20201029

中国の外縁を一周して 54: 私にとっての中国旅行

  












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これから中国旅行を通して感じたことを記します。

これまでの海外旅行と中国旅行の関わりから始めます。

 

 

 

< 2. 私の海外旅行 >

 

私は、60歳定年を機に、夫婦で海外旅行を始め、10数年が経ちました。

私は、会社勤めの時も会社からの視察や慰安旅行などで海外に行ったことはありましたが、多くは定年後です。

訪問した国は、約30年間で35ヵ国ぐらいです。

 

地図に訪問地を表しました。

多くは緑枠の西ヨーロッパ(ドイツ、フランス、スペインなど)と茶色枠の東アジア(中国、台湾、韓国)です。

他にピンク枠の東欧(チェコ、ハンガリーなど)、バルト三国、バルカン半島、ロシア、中東・アフリカ(トルコ、エジプト、モロッコ)、東南アジア(ベトナム、タイ)に行きました。

 

私にとって旅行は無くてはならないものになりました。

海外旅行は年1~2回、国内の宿泊旅行は2回ほどと、けっして数は多くありません。

しかし、2週間ほど宙に舞うほどの高揚感を味わわせてくれ、さらには好奇心と探求心を十二分に満足させてくれるものとしては、旅行に勝るものはありません。

 

特にヨーロッパを巡る旅、中世の街並みや景観、美術品、食事を味わい、そしてちょっとした人々のふれあいは何物にも代えがたいものでした。

東欧や東南アジア、東アジア、中東・アフリカの旅も、それぞれ刺激的でしたし、満足出来るものでした。

 

しかし数年前から、旅行会社のツアーでは満足できなくなりました。

 

旅慣れして、世界各地の観光地だけでなく、市民の暮らしぶりにも目が行くようになればなるほど、日本の沈滞と心にゆとりのない暮らしぶりを痛感するようになりました。

 

そして3年前、ある決心をしました。

それは世界で最も物心共に豊かな国、隣国であり最も成長著しい大国、そして日本に最も影響力がありながら病める大国を直に見ることでした。

 

最初に紺色枠の北欧(スカンジナビア三国のスウェーデン、ノルウェー、デンマーク)を選び、一人で旅行し、既に紀行文を載せました。

私は30年ほど前に一度視察で訪れ、豊かな自然と落ち着いた町並みだけでなく、企業の経営姿勢と人々の暮らしぶりに大きなカルチャーショックを受けていました。



 

< 3. 北欧の旅で >

 

 

次いで、茶色枠内の中国を夫婦で旅し、現在連載中です。

 

 

 

< 4. 中国の旅で >

 

実は、今年、赤枠のカナダと米国(ハワイも)を3週間かけて夫婦で回る予定でしたが、コロナで行けなくなりました。

来年は一人で旅行する予定です。

 

 

< 5. 米国のイメージ >

 

 

つまり、この三つの地域を旅することで、日本の将来が如何にあるべきかが見えてくるように思えるのです。

 

結論から言えば、北欧の経済と社会、暮らしぶりは予想通りすばらしいものでした。

さらに豊かで多様で持続可能な社会へと変化を遂げているのに脅かされた。

日本が北欧を真似るべきかは別にして、北欧が大戦後の社会変革で、世界トップレベルの国民の幸福を実現したことを知れば、日本国民は改革に向かう必要性と方向性を理解出来るはずです。

 

一言で言えば中国は脱皮し続け、豊かさを享受し始めているように見える。

中国の経済躍進が、けっして統制経済のような押し付けではなく、活力みなぎる全員参加によるものだと知れば、腰砕けになる可能性が少ないことがわかるはずです。

また国民の暮らしの向上や、大多数の少数民族に不満や問題が無いことを知れば、中国への不安も減るでしょう(北欧に似たものを感じた)。

 

一方、まだ見ぬ米国を調べれば調べるほど荒れていることに驚く。

巷に溢れるホームレスや頻発する凶悪犯罪を知れば、怖くて旅を躊躇してしまう。

さらにトランプ大統領によって社会の分断と民主主義の破壊も進んでいる。

これらが著しい格差拡大と人種や移民への差別の結果だとしたら、根は深く、米国に未来は無いかもしれない。

やはり、この目で確認しなければ、今後の日米関係を語れない。

 

ところが隣り合い同じ経済圏・英語圏でもあるカナダは、不思議な事に米国とは違い、国民の幸福度など社会指標はすこぶる良い。

この理由が分かれば、さらに米国の真実に近づけるかもしれない。

 

私が今望んでいることは海外を旅し、世界を知り、日本を振り返ることです。

 

 

 

< 6. 中華圏の旅 >

 

私は、会社と個人の旅行を含めて10回ほど中華圏を訪れています。

最初に訪れたのは1980年代だったでしょう。

従って、社会と経済の変化を身をもって知ることが出来ました。

 

今回の旅行を赤色と水色で示し、赤線は新幹線、赤丸は訪問都市、水色線は空路を示します。

ピンク色は過去の訪問地で、直線は列車と車で、丸は訪問地です。

訪問した都市は、中国で2回行ったのが北京、上海、廈門(客家土楼も)、1回行ったのが桂林、洛陽、西安、蘭州、成都、麗江、昆明、香港、広州です。

台湾は、台北と台湾一周の2回行っています。

訪れた間隔は10年から30年ほど空いているので、生活水準や町の景観の変化がよくわかりました。

 

最も古い訪問は、香港、広州、廈門、台北です。

20年以上経ってから再訪した台北と廈門の著しい発展に目を見張った。

 

私にとって中国は、日本に多大な宗教的・文化的影響を与えた国であり、その歴史を知ることは、日本の精神文化を知る手掛かりとなる。

また中国の歴史は多様で始原的で、興味深いものがある。

 

またここ30年ほどの中国の大躍進は目を見張るものがあり、冷戦後、地に落ちた感がある共産主義にも、何か経済改革のヒントがあるように思えて来た(漠然としているが)。

おそらく20年以内に、GDPで米国を抜き、その後米国を引き離すだろう(韓国も日本を抜くことになる)。

こうなると中国は、日本にとって再重要な経済パートナーになるはずだ。

 

そうは言っても中国の軍事膨張には不安が残る。

この問題を冷静に判断するには、独裁化し軍事行動を頻発している大国との比較が重要です。

また中国の軍事行動の歴史を知る必要もある。

 

私達日本人は、どうしても島に閉じ籠りがちで、小さく自己満足に陥り、納得し、洗脳されしてしまい易い。

これを打破しない限り、世界から取り残され、偏向していることすら気付けず、当然、本当に必要な改革論議は掻き消されてしまう。

 

これこそ日本衰退の遠因だろう。

私が薦める「海外旅行」とは、日本の閉塞状態に気付く旅なのです。

 

 

次回に続きます。

 

 

 

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