< 映画「インサイダー」、テレビインタービューの撮影シーン >
ワイガンド博士のその後を紹介し、この事件の意味を考えます。
博士はその事件の16年後、あるインタビューで答えている。
「離婚、尾行、脅迫、人格の攻撃、すべてされたくなかった。しかし、今、事態は変わった。私は多くの人の命を救いました」
「離婚について、妻も私も決断しました。子供達とは一緒に住めなくなったが、父親が何をしたかを理解してくれると思う」
解雇後、彼は高校で教鞭をとり、現在、教育者、禁煙と健康についての講演、コンサルで世界を飛び回っている。
< ワイガンド博士の講演風景 >
この事件の5年後の2002年、民間企業の不正を内部告発した労働者を保護する法律が米国で成立した。
それまでの内部告発者保護法(1989年制定)では、政府機関の労働者に限られており、前述の国境巡視官が救済を求めた合衆国特別顧問局(OSC)がその所管でした。
彼の行動は、続く民間の内部告発者の犠牲を軽減し、社会の自浄作用を高めることに繋がった。
< HP of JeffreyWigand >
この事件が示唆するもの
1. 巨大企業の腐敗は巨大な害悪を招く。
上層部が関わる腐敗(法令違反、欠陥、薬害)は突き進むだけ。
2. 腐敗の実態が外部に知られることは希。
上層部は強権を発し、組織も自己保全の為、機密防衛(データー改竄、隠蔽)に走る。
< 映画「インサイダー」無言の脅迫シーン >
3. 内部告発こそが、腐敗を暴ける。
特に腐敗が灰色の場合、上層部の過失や故意、偽証の証拠がなければ、司法が介入出来ない。
< 映画「インサイダー」裁判での証言シーン >
4. 勇気ある内部告発も社会の応援が無ければ成就しない。
内部告発者は、解雇や契約違反などの合法的な報復に始まり、例え匿名でも、容易に特定され脅迫、個人攻撃に曝される。
それを支えるのが周囲の理解と闘うマスコミであり、最後は司直の手で決着となる。
5.
最も重要な事とは
一つは社会正義の実現に行動する人々が擁護、賞賛される社会です。
今、一つは政府や大企業の巨大な腐敗に敢然と挑むマスコミ(TV局、新聞)が擁護、賞賛される社会です。
米国の社会には、これが存在します。
次回、この社会の到来について見ます。
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