20180819

連載中 何か変ですよ 200: 暴露本「炎と怒り」の紹介 1: はじめに

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これからトランプ政権の内幕、ドタバタを暴いたベストセラー(米国で140万部)を紹介します。
この本を読んでいると、まるでホワイトハウス内を自由に覗いているような錯覚に陥ります。
実に面白いのですが、一方で今世界が民主主義崩壊の危機に晒されている恐怖を味わうことになるでしょう。



 
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* はじめに

私はこれまで米国政治の内幕本としては、元財務長官ポール・オニール、ベトナム戦争に関わった元国防長官マクナマラや元国防総省局員エルズバーグ、元CIA局員スノーデンのものを読みました。
これらは米政府の腐敗、暴挙、衰退、意思決定のお粗末さを見事に描いていました。

しかし、「炎と怒り」はこれらと大きく異なるものです。

一つには、もの凄く臨場感があります。

ホワイトハウスの中枢とそれに関わるエスタブリッシュメントの群像劇を舞台の上で見ているような気持ちになります。
繰り返し名前が出てくる人物は50名を超えるでしょうか。
残念ながら、これが読みづらくしているのですが。


さらに臨場感を盛り上げているのは、200名を超えるインタビューを基に著者が主要人物の気持ちを代弁して直接間接に状況を語らせていることです。
これは、この本の信憑性を貶めているとも言えるのですが、一方でホワイトハウス内のパワーバランスや混乱を理解するのを助けてくれます。

二つには、絶望の書だと言うことです。

既述の本も、読めば怒りと失望感に苛まれるのですが、「炎と怒り」は別格です。
前者は一応、賢者たるホワイトハウスの中枢達(大統領と周辺)の集団による暴走か判断ミス、またはそれまでの惰性から抜け出せなかった悲劇とも解釈出来ました。
それは一時の混乱や徐々に進む悪化なのだから、次の機会には脱却が可能だと希望を持つことも微かに可能でした。

しかし、ドナルド・トランプを巡るドタバタ劇は深刻さが格段に違います。

一言で云えば、無知な一人の悪戯小僧が国家の中枢で好き勝手に振る舞い、さらに彼を利用し、操り続けたい人々が、彼の愚かさをひた隠しにし、祀り上げ続けていることです。
操ろうとする人々とは、過激思想家(極右)や政治素人の親族、エスタブリッシュメント(大富豪、メディア、共和党など)です。

不思議なことに、選挙ではエスタブリッシュメントの排除を望む声が強かったはずです。
極右の過激な言説(分断と敵視)が国民の不満を煽り、共感を呼ぶことにより予想外の大成果を得て誕生した政権は結局、政治の破綻を招くことになりそうです。
これと似た状況(ファシズム)はかつて世界、日本でもありました。

加えて恐ろしいことは、この惨事は米国に留まらないことです。
西欧のポピュリズム政党の台頭に始まり、ロシアや中国の独裁化、日本やトルコの右傾化は、今や世界の流れです。
トランプ大統領誕生の最大の功労者バノンはこれを時機到来と見なし、世界に極右の結束を促している。

これが私の感想です。



* この連載で紹介したいこと

この本は素晴らしいのですが、大きな欠点があります。
それは登場人物が多すぎることです。

それで私は、皆様がこの本を読むのに役立つよう、登場人物の人物相関図を作るつもりです。
章ごとに作ることを予定しています。


* 今回の紹介

「プロローグ--- エイルズとバノン」p15~p27の要約です。

二人の会話を通じて、トランプの大統領就任間際の内情が見えて来ます。
この会話からトランプに近い右翼の言論を牽引する二人がトランプや政策をどう見ているかがわかります。



 
< 3. 相関図 >


 
< 4. 図に使用している矢印 >


次回に続きます。



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