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今、国民が取り組むべきは政府の腐敗一掃です。
しかし、これが恐ろしいほど深く根を張っている。
この辺りを噛み砕いて話します。
* 腐敗の現状
現在判明している状況を要約します。
A: 中央省庁が軒並み不正を働いている
財務省、厚労省、文科省、警視庁、会計検査院など多くの省庁で隠蔽・公文書改ざん・虚偽答弁などが組織的に繰り返され蔓延している。
B: 上記不正のほとんどが首相の意向に沿うか縁者を利している。
不正は閣僚や与党議員に有利なものもあるが、圧倒的に首相の意向と縁者に有利である。
目立つ省庁の隠蔽・公文書改ざん・虚偽答弁はすべて首相や閣僚を守る為になされた。
また森友事件(偽ゴミ報告)や加計事件での各省庁による裏工作、口止め、嫌がらせ、圧力も、最終的に首相を守ることになる。
強姦容疑者逮捕寸前での逮捕状執行停止は首相に最も近い番記者(容疑者)と首相側近が関与。
C: 政府は数々の追及に対して1年以上否定し続け、さらに真相の追及を妨げた。
森友、加計事件の国会で厳しい追及があったにも関わらず、首相と閣僚は所轄部署の不正が完全に露見するまで否定し続けた。
例えば、ここ数日の麻生大臣の国会答弁が示すように、否定していた「忖度」をやっと認め、さらに驚くべきは、あれほど疑念を持たれていた「決裁書改ざん」を自ら命じて調べることがなかった。
このことから現時点の証拠だけでも、過失ではなく故意の隠蔽に限りなく近く首相を含む閣僚の責任は重大です。
* 実は、腐敗の根はさらに深い
確かに、現時点では首相らが直接に不正行為を指示した証拠はない。
しかし、日増しに不正関与の疑いは濃厚になりつつある。
この連載で既に述べて来たことですが、官僚だけでなく日本の組織は上層部に忖度し組織的に不正行為を働く可能性が非常に高い。
この状況は、強権的なトップ、省庁の存続危機(過去の不正への追及)、恣意的な報酬・制裁人事が行われ始めると、さらに酷くなる。
これが安倍政権になってから省庁の不正行為が頻出した理由と言えます。
だが、さらに首相らから直接不正行為を促す圧力があったと言える。
かつて「忖度」を説明した際、上層部は非常に巧みに部下に不正行為を促すことが出来ると説明しました。
事細かく指示しなくとも「鈍感な奴だな」と恫喝するだけで、部下は意向に沿ってバレないことを願いながら不正行為を行います(理不尽だが現実です)。
ただ、今回の文書改ざんのように財務省本省の理財局次長ら18人の印があり、組織的であることから佐川理財局長が知っていることは確実だろう(太田現理財局長の発言)。
また当時、国会答弁を行った佐川は麻生財務相の本省直属の六人の部下の一人であり、事前に麻生と佐川がまったく不正行為について話さなかったのは不合理です。
また佐川にとって、暴露は前任の迫田理財局長の時の便宜供与(森友8億値引き)が発覚するだけだが、改ざんすれば自分がより重い罪(公文書偽造、共謀罪)を負うことになる。
いくら国税庁長官に出世出来るからと言って、こんな危険で馬鹿げた不正を、それも組織を巻き込んでやるはずがない。
つまり、麻生は真っ黒、おそらく安倍も一連托生だろうが、残念なことに証拠がない。
*2
* ここからが問題
おそらく、佐川の証人喚問だけではらちが明かないだろう。
佐川は「検察取り調べ中に付き、証言を拒否する」として、国会の調査は進展しない。
(既に不正が明白な状況で、彼は麻生に義理立てして嘘を続ける必要がなく、むしろ自白の方がメリットがあるはずだが)
当然、麻生も自白するはずがない。
残念ながら、安倍の人気が続く限り、他の証人喚問(明恵、迫田など)は不可能で、真実は白日の下に晒されることはないだろう。
このような時、何か軍事的脅威や注意をそがれる事件でも起きれば、腐敗に対する危機感は霧散霧消してしまう。
そうなれば、また安倍の支持が回復し、腐敗が加速することになる。
* 安倍恐怖の始まり
安倍政権になって進行している恐怖の実態を確認します。
問題は中央官庁の腐敗だけではないのです。
安倍個人の性向(直情径行、タカ派、独善)が社会を蝕んでいる。
例えば、前川前事務次官が今年2月に中学校で講演していたが、講演を依頼した市教委に文科省が露骨な検閲と嫌がらせを行っていた。
文科省は前川氏を誹謗中傷し圧力をかけた。
これが官邸の指示かどうかは不明だが、これは彼が加計事件で内部告発し職を辞した後も官僚と首相らを批判し続けることに対する制裁と口封じです。
これは首相の批判者を徹底的に叩く性向が中央官庁に沁み込みつつある例です。
*3
しかし、この状況は社会全体に既に蔓延している。
2001年、NHK番組改変問題が起きました。
政府が日本軍性奴隷制を裁く女性国際戦犯法廷に関する番組に干渉し、NHKは大幅な改変を行った。
2005年、朝日新聞がこの改変を暴露した。
この干渉の主役が安倍官房副長官でした。
当時NHK放送総局長の松尾氏は安倍から呼び出され、必死に説得したが、理解が得られず、局に戻って大幅な番組の改変を指示することになった。
後に彼はこの間違った対応への後悔を含め、安倍から「勘ぐれ」と言われ、忖度を強要されたこを証言した。注釈1
つまり、安倍は忖度を強要する常習犯だったのです。
この後、NHKは更なる政府からの干渉に喘ぐことになる。
経営委員会に、安倍友の百田尚樹、長谷川三千子が送り込まれた。
極め付きは経営委員に選ばれた籾井勝人でした。
発言「政府が『右』と言っているのに我々が『左』と言うわけにはいかない」
こうしてNHKは沈黙していった。
* 安倍の恐怖は留まるところを知らない
実は安倍の恐ろしさはこんな生やしいものではない。
< 4. 日本の報道の自由度は安倍人気と共に低下中 >
2017年、ついに日本の順位は世界72位に輝きました(涙)。
(あの中国に抑圧されている香港73位よりはマシなのが救い。笑い)
今年、アベ政権は「報道の自由」についての国連勧告を拒否した。
つまり堂々と認めたのです。
これは何かの間違いでしょうか、それとも安倍の実力なのでしょうか?
*5
答えは、2016年7月の池上彰の暴露にあります。
要旨は、テレビ局の報道抑制、つまり真実を語らないのは「忖度」と言うような生易しいものではなく、裏に安倍政権の圧力がある。注釈2
以下に抜粋要約します。
「かつて、権力サイドは『メディアに圧力をかけてはいけない』というのが共通認識でした。
しかし、安倍政権になってからは、自民党はおもなニュース番組をすべて録画して、細かい部分まで毎日のように抗議し、訂正を求め、注文をつけてくる。
こうして次第に『文句を言われない表現にしようか』となってしまうのです。」
「さらに深刻なのは『電凸』です。
『電話で突撃する』という意味のインターネット用語ですが、一般の読者や視聴者が、気に食わない報道があると、スポンサー企業に一斉に抗議電話をかける。
『不買運動をする』なんて言われるとビックリするんですね。
昨年6月に自民党の議員が、マスコミを懲らしめるためにスポンサーに圧力をかけることを提案して、問題になりました。
それも実際にはすでに行われているんです。」
「この『電凸』にしても、自民党、とくに安倍氏周辺が下野した時代に、自民党ネットサポーターズクラブ(J-NSC)というかたちでネトウヨを組織し、その下地をつくってきたものだ。」
「第1次安倍政権(06〜07年)の時に、メディアへの抗議が増えたんです。
ところが、安倍さんが辞めた後にパタリとなくなりました。
福田政権、麻生政権、民主党政権の時は抗議が大量にくるようなことはなかった。それが第2次安倍政権(12年〜)になって復活しました。」
以上です。
* 最後に
こうしてマスコミが政府や右翼に牛耳られて行く状況は、正に祖父岸信介が活躍した、大陸進出に至る言論抑圧の時代に酷似しているのです。
本当に、安倍は戦前を取り戻したいようです。
結論は、安倍首相を政治から排除する以外に、日本を再生する手段はないのです。
終わります。
注釈1
*長井暁さんの記者会見発表文書(全文)
*「NHKよ、安倍さんがそんなに怖いのか!」 2015.8.27
*森達也(映画監督・作家)のツイートより、13 Mar 2018
2001年のNHK番組改変問題がメディアへの圧力の原点。
注釈2