管理、繰り返す虚言)。
さらに、批判的なマスコミを裏で弾圧し、御用新聞・論者・議員による露骨な擁護キャンペーン、さらに内部告発を妨げる法施行などで、国民に真実が見えなくなったことが大きい。
これらすべてが安倍政権下で益々強力に押し進められいる。
・ 経済政策は基本的にバブル頼りと短期成果狙いで、ほとんどの国民は長期的に所得と福祉の低下に見舞われ、さらに国の財政破綻を早めるだけに過ぎない。
安倍政権の政策の要は米国流の自由放任経済とマネタリズムの踏襲で、巨大バブルの来襲と長期的な格差拡大が必然です。
日本は人口減が大きい為、米国のような経済成長は期待できず、米国でここ30年間で起きた90%の国民の所得減だけが実現するでしょう。
さらに日本は米国以上の未知の危険な領域に踏み込んでしまった。
それは世界に類を見ない財政悪化状態で行われている、急激で巨大な貨幣供給、日銀の膨大な国債引き受けと大量の株購入です。
これらにより、今進みつつあるバブル崩壊次第で甚大な被害が出る。
・ 他の問題の一部
弾圧されて真実を伝えなくなったマスコミ、シビリアンコントロールが効かない自衛隊、米国追従と隣国敵対外交、日本の先進国を示す指標が軒並み低下など。
おそらく無自覚な人々は、これらの問題を気に掛けていない。
彼らも、少し疑って調べれば恐ろしさを理解できるはずです。
人気の学者が太鼓判を押しているから経済は大丈夫と考えるのは危険です。
絶えず繰り返されたバブル時にはいつもこのような泡沫学者は居たのです。
既に述べて来たように、世界に目をやり、世界の歴史を知り、未来を予測するようになればわかります。
そして、彼らが社会的・政治的責任を自覚し選挙行動を行えば、日本は衰退と破綻から免れ、再生を促す可能性が出てくるのです。
次回に続きます。