*1
今日は、乗り越えるべき難関を扱います。
私は明確な解決策を提示できない。
しかし、これこそが日本の再生に不可欠なのです。
< 2. 泥沼化 >
はじめに
現在の自民党と官僚の腐敗、さらに社会経済の長期衰退に歯止めをかけるには、反省の無い与党を引きずり下ろすしかない。
そして二度と政治が腐敗し暴走しないように、与野党が牽制しあえる国会にしなければならない。
しかし、大問題が二つある。
A: 米国の呪縛からの解放
米国追従の何が問題なのかと思われるかもしれません。
しかし、二つの致命傷がある。
・ 独自外交が出来ないことで、より戦争に巻き込まれる可能性が高い。
・ 経済の呪縛―自由放任主義と米国お仕着せの政策が日本の経済をだめにして来た。
B: 未熟な野党
日本の野党は政権与党としての実績が少ない。
世界中、いつの時代にも新たな政党が政権を担い大変革を成し遂げて来た。
そうは言っても野党の経済運営と団結力は自民党に比べ力不足を否めない。
たとえ米国の呪縛が解けたとしても、経済と外交で新機軸を打ち出せるかは未知数です。
また官庁も自民党との癒着、腐敗で多くを期待出来ないだろう、志のある官僚もいるだろうが。
これではまさに前門の虎後門の狼です。
*3
* 軍事と外交
各国史をみると、どの国と軍事同盟を結ぶか、または中立で行くかが戦争の運命を決定づける。
日本は三大国(米国、中国、ロシア)に囲まれている。
頼りの米国は戦争の常習性があり、社会は益々怪しくなり衰退途上にある(金融界は好調)。
日本は米国から遠く、中国とロシアに対して米国の橋頭堡であり戦争勃発と共に廃墟になるだろう。
一方、中国とロシアは共に独裁国家で、盟友として信じるに足りない。
これらの傘下に入ったところで、やはり日本列島は米国への防波堤になるだけだろう。
視点を変えると、この中で日本を最も嫌悪しているのは侵略された国であり、さらに領土問題と資源獲得競争で紛争の危険性が高いのは中国(朝鮮半島も)です。
中国との戦争を米国に守ってもらう幻想より、戦争を未然に防止する方が得策ではないか。
歴史上繰り返されて来たように、日本は大国の覇権争いで前線基地になるのが落ちです。
戦史の常識から言って、国境を接し互いに敵意を持ちながら軍拡競争に励み、戦争を逃れた事例は無い。
一方、大国の侵略と戦い続けた隣国も、いざとなればこの大国と同盟を結ぶことは世界によくあることです。
残念なことに、日本は長年独立を守って来た自負心が逆に災いになっている。
実際は米国に牛耳られているのだが。
一方、日本が独立を守れるチャンスはある。
日本列島は三大国から海で隔ており、中ソにとっては米国の前線基地でなければ戦略的にそれほど重要ではないはず。
自衛隊の装備も2017年で世界7位と侮れない力がある。
こうしてみると、防衛力のみを堅持したまま、三大国と等距離外交か中立政策、そして中国との和解を深める以外、戦火を逃れる術はないだろう。
米国の抵抗は大きいが、他の理由もあり米国から離れる方が良い。
西欧や北欧とは今まで以上に強くむすびつく必要がある。
つまり「遠くの親類より近くの他人」です。
*4
* 経済と米国
戦後の日本経済、特に1980年代以降を振り返ると日本は米国の意のままに操られ、停滞の憂き目に合ったと言える。
確かに、敗戦後こそ米国の手助けは有難がったが。
例えばプラザ合意後の円高、押し付けの構造改悪、巨大な金融緩和と公共投資によるバブルです。
これは政府と官僚が米国の圧力に屈したことにある(安倍以前は少しづつ脱していたが)。
この結果、バブル崩壊による1990年代の失われた20年と膨大な財政赤字が生じた。
2008年、福田首相が突如辞任したのは、米国の身勝手な要求をはねつける為だった。
当時、リ―マンショックの処理に苦しんでいたブッシュ政権は日本の全外貨準備高にあたる1兆ドル(約100兆円)の提供を求めて来た(為替操作用の米国債の購入資金)。
(この後を引き継いだのは麻生・・)
自民党だけでなく経済界や経済学者、官僚、御用マスコミも米国追従を望む。
経済界がこれを望む理由の一つに、米国流の経済政策が企業優先だからです(注釈2)。
さらに米国主導の自由放任主義は世界に重く圧し掛かる。
主要なものでは富裕層優遇による世界的な格差拡大、拡大する金融緩和によるバブル崩壊の巨大化、タックスヘイブン等の世界的な税逃れを許すことによる各国への悪影響(国内の税収減と格差拡大、注釈1)などがある。
日本がこの悪化から抜け出すには米国と対等になることで自由放任主義を抑制することです。
日本はまだ自由主義経済国で2位の経済力があり、新たな道を北欧やドイツに学ぶことができるだろう。
< 5. 2017年の悪魔の解散 >
* 野党に望むこと
今の小選挙区制では、野党の分裂は致命傷です。
今後も世界的に多党制は続くと考えられるので、選挙協力の道筋を確立して欲しい。
政策合意を持って、各政党の良さを生かす連立政権を誕生させるべきです。
政権奪取後、中選挙区制と比例代表制の選挙改革に取り組んで欲しい。
この点、すべてを捨てて団結出来る自民党は強い(不合理だが)。
安倍政権によって悪化した報道の自由度を、是非とも先進国水準に戻して欲しい。
前回の民主党の官僚への性急な改革と敵視の失敗を生かして欲しい。
中国の十八史略(紀元前から13世紀)を見ても、宦官や官吏の専横を打ち崩すことは並大抵ではない。
腐敗は深刻であるが、先ずは不正が蔓延らないシステム造りと公僕の意欲を引き出して頂きたい。
外交はこれまでの経緯と、実際は官僚が取り仕切っているので、先ずは新政府が長期ビジョン造りでリーダーシップを発揮して欲しい。
< 6. 真実?、赤枠が安倍政権 >
* 経済界とのタイアップ
これが野党の最大課題となるでしょう。
国民の多くは外界の脅威がなくなれば、経済を最重視し、かつ短期的な結果を求める。
現在は2003年頃よりリーマンショック時を除いて失業率の低下が進んでいるが、30年以上にわたり経済成長率は低下の一途です。
現政策が続けばバブルで浮き沈みをしながら確実に日本の経済は衰退し、格差は拡大する。
しかし、これを短期間で是正し、経済を建て直した例が世界にない。
ドイツや北欧のように多くは低迷状態から年月を掛けて体制転換を行っており、日本のように繁栄の余韻の中での改革は難しい。
しかし、これが出来なければ19世紀の英国の衰退と同じになる。
この舵取りは非常に困難で、時間もかかる。
先ず、新政府は国民に実現出来るビジョンを提示し理解を得ることが重要です。
このためには経済界の協力が不可欠です。
しかし経済界はこれまでの優遇策と権益を捨てなければならず、並大抵のことでは協力しない。
だからと言って、これを労働界との全面対立では乗り切れない。
共に妥協して共に利を得る方向に持って行かなければならない。
この成功事例は北欧にあるが、歴史と文化の違いを乗り越えらえれるかが不明です。
これに失敗すると、政権は短命に終わることになる。
* 最後のお願い
現状の失業率低下とバブル景気で、日本の悪化や衰退、幸福先進国との違いに気付くことは難しい。
しかし、日増しに劣化している日本の現状は凝視すればわかるはずです。
唯々、始まったばかりのバブル崩壊の傷が深くないことを祈るだけです。
皆さんが悔いのない政治判断を行われることを切に期待します。
永らくお読みいただき有難うございました。
注釈1
国内の企業や富裕層の税逃れが進むと税収不足が起きるだけでなく、逆に彼らを国内に留める為に税率を低くすることになり、結局、庶民の税を上げることになる。
現状では、逃避する収益や資金に税を掛けることが出来ず、各国は軒並み税収悪化の一途を続けている。
経済学者のピケティやスティグリッツはこれを防止するために世界的な税制をそれぞれ提唱している。
しかし米国と追従する日本も、これら税制を無視している。
注釈2
2018/04/23、ロイター企業調査で安部首相続投「望ましい」が73%との結果が出た。
アベノミクスでバブル経済を煽り、非正規雇用や賃金圧縮、企業減税で経済界に貢献し、企業利益が鰻上りでは、上記は当然です。
そこには進行する政治腐敗を問題にしたり社会的貢献などの意識は皆無に近い。
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