*1
昔々、ある所にモグラがたくさん住んでいました。
そこは山と海に囲まれた平和な所でした。
しかしある日から事態は急変しました。
*2
*3
モグラ達がたくさん集まっています。
一匹の白いモグラが大声で皆に訴えています。
「皆、聞いてくれ!
津波が来たら、我々の住んでいる所は海に沈んでしまうぞ!」
誰かが聞きました。
「そんなことが起きたら大変だ。 どうすれば良いのですか?」
白いモグラが答えました。
「それは海岸に堤を作るしかない。
そうすれば海からやって来る大きな波を防ぐことが出来る。
私達は土を掘って集めることが出来る。
今やらなくて何時やるのだ!」
皆は騒ぎ始めた。
「この話は本当かな?」
「しかし万が一、津波が来たら終わりだぞ。」
この時、一匹の子供モグラが母さんに言いました。
「以前、僕は地中を深く掘っていた時、底の方で水が流れているのを見たことがある。」
お母さんは言いました。
「山にたくさん雨が降れば、洪水になるかもしれないね。」
母さんは周りのモグラに危惧を伝えましたが、皆は口を揃えて言いました。
「お前は津波の恐ろしさを無視するのか。話にもならない。」
やがて皆は力を合わせて堤を造ることにしました。
そんなある日、その親子はこの浜を去り、離れた高台に住み始めました。
やがて数年が過ぎて、雨が降る日が多くなりました。
ついに川が増水を始め、堤で囲まれた浜は水没してしまいました。
とうとう津波は来ませんでした。
*4
No comments:
Post a Comment
どうぞご意見をお書き下さい。Please write an opinion.