20131201

デマ・偏見・盲点 13: 知ること、知られること 4


既に見たように、国民の情報と国家の情報には大きな違いがありました。
今回は、甚大な被害を招く組織の腐敗と情報開示の関係を見ます。

官民癒着の例:薬害エイズ事件
この事件では、厚生省が認可した血液製剤により1800人がエイズに感染し、内600人が死亡した。
過去に、水俣病、森永ヒ素ミルク事件、サリドマイド事件、薬害スモンでは多くの死者と重傷者を出した。
薬物や毒物による被害は広範囲、かつ甚大となり、さらにその解明と救済が困難です。
この事件は、権威ある医者、厚生省、製薬会社ミドリ十字の怠慢と癒着による手抜きで発生した。
この刑事裁判では、製薬会社トップ3人は実刑判決、厚生省課長は有罪確定、医者Aは公判中死去となった。

何が問題だったのか
製薬会社トップ
彼らは米国の情報により危険性を知っていながら、薬剤の在庫減らしの為に、安全との虚偽宣伝と販促を命じた。
医師A(大学副学長)
彼は厚生省エイズ研究班長の立場を利用して、利益供与を受けていた製薬会社の意向に沿い、安全な血液製剤への転換に反対した。
彼の異常さは、血有病学理の第一人者としての権威と自説に固執し、改善の進言を一切拒否したことにある。
厚生省課長
彼は現行製剤の危険を承知の上で販売中止、回収命令を怠った。
この背景に、ミドリ十字が「厚生省出張所」と呼ばれていたことがある。
もし彼が、回収を命令すれば数十億の損害を天下り先が負うことになる。
その結果、被害者への賠償や治療費、研究施設の新設費はそれを遙かに超えた。


この事件と情報の関係
真実が隠蔽されていた時
「当時、担当者らは非加熱製剤の危険性を知らず、学会権威者の合議による認可で決まったので、企業や医者Aに責任は無い。せいぜい認可した厚生省に救済責任があるだけである。」とされていた。

真実が暴露された後
エイズ研究班の会議録音テープがマスコミに流出し、管直人厚生大臣が厚生課長のメモを発見した。
この後、一気に事実解明と和解が進んだ。


< 原子力安全・保安院が安全基準を低めに設定したことを問われている >

何が重要なのか
この手の官民癒着は原発の如く蔓延しているが、ほとんど明るみに出ず、容易に責任を追及出来ない。
理由は、一に都合の悪い情報を消去するか隠蔽していることによる。
たまたま告発者、マスコミ、厚生大臣の裏切り(自局を告発)が事の真相を明るみに出した。

再発防止に重要なこと。
1.             議事録の保存と公開の義務付け(秘密の対象を自由にさせない)。
2.             内部告発者を守る。
3.             マスコミの取材を妨害しない。
4.             政権交代などで新陳代謝を図る。

次回は、連載のまとめにします。









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