今日も日本の現状をグラフから解剖します。
日本経済と先進諸国を比較します。
< 1 実質経済成長率の推移 >
このグラフでは日本の経済成長率は先進国中、著しく悪いとは言えません。
前回のグラフ1において日本だけが取り残されているようにみえました。
それは名目と実質の違いで、インフレ率3%が10年続くと1.8倍の経済規模になるのです。
結局、日本はそれほど悪いとは言えません。
< 2 失業率の推移 >
欧米と日本の失業率を比較したもので、リーマンショック後も他国に較べて低くなっています。
< 3 欧州の若者の失業率推移 >
欧州各国の若者の失業率では、ドイツを除いて高率です。米国も同様です。
欧米は日本に比べて失業率の点で経済不況が深刻化していると言えます。
ただし日本も若者の非正規雇用が増加し、50%を越えています(賃金が安い)。
< 4 日本の経常収支 >
経常収支とは、海外貿易による国の収支で、商品・サービスの売買と外国投資による利益からなる。
貿易では輸出額が減り輸入額が増えて赤字、しかし海外への投資(金融と産業移転)による利益が増加傾向にある。
取りあえず円高による産業空洞化にあっても、投資利益が国内に還元され国内総生産額を上げている。
< 5 欧米各国の経常収支の推移 >
欧州各国のGDPに対する経常収支を見ると、ここでもドイツ以外は赤字傾向が顕著です。
ここでも日本はドイツと同様に良い状態にあると言えます。
< 6 日本政府の歳入歳出の推移 >
平成2年が1990年で、この年から税収が低減し始めました。
しかし歳出は増え続け、その穴埋めに赤字国債の発行額は急激に増加しました。
日露戦争時、通常予算と同額の戦費(この時は外国から)を賄わなければなりませんでしたが、同じ状況です。
< 7 金融資産の帳尻の推移 >
そこで問題になるのが、1000兆円を越える負債残高です。
これについて巷では色々言われており、国内の民間と国の金融資産で消化可能、またはインフレにしてしまえば問題解消すると。
このグラフからは過去は均衡していましたが、家計(民間)の資産と一般政府の負債の推移から危険な状態になりつつあることがわかります。
日本では国民所得と税収が伸びないことと貯蓄率の低下が起こっているからです。
< 8 金利の推移 >
先進国の金利を比較したものです。この金利であるから現在の国債発行額で済むのです。
しかし信用失墜かインフレで金利が上昇すればたちまち問題です。
もし金利が1%上昇するなら借金1000兆円の利払いは年間10兆円増加します。
今回の話で重要なことは、日本は他の先進国とは異なる経済、財政、金融の動きをしていることです。
そしてそれが悪いか良いかということです。
失業率、触れませんでしたが所得格差などで他の先進諸国はここ5年ほどの間に急激に状況が悪くなっています。
それは19日のNHKの対談でノーベル経済学者クルーグマンとスティグリッツが共に指摘していました。
さらにスティグリッツは日本に謝らなければならないと言い、結局日本と同じ状況になってしまったと自戒していました。
次回は最終回の予定です。提言をまとめます。
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