20140105

社会と情報 3: なぜ内部告発なのか?

映画、インサイダー

< 映画「インサイダー」 >

前回、内部告発によって国境線の安全が向上した事例を見ました。
今回、なぜ内部告発が重要なのかを見ます。

前回、内部告発への評価を四つ例示しました。
その評価から見えて来るものがあります。

1.       犯罪だと考える
理由: 防衛機密が漏洩されることは国益を犯すことであり、告発者を厳罰に処すべきである。
問題点: 
・ 放置すれば、組織はあらゆる情報を機密にする。
・ 機密漏洩による一時的な弊害と、長期的な社会損出ではどちらが大きいのか。
       組織が行う処罰は、ほとんど一方的な報復になる。
       現代の情報社会は従来の機密と公開の区別が適用できなくなっている。
       歴史的にみて、機密を重視する社会の多くは硬直化し、民主主義が後退している。
 
2.      英雄気取りだと思う
理由: 告発者は組織への裏切り者で、それは組織の混乱と損害を招くだけだ。所詮、告発は腹いせや目立ちたいだけだ。
問題点:
     告発された組織は、大小の損害を受けるが、それは事態を放置したことのツケだろう。
     不純な動機で告発する者も居るが、多くは自分の将来を犠牲にすることになる。


映画、インサイダー

< 「インサイダー」告発者の苦悶と不安 >

3.      軽率だと感じる
理由: 組織に問題があると気がついた者は、先ず、組織内で善処すべきである。
問題点:
     問題が進行している組織ほど、諌言者(告発者)を排斥し、その事実を隠蔽する傾向がある。
     私企業は業績優先、公営体は硬直化により、一丸となって組織防衛に走るのが常です。
 
4.      賞賛すべき
上記に掲げた問題点を考慮すれば、自ずと答えは明らかです。
米国は、民主主義を確立していく長い過程で、告発者を護る社会が育った、少なくとも日本より。


映画、インサイダー

< 「インサイダー」 >

一人の内部告発者が世界を救った!
事例から内部告発を見ていきます。
1999年、米国映画「インサイダー」が公開された。

1995年、一人の元研究開発副社長がテレビのインタビューに応じた。
彼は、所属していた会社が害悪を垂れ流し、事実を隠蔽していることを訴えた。
しかし、放送会社の経営者はその企業の訴訟を恐れ、そのインタビューを放映しなかった。
こうして、この実際に起きた内部告発事件は展開していくことになる。

次回、この事件を紹介します。









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