20180317

何か変ですよ! 98: 恐ろしい腐敗力



*1



今、国民が取り組むべきは政府の腐敗一掃です。
しかし、これが恐ろしいほど深く根を張っている。
この辺りを噛み砕いて話します。


* 腐敗の現状

現在判明している状況を要約します。

A: 中央省庁が軒並み不正を働いている

財務省、厚労省、文科省、警視庁、会計検査院など多くの省庁で隠蔽・公文書改ざん・虚偽答弁などが組織的に繰り返され蔓延している。


B: 上記不正のほとんどが首相の意向に沿うか縁者を利している。

不正は閣僚や与党議員に有利なものもあるが、圧倒的に首相の意向と縁者に有利である。

目立つ省庁の隠蔽・公文書改ざん・虚偽答弁はすべて首相や閣僚を守る為になされた。
また森友事件(偽ゴミ報告)や加計事件での各省庁による裏工作、口止め、嫌がらせ、圧力も、最終的に首相を守ることになる。
強姦容疑者逮捕寸前での逮捕状執行停止は首相に最も近い番記者(容疑者)と首相側近が関与。


C: 政府は数々の追及に対して1年以上否定し続け、さらに真相の追及を妨げた。

森友、加計事件の国会で厳しい追及があったにも関わらず、首相と閣僚は所轄部署の不正が完全に露見するまで否定し続けた。

例えば、ここ数日の麻生大臣の国会答弁が示すように、否定していた「忖度」をやっと認め、さらに驚くべきは、あれほど疑念を持たれていた「決裁書改ざん」を自ら命じて調べることがなかった。

このことから現時点の証拠だけでも、過失ではなく故意の隠蔽に限りなく近く首相を含む閣僚の責任は重大です。



* 実は、腐敗の根はさらに深い

確かに、現時点では首相らが直接に不正行為を指示した証拠はない。
しかし、日増しに不正関与の疑いは濃厚になりつつある。

この連載で既に述べて来たことですが、官僚だけでなく日本の組織は上層部に忖度し組織的に不正行為を働く可能性が非常に高い。
この状況は、強権的なトップ、省庁の存続危機(過去の不正への追及)、恣意的な報酬・制裁人事が行われ始めると、さらに酷くなる。
これが安倍政権になってから省庁の不正行為が頻出した理由と言えます。


だが、さらに首相らから直接不正行為を促す圧力があったと言える。

かつて「忖度」を説明した際、上層部は非常に巧みに部下に不正行為を促すことが出来ると説明しました。
事細かく指示しなくとも「鈍感な奴だな」と恫喝するだけで、部下は意向に沿ってバレないことを願いながら不正行為を行います(理不尽だが現実です)。

ただ、今回の文書改ざんのように財務省本省の理財局次長ら18人の印があり、組織的であることから佐川理財局長が知っていることは確実だろう(太田現理財局長の発言)。
また当時、国会答弁を行った佐川は麻生財務相の本省直属の六人の部下の一人であり、事前に麻生と佐川がまったく不正行為について話さなかったのは不合理です。

また佐川にとって、暴露は前任の迫田理財局長の時の便宜供与(森友8億値引き)が発覚するだけだが、改ざんすれば自分がより重い罪(公文書偽造、共謀罪)を負うことになる。
いくら国税庁長官に出世出来るからと言って、こんな危険で馬鹿げた不正を、それも組織を巻き込んでやるはずがない。

つまり、麻生は真っ黒、おそらく安倍も一連托生だろうが、残念なことに証拠がない。


 
*2

* ここからが問題

おそらく、佐川の証人喚問だけではらちが明かないだろう。
佐川は「検察取り調べ中に付き、証言を拒否する」として、国会の調査は進展しない。
(既に不正が明白な状況で、彼は麻生に義理立てして嘘を続ける必要がなく、むしろ自白の方がメリットがあるはずだが)
当然、麻生も自白するはずがない。

残念ながら、安倍の人気が続く限り、他の証人喚問(明恵、迫田など)は不可能で、真実は白日の下に晒されることはないだろう。
このような時、何か軍事的脅威や注意をそがれる事件でも起きれば、腐敗に対する危機感は霧散霧消してしまう。

そうなれば、また安倍の支持が回復し、腐敗が加速することになる。


* 安倍恐怖の始まり

安倍政権になって進行している恐怖の実態を確認します。

問題は中央官庁の腐敗だけではないのです。
安倍個人の性向(直情径行、タカ派、独善)が社会を蝕んでいる。


例えば、前川前事務次官が今年2月に中学校で講演していたが、講演を依頼した市教委に文科省が露骨な検閲と嫌がらせを行っていた。
文科省は前川氏を誹謗中傷し圧力をかけた。

これが官邸の指示かどうかは不明だが、これは彼が加計事件で内部告発し職を辞した後も官僚と首相らを批判し続けることに対する制裁と口封じです。

これは首相の批判者を徹底的に叩く性向が中央官庁に沁み込みつつある例です。


 
*3


しかし、この状況は社会全体に既に蔓延している。

2001年、NHK番組改変問題が起きました。
政府が日本軍性奴隷制を裁く女性国際戦犯法廷に関する番組に干渉し、NHKは大幅な改変を行った。
2005年、朝日新聞がこの改変を暴露した。

この干渉の主役が安倍官房副長官でした。
当時NHK放送総局長の松尾氏は安倍から呼び出され、必死に説得したが、理解が得られず、局に戻って大幅な番組の改変を指示することになった。

後に彼はこの間違った対応への後悔を含め、安倍から「勘ぐれ」と言われ、忖度を強要されたこを証言した。注釈1

つまり、安倍は忖度を強要する常習犯だったのです。


この後、NHKは更なる政府からの干渉に喘ぐことになる。
経営委員会に、安倍友の百田尚樹、長谷川三千子が送り込まれた。
極め付きは経営委員に選ばれた籾井勝人でした。
発言「政府が『右』と言っているのに我々が『左』と言うわけにはいかない」

こうしてNHKは沈黙していった。


* 安倍の恐怖は留まるところを知らない

実は安倍の恐ろしさはこんな生やしいものではない。


 

< 4. 日本の報道の自由度は安倍人気と共に低下中 >

2017年、ついに日本の順位は世界72位に輝きました(涙)。
(あの中国に抑圧されている香港73位よりはマシなのが救い。笑い)
今年、アベ政権は「報道の自由」についての国連勧告を拒否した。
つまり堂々と認めたのです。

これは何かの間違いでしょうか、それとも安倍の実力なのでしょうか?


 
*5


答えは、2016年7月の池上彰の暴露にあります。

要旨は、テレビ局の報道抑制、つまり真実を語らないのは「忖度」と言うような生易しいものではなく、裏に安倍政権の圧力がある。注釈2

以下に抜粋要約します。

「かつて、権力サイドは『メディアに圧力をかけてはいけない』というのが共通認識でした。
しかし、安倍政権になってからは、自民党はおもなニュース番組をすべて録画して、細かい部分まで毎日のように抗議し、訂正を求め、注文をつけてくる。
こうして次第に『文句を言われない表現にしようか』となってしまうのです。」

「さらに深刻なのは『電凸』です。
『電話で突撃する』という意味のインターネット用語ですが、一般の読者や視聴者が、気に食わない報道があると、スポンサー企業に一斉に抗議電話をかける。
『不買運動をする』なんて言われるとビックリするんですね。
昨年6月に自民党の議員が、マスコミを懲らしめるためにスポンサーに圧力をかけることを提案して、問題になりました。
それも実際にはすでに行われているんです。」

「この『電凸』にしても、自民党、とくに安倍氏周辺が下野した時代に、自民党ネットサポーターズクラブ(J-NSC)というかたちでネトウヨを組織し、その下地をつくってきたものだ。」

「第1次安倍政権(0607年)の時に、メディアへの抗議が増えたんです。
ところが、安倍さんが辞めた後にパタリとなくなりました。
福田政権、麻生政権、民主党政権の時は抗議が大量にくるようなことはなかった。それが第2次安倍政権(12年〜)になって復活しました。」

以上です。


* 最後に

こうしてマスコミが政府や右翼に牛耳られて行く状況は、正に祖父岸信介が活躍した、大陸進出に至る言論抑圧の時代に酷似しているのです。
本当に、安倍は戦前を取り戻したいようです。


結論は、安倍首相を政治から排除する以外に、日本を再生する手段はないのです。


終わります。




注釈1
*長井暁さんの記者会見発表文書(全文)

*「NHKよ、安倍さんがそんなに怖いのか!」 2015.8.27

*森達也(映画監督・作家)のツイートより、13 Mar 2018
2001年のNHK番組改変問題がメディアへの圧力の原点。



注釈2
池上彰がテレビ局の「忖度」の裏に安倍政権の圧力。http://lite-ra.com/2016/07/post-2389.html



20180316

何か変ですよ! 97: 何が最優先か?



*1



これまで日本の現状を憂い、様々な問題を取り上げて来ました。
しかし、いくら大所高所から経済や平和、社会を俯瞰しても意味が無い。
既に、土台が腐って・・・



< 2. 立派な家系の・・ >

* 麻生大臣の一言から見える・・・

最近、テレビのニュースを見ていて気になることがある。
それはトップ政治家の人相です。

アベ首相は政権を担う前、ぼんぼんらしい清々しい顔で国民の人気を博した。
しかし、いつの間にかやつれて悪相になった。
おそらく彼は、優れた取り巻き、智者に恵まれていれば良きリーダーに成れたかもしれない。

残念ながら、盟友、副総理の麻生大臣の人相が良くないように思う。
同じ世襲のブッシュ元大統領を連想させる。
彼はプライドが高くて短慮軽率、これが災いを招く、ブッシュのように(富豪優遇、規制緩和、大減税で赤字拡大、戦争開始、リーマンショックなど)。

しかし、つい本音が出てしまう彼の発言から政治の裏を読めるのが有難い。



*3


13日、麻生大臣は記者から、神戸製鋼社長の辞任を例に責任を問われると、逆に記者に問い直した。
「神戸製鋼は20年ぐらい続いてたのかな?」
彼は得意満面でした。

彼は、20年間のデーター改ざんと高々4年間の任期と同列に扱うとは無礼千万とでも言いたかったのでしょう。

皆さんは、この発言をどう理解しますか?

一つは麻生大臣発言の額面通り、期間が短いから責任は無い。
しかし、少し考えるとおかしいことに気付く。
通常、責任はその期間に関係なく、その結果に依るはずです。
二人を殺した犯人が、その期間が1時間か10年間で無罪を訴えるようなものです。

彼の脳裏にはある不満があったはずです。
つまり、以前からあった内閣と官庁の腐敗の責任を、なぜ俺が一人で取らなければならないのか・・・
(少しばかり盟友とやり過ぎただけなのに)
事実、腐敗の一例、改ざんはそれ以前のものが見つかり始めています。




< 4.とほほ >

* 自民党国対委員長の発言から見える・・・

15日、ようやく佐川前国税庁長官の証人喚問が決まりました。

佐川の証人喚問が申請されたのは国会紛糾後、半年を経た2017年9月3日でした。
その後、こんなやり取りが続いていました。

佐川氏、2017年7月、国税庁長官に昇進。
野党「佐川宣寿国税庁長官の証人喚問を・・」
自民党「今は国税庁長官だから難しい」

佐川氏、2018年3月、国税庁長官を辞任。
野党「佐川前国税庁長官の証人喚問を・・」
自民党「民間人だから喚問は難しい」
(これらの人事は内閣)

証人喚問を拒否し続ける理由が子供だましであっても国会ではOKなのです。
これをダブルスタンダード、数の力、それとも与党の巧みさ・・・
日本の政治は、庶民と先進国の常識からかけ離れている。



*5

* マイナンバーから見える・・・

現在、日本のマイナンバーの普及率は9.6%です。
目的は脱税を防止し、事務の合理化を図る素晴らしいものでした。

実は、普及している国は幾らでもあるのです。
北欧のスウェーデン、デンマークは100%活用され、無くてはならないものになっている。

それではなぜ悲惨な結果になったのでしょうか?
これは日本国民が政府を信頼していないからです。
日本と北欧を共に知っている人々がこのように指摘しています。



* 問題の本質

上記三つから、腐敗が蔓延している政府(内閣と官僚)、正論が通じない政治(党利党略の政治)、国民に信頼されていない国家が日本と言うことになります。

これらすべてがアベ政権によるものではないが、彼になって一気に加速したのは疑いない。

この災難に国民はどのように向き合うべきか?

現在、日本では労働条件(賃金、非正規)の悪化、世界的なバブル崩壊と北朝鮮の不安がある。
長期的には日銀の後始末と財政破綻、社会保証(年金、医療)への不安がある。
そして増えているトランプ大統領などの暴走に不安がある。

しかし、足元を見れば、まさに土台は崩壊寸前です。
放置すれば、景気や平和などを求めるどころではなく、政府は国民を向かなくなってしまう(人気取りとごまかしの扇情はあるが)。
中央政府は一部政治家に私物化され、官僚達はそれを支えるだけになり果てた。



< 6.とある応援団の発覚直前の発言 >

さらにマスコミ(新聞、放送局、雑誌)だけでなく、多くの評論家や記者までが政府に飼いなされている。
(首相はあれほど朝日新聞を貶めようと国会で叩いたが、立派に謝罪する首相と自画自賛するわりには、まだ謝罪していない)



< 7. 犠牲者は二人か >


* 再生について

結論は、出来る限り早く腐った土台を破棄し、新築すべきです。

腐敗や不信感を放置すれば、単に政治が回らなくなるだけではなく、将来への再生が不可能になる。

土台新築のポイントは、以下の通りです。

政府の腐敗を防ぐ為にすべき事。

A: 公文書管理の徹底(米国並み)。

大日本帝国の時代から、軍隊の証拠隠滅と虚偽報道は他の先進国には見られないほど徹底していた。
この背景に村社会の残滓があり、組織を守る為であれば、外部に対して不都合な真実を知らせないことも許される。


B: 監視制度(オンブズマン制度)の確立。

スウェーデンでオンブズマン制度が成立したのは1809年でした(明治維新の半世紀前)。
議会で任命された者が、裁判所及び行政機関と公務員を監視し、勧告と起訴する権限を持つ。

企業も含めて組合が正常に機能していれば、経営者や行政の横暴や不正を牽制する機能を持つ(これは西欧と米国で弱体化)。

日本では、内部告発者の保護制度が貧弱で、せっかくの法改正はあったが公務員は除外されている。
日本社会は、まだ内部告発者を組織の裏切り者とみなす傾向が強く、これを教育などで正す必要がある(自民党では不可能)。


C: 忖度を抑制するシステムと法整備。

報復や制裁人事の監視、便宜供与の連座制などです。
忖度は美徳と言うより組織が劣化する要因でもあり、上層部が忖度を悪用し不正行為の法的責任から逃げることにある。
しかし世論が逆風になると、道義的責任と言って辞めるだけ無罪放免となる。


国会に信頼を取り戻す為にすべき事。

D: 常態化している政治家と役人による便宜供与の抑制。

上記ABCの対策が発生を抑える効果を持つが、議員の強欲を抑える別の対策が必要です。

恣意的な便宜供与は政治を歪め、最終的に社会経済の効率を悪化させる。
国民はこれに慣れているが、逆にこれが不信を抱くことに繋がる。
例えば地元議員の票田や派閥が異なると、土木工事のメリットに大きな差が出るなどで選挙民は自然にこの道理を会得している。

これが日本の保守政党が延命出来る最大の要因なので、自民党による腐敗刷新は期待できない。
それこそ盗人に追い銭です。

もっとも野党にも便宜供与の動機はあるが。


* 最後に

上記のことが進めば、信頼される政治の土台が固まり、次のステップに進める。

願わくば、国民が中央政府を信頼するようになり、正論がまかり通る国会になって欲しい。
正しい情報と情報開示がタイムリーに行われるようになれば今回のような不毛な国会攻防はなくなるだろう。

まさに、40年遅れのペレストロイカかもしれない。

この段階を経て、日本は新たな目標に向かって、国民と政府が一体になって進むことができるだろう。

それは超格差社会と繰り返すバブル崩壊経済へ突き進む道から、平和と生きがい、高い所得も可能な社会への大きな転換です。
(北欧などが実現している社会)



< 8. 村社会(文科省)の怨念 >


最後に注意を一つ。

日本の村社会の心理では、どうしても異なる組織―村だけでなく異なる政党や外国、に対して情報を共有し議論を経て協調を得るより、情報を隠し閉鎖的になって組織を守る傾向が強い。

この習性から脱却しない限り再生は困難だが、きっと教育や具体的な政策の積み重ねでいつかは脱皮できるものと信じたい。
北欧も一朝一夕に今に至ったのではない。


終わります。